ちしきの金曜日 2016年6月17日
 

ロンドンで体長2.5kmの鳥とイルカの絵を描いた

ロンドンでGPS地上絵に夢中になって、気がついたら物騒な場所に!
ロンドンでGPS地上絵に夢中になって、気がついたら物騒な場所に!
ぼくのライフワークに「GPS地上絵」がある。

これはカーナビなどにも使われているあのGPSを利用した遊び。あらかじめ地図上に絵を描いておき、GPSロガーを持って、実際にその通りに歩く。すると軌跡が記録されるので、そのデータを地図ソフトなどに重ねて「絵が描けた!」とにやにやする趣味だ。

いままでいろいろなものを描いてきたが、ついに海外進出。ロンドンで描いてきました。
もっぱら工場とか団地とかジャンクションを愛でています。著書に「工場萌え」「団地の見究」「ジャンクション」など。
> 個人サイト 住宅都市整理公団

体長2.5kmの「ロンドリ」

ともあれまずはとにかく完成した地上絵を見てください。

ひとつめは鳥。体長2.5km。
ロンドンの鳥、つまり「ロンドリ」だ。(Google earthに表示したものをキャプチャ。下も同様)
ロンドンの鳥、つまり「ロンドリ」だ。(Google earthに表示したものをキャプチャ。下も同様)
ちょっと引いた鳥瞰。鳥だけに鳥瞰。頭の上はテムズ川。
ちょっと引いた鳥瞰。鳥だけに鳥瞰。頭の上はテムズ川。
ロンドンに歩いて残した、巨大な鳥の絵というわけだ。もちろん現場には何も残っていないけど。
こういうものを持って、歩くわけです。いわばこれが絵筆というわけ。
こういうものを持って、歩くわけです。いわばこれが絵筆というわけ。
データを地図に重ねたものは以下。
頭の上はテムズ川。ご覧の通り、鳥の姿は南北が逆。羽根の南がロンドン塔。
おそらく鳥の絵として最大のものではないか。テムズ川岸で羽を休め、じっとロンドンシティ空港あたりを見つめている。巨大だけど、かわいい。

自分で描いておきながら、鳥の種類が不明だったので鳥好きの友人に 「これ、なんの鳥かな? インコ?」 って見せて尋ねたら 「インコ……うーん……鳥だね」 とのことだった。どうやら新種らしい。ロンドリと命名しよう。

データには時間が含まれているので (というか、GPS、さらに言えば緯度経度の特定の大元は「時間」なのだ。ややこしくなるので詳細は割愛しますが) 、軌跡を動かすこともできる。以下がそれ。
歩いた軌跡を早回しで動画にしたもの。
これを見て 「面白そう!」 と思った方はぜひこの趣味をはじめてください。きょうびスマホにもGPS機能があるので、すぐに始められますよ!

妻の設計です

さて、さきほど 「あらかじめ地図上に絵を見つけておき」 とさらっと言ったが、実際にはその設計がとてもたいへん。

以前記事にしたことがあるが(→「十五夜に体長2.5kmのウサギの絵を描いた」)、地図を上下左右ぐるぐる回転させながら何日もひたすら眺め、何かが見えてくるまで待つのだ。
家で寛いでいるときも、暇があれば地図とにらめっこ。
家で寛いでいるときも、暇があれば地図とにらめっこ。
今回、妻とロンドンに行こう、となって 「せっかくだから地上絵を描こう!」 とふたりで盛りあがり、それからは各々地図を眺める日々になった。 そういう夫婦なのです。

実はこの「ロンドリ」の設計は妻によるもの。彼女は優秀な「GPS地上絵師」なのである。結婚生活楽しいです。
そしてロンドン。プリントアウトした地図を片手に、この線の通り歩き回ります。
そしてロンドン。プリントアウトした地図を片手に、この線の通り歩き回ります。

せっかくロンドン来たのに

この「ロンドリ」の道のりは16kmあまり。普通だったら3時間もあれば描き終える距離だ。

しかし今回は異国の地。土地勘ゼロ。途中すごく疲れて休憩もしてしまい、結局6時間以上かかった。

それ以上に苦痛だったのは、魅力的なものが見えてもそちらへは行けない、ということ。軌跡が残っちゃうから。
ノーマンの 30 St Mary Axe が見えて「お!」となっても
ノーマンの 30 St Mary Axe が見えて「お!」となっても
そちらには行けない。鳥がへんな形になっちゃうから。
そちらには行けない。鳥がへんな形になっちゃうから。
ロジャースの The Leadenhall ビルにも近づけない。鳥の描写の方が大事だから。
ロジャースの The Leadenhall ビルにも近づけない。鳥の描写の方が大事だから。
Tower of London もスルー。恨めしそうな顔。自分で好きでやってるんですが。
Tower of London もスルー。恨めしそうな顔。自分で好きでやってるんですが。
まったく観光できない。

建築好きとしては痛恨。すべて 「明日以降、改めて見に行こう」 を合い言葉に地上絵に専念した。

そしてそういう約束がしばしばそうなるように、結局はたされることはなかった。後述するようにもうひとつ地上絵描かねばならなかったし、、ロンドンのすごい団地や、かっこいい地下鉄めぐりもしなければならず、まったく暇がなかったのだ。

いったい何をしにロンドンまでいったのか。

いや、地上絵描きに行ったのだ。しょうがない。遊びじゃねえんだ! (遊びです)

とうぜん迷う

普通の絵は、筆をキャンバスから離せばそこは空白になるが、地上絵はそうはいかない。常に接地した一筆書きなのだ。だから観光気分は捨てなければならない。

ただ、日本だったら別にそれでもいいが、いざこうやって滅多に来ることができない場所となると、これはかなりつらい。

まあ、後からデータ加工できるんだけどね。でもそれをやっちゃったらおしまいだ。だって、データいじっていいんだったら、そもそも現場に行く必要もない。

と、なぞのストイックさを主張したところで、もうひとつの異国の地での困難をご紹介したい。

こちらは単純な話だ。道に迷うのだ。
どこだここ。
どこだここ。

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