特集 2016年3月14日

市場が俺の冷蔵庫!鶴橋にある持ち込み可の焼肉屋

持ち込んだものも焼いて食べられるオープンマインドな焼肉屋にいってきました。
持ち込んだものも焼いて食べられるオープンマインドな焼肉屋にいってきました。
大阪市の鶴橋市場に、買った商品を店内で勝手に焼くスタイルのお肉屋さんがあるそうだ。それだけでも十分楽しそうだが、さらにうれしいのが「食べ物の持ち込みOK」な点である。

旅先の市場で買った新鮮な魚や貝を自由に焼けるフリースタイル焼肉、まさにパラダイスでした。
趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。(動画インタビュー)

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> 個人サイト 私的標本 趣味の製麺

持ち込みのできる焼肉屋を求めて鶴橋市場へ

食べることや料理が好きな人であれば、旅先で地元の食材が並ぶ市場を巡ることの楽しさは、もう説明するまでもないだろう。

ただ問題は、買っても食べようがないことだ。ホテルに持って帰っても調理はできないし、自宅に送っては鮮度が落ちる。
案内してくれたのは大阪在住のスズキナオさん(左側)。「スズキナオ」でサイト内検索すると関連記事がたくさん出てくるよ。
案内してくれたのは大阪在住のスズキナオさん(左側)。「スズキナオ」でサイト内検索すると関連記事がたくさん出てくるよ。
最近はそんな観光客のニーズに答えて、その場で食べられるメニューを出す店も増えたが、味わえる食材は限られている。今ここでこいつを焼いて食べられたらどんなに幸せだろうかと、何度唇を噛んだやら。

だが鶴橋市場にある肉屋は、そんな我々の夢を叶えてくれた。店内に焼けるスペースを設けて、なんと持ち込み可の焼肉屋としてくれたのだ!
鶴橋は初めて来たけれど、東京でいえば上野・御徒町あたりをギュッと濃縮した雰囲気の街でした。
鶴橋は初めて来たけれど、東京でいえば上野・御徒町あたりをギュッと濃縮した雰囲気の街でした。
コリアンタウンなので焼肉屋や韓国の食材が並ぶ店が多数。胃袋の予備が欲しくなる街だ。
コリアンタウンなので焼肉屋や韓国の食材が並ぶ店が多数。胃袋の予備が欲しくなる街だ。

まずは店のシステムを確認しよう

市場で買ったものを焼いて食べたい。そんな旅人の小さな夢を叶えてくれるのは、浅間農場という焼肉屋さん。ありがとう、浅間農場。

店長に話を聞いたところ、開店当初は普通のお肉屋さんとしてやっていたが、3か月で店内にガスコンロを備えた「勝手に焼肉」スタイルの店へとリニューアル。

その際にお客さんからの要望を踏まえて、食材の持ち込み可という大胆なシステムを導入したそうだ。「こういう店が欲しかった!」と、たくさんの人が膝を叩いたに違いない。
ここが「勝手に焼肉」の浅間農場。「勝手に焼き魚」もできるのだ。
ここが「勝手に焼肉」の浅間農場。「勝手に焼き魚」もできるのだ。
店長の佐々木さん。楽しませていただきます!
店長の佐々木さん。楽しませていただきます!
持ち込みをする場合、鉄板代として800円掛かるのだが、これは1人あたりの会計が1,000円を超えれば不要となる。普通に肉とドリンクを注文すれば1,000円は超えるので、実質ゼロ円と考えていいだろう。事実上のゼロ円。

元々が肉屋なので肉の持ち込みはNGとか、時間制限があるとか、ルールはいくつかあるのだが、その辺は特に気にならないと思う。
ほらほらほら、市場で買った魚介類を焼いてもOKという夢のルールだよ!
ほらほらほら、市場で買った魚介類を焼いてもOKという夢のルールだよ!
最初に1,000円分の肉やドリンクを注文すれば鉄板代は無料になる。制限時間があるので、さっさと食べてさっと帰ろう。
最初に1,000円分の肉やドリンクを注文すれば鉄板代は無料になる。制限時間があるので、さっさと食べてさっと帰ろう。
「無断駐車したら罰金3万円」みたいなルール。肉とドリンクの持ち込みは遠慮してや~。
「無断駐車したら罰金3万円」みたいなルール。肉とドリンクの持ち込みは遠慮してや~。
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焼くことができる前提で市場をさまよえる喜び

システムを理解したところで、目をキラキラさせながら鶴橋市場を散策する。ただその土地の食文化を見物するだけではなく、買ったものを焼いて食べられるのだ。見るだけとは興奮の度合いが違う。

鶴橋市場は肉だけではなく魚介類も充実しており、質も量も文句なし。市場といってもキロ単位や箱売りではなく、小売りの店が多いので選択肢は無限である。

ホタテを焼きたいがハマグリも食べたい。エビやイカも定番だが、どうせならエボダイやアマダイも焼いてみたい。ああ、食べ切れる分だけを選ぶことが、これほど楽しくも苦しいとは。
どれでも焼いていいなんて、もはや鶴橋市場全体が炉端焼き屋みたいなもんですよ。
どれでも焼いていいなんて、もはや鶴橋市場全体が炉端焼き屋みたいなもんですよ。
焼く貝といえばハマグリ、サザエ、ホタテが御三家だが、ここならアワビという選択肢もあるのか!小振りのものなら千円以下だぜ。
焼く貝といえばハマグリ、サザエ、ホタテが御三家だが、ここならアワビという選択肢もあるのか!小振りのものなら千円以下だぜ。
関西ではホヤをあまり食べないけれど、韓国人はよく食べるのでここでは鮮度の良いものが売っている。これも焼いたらうまいかな。
関西ではホヤをあまり食べないけれど、韓国人はよく食べるのでここでは鮮度の良いものが売っている。これも焼いたらうまいかな。
ちょっと路地に入れば観光客向けではない魚屋が並ぶエリアもあり。
ちょっと路地に入れば観光客向けではない魚屋が並ぶエリアもあり。
「このアナゴいいですか?」と聞いたら、「え、写真ですか?」と返された。店の人も観光客がアナゴを買うとは思わないよね。
「このアナゴいいですか?」と聞いたら、「え、写真ですか?」と返された。店の人も観光客がアナゴを買うとは思わないよね。
市場に並んだ安くて新鮮な魚介類を買ってもどうにもできないという悲しみにさようなら。好きに焼くことができる喜びにこんにちは。

これなら丸ごと焼けるだろうか、あれは量が多すぎるかなと、今から食べる海鮮&焼肉のフルコースを組み立てる贅沢。最高の買い食いがここにある。

こんなに興奮した買い物はいつ以来だろうか。

肉もお酒も安いです

市場で魚介類の仕入れをすませたら、今度は肉を選ぶ番である。

店頭にはすぐ焼いて食べられるようにパックされた適量の肉が幅広い価格帯で並んでおり、月曜の開店直後というタイミングが良かったのか半額シールを張られた商品も多い。

ホタテやエビ、カットされた野菜なども揃っているので、普通に焼肉を楽しむ分にはわざわざ持ち込む必要はまったくない。でも持ち込みをさせてくれてありがとうだ。
やっぱり肉もテンションあがるな。
やっぱり肉もテンションあがるな。
開店時間に合わせて来たためか、半額シールの商品がたくさんあって嬉しい。これなんて半額だから249円だ。
開店時間に合わせて来たためか、半額シールの商品がたくさんあって嬉しい。これなんて半額だから249円だ。
どうせならこのクラスの肉にしましょうかね。これで690円ならお値打ちでは。
どうせならこのクラスの肉にしましょうかね。これで690円ならお値打ちでは。
高級肉の相場がよくわからないが、せっかくだからこれもいっちゃいますか。今考えると最高潮に浮かれていたと思う。
高級肉の相場がよくわからないが、せっかくだからこれもいっちゃいますか。今考えると最高潮に浮かれていたと思う。
そして焼肉と食べればお酒も欲しくなるけれど、ドリンクメニューも安かった。

焼肉屋ではなく、立ち飲み屋みたいな値段設定である。すばらしい。
「もうかりまっか?」と聞きたくなる値段だ。
「もうかりまっか?」と聞きたくなる値段だ。
店内の様子。全国の市場にこういう場所があればいいのに。
店内の様子。全国の市場にこういう場所があればいいのに。
満席だと煙がすごいのかもね。でもそんな状況も体験したいな。
満席だと煙がすごいのかもね。でもそんな状況も体験したいな。
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買ったものを焼いて食べる、それだけで楽しい

店頭で適当に買った肉とドリンクを合わせて3,000円ちょっと。一人前千円を超えたので鉄板代は無料となった。

さあさあさあ、宴の始まりでございます!(すごいテンションあがるんですよ)
これが俺の考えた鶴橋市場選抜メンバーだ!
これが俺の考えた鶴橋市場選抜メンバーだ!
どれから焼こうかなー。楽しいなー。
どれから焼こうかなー。楽しいなー。
まずは肉より魚介だろうと、アワビ、アワビ、アナゴのトリプルエーでスタート。普通の焼肉屋ではありえない展開だが、この店ならセルフプロデュースで可能なのだ!
まずは肉より魚介だろうと、アワビ、アワビ、アナゴのトリプルエーでスタート。普通の焼肉屋ではありえない展開だが、この店ならセルフプロデュースで可能なのだ!
踊るクロアワビにドキドキする男二人。こういうシーン、だいぶ昔に「パンツの穴」っていう映画で観た覚えがあるな。
踊るクロアワビにドキドキする男二人。こういうシーン、だいぶ昔に「パンツの穴」っていう映画で観た覚えがあるな。
あっさりと噛み切れる柔らかさに驚く。アワビの丸かじり、すごい贅沢している気分になれるね。
あっさりと噛み切れる柔らかさに驚く。アワビの丸かじり、すごい贅沢している気分になれるね。
「んー、この弾力が何とも言えませんねー」と堪能するスズキナオさん。
「んー、この弾力が何とも言えませんねー」と堪能するスズキナオさん。
アナゴはシャレオツにレモンと塩でいただきましょうか。これがふっくらとしてうまいのよ。焼肉屋というよりも高級創作鉄板焼き屋にきた感じ。
アナゴはシャレオツにレモンと塩でいただきましょうか。これがふっくらとしてうまいのよ。焼肉屋というよりも高級創作鉄板焼き屋にきた感じ。
焼いて味が凝縮されたホヤ。好みが分かれる味だけど私は好きなのです。
焼いて味が凝縮されたホヤ。好みが分かれる味だけど私は好きなのです。
魚介を堪能したところで焼肉タイムへ。ミスジとミノで紅白焼肉合戦のスタートです!
魚介を堪能したところで焼肉タイムへ。ミスジとミノで紅白焼肉合戦のスタートです!
やっぱり肉も楽しいなー!高い肉がしっかりとうまいなー!
やっぱり肉も楽しいなー!高い肉がしっかりとうまいなー!
続いての紅白対決は、半額の牛タンと二度目の登場となるアナゴ!どっちもうまい!
続いての紅白対決は、半額の牛タンと二度目の登場となるアナゴ!どっちもうまい!
これでご飯があったら完璧なのになーと思ったら、ちゃんとメニューにありました!ナイスコシヒカリ!
これでご飯があったら完璧なのになーと思ったら、ちゃんとメニューにありました!ナイスコシヒカリ!
ハラミとライスのランデブー。やはり焼肉には白米がよく似合う。
ハラミとライスのランデブー。やはり焼肉には白米がよく似合う。
アワビの殻に残っていた汁も無駄にするまい。
アワビの殻に残っていた汁も無駄にするまい。
制限時間は60分だったが、30分で無事に完食。海鮮と焼肉のリレーを華麗に決めてやったぜ。

買ってきた量も組み立てもベストだったのではなかろうか。ちょっと奮発して買ったアワビも、「あんなにぐにょぐにょしたものがこんなにうまいとは!」とナオさんが興奮していたし。

準備も片づけも不要の市場内バーベキュー、最高でした。ありがとう、夢を叶えてくれてありがとう。
浅間農場
大阪府大阪市東成区東小橋3-19-22
06-6224-7418
11:00~21:00(水曜定休)
そのあとに近くの温泉施設に入ったら、こだわり風呂がすごいことになっていた。
そのあとに近くの温泉施設に入ったら、こだわり風呂がすごいことになっていた。

いやー、楽しかったです。焼肉がうまいのはもちろんですが、なんといっても市場で買ってきたばかりのアワビやアナゴを焼いて食べる経験なんて、なかなかできないですからね。何度も言いますが、本当にありがとうですよ。

要するに買ったものを焼いて食べるだけなのですが、ここまでテンションが上がるというのは、やっぱり市場だからなのでしょう。お店の説明を聞いて、「この市場で買えるもの(肉以外)、全部が俺の食材だ!」と思った時の万能感はすごかったです。
「ミスターおっちゃん」という方からキムチサンドを勧めていただいたので、また鶴橋に来ようと思います。
「ミスターおっちゃん」という方からキムチサンドを勧めていただいたので、また鶴橋に来ようと思います。
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