特集 2015年11月13日

屋根のない博物館に行く

屋根のありがたみを感じてください!
屋根のありがたみを感じてください!
屋根というものがある。雨の日もある、雪の日もある、そんな日に我々を守ってくれるのが、屋根だ。屋根のありがたみを常々感じて欲しいのだ。

しかし、世の中には屋根のない場所もある。そして、そんな場所で歴史的なものが展示してあったりするのだ。ということで、屋根のない博物館に行ってみようと思う。
1985年福岡生まれ。思い立ったが吉日で行動しています。地味なファッションと言われることが多いので、派手なメガネを買おうと思っています。(動画インタビュー)

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> 個人サイト Web独り者 彼女がいる風の地主恵亮

屋根よ、ありがとう!

本来は外にあるものでも、やがて屋根がつくことがある。岩手にある中尊寺金色堂も以前は金がむき出しだったけれど、やがて覆堂ができた。それはなぜか、屋根がいろいろなものから守ってくれるからだ。
縄文時代から屋根は必要とされていた!
縄文時代から屋根は必要とされていた!
しかし、福岡県中間市には「屋根のない博物館」というものが存在する。多くの人が愛してやまない屋根がないのだ。家を建てる時に屋根をつけない、という選択肢はない。しかし、中間市には屋根のない博物館があるのだ。
ということで、中間駅にやってきました!
ということで、中間駅にやってきました!

雨が降っている

文字通りの屋根がない博物館を訪れるべく、中間駅にやってきた。あいにくの雨である。屋根が欲しいと強く思う瞬間だ。本来なら室内だから大丈夫、となる博物館だけれど、ここには屋根がないのだ。
駅前の地図にも書いてあります
駅前の地図にも書いてあります
そして、到着!
そして、到着!
駅からすぐの場所にあるので、問題なく到着した。そして、屋根のない博物館はその名の通り屋根がなかった。ここに何が展示されているかというと、世界各地の代表的な石像のレプリカである。
たくさん並んでいる!
たくさん並んでいる!
次々に石像!
次々に石像!
この施設は平成元年に作られたそうだ。バブルの頃だ。景気がよかったのだろう。このような石像30体も見ることができる。もちろん屋根はなく、傘をさしての鑑賞となった。子供だったらグレるかもしれない。でも、大人の私は「これが!」と見てしまう。
小さい
小さい
説明の看板には本物の大きさが書いてある。それがコンパクトになって、ここに並んでいるのだ。モアイ像や、モヘンジョダロの神官王、オーセールの婦人像など、本物を見に行こうと思えば海外に行かねばならない。でも、中間で見ることができるのだ。
一緒に写真も撮れる
一緒に写真も撮れる
モアイの向こうに普通の家が見えるのもいい!
モアイの向こうに普通の家が見えるのもいい!
だんだんと楽しくなってくるから不思議だ。老朽化も激しくなく、わざわざ見に行くこともないけれど、近所にあるにはいいように感じた。そして、屋根の重要性を感じる。世の中には屋根のない、キャビアかと思いきや、とんぶりだった、みたいなものが多々あるのだ。
ということで、「ししぶ駅」にきました!
ということで、「ししぶ駅」にきました!

屋根がない史跡

中間市から同じく福岡の古賀市に移動した。ここには「みあけ史跡公園」というものがある。公園なので、屋根はもちろんないけれど、6世紀中頃から7世紀初頭までは大型の建物群があった場所だ。それが再現されている、杭で。
周りはこれから住宅街になっていくと思う
周りはこれから住宅街になっていくと思う
そして、こちらが「みあけ史跡公園」
そして、こちらが「みあけ史跡公園」
建物ではなく、支柱だけを再現した史跡公園だ。当時はここに家があり、当然「屋根」があった。でも、今はないのだ。支柱だけなのだ。支柱を見て、ここに建物があったんだな、と思わなければならないのだ。
本当はこんな家があったけれど、
本当はこんな家があったけれど、
今は支柱だけ
今は支柱だけ
本当に素晴らしいと思う。私は古賀市が大好きなのだ。東京以外でどこかに住め、と言われれば「古賀市」を選ぶ。以前、ここに住んでいて、海が近く、大きな公園があり、緑が多くと楽しいことばかりだった。
支柱もたくさんある!
支柱もたくさんある!
屋根というか、建物すらいらないという判断。支柱だけでいいと。これだけ支柱だらけだと、もはや意味が分からなくて楽しくなる。こういうセンスが好きだ。石碑的なものではなく、一歩踏み込んだ感じ。古賀に住みたいと思う。
「焦がし」というのを展開している!
「焦がし」というのを展開している!

防塁を見る

鎌倉時代中期にモンゴルが日本に襲来したことがあった。「元寇」である。結果はご存知のように失敗に終わったのだけれど、日本はその襲来に備え「防塁」を築いていた。防塁は福岡市西区今津から福岡市東区香椎までの約20kmに及ぶ。
ということで、下山門駅にきました!
ということで、下山門駅にきました!
ここに防塁があります!
ここに防塁があります!
約20kmの防塁は現在、埋め立てなどの影響でほとんど残っていない。しかし、である。少しは残っているのだ。屋根のない場所で保存されており、誰でもいつでも見ることができる。
下山門駅から歩き、
下山門駅から歩き、
防風林を抜けると、
防風林を抜けると、
海に出る
海に出る
防塁は近い
防塁は近い
福岡の数カ所で今も防塁を見ることができる。今回向かっているのは「生の松原元寇防塁」である。駅から10分程度だ。海に出るとすれ違う人もいない。遠くにホームセンターが見える。当時、そこにホームセンターがあれば楽に防塁を作ることができたと思う。
防塁に到着しました!
防塁に到着しました!
屋根のないこの素晴らしさ!
屋根のないこの素晴らしさ!
20kmにも及ぶ防塁はわずか半年で完成したそうだ。今回の防塁は昭和43年に発掘調査され、その後保存処理が行われ、露出展示されているそうだ。「露出展示」、いい言葉だ。屋根などいらない、露出したいんだ、という心意気。だいたんと言ってもいいかもしれない。それがいいのだ。
本当に素晴らしいと思います!
本当に素晴らしいと思います!

屋根のない場所の素晴らしさ

もちろん多々例外はあるが、屋根がないと入りやすい気がする。フラッとよれる雰囲気があるのだ。今回紹介した3つは屋根もなければ、壁もない。誰でも来いよ、というメッセージなのではないだろうか。そんなことを考えながら、雨の日は屋根欲しいな、と思っていた。
これは古賀市の「焦がし」の一つ!
これは古賀市の「焦がし」の一つ!
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