ちしきの金曜日 2016年3月18日
 

「3.11帰宅ログ」からわかったこと

震災から5年、東京の不思議さ、そして柄にもなく「友達とは奇跡的なものだなあ」なんて思ったのでした。
震災から5年、東京の不思議さ、そして柄にもなく「友達とは奇跡的なものだなあ」なんて思ったのでした。
ちょうど一週間前の2016年3月11日は震災から5年目の日。奇しくもあの日と同じ同じ金曜日だった。

思い出すなあ、あの日のこと。

あの2週間後にぼくは「首都圏帰宅ログ」という記事を書いた。東京・首都圏のみなさんがあの夜どうやって家に帰ったかをきいてまとめたもの。いわゆる帰宅難民のレポートだ。

あらためてみなさんの「帰宅ログ」を見てみると色々興味深いことが分かったので、それについてお伝えしたい。
もっぱら工場とか団地とかジャンクションを愛でています。著書に「工場萌え」「団地の見究」「ジャンクション」など。
> 個人サイト 住宅都市整理公団

ひとりひとりに異なる物語があったのだ、ということ

5年前の「首都圏帰宅ログ」では、地震の時どこにいて、何時に出発して、どういうルートで帰って、何時に家に着いたか、をメールで送ってもらったものをマップにした。

記事を書いた後もたくさんメールを頂き、その総数は200名を超えた。みなさん、ありがとう。
いただいたメールから、地図にプロットした。こんなになった。
いただいたメールから、地図にプロットした。こんなになった。
結論から言うと、今回この記事で言いたいのは「あの夜の体験は個別である」ということだ。

いやまあ、そんなの当たり前なんだけど。

「帰宅難民」の一言でくくられちゃうけど、実にみなさんそれぞれに全く別々の物語がある。いただいたメールを読んでいるとまるで同時にストーリーが進行する複雑な映画のようなんですよ。

だから、みんなあの夜のことをもっと話したらよいと思う。そういう趣旨です。この記事は。

奥さまの職場へ行き、一緒に帰った旦那さまの話(あの夜は電話もメールも全く通じなかった)や、方向音痴でたいへんなことになった人。見知らぬおばあさんを助けながら一緒に7時間歩いた学生さん、などなど。
高田馬場のうどんやで地震にあって、隣にいたおばあさん(偶然にも自宅が近所!)と一緒に東村山まで帰ったという学生さん。赤い線は徒歩、青い線は電車。田無から運転再開した西武線に乗ることができている。
そもそも帰る理由からしてさまざまだ。保育園にあずけた子どものことを思うと40km徒歩でも帰らねばならなかった、というお父さんもいれば、ペットが心配で、という人も。当時ぼくは独身だったので、そういう点では気楽なものだったなあ、と思う。
この方は持病の薬を入手すべくバスで移動。帰れなくなって避難所として開放されていた都立高校で仮眠、翌朝動いている電車を乗り継いで帰宅、というご苦労をされている。上と同様、赤い線は徒歩、青い線は電車(以下同様)。
上の方のように、持病をお持ちという事情のなかでがんばって帰宅されている方が何人かいらっしゃった。そういうことのない自分の幸運さにはじめて気づいた。おはずかしい。

それにしてもこの方、無理をなさらずに、あれがだめならこの手、といろいろな手段を利用されていたことが非常に印象的。東京の交通機関の冗長性を実感。

あと、ぼく自身は避難所を利用するなどまったく思いつかなかった。だめだなあ、ぼく。

時間付きのデータにしてみた

というように、ひとりひとりの帰宅ルートとコメントを読めば「あの夜の体験の個別性」はもちろん分かる。

だけどもっとぱっと直感的に伝えられる方法はないものか。

で、今回やってみたのが、マッピングデータに時間データを付与するという試みだ。

どういうことか。その成果が下の動画なのでとりあえずまずは見てください。
地震発生直後16:00から翌日の朝09:00までのみなさんの動き。
意気込んだわりには、「えっと…だからなに?」って感じかもしれない。すまん。いやでもこれたいへんだったんだよ、作るの。まじで。
いただいたメールに記載されている場所と時間から、各曲がり角を通過する時刻を割り出し、ログデータにその時刻を埋め込んでいく。距離は10進法なのになんで時間は60進法なんだよ! と何度も毒づきながらの実に丸2日間に渡る作業。おかげで確定申告の提出が遅れた。
いただいたメールに記載されている場所と時間から、各曲がり角を通過する時刻を割り出し、ログデータにその時刻を埋め込んでいく。距離は10進法なのになんで時間は60進法なんだよ! と何度も毒づきながらの実に丸2日間に渡る作業。おかげで確定申告の提出が遅れた。
いやいや、苦労アピールなんかしちゃいかんな。いやでもせずにはいられなかった。ほんと苦行だった。なんとか23名分を完成させたところで力尽きた。いつか200名強分をコンプリートしたいものだ。

ともあれ、一見なんてことないよう見えて、これ何回かじっくりと見ているととてもおもしろいのですよ。


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