ちしきの金曜日 2016年1月15日
 

ヒツジ肉が美味しくて俺たちのヒツジ年は終わらない

ヒツジが美味しいので、2016年もヒツジ年です!
ヒツジが美味しいので、2016年もヒツジ年です!
2016年になった。干支も「ヒツジ年」から「サル年」になり、年賀状を見れば、サルだらけ。右を見てもウッキー、左を見てもウッキーなのだ。しかし、2015年から聞こえるメェーの声を忘れてはならない。

今年も引き続き「ヒツジ年」なのだ。それはなぜか、ヒツジ肉が美味しいからだ。肉と言えば、牛、豚、鶏を思い浮かべるが、ヒツジも忘れてはならないのだ。ヒツジ肉が美味しすぎるのだ。
1985年福岡生まれ。思い立ったが吉日で行動しています。地味なファッションと言われることが多いので、派手なメガネを買おうと思っています。
> 個人サイト Web独り者 彼女がいる風の地主恵亮

サル? いやヒツジだ

干支は毎年変わる。2015年はヒツジ年で、2016年の今年はサル年ということになる。ただ私はそれを認めない。ヒツジ年の次はサルではなく、またヒツジなのだ。サル年などというものは存在しないのだ。
サルを認めません!
サルを認めません!
なぜかというと、ヒツジ肉が美味しいからだ。日本の場合、肉と言えば、牛か豚か鶏ということになるけれど、ヒツジ肉もまた美味なのだ。というか、日本のヒツジ肉は幻のレベルなのだ。
ということで、羊肉を求めて、長野に来ました!
ということで、羊肉を求めて、長野に来ました!
日本にいるヒツジは約2万頭。東京ドームをいっぱいにできない数しかいないのである。それだけ食べる人が少ないということになるし、流通する多くは海外のヒツジ肉というのが現状だ。そんな貴重な日本のヒツジ肉の産地のひとつが長野の信州新町である。
長野県の信州新町はヒツジ肉で有名!
長野県の信州新町はヒツジ肉で有名!

ヒツジの街「信州新町」

長野県にある信州新町はヒツジの街として有名だ。ジンギスカンを出すお店が並ぶ「ジンギスカン街道」なるものもこの街には存在する。今回は信州新町で、ヒツジ農家を目指している「小寺章洋」さんに案内してもらった。
来年度からヒツジ農家を始める小寺章洋さん(25歳)
来年度からヒツジ農家を始める小寺章洋さん(25歳)
信州新町には大規模なヒツジ農家が一件しかなく、そこで繁殖と肥育(肉になるヒツジを育てる)をしている。他は小規模で繁殖としてヒツジを数匹しか育てていないため、ヒツジ不足が起こっている。そこで小寺さんのような若い人を呼び、中規模なヒツジ農家を作ることに力をいれているそうだ。
信州新町は静かな街です!
信州新町は静かな街です!
ヒツジの頭数が豚や牛と違い少ないのには理由がある。豚は一度に何頭もの子豚を産むけれど、ヒツジは基本的に年1頭しか産まない。牛も基本的に一頭だけれど、発情期が季節に関係なく来る。一方、ヒツジは秋に一度だけ。農家が増えなければ、ヒツジの頭数が増えることはないのである。
性欲があまりないヒツジ
性欲があまりないヒツジ

ヒツジと触れ合う

小寺さんと同じタイミングで信州新町にやってきた「島田裕生」さんは、すでにヒツジを購入して、ヒツジ農家を始めているということで訪ねた。空気が綺麗すぎる場所にあり、日本なのかな、となる場所でヒツジを飼っている。
島田裕生さんと、
島田裕生さんと、
ヒツジたち!(私のところにこない!)
ヒツジたち!(私のところにこない!)
島田裕生さんの軽トラの音がするとヒツジたちが鳴き始める。可愛がられている証拠だろう。ヒツジ舎に入り、手を広げると、ヒツジたちは同じように手を広げる私ではなく、島田さんの元へ一目散。握手会で人気のないアイドルの気持ちを理解した。
ヒツジの品種は「サフォーク」
ヒツジの品種は「サフォーク」
ヒツジと言われて思い浮かべるのは顔が白いものだと思う。これはコリデールやボールドセットという品種で、基本的にはめん羊のヒツジである。一方、信州新町で飼われているのは顔が黒い「サフォーク」というもの。肉用のヒツジだ。
これはコリデール(めん羊種)で、
これはコリデール(めん羊種)で、
これがサフォーク(肉用)
これがサフォーク(肉用)
サフォークは肉用に改良品種された羊で脂が多く、美味しい。逆に毛は春に刈るけれど、肉同様に脂っぽく羊毛として使うのには適してない。畑に肥料として混ぜたりして使っているそうだ。ただ肉は美味しい。
このヒツジ舎は島田さんの手作り!
このヒツジ舎は島田さんの手作り!
島田さんはサフォークのメスを繁殖用に飼っている。ここで生まれたものを売りに行くのだ。オスとメスでは肉としての味は変わらないけれど、値段が異なる。メスは子供を産むので高く売れ、手元に残して繁殖に使ってもいい。全国的にメス不足で高く売れるそうだ。
いい眺め!
いい眺め!

肥育を見る

島田さんはもともと横浜出身で、不動産業から転身して、今は繁殖を行うヒツジ農家である。そんな繁殖の農場で生まれたヒツジを買うのが肥育を行う牧場である。ここで肉用として育てるのだ。
肥育のヒツジ舎
肥育のヒツジ舎
ヒツジといえば放牧を想像するけれど、信州新町ではあまり放牧を行っていない。理由はいくつかあるけれど、その一つに肉の臭みの問題がある。緑色の草を食べることで肉は臭みを出す。枯れた草だと臭みが出ない。放牧を行わず、ヒツジ舎で飼育することで餌を管理できて、美味しい肉を作ることができるのだ。
肥育は信州新町唯一の大規模農家の峯村さんが行っている
肥育は信州新町唯一の大規模農家の峯村さんが行っている
ヒツジ肉はラムとマトンに分けることができる。肉になった年齢の問題で、1年未満のものが「ラム」で、それ以外が「マトン」となる。ラムがもっとも臭みがないが、小さいので肉の量が少なく、逆に臭みがなさすぎてヒツジ好きには物足りなく感じるそうだ。
環境がいいところで育てられている(ここは峯村さんの繁殖舎)
環境がいいところで育てられている(ここは峯村さんの繁殖舎)
マトンになると取れる肉量も増えるが、臭みが増す。その臭みを適度にするのが肥育のポイントだ。餌にこだわり、環境にもこだわる必要があるが、企業秘密らしい。一部では信州新町のヒツジは世界一美味しく、黒毛和牛にも負けない味わいに「黒毛和羊」とも呼ばれている。
ヒツジ舎が全く臭くないのにも驚く。俺の家の方が臭い気がする!
ヒツジ舎が全く臭くないのにも驚く。俺の家の方が臭い気がする!

幻のヒツジたち

信州新町で出荷するヒツジの数は年間200頭ほど。圧倒的に少ない。そのため、信州新町にはジンギスカンのお店が多いが、ほとんとが海外のヒツジ肉で、信州新町産を食べられるのは一店だけ。幻のような肉なのだ。
信州新町のヒツジを食べられる「さぎり荘」
信州新町のヒツジを食べられる「さぎり荘」
そもそも信州新町のヒツジ飼育は昭和5年に始まった。最初はめん羊としてのヒツジで、昭和20年代の後半には4000頭ものヒツジがいた。めん羊のヒツジは肉に臭みがあるので、タレに漬け込む「ジンギスカン」が生まれ、それが今も続いている。タレはお店ごとに、家ごとに異なる。サフォークが育てられるようになったのは昭和57年のことだ。
ジンギスカン定食とサフォークのスライスを頼みました!
ジンギスカン定食とサフォークのスライスを頼みました!
信州新町のヒツジを食べることは地元の人でもあまりないけれど、ジンギスカンを食べる習慣はあり、スーパーに行くと、ジンギスカンコーナーが、ワンピースの新刊発売日の本屋の棚くらいに賑わっている。
スーパーのジンギスカンコーナーが、
スーパーのジンギスカンコーナーが、
賑わっている(スーパーごとにタレが違う)
賑わっている(スーパーごとにタレが違う)
私もヒツジ肉を食べることは少なく、サル年でいいと思っていた。2015年ですらヒツジを意識したことはなかった。しかし、食べるとそれは間違ったことだと気がつくのだ。美味しいのだ。臭みはないのだ。2015年も2016年もヒツジ年なのだ。
焼いて、
焼いて、
食べる!
食べる!
美味しい!
美味しい!
まずはサフォークのスライスを食べた。塩で食べたのだけど、臭みはなく、脂が乗っており美味しい。美味い肉のお約束「甘く香ばしい脂」である。もちろん多少の癖を感じるがそれはむしろプラスだ。泣きぼくろ、みたいな可愛さの癖なのだ。あれかわいいじゃん、それと一緒だ。
ジンギスカンも、
ジンギスカンも、
美味しい!
美味しい!
隣で食べる小寺さんに「ありがとう」と言ってしまった。案内に対するありがとうではなく、美味しいヒツジに対してのありがとうだ。幻と言われる理由がわかる美味しさだ。牛、豚、鶏、ヒツジでスーパーに普通に並んでもいいような美味しさだった。問題は頭数が少なく、あまり流通していないことだけど。ぜひ増やして欲しい。
本当に美味しかった!
本当に美味しかった!

毎年がヒツジ年で!

私はウシ年生まれなので、牛だ! と思っていたけれど、信州新町でヒツジを食べたら、ヒツジ年の大切さを知ることができた。日本のヒツジはほとんどが北海道だそうだけれど、信州新町のヒツジが日本一と言われるのが理解できた。美味しいのだ、もっと食べたいとなるのだ。小寺さんや島田さんにヒツジの繁殖の底上げをしてもらい、流通が増えればと思う。
ジンギスカンのタレは甘口と辛口がある
ジンギスカンのタレは甘口と辛口がある
取材協力
信州新町観光協会
http://shin-machi.com/index.html

信州不動温泉 さぎり荘
http://www.sagirisou.com/
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