フェティッシュの火曜日 2016年3月22日
 

生きた化石「ガロアムシ」を奥多摩で探す

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「ガロアムシ」という昆虫がいる。大昔から姿を変えることなく生き残っているとかで、子供向けの昆虫図鑑などには「生きた化石」とロマンあふれるワードを交えた解説がなされている。
かくいう僕も、その言葉にロマンを感じちゃった元少年である。

大人になった今、あの頃のロマンを、生きた化石を発掘しに行ってきた。
1985年生まれ。生物を五感で楽しむことが生きがい。好きな芸能人は城島茂。
> 個人サイト Monsters Pro Shop

奥多摩にいるらしい

色々と調べてみたところ、ガロアムシは関東でアクセスの良い場所だと奥多摩に生息しているらしい。他にも自然が豊かな山地ならあちこちにいるのかもしれないが、昆虫好きの間では奥多摩が最も有名な産地だそうなので、それに倣うことにした。
奥多摩駅へ到着。登山客らしき方もいれば、カジュアルな服装の学生さんグループも多い。
奥多摩駅へ到着。登山客らしき方もいれば、カジュアルな服装の学生さんグループも多い。
山にはどう入ればいいか、あるいはどの山が安全で素人向けかを観光案内所で聞く。「ガロアムシどこにいますか?」とは聞けなかった。
山にはどう入ればいいか、あるいはどの山が安全で素人向けかを観光案内所で聞く。「ガロアムシどこにいますか?」とは聞けなかった。
昼ごはんを買ったお店には地元産のわさびも並んでいた。東京都の懐深さを感じる。
昼ごはんを買ったお店には地元産のわさびも並んでいた。東京都の懐深さを感じる。
季節は3月中頃。かなり暖かくはなってきているが、まだ山の景色は冬が優勢か。
季節は3月中頃。かなり暖かくはなってきているが、まだ山の景色は冬が優勢か。
3月の奥多摩はまだまだ寒い。蝶々の一匹も飛んでいないが、こんな時期に昆虫なんて見つかるのか。
いや、心配ご無用!ガロアムシは氷河期から生き残っている昆虫で、寒さにとても強い、いやむし寒冷な気候を好んでいる節すらあるのだ。よって、まだ寒い春先のこの時期はガロアムシ探しのベストシーズンだ。…と、昆虫マニアの知人が言ってました。
だが春は確実に訪れているぜ。とても可愛いハナネコノメが咲いていた。
だが春は確実に訪れているぜ。とても可愛いハナネコノメが咲いていた。
実はこんなに小さい!同じく小さなガロアムシを探していたからこそ、その存在に気づけた。
実はこんなに小さい!同じく小さなガロアムシを探していたからこそ、その存在に気づけた。
これまた受け売りだが、ガロアムシは湿った場所を好み、沢沿いあるいは枯れ沢に生息しているらしい。
そうした場所を求めて、可愛らしいハナネコノメの花や、綺麗なコケを撮影しながら山を歩く。
ハイキングコースを歩く。虫の姿はほとんど無い。
ハイキングコースを歩く。虫の姿はほとんど無い。
沢を発見!湿った土を好むガロアムシ探しではキーになってくる要素らしい。そしてもっと好ましいのは…
沢を発見!湿った土を好むガロアムシ探しではキーになってくる要素らしい。そしてもっと好ましいのは…
こういう水の枯れた、いわゆる「枯れ沢」なのだとか。
こういう水の枯れた、いわゆる「枯れ沢」なのだとか。
枯れ沢とは言うものの、少々の水は浸み出している。
枯れ沢とは言うものの、少々の水は浸み出している。
良い雰囲気の枯れ沢を見つけたので、さっそく生きた化石の発掘作業を開始する。
そういう場所に転がる岩を、ひとつひとつ丁寧に起こしては元に戻す。その繰り返し。
そういう場所に転がる岩を、ひとつひとつ丁寧に起こしては元に戻す。その繰り返し。
化石になぞらえて「発掘」と表現したのは、ガロアムシは石の下に潜んでいるためである。
見つけるには、そこらに転がる石をひとつひとつ持ち上げて、その下を覗かなければならないのだ。
地味な作業だが、結構腰にくる。
地味な作業だが、結構腰にくる。
…いない。見つからない。
「奥多摩の山に入ればどこにでもいるだろう」と甘い考えで臨んだのだが、全然見つからない。
石の下から見つかるのはヤスデやムカデ、ハサミムシやワラジムシくらいである。

マズい。だが、奥の手がある。
過去にガロアムシを採集したことのある知人が、実績のあるポイントを教えてくれていたのだ。
いた!と思ったら子守り中のハサミムシだった。脅かしてごめんねー。
いた!と思ったら子守り中のハサミムシだった。脅かしてごめんねー。
最初からそこに行けよ!という声が聞こえてきそうだ。だが、前述の通。この虫をかなり甘く見ていたことに加え、少しは自分でも努力して探した方が、見つけたときにより嬉しいかなという考えがあったのでここまで温存してきたのだ。
しかしその実績ポイントも、見た感じこれまで散々探してきた場所とほとんど差が無い。
本当に大丈夫かよ…。
実績ポイントで二番目に手を伸ばしたこの石!
実績ポイントで二番目に手を伸ばしたこの石!
だが、あることに気づく。いくつかの石に持ち上げられたような形跡があるのだ。しかも、つい最近に。
あ、これ昆虫愛好家が最近ガロアムシを探した跡だな。確信した。ポイントはここで合ってる!
興奮しつつ石をひっくり返し始めること、わずか二つ目!
お?
お?
白っぽい、シロアリともコオロギともつかない虫が、びっくりしたように佇んでいる。
大きさは2センチほど。

生きた化石、ガロアムシだ!
ポイントを変えた途端にこれか。虫好きの情報力凄いなあ!
おおお!ガロアムシ!本物だ!これが見たかったんだ。脱皮したばかりなのかまだ幼虫なのか、お腹が白っぽい。
おおお!ガロアムシ!本物だ!これが見たかったんだ。脱皮したばかりなのかまだ幼虫なのか、お腹が白っぽい。
いろんな虫の特徴を混ぜて組み上げたような、不思議な姿をしている。
ガロアムシ属の学名Grylloblattodaeもラテン語の“コオロギ”と“ゴキブリ”を繋いだものだという。

ちなみに「ガロア」とは発見者であるフランス人のGalloisさんにちなんだものなのだとか。
肉食性らしく、二重の鋭い顎を備えている。夜行性なのか、眼はかなり小さい。
肉食性らしく、二重の鋭い顎を備えている。夜行性なのか、眼はかなり小さい。
非常に原始的な虫なので、「ガロアムシはいろいろ虫に似ている」というより、「いろいろな虫たちがガロアムシっぽい要素を持っている」と言った方がいいのかもしれない。

写真を見てお分かりかと思うが、この虫は原始的すぎるがゆえか、翅を持たない。よって、移動できる距離が小さく、なかなか生息地を拡大することができないのだ。
なので、生息地が開発されたり、乱獲(無いと思うけど)されたりした場合、その地域の個体群はすぐに絶滅の危機に晒されると考えられる。

奥多摩には、いつまでもこの面白い虫を観察できる東京のオアシスであってほしいものだ。

地味だけど、個性的で魅力的な虫でした

え?地味すぎ?
いや、そんなことないでしょう。だって生きた化石よ?
「生きた化石」ってだけでもすごいのに、さらにそこへ「デカイ!」とか「超綺麗!」とか要素の上乗せを求めるのはちょっと贅沢じゃない?
…じゃあ、一般ウケを考えて、最後はもう一度ハナネコノメの写真で締めますかね。
あーやっぱり綺麗だ。来年はこれを目当てにまた来てもいいかな。
あーやっぱり綺麗だ。来年はこれを目当てにまた来てもいいかな。
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