特集 2016年3月1日

沖縄のカツ丼の具材が多い

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沖縄のカツ丼はひと味もふた味も違う。大きな違いは沖縄県外のカツ丼は卵、タマネギが入っているくらいというシンプルな構成なのに対し、「沖縄のカツ丼は入っている野菜が多い」という点があげられます。

この差異がどこから来るモノなのかは不明ですが、内地でカツ丼を食べ慣れた人からすると沖縄のカツ丼には若干の違和感を感じるかもしれません。

以前ライター小野さんもかつ丼のアレンジ版を取材していますが、そんなうちなーカツ丼の傾向を探るべく、沖縄の大衆食堂のカツ丼を食べ歩き「一番具材が多いカツ丼」を出すお店がどこなのか探してみようと思います。

それではうちなーカツ丼の世界をご堪能下さいませ。
沖縄B級ポータルDEEokinawaです。沖縄のおもしろネタを平日毎日更新しています。

前の記事:沖縄に降る雪が見たい


きょんたろう食堂(那覇市):閉店

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一件目は那覇市にかつてあった「きょんたろう食堂」。2015年12月30日に惜しまれながら閉店しましたが、閉店前に取材に行った時にたまたまカツ丼を食べたのでご紹介したいと思います。
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在りし日の店内。昼間は多くのお客さんが訪れる有名な大衆食堂でした。
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さて、こちらがきょんたろう食堂のカツ丼(550円)。
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きょんたろう食堂のカツ丼の具材は玉ネギ・ニンジン・玉子・カツ・小ネギの5品。

割とオーソドックスなカツ丼スタイルですが、注目頂きたいのは玉ネギの量。主役のカツを覆い隠すくらい沢山はいっており、細切りのニンジンが華を添えます。玉子でカツをとじたというよりも具材に玉子を落とし入れたようなビジュアルです。

きょんたろう食堂の具材数:5品

みどり屋食堂(宜野湾市)

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宜野湾市の図書館近くにあるみどり屋食堂。カレールーを使わない昔ながらの黄色いカレーが有名らしいです。
店内
店内
メニュー
メニュー
メニューを見てみると沖縄の老舗大衆食堂にありがちな「ちゃんぽん」、「みそ汁」、「煮つけ」などのメニューが並びます。カツ丼は700円。
衝撃のビジュアル
衝撃のビジュアル
オーダーして出てきたカツ丼がこちら。一般的なカツ丼の概念をひっくり返す、まさかの「卵とからめた野菜の上にカツが乗っている」という斬新なスタイルです。

カツ丼と一緒にトンカツソースも出てきたので、完全に卵・野菜のレイヤーとカツのレイヤーは独立した扱いになっているようです。

それでは野菜層の具材を見ていきましょう。
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みどり屋食堂の具材はもやし・ニンジン・キャベツ・玉ネギ・青菜、そしてカツ・玉子の7品。かなりの具材数を誇ります。これご飯の上にちゃんぽんが乗ってて、その上にカツを乗せた料理なんじゃないでしょうか。気になる味ですが、パリパリのカツを野菜と玉子と合わせてご飯と食べるとこれはこれで美味!なんだか2品料理を食べてるみたいな気分になりますが、カツ丼のふにゃふにゃしたカツが苦手な人でもおいしく食べられる一品となっております。

みどり屋食堂の具材数:7品

いけだ食堂(与那原町)

与那原町東浜にあるいけだ食堂。元々は西原町池田にあったのですが、数年前に移転してきました。
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注文は券売機制。厨房ではおばちゃんたちが忙しく働いています。
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しばらくして運ばれてきたカツ丼。ミニそば付き。
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気になる品目数を見てみましょう。
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具はスタンダードに玉ねぎのみ。
沖縄カツ丼としては具の種類はかなり少ないほう。上にニラがのっているのは珍しいのでは。
ということで、いけだ食堂の具材はカツ・玉子・玉ネギ・ニラの4品目。

いけだ食堂の具材数:4品

やんばる食堂(那覇市)

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やんばる食堂は那覇市の沖縄大学の目の前にある24時間営業している食堂。 那覇にあるのにやんばるという名前がつくのは、オーナーがやんばる出身だからだそうです。
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第1回メニューが多い選手権でも登場したメニューの多いお店です。
約80品のメニューの中、カツ丼は600円と値段としては真ん中ぐらい。
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そしてこちらがやんばる食堂のカツ丼。小さな沖縄そばもついてます。
具材はたまねぎ・にんじん・レタス、そしてカツに卵と5品。
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メニューが多いだけあって、他のメニューにも使えそうな具材が多い感じですね。
ホームページでは全メニューが写真付きで見られますよ。

やんばる食堂の具材数:5品

ハイウェイドライブイン(沖縄市)

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続いて沖縄市にあるハイウェイドライブイン。DEEokinawaの記事では「ABCランチの違いを考える」や「おかずの旅」「チャプスイとは何か」など過去の記事でもたびたび登場しております。沖縄市の美里にありましたが、区画整理の一環で移転。今は沖縄市登川に店舗があります。
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ハイウェイドライブインのカツ丼は600円。ちなみに上のチャプスイ・ライスは中華丼みたいな料理です。
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オーダーするとまず出てくるのがクリームスープ。カツ丼についてくる汁物としては違和感しかありません。
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そして出てきたカツ丼。蓋を開けてみると…
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こんな感じです。
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ハイウェイドライブインのカツ丼はご飯の上にカツが乗って、その上に野菜の卵とじが乗せられているというカツ・野菜独立スタイル。先に出てきたみどり屋食堂もそうでした。
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それでは具材数を調べてみましょう。ハイウェイドライブインのカツ丼の具材はモヤシ・ニンジン・ピーマン・玉ネギ・白菜・青菜・キャベツ。それに玉子とカツの9品目で構成されています。

揚げたてのやわらかなカツに上の野菜層からしたたり落ちる汁が絡んでご飯によく合います。カツ丼でこれだけ野菜がとれたらかなり健康的なんじゃないでしょうか(ボリュームがすごいけど)。

ハイウェイドライブインの具材数:9品

一番具材の多い店は9品目

というわけでうちなーカツ丼の具材について調べてみましたが、現段階で暫定1位は沖縄市のハイウェイドライブインの9品目。ハイウェイドライブインについてはキャベツが白菜の青い部分なんじゃないかという疑惑もあったのですが、それを抜いても8品目で最多を誇りました。

とりあえず5店舗のカツ丼を食べてみましたが、まだまだ沖縄の大衆食堂には多くのカツ丼があるはず。「ここの店のカツ丼は具がめっちゃはいってる」という店を調べて調査を進めていこうと思います。

ところで沖縄のカツ丼の傾向を見ていくと内地のカツ丼とは異なり、カツに汁大目の野菜炒めを乗せたものをカツ丼として出している店がちらほう見られます。
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沖縄の大衆食堂のメニューには野菜炒めを玉子でとじて、ご飯の上に乗せた「ちゃんぽん」という料理が存在します。

ひょっとしたら沖縄のカツ丼は内地のカツ丼とはルーツが全く異なり、ご飯にカツと野菜炒めを乗せたものがあって、そこから野菜が多いカツ丼が生まれたのではないか、とも思われます。このあたりのルーツ的な話もカツ丼をじゃんじゃん食べていくことによって見えてくるのではないかと思うのでこのあたりももっと調べてみたいところです。

沖縄で一番具材の多いカツ丼は何品目くらいなのか、このカツ丼のルーツはどこから来たのか、続報に乞うご期待下さい。

というわけで編集部でひたすらカツ丼を食べ続けたわけですが、どのカツ丼もボリュームがすごかったのでなかなか調査が進まない日々でした。

余談ですが、沖縄のカツ丼弁当の付け合わせは高確率で福神漬けが入っている気がします。これについてもぜひ統計を取ってみたい所存です。
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