はっけんの水曜日 2016年1月13日
 

たい焼きが世界中で甘く冷たく拷問中

!
たい焼きにもし意思があるならばー、

今まさに彼らは暗黒時代の真っ只中だ。

世界各地で、とんでもない責め苦に遭っている。
1984年大阪出まれ、2011年からベトナム暮らし。日本から3600km離れた土地で、ダチョウに乗ったり、ドナルドのコスプレをしたり、札束風呂に入ったりしている。
> 個人サイト べとまる

たい焼きのアイス責め、たい焼きパフェ

かつて、毎日毎日僕らは鉄板の♪…と歌われたたい焼き。最終的に釣り人に食べられてしまう結末を迎えるのですが、海へ出て自由になった彼は、たい焼き界(?)では英雄として讃えられてきたことでしょう。

しかし、それから40年が経った今!

現代のたい焼きたちに出来るはずもなし!

何故なら…中世の魔女狩りのごとき拷問を受けるから!

それがこちら!
この二人ではなくて!
この二人ではなくて!
後ろのポスターにご注目!
後ろのポスターにご注目!
ななな、何だコレは〜!!
ななな、何だコレは〜!!
たい焼きが…「アイス責め」を受けている〜!!
たい焼きが…「アイス責め」を受けている〜!!
なお、魔女狩りの方は水で責められるこういうアレ(Wikipediaより)。
なお、魔女狩りの方は水で責められるこういうアレ(Wikipediaより)。
そもそもたい焼きは、最近になってベトナムでも見かけるようになったところ。寿司やうどんに次いで、ベトナムにもやって来たんだな〜と思っていたので、す、が!なんだか俺の知っているたい焼きじゃないぞ。

一体全体どういうことなのか、ご説明いたします。

実は日本発!ひっそりとアジア各地でブーム!

友人から「変な食べ物がある」と教えてもらったこのたい焼きパフェ(という呼称で統一します)。調べてみると、確認できた限りでも、韓国、台湾、シンガポール、などですでに定着しつつあるスタイルらしい。
Facebookでも尋常じゃない注目を集めている、5700いいね!て!
Facebookでも尋常じゃない注目を集めている、5700いいね!て!
ベトナムでは寿司にチリソースをかけたりうどんにパクチーを盛ったりと、その土地ならではのローカライズが為される訳だけど、ここまで来るとトッピングを通り越してもはや原型をとどめていない。とんでもないことをしてくれたな外国人〜!…と思うことなかれ。実はコレ、正真正銘の、日本発の食べ物なんです!

ここでさらに詳細を書いちゃってもいいんだけど、話が進めづらくなる事情があるので今はとりあえずこいつをいただいてみようじゃないか。ちゃんと最後に書くからさ。
入店します!
入店します!
普通の店内!
普通の店内!
メニュー!
メニュー!
たい焼きパフェは看板商品で、ほかに見た目普通のアイスクリームがあるようです。で、その看板の値段は6万ドン、おおよそ320円なので、ベトナムということを考えるとかなりお高め。日本人の感覚では1000円くらいかな。表参道でオシャレなスイーツを食べるくらいで考えてください。そのへんの知識が皆無だからこれ以上のボキャブラリーは出てこないよ、俺。

お味の方は…コメダ喫茶のシロノワールとちょっと近い!

注文から10分後、現物が運ばれて来た。
店員さん「お待た…」
店員さん「お待た…」
コロッ
店員さん「せーい!」私「ほぉー!」
店員さん「せーい!」私「ほぉー!」
いちごが落ちた!!
いちごが落ちた!!
いちごが落ちたぁー!!!!
いちごが落ちたぁー!!!!
私「いちごががが…!」店員さん「はい新しいの!」
私「いちごががが…!」店員さん「はい新しいの!」
ふぅ、あやうく都市一個壊滅するとこでした。
ふぅ、あやうく都市一個壊滅するとこでした。
で、とくとご覧あれ、これが「たい焼きパフェ」だ!
どどーん。
どどーん。
うん、垂れんの早くね?
いちごを落としたくだりも実際は三分もなかったはずだけど…まぁいい、とにかく溶けきる前に食べないと、クリームビチャビチャの手でカメラを持つことになってしまう。いただきます、ぱくっ、あっ。
これは一体型シロノワールだ。
名古屋発のコーヒーチェーン、コメダ喫茶の名物デザート・シロノワール。あれはデニッシュ生地の上にソフトクリームが乗ってあるので厳密には違うけど、「温かいものと冷たいものを組み合わせる」という点ではまさにシロノワール。コメダ喫茶については、先日尾張さんが記事にされていたので読んでほしい。
シロノワールのミニ版とも言っていい、ミニチョコノワール。
シロノワールのミニ版とも言っていい、ミニチョコノワール。
何がどう「一体型」だというのかというと、このたい焼きパフェはシロノワールと違って、ソフトクリームをそのまま温かいたい焼きで包んでいる。それゆえ全方位から熱を与えることになり、溶けるスピードがとんでもなく早いのだ。

ちなみに、ソフトクリームの味はかなり美味しい。かなりと言っても日本では平均的な味かもしれないけど、しばしばクラッシュアイスを混ぜ込み薄かったりバターぽかったりするベトナムにおいては、誉められるレベルに達してる。

肝心のたい焼きについては、現地在住者に対しては「路上でおばちゃんが焼いてるレベル」と言えば分かると思うのですが、つまりはパリッと薄めの安っぽい味という印象です。
と、あーだこーだ言っている間にも!
と、あーだこーだ言っている間にも!
溶ける溶ける!
溶ける溶ける!
処理に追われているうちにソフトクリームだけ終了してしまった。
処理に追われているうちにソフトクリームだけ終了してしまった。
友「めちゃくちゃ垂れてるじゃないですか!」
私「いや君らも結構なもんだよ」
二人「そうですか?」
二人「そうですか?」
私「うん」
私「うん」
どうやらこのたい焼きパフェを食べる以上、垂れてくるクリームをなんとかするということは前提らしい。
カップがセットになっている理由はそういうことか。
カップがセットになっている理由はそういうことか。
あとは文字通りの消化試合です。
あとは文字通りの消化試合です。
尻尾には予想外にもクリームチーズが入っていた。
尻尾には予想外にもクリームチーズが入っていた。
最終的に、拷問以上に残酷な絵面になりましたね!
最終的に、拷問以上に残酷な絵面になりましたね!

そもそもベトナム人は、たい焼きを知っているのか?

と、ここまでたい焼きパフェをお伝えした訳ですが、そもそもベトナム人ってたい焼きを知っているのでしょうか?以前歩き売りしているところは見かけましたが、だからといってみんな知っていると限りません。

それもあってベトナム人の友人を呼んだんだ!
ユエンさ〜ん!
!
私「ほかのお客さんに聞いてみてくれない?」ユ「無理です」

え!

私「なに、どういうこと!とりあえず謝るよ!?」
ユ「いや、違います、あのですね…」
ユ「彼女たち、ベトナム人じゃないです」私「何だって!」
ユ「彼女たち、ベトナム人じゃないです」私「何だって!」
ユ「中国人か、台湾人だと思います」
私「あ、ほんと、よく聞くとベトナム語じゃない…」


実は彼女たちに限らず、その前に入っていたお客さんの会話からも中国語らしき声が聴こえていた。ここ、もしかして、ベトナム人のお客さんが少数なのかな。
それならばと店員さんに聞きますよ。
それならばと店員さんに聞きますよ。
私「ここ、ベトナム人のお客さんは来ないの?」
店員さんA「そんなことないよ、今はいないけど」

私「さっきそこにいたお客さんは中国か台湾の人だったけど、お客さんの国籍の比率はどれくらい?」
店員さんA「7割くらいがベトナム人で、3割くらいは中国か台湾…あ、それに加えて韓国かな〜」

へー、自国じゃメジャーな食べ物なのかもしれんな。日本生まれなのに日本人があまり来ていない(知らない)というのも不思議な話だ。学生が好きそうだから、留学生人口の違いもあるのかもしれないけど…。

私「じゃあさ、ベトナムの人のどれくらいが、『たい焼き』を知ってると思う?」
店員さんA「え、何?」
私「いや、たい焼きを…」
店員さんA「たい焼き??」
私「え!?」
たい焼き、知らないの!?
店員さんB「あー、わたし食べたことあるよ!」
私「え、三人いて君だけなの!?」
店員さんB「うん、私だけ」

たい焼きパフェを売りつつ、たい焼きそのものを食べたことがある(知っている)子は一人だけなのか…!

私「じゃ、じゃあ、鯛は知ってる?たい焼きの鯛」
店員さんB「え、何?」
私「いや、鯛を…」
店員さんB「鯛??」
私「え!?」
鯛、知らないの!?
私「待って!あれ魚ってことは分かってるよね?」
店員さんB「当たり前じゃん」
私「じゃあ…何の魚だと思ってるの?」
店員さんB「鯉(こい)じゃないの??」
鯉(こい)!?
私「店先のポスターに『鯛』って書いてるやん!」
店員さんたち「いやいや、読めないし…」
私「ははぁーん、そう来たかぁー!!」

衝撃!ベトナムでたい焼きはこい焼きと認識されていた!

皆さん、衝撃の事実です。

ベトナムでは何と、たい焼きのモデルの魚は、鯛ではなく鯉になっていました(あくまで一意見ですが)。

でも、あとから考えてみれば確かに納得。何故ならベトナムでは圧倒的に、海水魚より淡水魚を食べるから(実際に鯉もよく食べます)。さらにユエンさんによると、北部と中部ではいくらか鯛も水揚げされるが、南部ではあまり獲れないため、馴染みの無い魚なのではないかということでした。はぁー、感心。

ま、いずれにせよ。
ありがとうございました!
ありがとうございました!
私「あれ、手のサイン、なんで変えたの?」
店員さん「あ、店名がLからはじまるから」

そっか。

いつか日本でオリジナルを食べてみたい

紹介しづらくなるのであえて最後まで触れなかったのですが、どうやら2010年に幕張でオープンした「鯛パフェ」というお店が、このブームの源流…というよりオリジナルのようです。きっと、店舗展開の過程で、国内外ともに類似品がふえていったーといったところですね。

今回のたい焼きパフェの感想は、本文でも触れている通り「めちゃくちゃ美味いほどでもないし何より食べ辛い」といったところなのですが、オリジナルの写真を見る限りだと、たい焼きが丸く包み込むようになっていて厚みもあるようです。今度帰国したときに食べてみようと思います。

それにしても、この世界でのウケっぷり、このスタイルもいずれは寿司やラーメンのように定番の日本食のひとつとなりそうです。もしかしたら我々は、新たなクールジャパンが誕生する瞬間に立ち会っているのかもしれませんね。
ところで、客席にブレーカーは危ないんじゃないか。
ところで、客席にブレーカーは危ないんじゃないか。
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