特集 2015年10月19日

から揚げ弁当は意外と栄養優等生

から揚げ弁当、栄養よりも食べたさだけ食べてきた
から揚げ弁当、栄養よりも食べたさだけ食べてきた
持ち帰り弁当の定番の1つ、から揚げ弁当。幅広い人気があるだろうが、男子中高生がモリモリ食べてるようなイメージもあると思う。栄養バランスよりもエネルギー優先という感じだろう。

ただ、上の写真のから揚げ弁当、意外と栄養バランスがよかったりするのだ。どういうことか調べてみた。
1973年東京生まれ。今は埼玉県暮らし。写真は勝手にキャベツ太郎になったときのもので、こういう髪型というわけではなく、脳がむき出しになってるわけでもありません。→「俺がキャベツ太郎だ!」

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から揚げ弁当に自信をもっていい

ある意味で栄養バランスがよいと言えるから揚げ弁当。ここで言う「栄養バランスのよさ」とは、厚生労働省が示している「日本人の食事摂取基準(2015年版)」の中にある「エネルギー産生栄養素バランス」という視点から考えたものだ。

簡単に言うと「三大栄養素である、たんぱく質・脂質・炭水化物から摂るエネルギーの割合は、これくらいずつがいいよ」というものだ。

具体的な割合は下の表の通り。
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注意点としては、質量比ではなくエネルギー比であることだろうか。こういうバランスで摂るのが望ましいらしい。

では、先に出てきたから揚げ弁当。調べてみたところ、三大栄養素のエネルギー比はこうだった。
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カッコ内の数字は「エネルギー産生栄養素バランス」の目標量の割合。三項目全てが範囲に入っている。

ちょっとこれ、意外だった。これまでから揚げ弁当を食べるとき、「栄養はさておき、食べたいから食べる!」というような気分だったからだ。

そして、写真の弁当は特別なものというわけでもない。
普通のあいつが意外といい奴だった
普通のあいつが意外といい奴だった
地域にもよるだろうが、筆者の生活圏ではよく見かける「ほっともっと」のから揚弁当。あくまで普通に手に入る弁当を公式サイトで公開しているデータで調べてみたわけだ。意識してなかったけど、栄養バランス、よかったんだ。

ただ、ビタミンやミネラルなどの要素は除いて考えているので、もちろん栄養バランスが完璧というわけではない。また本来、バランスはいろいろなものを組み合わせて食べて考えるものだとも思う。

だがこの記事では「単品メニューのエネルギー比」というざっくり視点で考えて、他にも意外な優等生メニューを探してみたい。
メニュー表を栄養視点で見る
メニュー表を栄養視点で見る
では、同じくほっともっとでもう少し調べてみよう。から揚げ弁当と同じくらいの定番メニュー、のり弁当はどうだろうか。
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たんぱく質少な目、炭水化物多めという結果だった。確かにごはんの割合は多そうだし、フライの衣も影響していそうだ。

では、見るからにいろんな食材を少しずつ食べられそうなあの弁当はどうか。
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おお、見事に範囲内。それでも脂質の割合はから揚げ弁当より多いというのが意外ではある。

ファストフードにも優等生はいるのか

続いて調べてみるのはマクドナルド。個人的には栄養のことを気にして来たことはなかったが、公式サイトでは栄養成分も詳しく公開している。
実際のところ、栄養はどうなのか
実際のところ、栄養はどうなのか
私にとってはなんとなく食べたくなった時や休憩がてらに気軽に行くタイプの店だ。まずはベーシックなメニューから調べてみよう。
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結果としては、3つも範囲外。

ただ、それぞれの数値をよく見てみると、それほど大きく外れているわけではない。
予想よりバランスはみ出してない
予想よりバランスはみ出してない
結構惜しいもんなんだなと思わされた。たんぱく質が多めで炭水化物が低めというのも、いい意味で意外。

じゃあ野菜やチーズも入っていて、普通のハンバーガーより栄養ありそうに見えるあれはどうだ。
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同じく3つとも範囲外。ハンバーガーと比べて脂質の割合がガーンと高くなっている。突き抜け具合が大きいのだ。

ではマクドナルドのバーガー類に、範囲内に入るものはないのだろうか。メニューを見ていて、気になるものがあった。
なんだこれは
なんだこれは
それは「モグモグマック」なるもの。調べてみると、今年の5月に発売が開始された商品らしい。
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おっ、3つとも範囲内だ。マクドナルドにもエネルギー優等生は存在したのだ。

その実態は、えだまめ・にんじん・コーンを練りこんだチキンパティがサンドされたもの。
断面もよく見るとカラフル
断面もよく見るとカラフル
野菜嫌いの子供を意識して開発された商品であるらしい。自分は野菜嫌いでも子供でもないが食べてみる。……他の商品よりもあっさり目の味。がっつりと味が濃い印象があるハンバーガーとしては新鮮だ。

同じパスタでも結構な違いがある

続いてやってきたのはデニーズ。個人的にはザ・ファミレスというイメージの店だ。
個人的にはなじみのファミレス
個人的にはなじみのファミレス
全国にあるわけじゃないようでごめん
全国にあるわけじゃないようでごめん
こちらで注文してみるのはパスタ。2種類頼んでみたのだが、見た目でどちらの方がエネルギー比がよいか見当がつくだろうか。
セーフとアウトがあります
セーフとアウトがあります
ではまず、写真の左側の方から確かめてみる。
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緑の葉っぱやチーズが乗ったトマトソースのパスタはなんとなく栄養のバランスがよさそうに思っていたが、エネルギー比に関しては調べてみると3つともアウト。特に脂質の高さが気になる。

はみ出し幅も大きく、これ単品ではバランスがよいとは言いづらい。
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それに対してたらこソースのパスタは3つとも範囲内。直感ではたんぱく質が少なそうに見えたのだが、実際はそうではなかった。
ツヤツヤのトマトパスタ
ツヤツヤのトマトパスタ
マットなたらこパスタ
マットなたらこパスタ
よく見るとトマトパスタは質感がキラキラしている。とてもおいしそうに見えるのだが、この正体は油だろう。

たらこパスタは、茹で上がった麺そのままっぽい質感。こうした見た目の違いでも判断できることがありそうだ。

あいつが意外といい奴だったなんて

最後にやってきたのは吉野家。言わずと知れた牛丼のチェーン店だ。
栄養視点抜きで食べに来たくなる店
栄養視点抜きで食べに来たくなる店
栄養バランスを気にして来たことはなかったが、最近はそうした面にも配慮したメニューを出していると聞いたことがある。公式サイトにも各メニューの栄養成分が載っている。

確かめてみようと思うが、まずは定番のメニューの実態を探ろう。
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2つが外れているが、それほど大きな差ではない、といったところだろうか。個人的に抱いていたイメージ以上のバランスだと思った。

ところで、メニューの中で異彩を放っていたのがこちら。
なんとなく違和感あるな
なんとなく違和感あるな
野菜を取り入れたメニューだ。確かに体によさそうなイメージがある。

バランスがよさそうだと思ったのは野菜と牛丼の具を組み合わせた「ベジ牛」。栄養はどうだろうか。
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あれ、牛丼とあまり変わりがない。ならば、野菜だけの丼物はどうか。
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こちらはこれまでの中で最も振れ幅が大きな結果になった。そういうものなのか。

ただ、エネルギー比はともかく、カラフルな野菜をたくさん使っているのでビタミンや食物繊維は多く含まれていそう。他の食品との組み合わせや、1日全体の食事として調整すればいい話なのだとも思う。

では、吉野家には丼物単品でエネルギー比のよいものはないのか。意外なのがあった。
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鰻重が全て範囲内に入っているのは予想外だった。こんなにシンプルなメニューが、三大栄養素のバランスとしてはよいものだったのだ。
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モグモグマックは包装もかわいい
モグモグマックは包装もかわいい

身近なメニューで調べてみた、三大栄養素のバランス。意外なメニューがよかったりそうでもなかったりと、発見があった。

これまではから揚げ弁当を食べるときに「栄養バランス考えないで好きなもの食べちゃってるな」と思っていたのだが、そういう誤解はもうしないでいい。自信をもってモリモリ食べていきたいと思う。
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