フェティッシュの火曜日 2016年5月31日
 

歯ブラシの毛を数える

優雅な休日を過ごした結果
優雅な休日を過ごした結果
脈絡もなくふと思ったのだが、高価な歯ブラシほど毛が多いものなのだろうか。
1日予定を空けて、お菓子や好きなDVDをお供に、数えてみた。
1987年東京出身。会社員。ハンバーグやカレーやチキンライスなどが好物なので、舌が子供すぎやしないかと心配になるときがある。だがコーヒーはブラックでも飲める。

毛を数えるのが楽しそう

歯ブラシの毛の数と値段が比例していたら面白いし、何よりひたすら毛を数える作業が楽しそうである。
難しいことを考えなくても、手を動かせば何かしらの結果が出るというところが素晴らしい。
RPGのレベル上げのような、かけた手間がそのまま結果に現れてくれる生暖かい安心感がある。

というわけで、ドラッグストアや100円ショップなどで歯ブラシを集めた。

歯ブラシ4本を用意

今回毛を数えてみた歯ブラシは以下の4本である。
100円ショップの歯ブラシ。4本入っていたので1本25円。
100円ショップの歯ブラシ。4本入っていたので1本25円。
ドラッグストアで買った歯ブラシ。84円。
ドラッグストアで買った歯ブラシ。84円。
ドラッグストアで買った、「ぎっしり先細毛」が売りの歯ブラシ。236円。
ドラッグストアで買った、「ぎっしり先細毛」が売りの歯ブラシ。236円。
歯ブラシ専門店で教えてもらった、歯医者さんが使う歯ブラシ。313円。
歯ブラシ専門店で教えてもらった、歯医者さんが使う歯ブラシ。313円。
歯ブラシって改めて比べてみると、違いの分かりにくい商品である。
柄の部分のデザインでなんとなく売ってそうな場所を推測できるぐらいだ。
肝心のブラシの部分は、見てもピンとこない場合が多い。

ちゃんと毛の数に違いが出るだろうかと不安に思いながら、歯ブラシを買いそろえた。
公正を期すために、歯ブラシのヘッドの大きさはだいたい同じものを選んである。

まずは、100円ショップの、1本25円の歯ブラシから数えてみることにする。

毛を刈る

毛を数える前に、歯ブラシから毛を外す必要がある。

案の定、引っ張っても取れるものではなかったので、もったいないがカッターで切ってしまうことにする。
毛が見やすいように机に黒い色紙を敷いて、
毛が見やすいように机に黒い色紙を敷いて、
切る。分かってはいたが申し訳なさがすごい。
切る。分かってはいたが申し訳なさがすごい。
こういったものが集まった。こうなると本数に目算がつく。500本ぐらいだろうか。
こういったものが集まった。こうなると本数に目算がつく。500本ぐらいだろうか。
刈られてしまった歯ブラシ。これでかかとをこすったら気持ちよかった。
刈られてしまった歯ブラシ。これでかかとをこすったら気持ちよかった。

数える

そしていよいよ、
TSUTAYAで借りてきておいたDVDをスタンバイして、
TSUTAYAで借りてきておいたDVDをスタンバイして、
お菓子と飲み物もスタンバイして、
お菓子と飲み物もスタンバイして、
黙々と数えるわけである。優雅!
黙々と数えるわけである。優雅!
数えだすと温泉に入ったような安心感に包まれた。
もう何も考えなくていいし何もしなくていい。(数えるわけだが。)
DVDを見ながらお菓子を食べてのんびりして、ゆっくりと時間が過ぎていくのを眺めていればいいのである。
大人の休日である。
これがあの、大人の休日なのである。
こんな感じでピンセットでつまんで、10本ずつ並べている
こんな感じでピンセットでつまんで、10本ずつ並べている
おもしろDVDを流しっぱなしにしてある
おもしろDVDを流しっぱなしにしてある
頭をとろーんとさせながら、「1、2、3、4、5…」とひたすら数える。
脳が溶けていくようである。

数える前は、「色々なことを考えちゃうのかなあ、すごいことを思いついちゃったり半生を振り返ったりするのかなあ」とワナワナしていたのだが、なんの心配もいらなかった。
何も考えないからである。

毛をつかみ、10本にまとめて並べる、という作業が思いのほか楽しかったのかもしれない。
文字にしてみると何が楽しいのかまるで分からないが、やればやっただけ成果が現れる単純作業には、やはり麻薬的な魅力がある。
1時間半ほどで終わった。1,160本だった。
1時間半ほどで終わった。1,160本だった。
タイムスリップしたような感覚だった。
いつの間にか数え終わっているのである。

1,160本。
思っていたよりずっと多かった。
バチカン市国の人口(800人ほどだそうである)より多い。

この歯ブラシは25穴なので、1穴より46?47本の毛が植わっていることになる。
毛の総数がキリのいい数だったので、もしかしたら1穴の毛の数というのは全部同じなのだろうか…!と思ったがそうはいかないみたいである。
再度100円ショップ歯ブラシを、今度は1穴ずつ数えようともしたが、2つ目の穴に48本植わっていた。
再度100円ショップ歯ブラシを、今度は1穴ずつ数えようともしたが、2つ目の穴に48本植わっていた。
カルピスをお湯で割って飲み、「歯ブラシによってばらつきがある」という結論に落ち着けた。
カルピスをお湯で割って飲み、「歯ブラシによってばらつきがある」という結論に落ち着けた。
100円ショップの歯ブラシ(25円/1本)
1,160本

また数える

朝から数え出して、まだまだお昼前である。
2本目を数える。

2本目はドラッグストアに売っていた、84円の歯ブラシである。
1本目の3倍以上の価格の歯ブラシの毛は何本あるのだろうか。
毛を刈られた歯ブラシは毛がないので何の役にも立たないのだが、なんだか持ちたくなる。健康グッズみたいに見える。
毛を刈られた歯ブラシは毛がないので何の役にも立たないのだが、なんだか持ちたくなる。健康グッズみたいに見える。
別のおもしろDVDを流しながら数える。
別のおもしろDVDを流しながら数える。
相変わらず黙々と数え続ける。
お菓子がおいしい。
552本だった。552本!
552本だった。552本!
100円ショップより全然少ない。
バチカン市国の人口(800人ほどだそうである)よりも少ない!
バチカン市国には、ドラッグストアの歯ブラシの毛の数よりも多くの修道者の方が住んでいるのである。
(バチカン市国の国民はほとんどがカトリックの修道者なのだそうである)

歯ブラシの毛の数と価格は、比例の関係にはないのだろうか。
毛の質が良いと数が少なくても構わないのだろうか。
確かにこの歯ブラシは毛がしっかりしていてピンセットでつまみやすかった気がする。
ドラッグストアの歯ブラシ(84円/1本)
552本

そして数える

次は、ドラッグストアで売っていた毛の数を売りにしていそうな歯ブラシの毛を数える。
「ぎっしり先細毛」とある。「ぎっしり」がどれほどのものなのかも気になるが、「先細毛」も気になる。数えにくそうだ。
「ぎっしり先細毛」とある。「ぎっしり」がどれほどのものなのかも気になるが、「先細毛」も気になる。数えにくそうだ。
たくさんありそうに見える。
たくさんありそうに見える。
引っ張ったら根っこから全部抜けた毛。外に出ている分以上に、埋まっている毛が長いみたいである。
引っ張ったら根っこから全部抜けた毛。外に出ている分以上に、埋まっている毛が長いみたいである。
そして本日3本目の、「持ちたくなる棒」
そして本日3本目の、「持ちたくなる棒」
そろそろ飽きてくるかなと思いきやノリノリで数えている自分がいる。
毛の山を見ると乗り出して数えに入るのである。

途中、母が訪ねてきた。
なんと言っていいかわからずこちらからは説明しないでいると、母からも何も聞いてこなかった。
フキの煮物をくれた。
鼻息で、並べた毛が動いてしまったりもした。やはり心配していた通り、細くてつまむのが難しい。
鼻息で、並べた毛が動いてしまったりもした。やはり心配していた通り、細くてつまむのが難しい。
そして2時間ほどかかって、3本目を並べ終わった。
1,417本である。
今度はしっかり多い。
もう少しでバチカン市国の人口の2倍だ。
「ぎっしり」という表記があるとやはり毛が多いことが分かった。
そして並べた写真を撮り忘れたまま片付け始めてしまう。「ああ!」と声が出たが並べ直す気力はない。脳が溶けているのだ。
そして並べた写真を撮り忘れたまま片付け始めてしまう。「ああ!」と声が出たが並べ直す気力はない。脳が溶けているのだ。
ドラッグストアの歯ブラシ(ぎっしり先細毛)(236円/1本)
1,417本

数える

最後に、歯ブラシ専門店で紹介してもらった、歯医者さんで使われている歯ブラシの毛の数を数える。
価格も4本中最高の、313円である。
毛はそんなに細くなさそうで安心した
毛はそんなに細くなさそうで安心した
並べてみると、943本あった。今更だが、毛を並べた絵面が、無人島に漂流した人が木の幹に残すやつみたいですね。
並べてみると、943本あった。今更だが、毛を並べた絵面が、無人島に漂流した人が木の幹に残すやつみたいですね。
なんと100円ショップの歯ブラシの毛(1,160本)よりも少ない。
歯ブラシの良さは毛の数ではないのだろうか。
それとも100円ショップのあの歯ブラシが優秀すぎるのだろうか。
歯医者さんで使われている歯ブラシ(313円/1本)
943本

結論:歯ブラシの毛の数と価格は関係がない

今まで数えた歯ブラシの毛の数をまとめると以下のようになる。
やっぱり100円ショップ大健闘だと思う。すごい。
やっぱり100円ショップ大健闘だと思う。すごい。
価格との関係も合わせて散布図にした。4つの点が一直線になっていたりしたら何か言えたのかもしれないが図ったようににバラバラである。
価格との関係も合わせて散布図にした。4つの点が一直線になっていたりしたら何か言えたのかもしれないが図ったようににバラバラである。
というわけで、歯ブラシの毛の数と価格は関係がない。
クラクラするほど優雅な、大人の休日であった。
この日数えた毛、合計4,072本。この先絶っ対に役に立つことはないが、とても捨てることはできなかった。
この日数えた毛、合計4,072本。この先絶っ対に役に立つことはないが、とても捨てることはできなかった。

この企画を始めるにあたって、こちらの記事(『歯ブラシ専門店でいい歯ブラシを買う』)で紹介されているお店にも行ってみたが、毛の数よりも使い方が気になる歯ブラシがたくさんあって、結局スタンダードな4本に落ち着いた。
でも歯ブラシ専門店も楽しかったです。
歯ブラシのコーナーにあったので、お風呂を磨くブラシではないと思う
歯ブラシのコーナーにあったので、お風呂を磨くブラシではないと思う
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