ロマンの木曜日 2016年6月2日
 

レモングラスがどう見ても完全にネギ

!
レモングラスがあまりにもネギなのだ。

オシャレな美容院やエステで漂っていそうな、シトラス系の香りがするアレだ。しかし、その実像を見たことがある人は少ないのではないか。実際、私も日本にいた頃は、アロマオイルのパッケージか、調味料の瓶に小さく短冊状にカットされた形でしか見たことがなかった。

で、繰り返すが、その見た目が完全にネギなのだ。
1984年大阪出まれ、2011年からベトナム暮らし。日本から3600km離れた土地で、ダチョウに乗ったり、ドナルドのコスプレをしたり、札束風呂に入ったりしている。
> 個人サイト べとまる

アイスティーに入ったネギがネギじゃなかった

ネギ的レモングラスとのファーストコンタクトは、とあるコーヒーチェーンの商品用のポップ。思わず自分の目を疑った、アイスティーに、桃と…なんと、ネギの輪切りが!入っていたのだ。
ネギだよな?
ネギだよな?
コレ、どう見てもネギだよな??
コレ、どう見てもネギだよな??
すぐさまこの驚きをフレンドへ、とfacebookに投稿した写真には、日本人から「どう見てもネギ!」という驚きのコメントをもらう一方で、ベトナム人から「どう見てもレモングラスです」という冷やかなコメントをもらっていた。そこではじめて、その香りしか知らなかったレモングラスの実像を知ったのだ。
なんでそんなに言うんだ
なんでそんなに言うんだ
このレモングラス、切ったり叩いたり捻ったり、とにかく繊維を壊すとレモンと同じ芳香成分が飛び出すらしい。アイスティーに入っていても納得である。現地ではそのほか、料理にも使われていたり、タクシーのダッシュボードにはよく消臭剤として置かれてある。

それからずっと、私はある願望を抱えていた。レモングラスをネギに見立てて料理をつくれば、味と見た目の理解が一致しない、日本人を困惑させるおもしろい料理がつくれるのではないだろうか。

「ねぎま」ではなく「レモングラスま」

ネギがおいしい料理のひとつと言えば、焼き鳥のねぎまだ。炙られた熱で内側からジュワジュワ〜と汁気が溢れるおいしさ、あれをレモングラスでやったらどうなるだろう。
カセットコンロを持ち出して友人たちと野外へ。
カセットコンロを持ち出して友人たちと野外へ。
輪切りじゃなくても十分にネギ、ニラっぽくもある。
輪切りじゃなくても十分にネギ、ニラっぽくもある。
レモングラスは現地で、スーパーでほかの野菜といっしょに積まれて売られている。1kgあたり80円くらい。1kgから調理に使える割合がよく分からんが、遠足のおやつが300円なら3kgは持っていけるんだから、きっと安い。
パッと見でネギとの違いは葉がピーンと伸びてるところか
パッと見でネギとの違いは葉がピーンと伸びてるところか
レモングラスまの作り方は至って簡単!
輪切りにして、
輪切りにして、
肉と交互に竹串へ通すだけ。
肉と交互に竹串へ通すだけ。
この竹串に通す作業が厄介で、レモングラスはネギとは比べ物にならないほどに固いのだ。そもそも包丁での輪切りすらちょっと苦労するほどで、しっかりと重心を定めて突き立てないと、竹串の方が曲がってしまう。レモングラスまには金属製の串の方が合っていると、後輩たちに(いれば)伝えておきたい。
で、あとはとにかく炙りつづける。
で、あとはとにかく炙りつづける。
ピクニック感がありますが、ゴミまみれの河川敷です。
ピクニック感がありますが、ゴミまみれの河川敷です。
そして…完成!

圧倒的ねぎま感を見せる「レモングラスま」

それでは活目してご覧いただきたい!この、
圧倒的ねぎま感…!!
圧倒的ねぎま感…!!
友人1「ねぎま」
友人2「ねぎまだ」
友人3「ねぎまです」
私  「ねぎまだよね!?」

いや、正直、まさかこれほどまでに上手くいくとは思ってなかった。ネギの焦げ具合までもがそれらしい、シトラス系の香りと肉の焼けた匂いが混ざり合って食欲をそそる。

しかし、肝心の味はどうなのか、さすがに味までねぎまとは思っていないが、せめて美味しくはあってほしいもの。先に友人たちから食べてもらった。
いざ!
いざ!
実食!
実食!
モシャ…。
モシャ…。
モシャ…。
モシャ…。
モシャ…。
モシャ…。
私  「いや、どうなの?」
友人1「これ、全然いけますよ!」
私  「嘘〜!?」
友人2「口の中でレモンの風味が広がるんですよ」
私  「それはそうかもしれないが」
友人3「下手したら、都内のちょっとオシャレな焼き鳥屋にありそうです」
私  「それは下手しすぎやと思う」

疑うばかりじゃ何も分からないので、
いざ!
いざ!
実食!
実食!
モシャリ、モシャリ…。
モシャリ、モシャリ…。
モシャ…??
モシャ…??
友人1「なんて顔してんですか」
私  「いや、美味しいけど、めっちゃ食べづらいやん
友人2「美味しくないですか?」
私  「肉も上手い、レモンとの風味も合う、それは分かる」
友人3「でしょ?」
私  「でも、めっちゃ食べづらいやん…」

レモングラス、とても良い香りではあるのだが、そもそも繊維が固くてどうしても口の中に残ってしまう。単純に喉に引っ掛かって邪魔くさい、経年劣化でパリパリになった薄いプラスチック片のようだ(食べたことはないけど)。シトラスの香りが30点だとすると、この食感でマイナス80点で総合マイナス50点の出来だと私は言いたい。が、友人たちからは絶賛だったので、この場合は私が厳しすぎるのかもしれない。

すき焼きと水炊きに入れてみてはどうか

レモングラスまの絵面があまりに良かったので先に紹介してしまったが、実はすき焼きと水炊きにも挑戦した。もっと言うと、こっちの方を先にやったが絵的にイマイチだったので、後日レモングラスまをやったのだ。ぜひ、こちらもご覧いただきたい。
ベトナム式に床に新聞紙を敷いて食べる…前に調理する。
ベトナム式に床に新聞紙を敷いて食べる…前に調理する。
ネギと並べると意外に違いは明らか。
ネギと並べると意外に違いは明らか。
「レモングラスま」はレモングラスに対して垂直に包丁を入れたが、鍋物だと切り口は斜めの方がそれらしい。切ったときの感覚としては、ゴボウをさらに固くした感じに近いだろうか。
レモングラスをひたすら切り刻みつづける。
レモングラスをひたすら切り刻みつづける。
断面図はやはり完全にネギ。
断面図はやはり完全にネギ。
寄せ集めてもやはりネギ。
寄せ集めてもやはりネギ。
これほど「今嗅いでます」という表情は自分でも見たことがない。
これほど「今嗅いでます」という表情は自分でも見たことがない。
そのレモングラスたちを、すき焼きと水炊きに投入!
見事なほどに、
見事なほどに、
鍋の景色に溶け込んだ。
鍋の景色に溶け込んだ。
さて、こいつを溶き卵に具をひたして食べよう。
ネギだな…。
ネギだな…。
モグ…。 
モグ…。 
ゴリッ!
ゴリッ!
あかん、固いわ…。
あかん、固いわ…。
途中、一瞬光ったように見えたが、これは単にカメラの動作不良である。奇遇にも「固い!」と感じた瞬間に光ったので、ちょっとした動揺で超能力が発動するデリケートなエスパーのようになってしまった。

結局、すき焼きの味はどうだったかというと、淡いレモングラスの風味をシッカリとしたすき焼きの割り下が覆い尽くし、前述の点数で言えばマイナス80点だった(すき焼きは美味しかった)。

一方の水炊きは、昆布ダシに非常によく合い、お互いがお互いの味をよく引き出していたように思う。こちらは本当に大正解。
口から出ているものは生きた白魚ではなく糸こんにゃくです。
口から出ているものは生きた白魚ではなく糸こんにゃくです。
実は、現地における食材としてのレモングラスは、砕いたものをはまぐりの酒蒸しに入れたり、そのままつくねの串にしたりと、風味付けが多い。水炊きにしても焼き鳥にしても、結果的に実際の使い方と非常に近しいものだったのだ。ただ唯一違った点は、レモングラスはレモンの香りがするからと言ってレモンの味はしない、というより味がしない。見た目は完全にネギだし風味も上品になるが、食べられないという結論に至った。

良い大人は真似をしないように

撮影途中、「レモングラスの青い部分を刻めば万能ねぎになるんじゃ?」と友人が言い、それを味噌汁に入れて飲んでみたが、ただでさえ固いものが角をつくると危ない訳で、喉が切り刻まれて食道が八つ裂きになるかと思った。皆さまにおかれましては、ただ見て楽しむだけで真似はしない方が良いと思う。
見た目は完全に、
見た目は完全に、
万能ねぎですが、
万能ねぎですが、
食道が八つ裂きになるかと思いました。
食道が八つ裂きになるかと思いました。
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