フェティッシュの火曜日 2015年12月29日
 

ヘボコン総集編2015〜山口/富山編

右の看板が気になって試合に集中できない
右の看板が気になって試合に集中できない
技術力の低い人限定ロボコン(通称ヘボコン)。

ロボットを作る技術のない人たちが、自作の「自称・ロボット」を持ち寄り、無理やりロボット相撲をする。意識と人間力の低さがウリのイベントである。

このたびはその総集編ということで、今年開催したイベントのうち、4本を2日に分けて振り返らせていただきます!
インターネットユーザー。電子工作でオリジナルの処刑器具を作ったり、辺境の国の変な音楽を集めたりしています。「技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン)」主催者。1980年岐阜県生まれ。
> 個人サイト nomoonwalk

世界に羽ばたいたヘボコン

個々のイベントの前に、まずはこれまでの経緯を振り返らせてほしい。

昨年の7月に、「不器用なロボコンが見たいなあ…」という僕の思いつきにより、第1回のイベントを開催。その後11月のミニヘボコン開催を経て、同月には文化庁メディア芸術祭で審査委員会推薦作品に入選。
これがその時の応募映像。製作はプープーテレビも率いるライター大北くんです。
それがきっかけで海外でも広く紹介された。上の映像の英語字幕版を編集部で作ったのと、いつの間にか中国語字幕版も勝手に作られて、世界を駆け巡った。そしてそれを見た有志により、今や世界中で大会が開催されまくっている。

そんなわけで、Heboconは今や世界に広がる一大ムーブメントなのだ。今年のコンテスト開催状況を見ていただこう。
Jan. 25 ... Hebocon@Fullerton, US
Jan. 28 ... Hebocon@Chicago, US
Feb. 1 ... "羅鉄克机器人大賽" @Beijing, China
Feb. 6 ... "ROBOT FIGHT CLUB" @Philadelphia, US
Feb. 20 .. "Crapbot Battles" @Isle of Wight, UK
Feb. 27 ... "BITSOC Presents: HEBOCON 2015" @Ottawa, Canada
Mar. 6 ... "mini hebocon portland" @Portland, US
Mar. 7 ... "HEBOCON @ SYN Shop" @Las Vegas, US
Mar. 8 ... "beta hebocon Roma" @Roma, Italy
Mar. 20 ... Scrapbot Battle @Isle of Wight, UK
Mar. 28 ... ★西ヘボコン @Osaka, Japan
Apr. 18 ... Hebocon at MIT @MIT, US
Apr. 19 ... Hebocon Thailand @Bangkok, Thailand
Apr. 25 ... ★ギガヘボコン @Tokyo, Japan
May. 8,9 ... Hebocon@Berlin, Germany
May. 15 ... The 3rd IOW World Scrapbot Championships 'The Fight for 3Dom!' @Isle of Wight, UK
May. 29 ... HeboCon Meetup: A mini-sumobot tournament for crappy Robots @Manila, Philippines
May. 30 ... "廢柴機器人大戰" @Taipei, Taiwan
May. 30 ... 1st ever Scrapbot Convention at The First Floor @Isle of Wight, UK
Jun. 6 ... 積木廢柴機械人大戰 @Hong Kong
Jun. 6 ... HEBOCON InnovASEAN @Singapore
Jun. 19 ... The 4th IOW World Scrapbot Championships 'Festivals 4 Ever!' @Isle of Wight, UK
Jun. 21 ... Hebocon @Bangkok, Thailand
Jun. 25 ... Hebocon @Macau
Jun. 27 ... "第一屆廢柴機械人大戰" @Hong Kong
Jul. 5 ... Hebocon @ NTSEC @Taipei, Taiwan
Jul. 9 ... Hebocon Indonesia #1 @Bekasi, Indonesia
Jul. 25 ... Hebo-race @ Roma @Roma, Italy
Aug. 1-2 ... ★ミニヘボコン、水ヘボコン @Tokyo, Japan
Aug. 10 ... 成安ヘボコン @Shiga, Japan
Aug. 16 ... FUBACON: A Competition for Truly Awful Robots! @New Jersey, US
Aug. 16 ... HEBOCON in Chaos Communication Camp @Zehdenick, Germany
Sep. 12-13 ... ★ミニヘボコン in Yamaguchi @Yamaguchi, Japan
Sep. 13 ... a tiny Hebocon during Schmiede @Hallein, Austria
Sep. 19 ... Scrapbot Battle@Isle of Wight, UK
Oct. 5-9 ... "Robot al Parque" Hebocon Colombia @Bogota, Colombia
Out. 12 ... ★富ヘボコン @Toyama, Japan
Out. 24,31 ... ★デザヘボコン @Tokyo, Japan
Out. 25 ... Hebocon in Surabaya Zoo @Surabaya Zoo, Indonesia.
Nov. 7 ... 沖縄高専 高専祭ヘボコン @Okinawa, Japan
Nov. 7 ... ★九ヘボコン @Kita-kyusyu, Japan
Nov. 20 ... the 7th Battle at the king lud @Isle of Wight, UK
Nov. 28-29 香港廢柴機械人大戰 Maker Faire 特別版 @Hong Kong
Nov. 29 ... MakeFest Hebocon in Maker faire Tainan @Tainan, Taiwan
Nov. 29 ... 2nd Hebocon in Singapore @Singapore
Dec. 6 ... いせヘボコン @Mie, Japan
Dec. 9 ... SFCヘボコン @Keio University, Japan
Dec. 13 ... paperCの宴とヘボコン @Osaka, Japan
Dec. 19 ... ヘボコン行橋 @Fukuoka, Japan
舞台となったのは北米とアジアを中心として、さらにはヨーロッパと南米も含め、ぜんぶで20以上の国々。実に52イベントが開催された。
音楽が国境や言葉の壁を超えるとはよく言うが、このたび不器用や飽きっぽさも国境を超えたのである!

そんな中、デイリーポータルZ主催で開催したのは、★印をつけた7イベント。すでにレポート済みのものは上の一覧の中でリンクをたどっていただくとして、この記事では未レポートのうち山口・富山のヘボコンを振り返ってみよう。
ミニヘボコン in 山口
9/12〜13の2日間、DIYのイベント・Yamaguchi Mini Maker Faireの中で開催したのがこのミニヘボコン。

東京でのミニヘボコンに続き、工作スペースがある「その場で作って戦う」タイプのイベントである。8体のミニトーナメントを、2日間で5回開催した。
作業中は思わず真顔になるが、この人たち全員不器用なのだと思うとほほえましい。
作業中は思わず真顔になるが、この人たち全員不器用なのだと思うとほほえましい。
イベント中の様子。地元のFablab山口のみなさんが作ってくれた看板(でかい)が最高だった
イベント中の様子。地元のFablab山口のみなさんが作ってくれた看板(でかい)が最高だった
このイベントで印象深かったことといえば、なんといっても、以降のコンテストのルールに影響を与えた2つのマシンの存在である。

このときにはまだなかったルール(1) 動物を愛護すべし

族長 さんのロボット
族長 さんのロボット
ザルの上にトゲつきのゴムボールを置いたシンプルなロボット。3秒でできそうな手のかかってなさも注目点だが、最大の特徴はそこではない。中にある動力源であった。ザルを外すと…
あっ…
あっ…
去年も含めると、自分が主催する6回目のヘボコン。全部で200体近いロボットを見てきたが、初の生物兵器である。いやサイボーグというべきか。3秒でできるサイボーグ。
自分の置かれた状況を呑み込めていない顔
自分の置かれた状況を呑み込めていない顔
もちろんカメの身の危険を考慮し、出場にはひと揉めあった。のだが、最終的には「カメに危険が及びそうな場合は即座に試合中断、負けとする」という条件の下、出場可能とすることに。
違う意味で手に汗握る試合の様子は下の動画で。
りゅーま さん作、マッドマックスをモチーフにした車タイプが対戦相手。
竹串で武装した凶悪なロボットに、これは完全に亀ピンチ!と思いきや、ゼンマイ式の敵機はちょうど亀に当たるか当たらないかのところで停止。その後は緩慢なカメの歩みをみんなで見守る会となった。

遅い歩みながらも、よく見ていると途中で竹串を一本、叩き落として(?)いる点にも注目してほしい。

なお、この件がきっかけで、次のデザヘボコンより、ルールに「動物愛護にのっとり、生物の使用は禁止します」の一文が追加された。

このときにはまだなかったルール(2) 失敗作ならOK

「技術力の低い人限定」を名に冠すヘボコンには、ハイテクノロジーペナルティというルールがある。技術的に高度すぎるロボットは減点を受けることになっているのだ。

いままで主に「高度な部品(マイコンやコンピュータなど)を使っているかどうか」で判定していたのだが、そこに新たな判断基準を持ち込んだのが、このロボットである。
ドロまるくん(金子)
ドロまるくん(金子)
なんと、自作のドローンなのだ。ドローンといえば飛行機能だけでなく、バランス制御やリモートコントロールなど、数々のハイテク部品を備える。めちゃくちゃ技術力が高い装置のはずだ。
しかし、その動作シーンを見てほしい。
キーーーン、という飛行機みたいな音を立て徐々に振動し始めるドロまるくん。溜めの時間が長く、「飛ぶ、飛ぶ、飛ぶぞ…!」という期待感だけはむしろ普通のドローン以上だが、次の瞬間、見事に横転してテーブルの下へ。へ、ヘボい…。

「技術力の低さは部品に宿るのではない。作者に宿るのだ」という、大切なことを我々に教えてくれた一台であった。

せっかくなので試合の様子も見ていただこう。
対戦相手がLess is More 号(ぼくくぼ)。iPhoneの着信バイブの振動をを下部のペーパーカップ・アンプリファイアー(という名前の紙コップ)により増幅し、徐々に前進することにより相手を押し出す作戦。
じわじわにじり寄るLess is More 号に対し、揚力を徐々に高めていくドロまるくん。翔んだ!!と思った瞬間には既にうしろに転倒したうえに土俵外まで転がり落ちているという、「念には念を入れて」みたいなダメ押し度の高い敗北であった。

高度な部品を使っていてもヘボい者はヘボい。ドロまるくんの見事な敗北は、ハイテクノロジーペナルティの判定基準を変えるきっかけとなった。

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