インターネットの牡蠣まつり 2016年2月3日
 

「ホームで食べる牡蠣」に行ったら想像以上の場所だった

貝が口を開けてきただけでなぜ人はこんなに笑顔になるのか。
貝が口を開けてきただけでなぜ人はこんなに笑顔になるのか。
牡蠣と旅で何か書いてくださいということになって、真っ先に思い浮かんだのはあの風景だ。確か駅の中、それもホームとホームをつなぐ跨線橋のあのスペースで、皆がテーブルの上で牡蠣を焼いていたのをテレビで見たことがある。あそこに行きたい。もう、あそこしかない。

(この記事はとくべつ企画「インターネットの牡蠣まつり」シリーズのうちの1本です。)
1970年群馬県生まれ。工作をしがちなため、各種素材や工具や作品で家が手狭になってきた。一生手狭なんだろう。出したものを片付けないからでもある。性格も雑だ。もう一生こうなんだろう。

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遠いようで近い、近いようで遠い、能登へ―

「テレビで放送されてたんで、皆知ってますよね…えへへ」という感じで編集部・古賀さんに打診したところ、あまりテレビを見ない古賀さんはかなり食いついてきた。そうだ、テレビで紹介済みだっていいじゃないか。あの異様な「駅ナカ」で、ぜひ焼き牡蠣をつつきたいじゃないか。

すんなり企画は通ったが、行くのはそんなにすんなりではない。その駅ナカの橋の上で牡蠣が食べられるという「穴水駅ホームあつあつ亭」は、のと鉄道の北端の駅でのイベントだ。東京からは北陸新幹線で金沢に行き、そこから特急で七尾駅に出て、またそこでのと鉄道に乗り換えて終点まで行かねばならない。
七尾駅で古賀さんと待ち合わせて、JRからのと鉄道に乗り換え。ここで観光列車に乗ることになります。
七尾駅で古賀さんと待ち合わせて、JRからのと鉄道に乗り換え。ここで観光列車に乗ることになります。
乗り換え口での観光列車切符売り場で駅員さんの心づくしのチョコレートに出会う。こういうの大好き。
乗り換え口での観光列車切符売り場で駅員さんの心づくしのチョコレートに出会う。こういうの大好き。
この「穴水駅ホームあつあつ亭」という、字面だけでもなんとも魅力的な牡蠣炭火焼き店で確実に食事をするためには、まずは電話で予約をせねばならない。しかも予約は、観光列車「のと里山里海」1、3、4号に乗る方限定なのである。

この列車に乗らなくても食事は可能だが、予約はできない。よって当日行って順番を待たねばならず、下手したらもう今日は満員で…ということになる。条件次第ではエルドラド級の牡蠣イベントなのである。
駅員さん出演の宣伝ポスターの表情で、またお客がどんどん集まっていると思われる。もう今年の優勝はこの顔で決定。
駅員さん出演の宣伝ポスターの表情で、またお客がどんどん集まっていると思われる。もう今年の優勝はこの顔で決定。
というわけでこの列車とあつあつ亭での食事の予約を電話で済ませて、ここ七尾駅までやってきたわけだ。

前置きが長くなったが、牡蠣登場までまだまだ伸ばすつもりである。なかなか牡蠣までたどり着かない気分を皆さんも味わいたまえよ。

まずは乗り込もう。
予想以上にピカピカの列車にうれしい悲鳴。
予想以上にピカピカの列車にうれしい悲鳴。
予約云々に必死だったため、ここまでの列車だとは乗って初めて知りました。
予約云々に必死だったため、ここまでの列車だとは乗って初めて知りました。
能登の物産をうつくしく展示。
能登の物産をうつくしく展示。
組子細工で観光列車気分が増す。イルカは伏線。
組子細工で観光列車気分が増す。イルカは伏線。
この時点で普通に盛り上がって撮った一枚。なぜ決め顔が正反対なのかは謎。
この時点で普通に盛り上がって撮った一枚。なぜ決め顔が正反対なのかは謎。
アテンダントの、落ち着いた淑女風の名所案内が流れる。名調子かと思いきや、途中で言葉を間違えたと見えて自分で突っ込んで大笑いしていて、思わずこっちがずっこけた。

この取材はきっと成功する。そんな予感がしてきた。
車窓からの町並み。瓦屋根が揃い、色数が少なくて、遠いところに来た!という気分が盛り上がる。
車窓からの町並み。瓦屋根が揃い、色数が少なくて、遠いところに来た!という気分が盛り上がる。
途中、イルカの棲む湾があり、運が良ければ目の前でジャンプするとの熱い説明。社員の撮影した熱いイルカ写真ホルダーが客席に回されたが、古賀さん容赦なく「遠くからだとイルカもネッシーっぽいですね」
途中、イルカの棲む湾があり、運が良ければ目の前でジャンプするとの熱い説明。社員の撮影した熱いイルカ写真ホルダーが客席に回されたが、古賀さん容赦なく「遠くからだとイルカもネッシーっぽいですね」
七尾を発つときは晴れていたが、北上するにつれてどんどん曇り空に。これはこれで能登!って雰囲気がひしひしと。
七尾を発つときは晴れていたが、北上するにつれてどんどん曇り空に。これはこれで能登!って雰囲気がひしひしと。
遠くに牡蠣棚が浮いているのが見える。あれが、あと少しで私らの腹に…と皆きっと思ってる。
遠くに牡蠣棚が浮いているのが見える。あれが、あと少しで私らの腹に…と皆きっと思ってる。
先ほどからの、淑女風案内の声が一段と高くなった。

「さあ、皆様、最後のビューポイントといたしまして、この先のトンネルでは輝くイルミネーションが皆様を歓迎いたします。どうぞ、お見逃しなきよう!」

車内がだんだん暗くなり、ついにトンネルの中へ。

私はカメラを用意するのに手こずって、光のシャワーしか見えなかった。古賀さんは最初から目撃できたらしく、満面の笑みで「今、“よ う こ そ”って書いてあった!」と報告したあと、その場に崩れ落ちた。
の と へ。
の と へ。
「よ う こ そ」の「よ」。
「よ う こ そ」の「よ」。
いいぞ、いい。

旅はなんてったって、こういう「来ないとわからないこと」を掬い取るのが一番楽しい。心づくしの「よ う こ そ」、最高である。

さらにダメ押しのアナウンスが響いた。

「穴水駅のあつあつ亭では、この列車ご利用の上、セット(※私らも注文予定)をご注文の皆様には、焼き牡蠣を通常7個のところ…」

ほう、あのセットには7個も焼き牡蠣がついてたのか〜。

「7個のところ、2つプラスで9個ついてまいります!」

えええっ!!??
7個じゃなく9個!?の瞬間の顔を再現してもらった。主催者が見たら飛んできて抱きしめてくれることだろう。
7個じゃなく9個!?の瞬間の顔を再現してもらった。主催者が見たら飛んできて抱きしめてくれることだろう。
言うまでもなく、普通に考えたら7個だってたいしたものである。地の牡蠣が7個、泣いて喜ぶ段だ、それが9個も。お腹も空いてきたとはいえ、私たち、このあとどうなってしまうのだろうか。

再び崩れ落ちた2人をそのままに、列車は穴水駅へ到着した。

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