特集 2016年3月17日

最強の罰ゲームは「自分の長所を言う」だ

はずかしさの向こう側へ
はずかしさの向こう側へ
人生で絶対避けたいことの一つに「罰ゲーム」がある。

だいたいモノマネか一発芸を迫られ、撃沈する人を見てきた。あれらは人を選ぶ高度な罰だ。

「まけたくない」気持ちを鼓舞しつつ、誰でもできる罰ゲームがあればいいのではないか。「長所を言う」とかどうだろう。という実験の記録です。
1990年沖縄生まれ。営業日のお昼休みに(ほぼ)毎日更新する「今日の休憩」というブログを運営しています。

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「本音で長所を言う」ルール

まず、なぜ長所を言うことが罰なのか説明したい。自己紹介とかで割とありそうな話ではないか。違う。ルールはこうだ。
ルール

1. 負けた人は「自分の長所」を発表する
2. ただし、「親指が曲がる」などは認めない。本当に自分が生きてきた中で「これは」と思う性格面の長所をあげる

3年ぶりに集まった友人とやる

大学時代の後輩のみなさん
大学時代の後輩のみなさん
「罰ゲーム」を無理やり発生させるべく、友人4人を集めた。種目はジェンガで、倒した人が罰ゲームだ。久しぶりの再会がこれでいいのかはわからない。
ルールを発表したが、耳もくれず昔話に花が咲いている。結構嫌だと思うんだけどな
ルールを発表したが、耳もくれず昔話に花が咲いている。結構嫌だと思うんだけどな
 絵面が合コンのようになってしまった 恥ずかしい
絵面が合コンのようになってしまった 恥ずかしい
まだ罰ゲームへのスリルではなく「物が倒れる」ことへのハラハラで盛り上がる。
お決まりのシャーン
お決まりのシャーン

いざ罰ゲーム

楽しい1ターン目が終わった。負けた人にホワイトボードを渡す。「本気の長所を書いて」と伝えた。
突然真顔になった、なんだ
突然真顔になった、なんだ
「悩んでるところすら見られたくない」と個室で書き始めた
「悩んでるところすら見られたくない」と個室で書き始めた
「いいとこなんて見つからない!」「長所ってなんだ」と遠くから聞こえてきた。なんだ、何が起きている。

それに胸を痛めた一人が「いいとこあるよ! 就職できたんだから!」と呼びかけた。残りが「そうだよ、優しいよ!」「違うよ、本当の長所は優しいなんてもんじゃないよ!」と声をかけはじめる。考える方も励ます方も居心地の悪さがすさまじい
顔を引きつらせ出てきた
顔を引きつらせ出てきた
!
「決局 イケメン」。こわい。これを本当に長所と思っているなら今すぐ友達をやめたいし、焦って漢字も間違えてしまっている。
「決局 イケメン」。こわい。これを本当に長所と思っているなら今すぐ友達をやめたいし、焦って漢字も間違えてしまっている。
ここでようやく全員が事の重大さに気がついた。他人が発表する本気の長所が、こんなにも生々しいとは思っていなかった。発表者の手がふるえている。すごくこわい。

すぐに「外見は逃げじゃないのか」「そんなにかっこよくもない」と審議が入った。発表者の本心はわからない。ただ、いつもは自分のことを「イケメン」とか言うタイプの人間じゃないことだけはわかる。ここまで人は追い詰められるのか。絶対に負けたくない。
2回戦。参加者の表情が変わる
2回戦。参加者の表情が変わる
負けてしまった人。案の定固まる
負けてしまった人。案の定固まる
キャップを取りはずしをくりかえし「長所?」とつぶやく
キャップを取りはずしをくりかえし「長所?」とつぶやく
発表する。「うわー」って回答が出る
発表する。「うわー」って回答が出る
ただ唖然とする
ただ唖然とする
だいたい、発表したあとには追加質問がやってくる。発表した人の目が死んでいくのがわかる。こんなに怖い罰ゲームは初めてだ。

恐ろしいほど人柄が出る罰ゲーム

たしかにモノマネや一発芸と比べると、ハードルは低く、誰でもできるかもしれない。

しかし人前で自分と向き合い、発表するということは予想以上につらく、悪い部分もダバダバに出ることがわかった。
「バランス感覚がある」と書いたら批判を浴びた。一人だけ逃げようとした姑息さがすぐに露呈する
「バランス感覚がある」と書いたら批判を浴びた。一人だけ逃げようとした姑息さがすぐに露呈する
「人前でいい顔ができる」に修正した。最初から嘘なんてつかなきゃよかった
「人前でいい顔ができる」に修正した。最初から嘘なんてつかなきゃよかった
また、長所をひらめいても、ひらめかなくても恥ずかしい。発表後に照れていると、まだ負けてないやつが「あたしはもう決まってるから」と言った。なんだそれは。それはそれで恥ずかしいだろうが。逃げ場がない。
「全ツイートさかのぼって長所を探しにいく時間が欲しい」 「長所という言葉の概念がわからない」
「全ツイートさかのぼって長所を探しにいく時間が欲しい」 「長所という言葉の概念がわからない」
ただ、負けた人同士の一体感はすごく出た。「書いたからこそ分かり合える」と口々に言う。1度言ってしまえば、2回目はサッとだす者もいた。ゲーム中に人としての階段を上がっている。
しかし顔が真っ赤だ。親もこんな長所聞いた事ないだろう。
しかし顔が真っ赤だ。親もこんな長所聞いた事ないだろう。

清々しさに包まれる罰ゲーム

結局、ひとりを除く4人が長所を発表した。最初こそつらかったが、感想は「心なしか爽快」「めちゃくちゃ楽しかった」といったものだった。

確かに軽く湯船に浸かったぐらいには血流が上がる。笑いもばんばん起きる。準備もいらない。ただ、2~3日は引きずるだろう恥ずかしさも残った。
ジェンガが思った以上に楽しい事もわかった
ジェンガが思った以上に楽しい事もわかった
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