金沢区の公園にプリンがあるらしい。近所の方々からはプリン公園とよばれているらしい。
…公園にプリン?
プリンといわれてイメージするのはやはりこのプリン?
プリンは甘いし美味しいし見た目もなんだかかわいい。サンリオのキャラクターのモデルになるくらいだ。それが巨大化して公園にあったら人気の的にちがいない。
でも、どうして公園にプリンなんだろうか。近所の方はどう思っているのだろう。
考えていたらキニナってきたので、さっそく取材してみることにした。
投稿のプリンを確認しに現地へ
今回のキニナル投稿にあった金沢区並木の「プリン公園」は、シーサイドライン並木中央駅が最寄りの駅となる。プリン山を求めて駅に降り立つ。
改札はひとつなので分かりやすい
改札を背にして左手側の階段を下り、道路をわたって右側へ進むと川が見えてくる。ここを左へ。住宅街といった感じの、のどかで綺麗な町だ。
並木橋を渡らず、川に面した遊歩道へ進む
まっすぐ進んでいくと、右側に公園らしきものが見えてくる
そして突然、巨大なプリンのようなものを発見!
川をはさんで反対側から見ても一目でプリンだと分かる。大きい。予想していたものよりもはるかに大きい。
公園の主役は大きなプリンのようだ
公園の名前は「潮通り公園」
公園全景の写真はこちら
プリン山全景。プルプルしそうだ
頂上にいるお子さんと比べると、その巨大さが伝わるのではないだろうか。
なめらかなプリンの形と、カラメル部分の焦げ茶色、カスタードの黄色、真っ白いお皿まで再現されている。
筆者もプリン山登山にチャレンジしようと思ったが、子どもたちがすごい勢いで駆け上って滑り降りる中、プリン山の表面が予想以上にツルツルしていて運動不足の筆者にはとてもじゃないが登頂できなかった。
裸足でプリンに挑む子どもたち
こういったプリンの形の滑り台の中には頂上に昇るための階段や足場がつけられていることもあるが、潮通り公園のプリンはそういった物が無く、全体的にツルっとしていた。
子どもたちに大人気のプリン山は予想以上にプリンだった。
ではなぜこんなにもプリンぽいカラーリングに決定したのかが、やはりキニナル。
真相に迫るべく、管理している金沢土木事務所に聞いてみることにした。
プリンの真相に迫る!
金沢区にあるプリン公園こと「潮通り公園」を管理されている横浜市金沢区金沢土木事務所へと問い合わせさせていただくと、メールにて回答をいただくことができた。
1982(昭和57)年に開園された潮通り公園は、施設の老朽化に伴い改修工事を行う際、地元からも「ぜひプリン型の滑り台を残してほしい」という意見があった。
そのため、当時の公園の改修方法を検討していた土木事務所の担当者と設計コンサルタントの方で相談してよりプリンらしくすることを地元に提案し、2014(平成26)年1月ごろにひびの入った表面のセメントを削り、色のついたセメントを塗りなおして磨き直したという。
形はそのままだが、白い山だった(写真提供:金沢土木事務所)
改修前の滑り台はプリンにも見えるが、この状態だと富士山のようにも見える。
そして2014(平成26)年1月の改修工事によって、この白い山がプリンへと変身した。サイズは直径9.5メートル、高さ約1.9メートルというもの。
改修の際、市内に同じ形の滑り台がないか参考にするため探したが、残念ながら調査段階ではプリンの形をしたものは見つからなかったそうだ。
そもそも、なぜプリン型のすべり台にしたのかと伺うと、当時の書類はすでに残っていないため詳細は分からなかったが、潮通り公園の開園当初から滑り台はあり、富士山型滑り台として台帳には登録されているという。
色のついたセメント表面を磨き上げている様子(写真提供:金沢土木事務所)
よく見ると、頂上がうっすらとカラメルのような状態だ。
これを磨き上げ、2014(平成26)年1月にプリン山が完成した。
改修後はどこから見てもプリン!(写真提供:金沢土木事務所)
光を受けてちょっとツヤっとしているところは、本物のプリンのようだ。子どもたちが乗っているところがブルブルしていても不思議ではない。下に敷かれたお皿部分もプリンらしさをより強調しているように見える。
担当者によると、おいしそうなプリンの色になったことについて、地元の方々からは「地域の方たちからはプリンの色になって楽しい。昔からある遊具なのでプリンの形のすべり台が残ってよかったと聞いています」と声が上がっているという。プリンの色になったことは好評のようだ。
ちなみに、プリンカラーに色塗りする際、参考にしたプリンは何かあるかと伺ったところ「一般的なプリンのイメージを基に塗装いたしました」とのことだった。
沖縄県那覇市天久「天久プリン山公園」(写真提供:ウェブPAPER)
横浜市外で、プリン山がある公園があるかインターネットで調べたところ、墨田区や沖縄県那覇市など全国的にいくつかプリン山がある公園があった。
その中でも公園の名前にプリンが入った沖縄県那覇市の「天久(あめく)プリン山公園」を管理する那覇市役所公園管理課の方にお話をうかがうことができた。
プリン公園の名物(写真提供:ウェブPAPER)
天久プリン山公園のプリン山は、はじめは土で作られた山で、周りに芝が貼られているような状態だった。それを近所の子どもたちが「プリン山」と呼んでいたので、リューアル工事の際に「プリン山」に再現したそうだ。
地元の方の感想は?
再度、現地を訪れ、遊びに来ていた人たちに話を伺った。
家族連れで遊びに来ていた近所の団地にお住まいのママさんにお話を伺うことができた。
プリン山について伺ったところ「形は変わってないですが、昔からありますよ。プリンも、お皿部分も。改修前から子どもたちはプリン山って呼んでいました」とママさん。
やはり改修前からプリン山はプリンの形をしていたようだ。
また「改修前は表面がすごくザラザラしていて、2回くらい滑るとズボンのお尻がおろし金でおろしたみたいになって、穴が開いちゃったりしたんです」とママさん。
改修後は表面も綺麗に塗装されて磨かれたためズボンのお尻にダメージを受けることはなくなったというが、今度はスベスベしすぎていて逆に昇りにくくなってしまったのだという。
ツルツルの表面になった現在のプリン山
プリン山のまわりには子どもたちが靴を脱いでいた
そのお話を聞いてからもう一度プリン山の表面をなでまわしてみたが、スベスベに磨き上げられていて靴を履いたまま登り切るためにはかなりの勢いが必要になりそうだ。
ちなみに「色をどんなふうに塗りたいか」というアンケートのようなものはとくになかったようだ。
お子さんを連れてプリン山で遊んでいたパパさんにもお話を伺ったが、子どもたちはプリン山をとても気に入っているとのことだった。
巨大なプリンを夢中で昇る子どもたち
金沢土木事務所公園愛護会担当発行『金沢区公園愛護会便り』2013(平成25)年12月20日 No.35の編集後記の中でプリン山についての記載があった。
「並木で育った子どもなら、みんな「プリン公園」で場所がわかるのです。今回のリニューアル工事の打ち合わせでは、地元も土木事務所も全員一致でこのプリンを残すことに決定したそうです。色を塗って新しく、また美味しそうなプリンとなるようです。ここで育つ子は、みんなこの思い出のプリンを忘れないことでしょう」と書かれていた。
取材を終えて
今回の記事のために全国各地にあるプリン山を調べたが、並木の潮通り公園のプリン山は全国でも1位・2位を争うほどプリンらしいプリン山なのではないだろうか。
実際に目の当たりにしてみると、そこだけお菓子のテーマパークにいるような気分にもなる。インパクトも絶大だった。公園の主役としてドーンと鎮座するプリンそっくりのプリン山。子どもたちにとってはまさに夢のような存在なのかもしれない。
―終わり―