フェティッシュの火曜日 2015年10月20日
 

夏休みの宿題で作った文房具図鑑がすごい

「たいへんよくできました」マークが輝く文房具図鑑。
「たいへんよくできました」マークが輝く文房具図鑑。
僕は、毎年8月末に『文房具のトークイベント』をやっている。
3時間ぐらい延々と文房具の最新事情とかばかり話す、かなりガチなやつである。
今年はそこに、小学生の男の子が参加してくれた。
実はその小学生の彼こそ、僕がいま文房具業界で最も会いたい人だったのだ。

彼の名は、山本健太郎くん。
夏休みの自由研究として『オール手書き、100ページの文房具図鑑』を作った少年である。
きだてたく きだてたく(きだてたく)
1973年京都生まれ。色物文具愛好家、文具ライター。小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の人間がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文具を自慢する」という結論に辿り着き、そのまま今に至る。
> 個人サイト イロブン Twitter:tech_k

小学生が夏休みの宿題で作った文房具本とは、なにか

その文房具図鑑については、まずFacebook上で情報が流れてきた。
・どうやら、夏休みの自由研究として文房具の本を作った小学生がいるらしい。
・その本は、100ページあるらしい。
・全ページ手書きで、文房具のイラストなどがびっしり入っているらしい。
・取り上げている文房具はほとんどが実際に使って「いい・悪い」を判断してレビューしているらしい。
世界に3冊しかない、貴重な文房具図鑑のコピーだ。
世界に3冊しかない、貴重な文房具図鑑のコピーだ。
そんな話を聞いたら、その本、絶対に読んでみたいじゃないか。
で、「読みたい読みたい。あと、彼に会いたい」とあちこちで言い続けていたら、それを聞きつけた健太郎くん本人が文具図鑑のコピー(原本は学校に提出するから)を持参でイベントに来てくれた、というわけである。

これが、文房具図鑑の中身だ

まずはその文具本がどのようなものなのか、ご覧いただこう。
ペンやカッター、修正テープが混在する文房具空間。濃い。
ペンやカッター、修正テープが混在する文房具空間。濃い。
もう、本文ページ最初からこれである。
ぎっちぎちの密度で描かれた文房具のイラスト。説明のボリューム。ひとつひとつがおそろしく濃厚なのだ。
あまりの濃さに、ページを開いた瞬間に「うおっ」と叫んでしまった。
ほぼ原寸大で描かれたボールペン。よく描けてるぞ。
ほぼ原寸大で描かれたボールペン。よく描けてるぞ。
しかもこの文房具のイラストが、大人の文房具マニアから見ても本当によく描けてる。

例えば上のアクロボールとエナージェルのイラスト、横に実物のペンを置くと、ちゃんとポイント掴んで描けていることが分かるだろう。
グリップも、アクロボールはタイヤのトレッドパターンのようなギザギザで、エナージェルは滑らかな波形。
うん、よし。健太郎くんは正しい。

掲載されている文房具がすべてこのレベルできちんと描き込まれているのだ。
テープのりも、ケースとカートリッジがちゃんと別体になっているのが分かる。
テープのりも、ケースとカートリッジがちゃんと別体になっているのが分かる。
ボールPentel、ペン先端の空気穴までちゃんと描けてる。いいぞ、正しいぞ。
ボールPentel、ペン先端の空気穴までちゃんと描けてる。いいぞ、正しいぞ。
プラマンのペン先も、ホルダーと芯のサンド構造で描いてる。よし。
プラマンのペン先も、ホルダーと芯のサンド構造で描いてる。よし。
さらに、ペンならそれぞれの描線、消しゴムなら消し跡など、実際に使っての様子が見て取れるようになっている。
すごく図鑑っぽくて、いい。
実際の消しゴム消し跡と、消しカス(テープで貼り付けてある)
実際の消しゴム消し跡と、消しカス(テープで貼り付けてある)
あと、誌面のあちこちに謎の絵が入り込んでるのが、非常に男子小学生っぽい。
これもそういう意味では(小学生男子の制作物として)正しい。
謎のおっさんによる「早書きには向きません」という旨のコメント。
謎のおっさんによる「早書きには向きません」という旨のコメント。
いろんなペンや鉛筆で描かれた、ふつうの人。何者だ。
いろんなペンや鉛筆で描かれた、ふつうの人。何者だ。
いろんな筆記具を線一本ごとに使い分けて描いた謎の人物絵も、男子小学生的だ。
発色やインクにじみなどが見て取れるので、筆記具見本としてはちゃんと実用的になっているのが面白い。

読みどころ多いぞ、文房具図鑑

文房具の紹介だけでなく、それ以外のコンテンツもある。
現在の鉛筆が完成するまでのヒストリーをコミカライズ。
現在の鉛筆が完成するまでのヒストリーをコミカライズ。
たとえば、P85からP90までは、黒鉛の発見から、黒鉛の粉末を粘土と焼き固めた現在の鉛筆芯ができるまでの歴史が漫画になっている。

ドイツ人のカスパー・ファーバー(ファーバーカステル社の創始者。1790年頃に鉛筆の基礎を作った)と、フランス人のニコラス・コンテ(1795年に鉛筆芯の製法を完成させた)が一緒に鉛筆芯の研究をしている、という若干時間と空間が入り交じった描写になっているのが漫画っぽくて面白い。
内容もだけど、自由な文字の流れも面白い。
内容もだけど、自由な文字の流れも面白い。
手描きでロゴを描いた、文房具メーカーの紹介記事もある。
「トンボ鉛筆:(略)〜ボールペンなどはたいしてかきごこちはよくない。しかし、ケシゴム、鉛筆、のりの三つはオススメだ」など、内容が健太郎くんの主観バリバリで、面白い。
WEBや雑誌の情報をコピペしたものじゃなく、実際にこれだけ文房具を使いまくった上での意見なので、読み応えがある。
巻末の価格表示。消費税だけで2400億円。
巻末の価格表示。消費税だけで2400億円。
さすがにこれだけ情報が詰まった本だけあって、巻末の価格表示もすごいものになっていた。


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