広告♪ 2015年12月14日

専門店さん、一番売れないものってなんですか?

ハンガー専門店(!)に、光るパーティーグッズ専門店(!)に、ポーランド食器専門店(!)に「一番うれていないもの」を聞きました
ハンガー専門店(!)に、光るパーティーグッズ専門店(!)に、ポーランド食器専門店(!)に「一番うれていないもの」を聞きました
「いま売れてます!」という宣伝文句があるだろう。売れているからにはいいものであるというのは分かりやすい。しかしインターネットを通じた買物が一般的になり、ロングのテール的なやつが注目されて久しい時代だ。売れていないものにこそ脚光はあたるべきではないか。

カランコロンカラン…「あのう、この店で一番売れてないものなんですか?」ネット上で専門店を開く3店にたずねてきた。
東京生まれ、神奈川、埼玉育ち、東京在住。Web制作をしたり小さなバーで主に生ビールを出したりしていたが、流れ流れてデイリーポータルZの編集部員に。趣味はEDMとFX。(動画インタビュー)

前の記事:寝不足で泣く、模擬試験で泣く 高めあおう涙腺の弱さ

> 個人サイト まばたきをする体 Twitter @eatmorecakes

でかいハンガーと、光るドレスと、バター入れが、売れない!

今回たずねたのはハンガー専門店の「ハンガーのながしお」さん、ポーランド食器(以降 ポーリッシュポタリー)専門店の「ケルセン」さん。さらに光るパーティーグッズ専門店の「ハッピージョイント」さんにメールでお話をうかがうことができた。

売れてないもの以前にそんな専門店があるのか! という驚きが先行してしまうかもしれないが(私もあらためて驚いてます)なにしろまずは先に売れてないものを発表したい。
ハンガー専門店の「ハンガーのながしお</a>」でいちばん売れてないのは、でかいハンガー!(7万円)
ハンガー専門店の「ハンガーのながしお」でいちばん売れてないのは、でかいハンガー!(7万円)
光るグッズ専門店の「ハッピージョイント</a>」で一番うれてないのは、光るドレス(4万円)(画像提供:ハッピージョイント)
光るパーティーグッズ専門店の「ハッピージョイント」で一番うれてないのは、光るドレス(4万円)(画像提供:ハッピージョイント)
ポーリッシュポタリー専門店「ケルセン</a>」でいちばん売れてないのは、バターディッシュ(約7000円~10,000円)
ポーリッシュポタリー専門店「ケルセン」でいちばん売れてないのは、バターディッシュ(約7000円~10,000円)

三者三様の売れてなさ

まずはこのような取材を受けていただいたことに本当に本当に感謝したい。売れてないもの教えるってネットショップとしてはかなり勇気がいったのではないか。ありがとうございます!

と、感謝の直後に大変に恐縮ながら、でかいハンガーは見た瞬間「あっ、これは売れない!」とつい笑ってしまった。

光るドレスは売れなさよりもなぜドレスを光らせたのかをまず問いたい。

バターディッシュはバターを収納しておけるかわいらしい陶器。これは売れてもいいのでは…?と思ってしまう。

三者三様の売れてなさがそろった。次ページから各お店へ詳しくお話を聞いていきたい。

そもそもどういう経緯でこのようなニッチすぎる専門店を持つことになったのかも明らかにしていこう。

各専門店のページへ直接飛びたい方は↓こちら↓から(次へで順番にも読めます)

ハンガー専門店「ハンガーのながしお」さんインタビュー(ちなみにこのハンガー17,000円な!)
光るグッズ専門店「ハッピージョイント」さんインタビュー(一番の売れ筋がこの「ELダブルシェードサングラス」)(画像提供:ハッピージョイント)
光るグッズ専門店「ハッピージョイント」さんインタビュー(一番の売れ筋がこの「ELダブルシェードサングラス」)(画像提供:ハッピージョイント)
ポーリッシュポタリー専門店「ケルセン」さんインタビュー(ポーリッシュポタリーの柄にはパターンがあり、この緑色の部分は「モスキート」という名前の柄だそう。蚊!)
ポーリッシュポタリー専門店「ケルセン」さんインタビュー(ポーリッシュポタリーの柄にはパターンがあり、この緑色の部分は「モスキート」という名前の柄だそう。蚊!)

ひらけ! ネットショップ!


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ハンガーひとすじ64年

ハンガーのながしお」さんは1951年に会社化。ハンガーのメーカーとして、企画製造、卸し業やインターネットを通じた小売もやっている。

なぜハンガーを、というと初代の社長が戦前にハンガーのメーカーに丁稚奉公し、製造工程を学び独立したからですと代表取締役の長塩さん。

そうか、そういうきっかけで人はハンガーの専門店というものを持つようになるのか。「運命」という言葉はこういうときに積極的に使っていきたいものである。

現在も事務所のある北千住はイトーヨーカドーの一号店があった場所(現在はディスカウントストアに業態転換)。初代社長は(セブン&アイ・ホールディングス)伊藤名誉会長にハンガーを荷受けしてもらったこともあるそうだ。
3代目代表取締役でネット通販に着手したご本人である長塩さん
3代目代表取締役でネット通販に着手したご本人である長塩さん

ネットに載せてFAXでハンガーを売ってた

ネットを通じた販売に着手したのは1999年というからかなり早い。

「当時はホームページに写真のっけて番号つけて『欲しければFAXください』とやっていましたね。でもそのときはぜんぜんダメで」(以下、カッコ内は長塩さんのお話)

あったあった、ネットに小さな写真で商品と番号が書いてあって、FAXとか電話で注文するやつ、ありましたね!
現在のサイト。時代、かわりましたよね…
現在のサイト。時代、かわりましたよね…
「2001年に買物かごをつけたネット通販の形をとりはじめましたが最初の売り上げが5万だったのはまだ覚えてますね。最初の2~3年は泣かずとばずでした」

しかしその後、人々はネット上にハンガーの専門店という存在を見つけだす。現在はこちらのお店、年間を通じかなりの本数のハンガーを販売しているというのだ。

一番の売れ筋はネット限定の2000円のハンガー

「ネットで一番売れているのはこれですね。ネット限定販売品なんですが、この1種類、サイズ43(肩幅)だけで年間9000本は出てます」
一番売れてるのは、これ!1本2,138円(税込み)!
一番売れてるのは、これ!1本2,138円(税込み)!
サイズ展開は40と46も含め全3種類あるが、43のサイズだけで年間9000本である。

ハンガーってそんな売れんのか…!
確かに「良いもの感」がすごい。美しい。このレベルのものは通常6,000円はするらしいですぜ
確かに「良いもの感」がすごい。美しい。このレベルのものは通常6,000円はするらしいですぜ
同価格の前モデル(左)より現行モデル(右)は丸みが…って、ハンガーってまだ進化してるんか
同価格の前モデル(左)より現行モデル(右)は丸みが…って、ハンガーってまだ進化してるんか
シャツによさそうな5本セットで1,000円くらいの「ちょっといい」ハンガーの5本セットも良く売れるそう
シャツによさそうな5本セットで1,000円くらいの「ちょっといい」ハンガーの5本セットも良く売れるそう

針金ハンガーは1色だけで年間10万本売ってる

と、ネットでは上のような商品が売れるわけだが、卸の世界では本数では断然針金ハンガーが出るらしい。

「6色あるんですが、1色だけで年間10万本は売れます。『ワイヤーハンガー』って名前で大手の小売店で10本売りで売ってるんです。爪楊枝がひとケースに500本入ってるみたいなものですかね」

ハンガー界で針金ハンガーは爪楊枝。なるほど。
針金ハンガーがこんなにも写真に写りにくいとは
針金ハンガーがこんなにも写真に写りにくいとは

いままで一つも売れていない、でかいハンガー7万円

さて、ここで話題はもどって「一番売れていないもの」だ。冒頭でご紹介したとおり、でかいハンガー7万円である。
「今まで1本も売れてません(笑)」
「今まで1本も売れてません(笑)」
「いやー、『一番うれてないもの』とは難しい質問されるなーと思って(笑)。なのでこれを用意しておきました」と長塩さんがかつぐように出してくれた。

インタビュアーの古賀も撮影の編集部 安藤も「わ~」とひとしきりうなった後、つい「こーれーはーうれなーいーですよねー」と笑顔になってしまった。

「これを用意しておきました」とおっしゃるのも一瞬で納得の売れてなさそうさ!
どうしても笑顔になる
どうしても笑顔になる
「重たいんですよこれが。一応売り場のディスプレイ用ということで作りました。まだ売れたことはありません(笑)。在庫もこれだけ。受注生産です。展示会でディスプレイするとみなさん持って写真撮っていかれますね」

ハンガー店の顔ハメパネルみたいなことになっている。もしくはゆるキャラか。でもそれが売りものであるというのがたくましくもある。
実は応接室に通していただいた際に真っ先に目に入ってすでに一回笑っていた
実は応接室に通していただいた際に真っ先に目に入ってすでに一回笑っていた

ハンガーは「もらうもの」というイメージのもの

でかいハンガーはさすがに売れてないとはいえ、ハンガーだけで60年以上営業しているのはやはりすごい。

だってハンガーって一度買ったらそうそう壊れない。そもそも買わない人だって多いと思う。

「ハンガーってもらえちゃうんですよね。でもクローゼットのなかがぐちゃぐちゃに見える理由として、いろんなハンガーをまぜこぜに使っているのというのがあって。

それを統一するだけですごくクローゼットの中がきれいになるんですね。そこに気づいた方がまとめ買いされていきますよね。

もらえるハンガーから買うハンガーへ、まだシフトしてない方は多いと思うんです」

なんと、まだまだハンガーに商機はありそうである。ものの40分の取材ですでにハンガーがゲシュタルト崩壊した私だが、長塩さんはもうずっと、三代にわたってハンガーのことを考えてられるのだ。

やっぱり運命ってすごい。
その後実際いろいろと商品を見させてもらって「あ、こういうハンガー必要だわ!」「ぜったい買わなくちゃだわハンガー!」となった取材陣である
その後実際いろいろと商品を見させてもらって「あ、こういうハンガー必要だわ!」「ぜったい買わなくちゃだわハンガー!」となった取材陣である
ちなみに「ぼちぼち売れる」ものとして見せていただいたのが17,000円のハンガー。箱にきっちりと収まっており服を吊るすためのものが、服以上の扱いだ
ちなみに「ぼちぼち売れる」ものとして見せていただいたのが17,000円のハンガー。箱にきっちりと収まっており服を吊るすためのものが、服以上の扱いだ
全集を本棚に飾るようにクローゼットにかざりたい。社長就任祝いはこれから胡蝶蘭じゃなくてハンガーの時代ですよ!
全集を本棚に飾るようにクローゼットにかざりたい。社長就任祝いはこれから胡蝶蘭じゃなくてハンガーの時代ですよ!
取材のご対応
ありがとうございました!
ハンガーのながしお

なんかこう、専門店開きたくなってきませんか?


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光るパーティーグッズだけを扱う専門店

続いてお話をうかがうのは「ハッピージョイント」さん。こちらはなんと、光るパーティーグッズの専門店である。

聞いただけでは何がなにやらかと思われるのではないか。まずはぜひサイトをごらんいただきたい。本当に本当に、光るパーティーグッズを全力で扱っていてすごいことになっている。

こちらは約9年前から試行錯誤でこのような形へとたどりついたという。
本当に全部の商品が光るグッズなのだ
本当に全部の商品が光るグッズなのだ
今回はメールでいろいろとお話を聞かせていただいた。

全国のレイブをまわっては行商の日々

代表の小山さんは建築・リフォーム業を営みながらクラブ(踊る方の)を立ち上げ、そういった文化のなかでパーティーで身に着けるコスチュームやアクセサリーの可能性に気づいたそうだ。このころはまだ「光る」グッズには特化していなかったそう。

手探りでネットショップをオープンするも売れない日々も長かった。オープン当時はパラパラとしか売れず全国のレイブ会場を飛び回り、行商もしていたという。

パーティーグッズというと言ってしまえば「うかれグッズ」なわけだが、裏の苦労はなみなみならない。
こういったグッズのヒットの影にも苦労があるのだ(商品の「光るアフロウィッグ」。以下、商品の写真はすべて「ハッピージョイント」より)
こういったグッズ販売の影にも苦労があるのだ(商品の「光るアフロウィッグ」。以下、商品の写真はすべて「ハッピージョイント」より)

近くの問屋の光ものが、ウケた!

さて、もともとこちらでは商材をタイやバリといった海外の市場で仕入れを行っていたそうだ。が、なかなか大きく商品が売れず苦しい日々が続くうちに遠征軍資金が尽きてしまったそうなのだ。

これが転機になる。以下は小山さんからいただいたままの文章である。

「海外へ行くこともできず仕入れもロットが大きくできず、光物が好きということから近くの問屋で光物を仕入れ、レイブへ持っていき売り始めました」

「レイブ会場で光りものを販売したところ、どんどん人が集まって来てくれ光物はすぐに売り切れました。みんな光物を身につけパーティーを楽しみそしてパーティーは毎度盛り上がりました」

パーティーピープルが光るパーティーグッズに開眼した瞬間である。
そして現在一番売れている商品「ELダブルシェードサングラス」。類似品は多いが、国内販売初はこちらだそう
そして現在一番売れている商品「ELダブルシェードサングラス」。類似品は多いが、はじめて国内販売したのはこちらだそう
ドラマティックというものはいつも現実離れし輝いて見えるものだが、このサクセスストーリーは実際に輝いてるのがすごい。しかも光り方も尋常ではない派手さなのがたまらない。

「アパレルは年齢・趣味・性別と見向きもされない時がある。ただ光物は年齢性別問わず、光に引き寄せられる」とひらめいたと小山さん。

パーティーピープルたちによる光るグッズへの開眼とともに、この光るパーティーグッズの専門店も開店とあいなったそうである。

ゴゴゴゴゴゴ……。歴史が、動いた。光るパーティーグッズの歴史が。
6年にわたるロングランヒットになっているという「ハートサングラス」耳をかけるところまでハートですごいこだわり
6年にわたるロングランヒットになっている「ハートサングラス」。耳をかけるところまでハートというこだわり

ヒット商品は改良を重ねて開発

ヒット商品は「メーカーと塗装の改良を何度も続け販売にこぎつけた」そうだ。

うかれ商品の裏にある誠実な努力、もう一度いうがこれは圧倒的にドラマだ。目の前のあなたのサングラスがビカビカに光っていても今なら私は夜明けまで泣ける。
そして「1着位しか売れてません(笑)」という光るドレス
そして「1着位しか売れてません(笑)」という光るドレス
そして冒頭で紹介したとおり、こちらのお店で売れていないのは光るドレス、だそうだ。

クラブ文化の中で急成長した光るパーティーグッズなだけにアクティブに踊ったり騒いだりするシーンと若干ギャップがあっただろうか。

しかし、なんてったって「光るパーティーグッズ専門店」なのだ。ドレスも光らせねばと勝負に出るのはもはや道理だ。売れていなくても、この専門店にさえ来ればドレスだって光っているというのは信頼の証といってしまってもいいのではないか。

売れてないけどのんびり構えている「イードットパーツ」

さらにもう一つ、あまりまだ売れていないと教えていただいたのが、「イードットパーツ」というグッズ。
こちらも売れてない!「イードットパーツ」
こちらも売れてない!「イードットパーツ」
「イードットパーツはグロービングというアメリカの新しい手のダンスのようなもの、中々浸透させることができていませんがのんびり構えている商品です」

ということで、こちらは今後もしやブレイクしたらそれこそ大化けする商品かもしれない。

私もまんまと光りたくなってきましたよ

実は私もクラブカルチャーと近いところで育ち、いまも光るパーティーグッズとかなり密接な音楽ジャンルが好きなのだ。
実際、パーティー現場ではほんとみんな光ってるんですよ
実際、パーティー現場ではほんとみんな光ってるんですよ
確かにパーティー行くとみんな光ってんのよ最近。ここで買ってたのか~!
VJもLEDでとんでもなく美しくなってきてる。そりゃ負けずに人間も光っていかねばな!
VJもLEDでとんでもなく美しくなってきてる。そりゃ負けずに人間も光っていかねばな!
取材のご対応
ありがとうございました
ハッピージョイント

特化しまくったネットショップ、私も考えたい。


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ポーリッシュポタリー専門店は、必要

さて、ぶち上がったテンション一転、最後にお伺いしたのはポーリッシュポタリーと呼ばれるポーランド食器の専門店の「ケルセン」さん。

2009年にネットショップをオープン、そのあと東京の自由が丘にリアル店舗も出店している。
サイトはこちら。「ケルセン」というのは「さくらんぼ」の意味。覚悟してくださいね、このさくらんぼ以降、ずっと「かわいい」ですこのページ
サイトはこちら。「ケルセン」というのは「さくらんぼ」の意味。覚悟してくださいね、このさくらんぼ以降、ずっと「かわいい」ですこのページ
自由が丘の実店舗にはポーリッシュポタリーがみっちり
自由が丘の実店舗にはポーリッシュポタリーがみっちり
最初は「ポーランド食器の専門店……なぜそんなニッチな……」という気持ちでお伺いしたが、店内を見渡しお話をうかがって一気に洗脳されてしまった。

今から説明するが、専門店、絶対に必要なのである。

まず何しろ柄が多様なのだ。聞けば何千種類ものパターンがあって現在も新しい柄が生み出されているという。
このように柄が本当にたくさん
このように柄が本当にたくさん
柄に名前はあまりないが、中央部の青い部分が最も伝統的な「ピーコックアイ」。外側の緑色の部分が確かに蚊っぽい「モスキート」は各メーカーにある柄
柄に名前はあまりないが、中央部の青い部分が最も伝統的な「ピーコックアイ」。外側の緑色の部分が確かに蚊っぽい「モスキート」は各メーカーにある柄
そして形。大皿、中皿、小皿はもちろん、コンテナのような箱もあればクグロフ型のような製菓道具もある。日本向けに開発されたお茶碗やそば猪口もあった。

柄だけではなく形のバリエーションも何百から千とある。

柄×形=大量の種類 が、ポーリッシュポタリーにはあるわけだ。

きちんとポーリッシュポタリーというものを扱おうとすると物理的に専門店が必要なのである。
興奮でご紹介が遅れました、お話を聞かせてくださった鳴川さんご夫婦。奥様の鳴川睦さんはポーリッシュポタリーに関するご本も出されている
興奮でご紹介が遅れました、お話を聞かせてくださった鳴川さんご夫婦。奥様の鳴川睦さんはポーリッシュポタリーに関するご本も出されている

ポーランドの土に興奮

有田焼のようにポーランドのボレスワヴィエツという場所に集中して大小あわせ30近くのメーカーがあるそうで、商品は受注生産。

輸入も、あるものを買うのではなく、形と柄を指定して焼いてもらうのだそうだ。

絵付けはスタンプをおしたり、手描き。同じ柄でも風合いは一つ一つ違う。

さらには土もポーランドの地元産だと聞いてもう興奮のメーターがふりきれた。土が!ポーランドの土!甲子園じゃなくて!ポーランドの、土! なぜここに大きく心ゆさぶられたのか分からないが(それに甲子園の土だって土としての感動度は非常に高いわけだが)ものすごく心に響いた。
クグロフ型! クグロフというのは本来陶器で焼くものなんだそうだ
こちらはクグロフ型。クグロフというのは本来陶器で焼くものなんだそうだ
りんごポットですよ!リンゴ入れてオーブンに入れて蒸し焼きにしてふっくらおいしい焼きリンゴが作れてしかもそのまま食卓に出せるりんごポットですよ!
そしてこれ! りんごポット。リンゴ入れてオーブンに入れて蒸し焼きにしてふっくらおいしい焼きリンゴが作れてしかもそのまま食卓に出せるりんごポット!
こちらは「ヘルパーランチョン」といって、ぶどうの皮だとか魚の骨を入れるためのもの。かわいい上にかゆいところに手を伸ばしてくる
こちらは「ヘルパーランチョン」といって、ぶどうの皮だとか魚の骨を入れるためのもの。かわいい上にかゆいところに手を伸ばしてくる
このようにお皿の脇に置きやすい形になっているわけだ。カーっ! にくいねえ
このようにお皿の脇に置きやすい形になっているわけだ。カーっ! にくいねえ

しかも丈夫なんだこれが

またとにかく丈夫だそうなのだ。 オーブン、電子レンジ、食器洗浄機オーケーである。

もし私がいま滝行のさなかだとしたら滝にうたれつつ目をカッと見開いて

「良さしかない!」

と叫ぶだろう。あまりにも唐突に滝行をはじめたのは申し訳なかったが、なにかそういう「目覚め」のような感覚におそわれた。

意識をケルセンさん店内に戻し、さて、こちらで一番売れているのはマグカップ。
一番売れるのはマグカップの…
一番売れるのはマグカップの…
おおお、これは売れる、売れるわ~
こちら(中央)。おおお、これは売れる、売れるわ~
「今の季節だったらやっぱり贈り物が多いというのもあって。最初に手にしやすいもの、まだポーリッシュを使ったことがないっていうお客さんが最初に使っていただきやすいですよね。これを人からもらってポーリッシュにはまっていく人は多いですよね」(睦さん)

ちなみに値段は柄によって違う。手作業なだけあってシンプルであれば安く、複雑であれば高い。マグカップも値段はさまざまだ。
同じ形のお皿でも左は1620円、右は3240円
同じ形のお皿でも左は1620円、右は3240円

一番売れていない「バターディッシュ」は良いものです

そして冒頭でご紹介のとおり、こちらで一番売れていないのはバターディッシュ。バターを入れて冷蔵庫に入れておき、そのまま使うときにテーブルに出せるというものだ。
いいと思う! いいと思うよ!
私はこれいいと思うんだ
取材のテープ起こしをしていて気づいたのだが、実は私はこの商品に一番興奮していた。だって、すごく便利じゃないか! これさえあれば、いつものバターがおしゃれなんだぞ。魔法だ。

ご主人の正一さんによると「冷蔵庫で場所をとるから…かな」と。

ただ全く売れていないわけではないそうで「冷蔵庫に入れるだけじゃなくてコンテナみたいに使ってくださる方もいるみたいです」(睦さん)という。

このほかに予想したより売れなかったものはありますか? と聞いてみると、「うーーーーーーーーん。そういうものはあんまりないですかね……あんまり予想ははずさないです」(睦さん)「今までに予想を外したものは今もうここにはないかな」(正一さん)

ということで、あ! そうか、そりゃあそうだよなとひざを打ったのだった。
動物の置物もちらほら。自由度はかなり高いんだそうだ
動物の置物もちらほら。食器に限らない展開。自由度はかなり高いんだそうだ
ミルクサーバーは牛の口から牛乳が流れ出るんだぜ。萌え萌えだい
ミルクサーバーは牛の口から牛乳が流れ出るんだぜ。萌え萌えだい
取材のご対応
ありがとうございました
ケルセン

この店で一番売れてないものをくれ

売れてないけれど、おもしろいからいい「でかいハンガー」。売れてないけれど、こんなものまでこの店では光ってる! という気概の「光るドレス」。そして、そもそも売れてないものがあまりない、ポーリッシュポタリー専門店。

三者三様のうれてなさ、と最初に書いたが、話を聞いてなおその様子は三様であった。

「この店で一番高いものをくれ」という言ってみたいセリフがあるが、これからは「この店で一番売れてないものをくれ」というほうが聞くとおもしろいかもしれない。ただしちょっと失礼なので寛大なお店であれば…(あらためて取材を受けてくださった3店のみなさまにお礼申し上げます!)。

大変だけど、楽しいのが商売!


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