お茶にいろいろ入れてそれを飲む
まず、ぼてぼて茶がどんなものなのかを説明したい。
これがぼてぼて茶です
ぼてぼて茶は、出雲地方で食べられる郷土料理で、ぼてぼて茶といわれる泡立ったお茶に、黒豆、たくあん、高菜、野焼き、十穀米などの具材を投入し、飲む、というか食べる料理だ。
地元のひとが普段から食べているものではないとは思うが、松江では、お茶屋さんなどで観光客むけにぼてぼて茶をだす店がいくつかある。
もともと、たたら職人の労働食、または不昧公(ふまいこう・松江藩主松平治郷、松江市民ならみんな知ってる有名なお殿様)時代の非常食、あるいは庶民の喫茶文化のひとつとも言われているが、その由来ははっきりしない。
松江のシンボル松江城
店でだされるぼてぼて茶は、泡立ったぼてぼて茶に具材がついてくるのだが、その量はスプーン一杯ぶんほどしかない。
その、少量の具材をお茶に投入して飲む……わずか数十秒。あっというまだ。
具材の味もお茶の味も、さて、どんな味かな。と口の中に意識を集中させようとすると、のどの奥にきえていく。
ぼやぼやしていると、すぐにすぎさってしまう。三学期みたいな料理だ。
巨大なぼてぼて茶を自作しよう
というわけで、店で味わうぼてぼて茶に満足できなかったので、家ででかいぼてぼて茶を作り、じっくりその味を味わって皆様にお知らせしたいと思う。
まずは肝心のぼてぼて茶。これは島根のアンテナショップに行けば東京でも手に入る。
にほんばし島根館でぼてぼて茶を購入
ぼてぼて茶はつまり番茶だ。しかし、よくみると茶の花もはいっている。
茶の花も一緒に煮出します
「泡立てて飲むお茶」は日本各地に残っているらしいが、松江のぼてぼて茶は具材をいれて飲むというところがめずらしい。
巨大化するとバカっぽくなる
さて、お茶は準備できたので、こんどは具材だ。
ぼくが飲みにいった店の具材を調べると、十穀米、黒豆、しいたけ、たくあん、高野豆腐、高菜、野焼(ちくわ)の7種類だった。いずれもスーパーでかんたんに手にはいるものだ。
これらを刻みます
たくあんって細く切りづらいな……
ハイ完成ー
もともとの量の何倍ぐらいだろう。みかけのおおきさでいえば50倍ぐらいになっていると思う。
具材ひとつづつの大きさもでかくした
これぐらいあれば、ぼんやりしていてもじっくり味わえるはずだ。が、もともとの上品さはかき消され、バカっぽさが増した。
バカっぽさって大きさのことだったのかな。
泡立ちすぎるぼてぼて茶
続いてはお茶を泡立たせなければいけない。
お茶を
泡立たせます
ほんらいは、ぼてぼて茶用の茶筅があるらしいのだが、こんかいはどこのご家庭にもよくある茶筅を使って泡立たせたい。
おぉ
みるみる泡立つぞ
すごい
こんもりあわだった!
ぼてぼて茶、めちゃめちゃ泡立つ。こじゃれたクラフトビールかってぐらい泡立つ。
子供がまぜたいまぜたいうるさいのでまぜさせた
なんだかお茶を泡立たせるだけでもけっこうおもしろい。茶道ってもしかしてこれがおもしろいのでは……?
お茶に具材を投入
さて、お茶も具材も完成した。あとは入れて飲むだけだ。
まぜて飲むぞー
ズゾーァー
ぼてぼて茶完成ぃー
具材投入シーンをあらためてみてみると、郷土料理というよりも、なんらかの災害的なイメージが喚起されてしまうが、あくまで、だんことして、ぼてぼて茶である。
むせる
ぼてぼて茶の味を、じっくり味わうために作った巨大ぼてぼて茶をいただきたい。
いただきまーす
ズズッ
フゴッ!
高野豆腐を入れすぎた
お茶じたいは、番茶の香ばしい風味とともに、かすかな甘味もある。おいしいお茶だ。具材もそれぞれおいしいのだが、いかんせん量がおおすぎた。とくに高野豆腐。
しいたけや野焼の存在感があまりなく、たくあんの強烈な歯ごたえと高野豆腐の旨味だけが印象に残った。
これはぼてぼて茶が悪いのではなく、分量を適当に決めたぼくが悪いのだが。
本来はいっきに飲むらしいが、さすがに量が多いため、さじですくってたべることに
うまいですよ、量が多いけど
ごちそうさまでした
新しいエンタメぼてぼて茶
巨大化させたおかげで、ぼてぼて茶をじっくりあじわうことができた。
茶筅で泡立てるところや、投入するところなど、作っていてちょっとたのしい部分もおおく、エンタメ要素がつよい。
お茶というよりも、ねるねるねるねみたいな知育菓子にちかいものがある。
ただ、量が多いので食べきるのがたいへんである。