ちしきの金曜日 2016年5月20日
 

すべての標高が通づる日本水準原点を見てきた

標高のご本尊がこの中に
標高のご本尊がこの中に
君ん家、標高何m?

などと聞かれても答えられない人は多いだろう。もちろん僕も知らない。

でも、地面があればそこの標高を数字で表すことができる。そんな日本国内の標高の基準となっているのが「日本水準原点」。その標高のご本尊が年に一度のご開帳、と聞いて、どんなものかと見に行ってきた。
1974年東京生まれ。最近、史上初と思う「ダムライター」を名乗りはじめましたが特になにも変化はありません。著書に写真集「ダム」「車両基地」など。 個人サイト:ダムサイト

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土地の高さの神

ふだんは意識していなくても、何かと土地の高低を気にする機会は多いと思う。大雨や台風で近所の川が氾濫しそうになればどこまで水が来るかを考えるし、部屋を借りようと不動産屋に紹介された場所が駅から延々登りで二の足を踏むこともあるだろう。下町とか山の手など、高低に絡めて土地のキャラクターを表すこともある。

そんな日本国内にある地面はすべて測量によって標高を数字で表すことができる。その標高の基準となっているのが「日本水準原点」だ。名前だけでシャキッと背筋が伸びそうな施設があるのは千代田区永田町の憲政記念館の構内。場所としては国会議事堂のはす向かいという一等地も一等地だけど、憲政記念館という存在を知らなかった。すみません(また背中丸まる)。
ふだんもだろうけどサミット直前のせいか周辺はえらい警備が厳しかった
ふだんもだろうけどサミット直前のせいか周辺はえらい警備が厳しかった
日本の議会政治に関する展示施設だそう。小学校の社会科見学で来たかなぁ...?
日本の議会政治に関する展示施設だそう。小学校の社会科見学で来たかなぁ...?
憲政記念館の建物内ではなく庭の方に進むと、奥の方に人垣が見えた。既に大勢の標高マニアで賑わっているようだ。
この日を待ち望んでいた人々
この日を待ち望んでいた人々

水準原点トリビア

この水準原点を管理している国土地理院の方からパンフレットをいただいて人垣に近づくと、どうやら水準原点に関するミニ講座が行われているようだ。事前に予習をまったくせずに来たため、僕も輪に入ってお話を聞いた。
大学生くらいの若い人が多かった。地理系の学生なのだろうか
大学生くらいの若い人が多かった。地理系の学生なのだろうか
まず最初にこれが目に入って「もしかして...これ?」と思ったけど違った(一等水準点)
まず最初にこれが目に入って「もしかして...これ?」と思ったけど違った(一等水準点)
まず、「標高」は東京湾の平均海面を0mとして、そこからの高さで表すことになっている。でも海面は常に変化するので、地上に動かない基準点を造ることになり、明治24年に当時この地にあった帝国陸軍陸地測量部の庭に設置されたという。
この建物は水準原点が入っている日本水準原点標庫
この建物は水準原点が入っている日本水準原点標庫
うおお「大日本帝国」って書いてある!
うおお「大日本帝国」って書いてある!
標庫の中にある日本水準原点は石にはめ込まれた水晶の板で、目盛りが刻まれている。その目盛りの0の高さを、隅田川の河口で6年間観測した東京湾平均海面から24.500mの高さとした。つまり日本水準原点は原点と言いつつ標高0mではなく24.5mなのだ。ちなみに日本水準原点が完成したのが明治24年5月で、高さが24.5mという数字の一致は無関係ではないらしい。

しかしその後、関東大震災や東日本大震災で地殻変動が起こり、現在では24.3900mに変更されているという。もうテストで出ても完成年月と同じ、という記憶方法は使えない。
標庫まではふだんも来られるが今日は特別にあの真ん中の扉が開けられている
標庫まではふだんも来られるが今日は特別にあの真ん中の扉が開けられている
これがご本尊、日本水準原点だ!
これがご本尊、日本水準原点だ!
目盛りが刻まれ、真ん中が0、つまり標高24.39mである
目盛りが刻まれ、真ん中が0、つまり標高24.39mである
日本水準原点と言われてもどんなものかまったく想像していなかったのだけど、水晶の板を見て「お、おう...」という感想しか出てこなかった。でも日本の標高の大元と考えればすごい存在である。富士山頂の3776.12mも、奈良俣ダムの平常時最高貯水位の888.0mも、もっと言えば地図に書いてあるすべての等高線も、その数字の出どころをずっと追っていくとここにたどり着くのだ(たぶん)。
富士山の標高もこの基準点から算出
富士山の標高もこの基準点から算出
水位が888mを超えると奈良俣ダムは放流を始める
水位が888mを超えると奈良俣ダムは放流を始める

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