特集 2015年10月29日

マズローの欲求5段階説のコスプレでハロウィンに備える

マズローの欲求5段階説になりました
マズローの欲求5段階説になりました
きたる10月31日はハロウィンである。

いろいろな仮装をして盛り上がるというイベントとして、去年おととしあたりから日本社会に定着してきた。

僕もその波に乗りたいが、普通にコスプレをするのはちょっとはずかしい。…でもやっぱりやりたい!

そうだ、マズローの欲求5段階説のコスプレはどうだろうか。やや唐突だがいいものができたので紹介したい。
1986年埼玉生まれ、埼玉育ち。大学ではコミュニケーション論を学ぶ。しかし社会に出るためのコミュニケーション力は養えず悲しむ。インドに行ったことがある。NHKのドラマに出たことがある(エキストラで)。(動画インタビュー)

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発端は地味な仮装のハロウィンパーティー

きっかけは10月31日に行われる「地味な仮装のハロウィンパーティー」であった。今年は段ボールを使った仮装も推奨された。

段ボールを使った仮装か……。
なにがいいかな……
なにがいいかな……
考えていたときにふと頭に浮かんだのが「マズローの欲求5段階説(の図)」であった。

ハロウィンの仮装は「恐ろしい」と思われているものが選ばれるそうだ。欲求もある意味では恐ろしいものである。

マズローの欲求5段階説とは

マズローの欲求5段階説が何かについて軽く触れておこう。

心理学や自己啓発、マーケティングあたりに興味がある人は知っているかもしれない。アメリカの心理学者のマズローが、人間の欲求を5段階の階層に分けてモデル化したやつだ。

ピラミッドの頂点は自己実現の欲求になっている。 意識が高い人が目指しているアレである。
マズローの欲求5段階説の図!
マズローの欲求5段階説の図!
この仮説は実証されていないという批判があったりするが、それはさておき「知ってる人は知っている有名な概念図」として理解してほしい。

実証されていないからといってコスプレをしちゃいけないわけじゃない。ゾンビもドラキュラも実証されていないだろう。(何に対しての言い訳なのか。)

簡単に自己実現できます

というわけで出来上がったのがこちらです。
マズロー!
マズロー!
全体は段ボールでできている。高さは120cm。わりと大きな仕上がりになっている。

欲求の段階はこれでもかというくらいはっきりとした文字で示している。
下から生理的欲求、安全欲求、社会的欲求、尊厳欲求
下から生理的欲求、安全欲求、社会的欲求、尊厳欲求
そして自己実現欲求
そして自己実現欲求
ご覧のように頂点の「自己実現欲求」の部分には文字がなく、僕自身が自己実現されているというがこのコスプレのポイントである。

この衣装を着るだけで誰でもあこがれの自己実現できてしまうのだ。(自己実現のところから顔が出てるからすなわち自分が自己実現している、という理屈です。)

自己実現できたおかげか、表情も満足気だ。
一発ギャグ、「自己実現」!
一発ギャグ、「自己実現」!
実際は三角形のてっぺんには文字を貼り付けるだけのスペースがなかっただけなのだが、かしこげな意味がでてしまった。

簡単なように見えて丸1日以上かかった大作である。できあがった時点で嬉しくなってしまいTwitterに投稿したところ、ややウケた。
!
コスプレを通じて自己実現に近づいたかっこうである。
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つくり方

自己実現をおすそ分けするために、簡単に作り方を紹介しよう。

ある程度大きいコスプレにしたかったので、高さは120cmにした。ホームセンターに120×90cmの段ボールが売られているのでそれを2枚使うと出来上がる。
正三角形なので高さが120cmだと一辺は138.6cmである。
正三角形なので高さが120cmだと一辺は138.6cmである。
二度と使うことがないかと思っていた三角関数を欲求をあらわすコスプレのために使った。高校卒業してよかった。

そこに工作用紙を貼り付けてピラミッドのように色分けをしていく。
色使いが独特なのは、売られていた工作用紙にそのまま影響されただけである。
色使いが独特なのは、売られていた工作用紙にそのまま影響されただけである。
一番の難所は文字だった。カッターとデザインナイフを駆使しながら、スチレンボードから一文字ずつ切り出していく。

レーザーカッターさえあれば…レーザーカッターさえあれば……、と思いながら作業。
とはいえこういう作業には没頭してしまうタイプ
とはいえこういう作業には没頭してしまうタイプ
あまり苦痛に感じることなく長時間の作業をこなした。
あまり苦痛に感じることなく長時間の作業をこなした。
面倒だなあと感じつつも意外と楽しかったようで、体感的には時間はあっという間に過ぎていった。

ほかにやった方がいい仕事も残っていたのだが、すべて後回しである。
欲求が積み重なっていく。
欲求が積み重なっていく。

かたやクビ、かたやややウケ

この作業をしていて思い出すのは数年前試用期間でクビになった会社のことである。頭に浮かぶのは、ある日僕に命じられた会社の看板作りである。

アクリル板にカッティングシートを貼り文字を切り抜くという作業をやっていた。1週間くらいやっていただろうか。もちろん、その作業も今回と同じくらい没頭していたと思う。
あのときと同じだな……
あのときと同じだな……
その後いろいろあり、仕事は試用期間でクビに。(くわしくはこちら。)
偉い人からは「看板作るのがんばってたけど、君にはもっとやるべきことがあったでしょう」と言われた。やれって言われたからやったのになあ。

まったく同じような仕事をしていても、かたや失職、かたやTwitterで人気者である。
出来上がった
出来上がった
5時間くらいしてようやく切り終えた。

これらの文字をを先ほどのピラミッドに貼り付ける。
「欲求」を「階層」に貼り付けるという極めて抽象度の高い作業です
「欲求」を「階層」に貼り付けるという極めて抽象度の高い作業です
工場の「5つの事故に気をつけて今日もがんばろう」的な看板みたいになった
工場の「5つの事故に気をつけて今日もがんばろう」的な看板みたいになった
「自己実現」の段階に顔ハメ用の穴をあけ、背中面と肩掛けを貼り付けたら完成だ。
一番取れやすい文字は尊厳の「尊」。
一番取れやすい文字は尊厳の「尊」。
会社のフリースペースが意味過剰なった
会社のフリースペースが意味過剰なった
次のページはこれを着て少し外を歩きまわって人気ものになる様子を紹介しよう。
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欲求、外に出る

せっかくできたので、お披露目の意味も込めてちょっと外に出てみたい。
外に飛び出した欲求5段階
外に飛び出した欲求5段階
信号は青で渡ろう。それが安全への欲求なのだから。
信号は青で渡ろう。それが安全への欲求なのだから。
都心のマンションに住みたいというのは安全欲求だろうか、それとも尊厳欲求だろうか。
都心のマンションに住みたいというのは安全欲求だろうか、それとも尊厳欲求だろうか。
青信号で横断歩道を渡る、マンションの広告を見る。
一つ一つの行動が欲求のあらわれであることを感じる。すこし恥ずかしい。

公園の方に行ってみよう。
公園に来た
公園に来た
このままでは水は出せるけど飲めないようだ(生理的欲求)
このままでは水は出せるけど飲めないようだ(生理的欲求)
トイレは使用中(生理的欲求)
トイレは使用中(生理的欲求)
このかっこうでトイレを待っていたら生理的欲求がまるだしだ。

人も多く居づらいので公園からは撤退することに。
車に轢かれないように歩道の内側を歩く。(安全欲求)
車に轢かれないように歩道の内側を歩く。(安全欲求)
仲間を見つけた(グループに所属したいという社会的欲求)
仲間を見つけた(グループに所属したいという社会的欲求)
ちょうどハロウィンの集まりがあったのか、仮装をした子供に囲まれた。紆余曲折があるには違いないが、仮装仲間のはずである。
ハロウィンの仮装だから仲間だよ(社会的欲求)
ハロウィンの仮装だから仲間だよ(社会的欲求)
マズローの欲求5段階説コスを見てどう思うか聞いたら「へん!」と言ってみんな立ち去っていった。

去り際に捨て台詞のように「トリック・オア・トリート!」と言われた。自分の見た目的にはもうトリックにかかっている。
別の小学生にも声をかけられた
別の小学生にも声をかけられた
別の男子小学生グループにも遭遇した。

また感想を聞くと、一人の男児が「すげえかっこいいっす! あなた、福士蒼汰に似てますね! まじ福士蒼汰!」と、僕の目を一切見ずに言っていた。
仮に福士蒼汰に似てたらこんな格好してるわけ無いだろ。

「福士蒼汰に似ている」という発言でも、言い方によっては人の心を傷つけることができることを知った。子供たちから学ぶことは多い。
「かっこいいからツイッターにあげよう!」と写真を撮られた
「かっこいいからツイッターにあげよう!」と写真を撮られた
小学生から人気なのはもうわかったので、そろそろ引き上げよう。あとはハロウィン本番を待つのみだ。

最後に、お地蔵様があったのでお願いをすることにした。
ガランガラン
ガランガラン
みんなの欲求が満たされますように。
みんなの欲求が満たされますように。

概念コスプレが来る!

こうしてやってみると概念図のコスプレも意外とイケるではないか。きっと他にもいろいろアレンジが効くだろう。


やるとしたらさしあたって「PDCA」のコスプレがいいのではないかなと思っている。Plan、Do、Check、Actの4人組でぐるぐる回るのだ。

実際のPDCAは実行がたいへんだが、コスプレだと楽しそうだ。
上着の仲間だと思ってコートをかけるスペースに保管している。
上着の仲間だと思ってコートをかけるスペースに保管している。
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