ロマンの木曜日 2016年3月10日
 

人生初バーテンダー体験

若干手が震えておりますよ
若干手が震えておりますよ
お酒は好きだが、これまでカウンターの中、つまり「提供する」側に回ったことはない。大学時代に「養老乃瀧」でバイトを始めたが、大きな声で「いらっしゃいませ!」と言えず、すぐに辞めた。

さらに専門的なバーテンダーの世界はどんなかんじなんだろうとずっと気になっていた。個人的には、店全体を統率する指揮者のようなイメージだ。今からバーテンダーになるのは難しいとしても、人生で一度ぐらいは体験しておきたい。

その日がついに訪れた。
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初舞台を前にした役者のようである

突然の申し出を快く受けてくれたのは、東京・下北沢の「東京DOME」というバー。この街で「ARENA下北沢」、「BUDOKAN下北沢」、「Gijido」などを展開する「呑もうぜグループ」の系列店だ。
人で賑わう駅南口
人で賑わう駅南口
「BUDOKAN下北沢」の雰囲気が好きで、何度か行ったことがある。オーナーに打診したところ、「それなら、バーっぽい『東京DOME』の方がいいんじゃない?」と、トントン拍子に話が進んだ。
店は老舗劇場「ザ・スズナリ」の下にある
店は老舗劇場「ザ・スズナリ」の下にある
ふだんの取材ではあまり緊張しないが、今回はわけが違う。積年の夢が叶うだけに、数日前からドキドキが止まらない。初舞台を前にした役者のようである。
こちらがナイスバー「東京DOME」
こちらがナイスバー「東京DOME」
カウンターには日替わりでいろんな店員さんが入るが、今回は「BUDOKAN下北沢」で顔なじみの山崎カズユキさん(40歳)が指導に当たってくれる。
ニックネームは「やまにょ」
ニックネームは「やまにょ」
彼の本業は俳優だが、飲食業の面白さに魅了されて時々こうしてカウンターに立つそうだ。
本日はこちらのスタッフでお届けします
本日はこちらのスタッフでお届けします
さあ、始まってしまった。時刻は19時半。開店準備をしたのち、20時に店がオープンする。

ちなみに、山崎さんが初めてお酒を出したのは3年前。

「初日はやっぱり緊張しましたね。お客さんに出した1杯目ですか? えーっと、ジントニックです。けっこう覚えているもんですね」

「さっぱり系」と言われたらサザンカンフォート

「まあ、ぶっつけ本番でいきましょう」ということで、開店前の短い時間で基本的な作り方だけを教わった。
メジャーで計量し、バースプーンでかき混ぜる
メジャーで計量し、バースプーンでかき混ぜる
「メジャーは容量の少ない方が30ml、多い方が45ml。これで基本的なお酒は全部作れます」

いちいち洗う手間を省くために、こうして水に浸しておく。なるほど。
メジャーの持ち方
メジャーの持ち方
「まあ人それぞれですが、僕はこれが一番やりやすいので。このまま手首を返して右に置いたグラスにお酒を注ぎます」
奥に倒すと泡が出る…と
奥に倒すと泡が出る…と
「ここは気取らないバーなので、ハイボール、ウーロンハイ、生ビールあたりがよく出ますね。たいていは、ウイスキー、リキュール、焼酎などのお酒と、炭酸水、トニックウォーター、ウーロン茶などの割り物との組み合わせでOK」
生ビールの泡は表面をすくう…と
生ビールの泡は表面をすくう…と
「緑茶は粉を使っているので、緑茶ハイを頼まれたらまず氷を入れないお酒だけの状態でスプーンに半分ぐらい入れてかき混ぜてください」
女性に「さっぱり系」と言われたらサザンカンフォート…と
女性に「さっぱり系」と言われたらサザンカンフォート…と
先生、覚えられる自信がありません。

「氷をガッ」の作業がじつは楽しい

開店時間になった。不安は募るが、ちゃんと作れなくても殴られたりはしないはずだ。お茶目なてへぺろキャラでいこう。
20時10分、まだお客さんは来ない
20時10分、まだお客さんは来ない
「うちは午前3時までなので、盛り上がりのスタートが遅いんですよ」という山崎さんの説明を聞いている時、いらっしゃった。第一号のお客さんが。
女性だ
女性だ
ハッ、これはサザンカンフォートのパターンか。そもそも、サザンカンフォートとはなんだろう。甘いお酒を飲まないので、まったく縁遠い世界なのだ。

果たして、オーダーはジンソニックだった。え、ジントニックなら習いましたが、ソニック?

すかさず、横から先生が「ジントニックに炭酸水を加えたものです」とナイスアシスト。
氷をガッ
氷をガッ
この作業がじつは楽しい。れんげでチャーハンをすくうような、妙なカタルシスが得られる。
ボトルの場所がわからないバーテンダー
ボトルの場所がわからないバーテンダー
グラスに氷を入れる。ジンを注ぐ。ライムを絞る。
果汁が飛ばないように
果汁が飛ばないように
トニックを注ぐ。炭酸水を注ぐ。

「おいしくな〜れ」と念じながら作るとおいしくなる

おぼつかない手元を見られていると思うと、緊張感も増す。たぶん、ここまでで5分ぐらいかかっている。
スプーンでグラスの底から全体を静かに混ぜる
スプーンでグラスの底から全体を静かに混ぜる
よし、できた。
「ジンソニックでございます」
「ジンソニックでございます」
初のバーテン体験だと伝えているため、いろいろと面白いようだ。
ひと口飲んで…
ひと口飲んで…
「わ、おいしい」と言ってくれた。ありがとうございます。

ここで山崎さんが「じゃあ、俺ももらおうかな。ジャックダニエルのソーダ割りで」。

うん、ハイボールならいつも飲んでいるので感覚はわかる。
「どうぞ」
「どうぞ」
こちらも、「うん、おいしい」とのお言葉をいただいた。

山崎さんいわく、「おいしくな〜れ」と念じながら作ると本当においしくなるそうだ。今後はそうしよう。

店内のBGMがユニコーンの「働く男」に変わった。うん、まさにいま働いている。そして、BGMが耳に入ってくる程度の余裕も生まれた。
お会計後の伝票
お会計後の伝票
「名前がわからない人は、見た目の特徴や話した内容を書いておくんです」

こうすると、次来てくれた時に「覚えてますよ」感が出せるのだという。山崎さんは、さらに詳細をメモしたノートも持っていた。すごい。

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