特集 2015年11月19日

地元の人頼りの旅 in 和歌山県九度山

イケメン陶芸家がつくった巨大な陶像と
イケメン陶芸家がつくった巨大な陶像と
ガイドブックに頼るよりも、地元の人におすすめを聞きながらまちを周るほうが断然ワクワクする。

地元の人が好きな風景、たべもの、ちょっと変わったもの。そういうのを見てまわって旅したい。

今回は、来年大河ドラマでフューチャーされる武将「真田幸村」が14年間すごしたまち、和歌山県の九度山(くどやま)にやってきた。
東京葛飾生まれ。江戸っ子ぽいとよく言われますが、新潟と茨城のハーフです。
好きなものは犬と酸っぱいもの全般。そこらへんの人にすぐに話しかけてしまう癖がある。上野・浅草が庭。(動画インタビュー)

前の記事:こういう場所だったのか!日帰り温泉めぐりで熱海を知る

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幸村の第二の故郷、九度山

2016年の大河ドラマは、戦国武将の真田幸村が取り上げられる。幸村といえば、生まれの地でもあり、活躍を見せた長野県上田というまちが有名だ。

一方、今回訪れた九度山は、関ヶ原の戦いに敗れた幸村が父・昌幸とおとなしく蟄居(謹慎)したまちである。
九度山駅。来年の大河に備えて工事中だった。
九度山駅。来年の大河に備えて工事中だった。
戦いに敗れた武将が謹慎していたまち、と言ってしまうと寂しい印象だ。しかし幸村の波乱の生涯の中で、家族たちと一緒に穏やかに暮らせた14年間はとても貴重であったに違いない。

いったいどんなまちなのだろう。
駅から徒歩7分ほどの市役所に来た。ここで自転車を借りられるのだ。
駅から徒歩7分ほどの市役所に来た。ここで自転車を借りられるのだ。

新品の自転車をゲット

役所では今年の9月から自転車のレンタル(1日500円)を始めたそうだ。これも大河ドラマのお陰だろう。新品というのは嬉しい。しかも3段ギアつきだ。
幸村の息子の名前をとった「大助号」。3号めなので先客がふたりいるぽい
幸村の息子の名前をとった「大助号」。3号めなので先客がふたりいるぽい
もう10月の頭だが、役所の方は「こんなにレンタルされるの初めて」と喜んでいた。貸し出しの手順もまだ不慣れな様子である。大河ドラマ効果はまだこれからのようだ。

ついでにオススメの場所をいくつか聞いた。
週末なのでラフな格好の役所の方たち。お散歩マップをもらい、オススメを聞いた。
週末なのでラフな格好の役所の方たち。お散歩マップをもらい、オススメを聞いた。
「真田のみち」という通りを抜けて向かう。昔ながらの商店が静かに並ぶ。
「真田のみち」という通りを抜けて向かう。昔ながらの商店が静かに並ぶ。
まちのあちこちで鎧の飾りがかかっている。風に揺れて可愛い。
まちのあちこちで鎧の飾りがかかっている。風に揺れて可愛い。

おすすめスポット1:「真田いこい茶屋」の名物おばちゃん

まず初めに向かったのは、いきなりだが休憩処である。

ここには話好きな名物おばちゃんがいて、まちの詳しい情報が得られるそうなのだ。私が店に入るなりどこから来たの、お茶飲む? と笑顔で話しかけてくれた。
軽食をとったり、真田グッズや、名産である柿をつかった商品などを買うことができる。
軽食をとったり、真田グッズや、名産である柿をつかった商品などを買うことができる。
なんでもこの茶屋は、地元のおばちゃん達がボランティアで運営しているそうだ。団体予約をすれば、九度山ならではのお弁当もおばちゃんたちが早起きして作ってくれるそう。
手づくりしてくれるお弁当の一つ「おっぱい弁当」。乳がん平癒祈願で有名なお寺「慈尊院」の絵馬をモチーフにしている。ご飯に梅干し乗せるだけでおっぱいになるのかと感心した。
手づくりしてくれるお弁当の一つ「おっぱい弁当」。乳がん平癒祈願で有名なお寺「慈尊院」の絵馬をモチーフにしている。ご飯に梅干し乗せるだけでおっぱいになるのかと感心した。
まちのあちこちで見かけた兜の飾りも、おばちゃん達が作ったものだった。耐水性だ。
まちのあちこちで見かけた兜の飾りも、おばちゃん達が作ったものだった。耐水性だ。
おばちゃんは噂通りお話好きだった。私がオススメの場所を聞く前に、色んな場所をススメてくれた。
レンタル自転車を見て驚くおばちゃん。初めて見たそうだ。
レンタル自転車を見て驚くおばちゃん。初めて見たそうだ。
次の場所へ。それにしてもすごくワクワクする町並みだ。なんだろうこれ。
次の場所へ。それにしてもすごくワクワクする町並みだ。なんだろうこれ。
四方に山が見えるのと、良い坂道が多いからかな。
四方に山が見えるのと、良い坂道が多いからかな。

おすすめスポット2:イケメン陶芸家がつくった米金の像

次に向かったのは、役所のお姉さんが教えてくれた像である。
1916年ごろ作。ちょうど100年前か。陶像にしては大きい2メートル。
1916年ごろ作。ちょうど100年前か。陶像にしては大きい2メートル。
作者の「井端壮平」さんがイケメンだ。
作者の「井端壮平」さんがイケメンだ。
むかし、この辺りは良い土に恵まれていたそうで、陶芸家の井端さんは後援者の協力を得て窯を築き、たくさんの作品を残したそうだ。ワイルドな風貌なだけあって思い切った作品である。
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おすすめスポット3:松山常次郎記念館

次に向かったのは、いこい茶屋のおばちゃんにススメられた場所。九度山出身の政治家・松山常次郎さんに関する遺品や資料が展示されている。

また、彼の娘さんが有名な日本画家・平山郁夫さんの奥さんであるという縁で絵も飾られていた。
中は撮影できないがちょっと寄ってみよう。
中は撮影できないがちょっと寄ってみよう。
生家を再現した館内。ソファに座っても良いものか迷っていると、受付をしてくれた女性がお茶を出しに来てくれた。

聞くと、旦那さんが常次郎さんの親戚にあたるらしい。さらにさらに、先祖の亀右ヱ門さんという方は、先ほどのイケメン陶芸家に出資したその人であり、家に作品がたくさんあるという。
というわけで作品を見にお家へ。こちらのお母さんも話好きみたいだ。話に夢中になってこのあと側溝にはまっていた。
というわけで作品を見にお家へ。こちらのお母さんも話好きみたいだ。話に夢中になってこのあと側溝にはまっていた。
「ちょうど昼ごはんで家に帰る時間だから」と言って、庭にあるという壮平さんの作品を特別に見せてもらうことになった。お誘いが無ければ通らないような、狭い坂道をさらに登っていった。
途中、紀の川が見えるいい眺め。「川の向こう側から見る景色もいいのよ」と教えてくれた。
途中、紀の川が見えるいい眺め。「川の向こう側から見る景色もいいのよ」と教えてくれた。
お庭で作品を見せてもらった。虎である。足元には子どももいて凄く可愛い。
お庭で作品を見せてもらった。虎である。足元には子どももいて凄く可愛い。

おすすめスポット4:庭にある虎の像

米金で見た像より小さいが、勇ましさと愛らしい表情がとても良い。ぜひ一般公開して欲しい所だがその考えはないそうだ。ちなみに動かせないくらいの重さだった。

こちらのお母さんも私が聞く前にオススメのスポットを教えてくれた。
今度は下る。こういった狭い坂道が多くて、東京の神楽坂を思い起こさせる。
今度は下る。こういった狭い坂道が多くて、東京の神楽坂を思い起こさせる。
やってきたのはそば処「幸村庵」。団体客がけっこう入っていく。
やってきたのはそば処「幸村庵」。団体客がけっこう入っていく。

おすすめスポット5:柿の葉寿司も食べられる蕎麦処「幸村庵」

役所の方と、像を見せてくれたお母さんオススメの蕎麦屋さん。幸村つながりの姉妹都市であり蕎麦の本場・長野県上田で修行してきた職人さんが打っているお店らしい。

開店して5年と割と新しいが、とても評判が良いそうだ。席に座ると、お茶と一緒に蕎麦を揚げたものを出してくれた。ポリポリかじりながら待つ。
お蕎麦と、柿の葉寿司を頼んだ。合わせて1000円。
お蕎麦と、柿の葉寿司を頼んだ。合わせて1000円。
蕎麦もうまい。柿の葉寿司もうまい。
蕎麦もうまい。柿の葉寿司もうまい。
細めの麺をズズッと一気にすすった。ツルツルさっぱり、とても美味しい。すすった後、顔をあげた先にある庭がより綺麗に見える程だ。

そしてこの柿の葉寿司が凄いのだ。すぐ近くにある柿の葉寿司屋「九和楽」から取り寄せていて、これがまた、他県からわざわざ買いに来る人がいるほど人気の店。後で買って帰ろうと思ったが、今日はもう売り切れだった。
幸村庵のまん前にある「真田庵」へ。
幸村庵のまん前にある「真田庵」へ。

おすすめスポット6:瓦がキュートな「真田庵」

お次は真田親子が蟄居していた場所である。今はお寺が建っていて当時の様子は分からないが、中に供養碑が建てられていたり、門扉や瓦に幸村の旗印「六文銭」や家紋が彫られている。
真田昌幸(父)の墓と幸村の供養碑がある。
真田昌幸(父)の墓と幸村の供養碑がある。
注目は瓦。最初に入った門の宇瓦(平たい部分)はよく見ると「新」と彫られている。
注目は瓦。最初に入った門の宇瓦(平たい部分)はよく見ると「新」と彫られている。
もう一つの門の宇瓦。ペンギンみたいなのがいて凄く可愛いのだ。キャラグッズ欲しい。
もう一つの門の宇瓦。ペンギンみたいなのがいて凄く可愛いのだ。キャラグッズ欲しい。
史跡でまさかこんなに可愛いキャラを見つけるなんて。これも地元の人に聞いていたから気づけたポイントである。
雁金(かりがね)紋というらしい。こっちはハトぽくて可愛さ半減。
雁金(かりがね)紋というらしい。こっちはハトぽくて可愛さ半減。
そこから少し移動し真田古墳にも寄った。「真田」と名前についているが無関係。
そこから少し移動し真田古墳にも寄った。「真田」と名前についているが無関係。
幸村が抜け穴として使ったと伝説があっただけあって、意外と奥までありそうな作りだった。
幸村が抜け穴として使ったと伝説があっただけあって、意外と奥までありそうな作りだった。
次に向かったのは、かなりショッキングな事件に見舞われた女性の生涯を追った場所である。
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おすすめスポット7:日本のヘレン・ケラー「大石順教尼」の館

身体障害者の方が多く訪れるという「大石順教尼の館」にやってきた。17歳のとき、妻の浮気を疑い狂った養父に両腕を切断された女性の生涯を追っている。

15分ほどの紹介ビデオが流れていたのだけど、ほとんど彼女を知らないまま訪れたのでその凄惨な事件のショックが大きかった。
ここで事件が起きたのではなく、大石順教尼がお世話になった方の屋敷跡である。
ここで事件が起きたのではなく、大石順教尼がお世話になった方の屋敷跡である。
事件が起こる前は芸姑だった大石さん。腕を無くしたあとも寄席などで長唄を謡うことで生計を立てたり、想像を絶する苦難の道だ。

しかし、その肉声からは前向きな言葉しか聞こえてこない。人はここまで強いのかと驚くばかりだった。
日本のヘレン・ケラーと言われる大石順教尼。中は撮影禁止だった。
日本のヘレン・ケラーと言われる大石順教尼。中は撮影禁止だった。
大石さんは、あるときカナリアがクチバシで雛に餌をやっているのを見て、口で字を書く手法を発見。のちに絵も描くように。その作品がいくつか展示されていたのだけれど、とても口で書いたとは思えない。日展で賞までとっていた。
中でも特にほのぼのする絵の袋をおみやげに買った。かわいい。
中でも特にほのぼのする絵の袋をおみやげに買った。かわいい。
作品を眺めていると「あの自転車あなたの?」と館長さんに話しかけられ、ここでも長話。ほんとに気さくな人が多いまちである。

おすすめスポット8:柿シロップがかかった真田プリン

次に向かったのは、近くの畑でとれた地元野菜を使った料理や、手づくりスイーツが食べられるお店。休憩がてら寄ってみることにした。
古民家を使った「おやつの時間」というお店。2Fは写真ギャラリーもやっていた。
古民家を使った「おやつの時間」というお店。2Fは写真ギャラリーもやっていた。
遠くへ抜ける眺めがとても良い。そして落ち着く。
遠くへ抜ける眺めがとても良い。そして落ち着く。
役所の方にオススメされた「真田プリン」。豆乳ベースのなめらかプリンだ。持ち帰りもできるが、店内で食べると特産である柿のシロップがかけられる。
役所の方にオススメされた「真田プリン」。豆乳ベースのなめらかプリンだ。持ち帰りもできるが、店内で食べると特産である柿のシロップがかけられる。
九度山は「柿の郷」と呼ばれるくらい美味しい柿の産地だ。そんな特産の柿を使ったシロップがかかったプリンをいただける。柿の香りと、ほんのり苦味も感じるシロップは、プリンの優しい甘さとピッタリである。
大助号を撮影するお店の方。行く先々で注目されるので、私もなぜか得意げな気分。
大助号を撮影するお店の方。行く先々で注目されるので、私もなぜか得意げな気分。
お店の方にオススメを聞いていると、隣にいたお客さんが「少し離れてるけど素敵な建物があるわよ」と教えてくれた。気になったので向かって見ることにした。
向かう途中、いこい茶屋の前で幸村号・昌幸号と遭遇。まちで人気の自転車がそろい、嬉しくて記念撮影。(いこい茶屋のおばちゃん撮影)
向かう途中、いこい茶屋の前で幸村号・昌幸号と遭遇。まちで人気の自転車がそろい、嬉しくて記念撮影。(いこい茶屋のおばちゃん撮影)
紀の川を渡る。季節はずれの鯉のぼりは、最近まであった国体の選手たちに喜んでもらいたいと残していたもの。
紀の川を渡る。季節はずれの鯉のぼりは、最近まであった国体の選手たちに喜んでもらいたいと残していたもの。
幸村が息子の大助と水練していたという紀の川を渡り、ひたすらまっすぐ向かった。九度山のまちも瓦を乗せた土塀が並びいい雰囲気だったが、隣町も懐かしさを感じる風景が残っていていい。
このあたりもいい町並み
このあたりもいい町並み
ちょうどお祭りが行われていた
ちょうどお祭りが行われていた

おすすめスポット9:葛城館(かつらぎかん)

自転車を漕ぐこと20分で到着。JR高野口駅のまん前に建つ「葛城館(かつらぎかん)」だ。明治後期に建てられた元旅館である。
この建物がまためちゃくちゃ格好いい! 三階建てで、手すきガラスの窓がいい感じに歪みきらめいているのだ。
この建物がまためちゃくちゃ格好いい! 三階建てで、手すきガラスの窓がいい感じに歪みきらめいているのだ。
別角度も撮影。中には入れないけどけっこう満足。
別角度も撮影。中には入れないけどけっこう満足。
なんだかこっちのまちも散策したくなってきたが時間も無いので我慢。迷ったら嫌なので来た道をUターンして戻った。
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おすすめスポット10:紀の川を渡ったところからの眺め

改めて、川の反対側から九度山のまちを見てみる。

ススメてくれたお母さんによると、司馬遼太郎が『街道をゆく』で「丘と川を好む中世ヨーロッパのようだ」と書いていたそうだ。その気持、分かる。雄大な山をバッグにして並ぶ町並みが、なんとなくそういう風に見せるのだ。
庭の像を見せてくれたお母さんが好きと言っていた景色。
庭の像を見せてくれたお母さんが好きと言っていた景色。
道の駅「柿の郷くどやま」にやってきた
道の駅「柿の郷くどやま」にやってきた

おすすめスポット11:道の駅にある「真田十勇士の顔ハメ」

お次は「住民クラブ」の人たちが作ったという顔ハメである。幸村と、幸村に仕えた10人の家臣たちの、計11人の顔ハメが置かれているのだ。よく見たら、ちゃんと全部がつながるようにできていてすごい。
サッカーできる人数の顔ハメ。かなり引かないと全体が入らない仕様です。
サッカーできる人数の顔ハメ。かなり引かないと全体が入らない仕様です。
道の駅には柿を使ったパン屋さんがあるとも聞いていたのだけれど、人気とあって全て売り切れていた。次に行こう。
おっぱい寺こと慈尊院。かつて高野山領の政所だったところであり、空海のお母さんが暮らしていたところでもある。
おっぱい寺こと慈尊院。かつて高野山領の政所だったところであり、空海のお母さんが暮らしていたところでもある。

おすすめスポット12:女性たちの聖地「慈尊院」

道の駅から自転車を飛ばすこと10分。世界遺産にも登録されていて、九度山に訪れる人は皆ここに寄るだろう場所にやってきた。

この奥をずーっと登っていくと真言密教の聖地・高野山へ続くのだけど、かつて高野山は女人禁制であり、女性はここ慈尊院までしか入れなかった。「女人高野」とも言われている。
女性がたくさん訪れるお寺。子授け、安産、育児、授乳、良縁などを願う。
女性がたくさん訪れるお寺。子授け、安産、育児、授乳、良縁などを願う。
女人高野と言われるだけあって、女性の悩みに関しての祈願所といった感じ。特に乳がん平癒を願いに来る女性が多いらしく、たくさんの女性がお守りを買っていた。
乳房の絵馬がたくさん奉納されていた。
乳房の絵馬がたくさん奉納されていた。
せっかくなのでもっとジックリ見たい所なのだけど、最後にどうしても行きたい所があったので道を急ぐ。自転車の返却時間が迫っているのだ。
慈尊院のその先に最後のオススメスポットが待っている。
慈尊院のその先に最後のオススメスポットが待っている。
慈尊院は高野山の玄関口としての役割があった。今では九度山駅から南海鉄道で40分で高野山についてしまうが、昔はここから21キロの道を歩いて向かったのである。その道を私も行く。
109mおきに道しるべが置かれている。空海をはじめ、かつて高野山の参拝客が多く通った高野山町石道。
109mおきに道しるべが置かれている。空海をはじめ、かつて高野山の参拝客が多く通った高野山町石道。
誰もいなくて怖い。
誰もいなくて怖い。
これから向かうのは、皆一様に「慈尊院から最低40分はかかる」と言っていた場所だ。

時計を見ると、自転車の返却時間まであと90分。行って帰ってくるだけを覚悟してあえて向かうことにした。
出た、熊出没注意の案内。
出た、熊出没注意の案内。
時折、傾斜45度はあろうかという坂道を、息を切らし急いで登っていく。誰もいないので「死ぬ、、死ぬ!」と声を漏らしながらである。聖地に向かっているというのに、なんて情けない。
途中、高野山から降りてくる人と2人遭遇した。場所は違うところなのにふたりとも「あと20分くらい」と言っていて永遠につかないのではと不安になった。
途中、高野山から降りてくる人と2人遭遇した。場所は違うところなのにふたりとも「あと20分くらい」と言っていて永遠につかないのではと不安になった。
上に登るほど柿の木が増える。食べたいが渋柿だ。
上に登るほど柿の木が増える。食べたいが渋柿だ。

おすすめスポット13:高野山への道の途中にある展望台

瀕死の状態でついたのは、小さな展望台だった。九度山のまちだけではなく、遠く遠くまでよく見える。急角度でうねる紀の川に大きな山の影がかかり、雄大さを感じさせられた。とても美しい景色だ。

時間までに大助号を役所に返さねばという使命から息せき切らしてやってきたが、ノンビリと歩けるならば最高の場所である。
ようやっと着いた、一望スポット。
ようやっと着いた、一望スポット。
5分ほどボンヤリして、また急いで山を下り大助号を返却。電話で遅れると伝えたよりさらに遅れてしまったけど、役所の人は笑ってゆるしてくれ、今日の旅を振り返り、長話がまたはじまった。

一人で旅していたとは思えない、よく喋った旅だった。

ワクワクが止まらなかったまち

駅についたとき正直「大丈夫かな」とちょっと不安に思った。幸村ゆかりの地、と聞いていたのに観光案内所がないどころか、駅員さんもいない小さな駅だったからだ。

ところがどっこい、大助号をこぎ始めたら、出会う人が積極的に話しかけてくれる明るさのあるまちだった。渋いものがほとんどだけど見どころは多いし、コンビニひとつ無いこの景色は逆にとても貴重で、とても好きになった。また来たい。
帰りに、もう一つオススメされていた美味しいピザ屋さんMieux ミュウ(残念ながら撮影不可)に寄ったら、柿をたくさんもらった。嬉しい。
帰りに、もう一つオススメされていた美味しいピザ屋さんMieux ミュウ(残念ながら撮影不可)に寄ったら、柿をたくさんもらった。嬉しい。
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