ちしきの金曜日 2016年1月8日
 

レア水門を愛でよう

このゴムチューブも水門の一種
このゴムチューブも水門の一種
これまで当サイトを含め、いろいろな場所でダムの魅力について書いてきたけど、水をせき止めたり放流したりする水門にあまり触れていなかったことに気づいた。

放流も、堤体の大きさもいいけれど、水門も魅力的なのだ。しかしダムの水門と言うと、ほとんどローラーゲートかラジアルゲートである。

そこで今回は、ダムや堰についている、ローラーゲートやラジアルゲート以外の水門の魅力に迫ってみたい。
1974年東京生まれ。最近、史上初と思う「ダムライター」を名乗りはじめましたが特になにも変化はありません。著書に写真集「ダム」「車両基地」など。 個人サイト:ダムサイト

動かないダムで唯一動く場所

ダムと言えば何と言っても放流や堤体の巨大さなどが魅力である。しかしもうひとつ、どっしりとして動かないダムの外観上、唯一の可動部である水門、いわゆる放流ゲートもさまざまな種類や構造や大きさや色があって、ダムを彩るアクセントになっている。

水門とは読んで字のごとく、水を出したり止めたりするための門扉のことで、これまで僕が書いた記事でも、ローラーゲートとかラジアルゲートといった名前を見たことがある人もいると思う。
板状の水門が上下するローラーゲート
板状の水門が上下するローラーゲート
扇型の水門が扇の中心を軸に回転して開閉するラジアルゲート
扇型の水門が扇の中心を軸に回転して開閉するラジアルゲート
ローラーゲートとラジアルゲートは水門界の2大巨頭と言える勢力で、ダムや堰の水門と言えばほとんどどちらかが設置されていると考えて間違いない。

しかし、わずかながら「それ以外」の勢力もあって、今回はそういうレア水門を紹介したいと思う。たとえばこんな水門を見たことあるだろうか。
金属の円筒が横たわっている
金属の円筒が横たわっている

その名もローリングゲート

水門というと金属の板を何となく想像するけれど、これは円筒形をしている。ローリングゲートという、プロレスの技みたいな名前の水門で、開けるときはその名の通り転がりながら引き上げられるのだ。

画期的だけど開発された時代としては古い部類で、現在はどんどん姿を消している絶滅危惧種だ。
ダムとしてはもうほんの僅かで、古い発電用の取水堰で稀に見られる
ダムとしてはもうほんの僅かで、古い発電用の取水堰で稀に見られる
川の水が多くても開けずに上を乗り越えさせることも可能
川の水が多くても開けずに上を乗り越えさせることも可能
見分けるポイントは何と言っても水門自体が円筒形をしていること、そして水門を支えている両脇の壁に、水門が転がる溝が斜めについていることだ。

もう残り少ないので、もし見かけたらできるだけ愛でていただきたい。

どんどん姿を消している、と書いたけれど、ではローリングゲートだった水門は現在どうなっているのか。
元ローリングゲートだったけど現在は四角い箱形の水門が斜めに引き上げられる
元ローリングゲートだったけど現在は四角い箱形の水門が斜めに引き上げられる

シェル構造ローラーゲートの登場

ローリングゲートは、水門の幅は広いけど高さを低くしたいような場所に設置されていた。横に細長いので普通の板状の水門だと強度が足りず、円筒形にして水圧に耐えているのだ、と思う。ただ機構的に古いので、構造が単純で大規模な改造をしなくても設置できるローラーゲートの一種で、水門部分を箱型にして強度を高めたシェル構造ローラーゲートに付け替えられているダムもある。もちろんローリングゲートからの付け替えではなく、初めからシェル構造ローラーゲートで建設されているものの方が多い。
もっと背の高い水門でもいいのではと思うけど貯水量がこれで十分なのだろう
もっと背の高い水門でもいいのではと思うけど貯水量がこれで十分なのだろう
大きな川の堰では比較的よく見る気がする
大きな川の堰では比較的よく見る気がする
水門の下で雨宿りができそうなほど奥行きが広い
水門の下で雨宿りができそうなほど奥行きが広い
巨大なダムも良いけれど堰もいい。多くの人目につく街中で、こんな無骨な施設を川に造って水を分けたり流したりしている、というシステムにドキドキする。

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