特集 2016年2月12日

迷路の街で道に迷うと夢みたいな展開になる

街が迷路の須坂市を歩きます!
街が迷路の須坂市を歩きます!
京都や札幌は碁盤目状の街づくりが成されていて、迷いにくい街と言える。街を作る時は、都市計画というものがあり、しっかりとした迷いにくい街が作られるのだ。

逆に都市計画が間に合わず、好き放題に作っちゃったパターンもある。そういう街は、迷路のようになっている。長野県須坂市がまさにそれだ。ということで、須坂で迷ってみようと思う。
1985年福岡生まれ。思い立ったが吉日で行動しています。地味なファッションと言われることが多いので、派手なメガネを買おうと思っています。(動画インタビュー)

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迷路の街

昔はいろいろな場所に「巨大迷路」というアトラクションがあった。千葉県にあったバブルの象徴と言われた室内スキー場「ザウス」も、その前は巨大迷路だった。今はあまり聞かないけれど、人は巨大迷路が好きなのだ。
ということで、長野県・須坂にきました!
ということで、長野県・須坂にきました!
長野県須坂市、かつては製糸業で栄えた街だ。別にここに巨大迷路があるわけではない。いや、あるのだけれど、アトラクション的に作られた巨大迷路ではない。この街全体が巨大迷路なのだ。
書いてあるから間違いない!
書いてあるから間違いない!
地元の方に話を聞くと、「別に迷わないけどね」と言いつつも、「初めてだと迷うよね、だいたい駅につながる道も、一本じゃなくて複数あるし、まっすぐの道だと思って歩いていても、緩やかなカーブでいつのまにか向かっている方位が逆になったりね」と教えてくれた。
そう、ややこしい街なんです!
そう、ややこしい街なんです!

夢みたいな街

巨大迷路をしたことがなかったので、ぜひ巨大迷路で迷ってみたいと思っていた。そう思い街を歩くと道に選択肢が多くて困る。バブル時代の就活生くらい選択肢があるのだ。迷うのだ。
五叉路!
五叉路!
わかりにくいけど、ここもかなり複雑!
わかりにくいけど、ここもかなり複雑!
交差点での選択肢が多い。自分がどっちに行きたいのか、何を目指しているのか、強い意志がなければ迷う。これもやはり就活生にも言える。自分が何をしたいのか、そいうことなのだ。須坂でそんなことを思った。
こういうややこしさもある(飲食店ではなく、文具屋さん)
こういうややこしさもある(飲食店ではなく、文具屋さん)
そもそも須坂は昭和初期に製糸業で急速に都市化してしまい、都市計画が完成する前に、都市化をしてしまった。その結果、法則性がなく、選択肢の多い、このような街になってしまったそうだ。寝ている時に見る夢って法則性がなかったりするので、須坂はある意味、夢の街かもしれない。
方位磁石を持って歩きました!
方位磁石を持って歩きました!

夢の街・須坂

そんな須坂で迷わないように、なんとなく方位磁石を持って歩いた。方位さえ分かっていれば迷わないのだ。大学卒業を卒業したあの春の時のようには、私は迷わないのだ。就活に失敗したあの頃にようにはならないのだ。
迷ったね
迷ったね
須坂市動物園を目指して歩いていたのだけれど、持ち前の方向音痴が出て見事に迷った。細い道が多く、物語が始まりそう、と猫を追いかけた月島雫並みのポエミーさが邪魔をして、率先して細い道を進み、見事に迷子となった。
到着しました!
到着しました!
そもそもバスがあったのに、乗らずに歩いたのが間違いだったけれど、須坂市動物園に到着した。こちらの動物園では動物が温泉に入っているそうだ。また夢みたいだ。動物が温泉に入るとか、明け方頃の夢っぽい。
本当に、
本当に、
入ってました!
入ってました!
11月から4月の終わり頃までの期間限定で、カピバラが温泉に入るそうだ。とても気持ち良さそうにしている。鼻だけだして、うっとりしている。誰かにこの話をしたら信じてくれるだろうか。「道に迷って、行き着いた先でカピバラが温泉に入ってんの」。夢だ。
気持ち良さそう!
気持ち良さそう!
足は頑張っているっぽい!
足は頑張っているっぽい!

夢の味噌グルメ

須坂は味噌で有名。寒暖の差が激しいので美味しい味噌ができるそうだ。そんな味噌を使った名物がある。「みそすき丼」である。すき焼きは基本的に醤油味だと思うけれど、それを味噌にして、ご飯に乗っているのだ。
迷いながら、
迷いながら、
松葉屋そば店に来ました!(長野県須坂市須坂常盤町702)
松葉屋そば店に来ました!(長野県須坂市須坂常盤町702)
みそすき丼は須坂のいくつかのお店で提供されていて、お店ごとに工夫がなされている。運ばれてきたみそすき丼を見て、間違いないね、と思った。香りからして美味しそう。迷ってここに到着した甲斐があった。
みそすき丼です!
みそすき丼です!
味噌の甘みがすき焼き本来の甘さと相まって、ご飯に合う。真実の愛がもしこの世にあるとすれば、味噌とすき焼きだと思う。しかし、そこにご飯もあるので三角関係っぽくて真実の愛とは言いにくい。ただ美味しいのだ。
めちゃくちゃ美味しい!
めちゃくちゃ美味しい!
ただこれも夢っぽい。「道に迷って、行き着いた先で食べたのが、みそすき丼ってやつでさぁ、本来すき焼きって醤油じゃん、あれが味噌で、しかもご飯に乗ってるの」と言うと、夢の話みたいで、信じてもらえなさそう。ただ本当にあるし、美味しいのだ。
さらに夢っぽい、みそすきカレーもあった!
さらに夢っぽい、みそすきカレーもあった!

迷いの街

途中で歩き疲れたのでバスに乗った。すると私の体は右へ、左へと何度も揺れた。曲がり角が多くて、バスが頻繁に右か左に曲がっているのだ。街が入り組んでいる証拠なのではないだろうか。
ここも驚いた!
ここも驚いた!
街を歩いていると「須坂ショッピングセンター」があった。入り口の外観を見る限り、そこまで大きくはないのかな、と思った。高い建物でもないし、近所の少し大きなスーパーくらいのつもりで中に入った。
奥に広いの!
奥に広いの!
探偵映画に出てきそうなの!
探偵映画に出てきそうなの!
いろいろなお店が入っている建物だった。正面からはわからなかったけれど、奥に広く、横から見ると、歪な形をしていた。二階からは居住区になっているようで、住みたいと思った。調べてみると昭和44年にできて、史跡となっていた。
大きい!
大きい!
これも迷路みたいだった。そして、やっぱり夢みたいだ。「道に迷って、ショッピングセンターに入ったら、見た目に反して奥に広くて、上には人が住んでるの。今では史跡らしいんだ」である。夢だ。というか、話の最初に「道に迷って」をつけると大体夢見たいになる気がする。
須坂は、その「道に迷って」を実現させてくれる街でした!
須坂は、その「道に迷って」を実現させてくれる街でした!

須坂で迷え

迷える子羊だけにはならないようにしよう、と心がけてきたけれど、須坂では見事に迷ってしまった。途中から方位磁石じゃ分からなくて、スマホの地図を見ていた。思っている場所に出ないのだ。ただ迷う楽しみを知った。人生では迷いたくないけど、街で迷うのは楽しいのだ。
駅も迷わせに来ている気がする!
駅も迷わせに来ている気がする!
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