ロマンの木曜日 2016年7月14日
 

日常にひそむ違和感、「私設ポスト」の世界

普段見ている郵便ポストとは、微妙に違うポストたち
普段見ている郵便ポストとは、微妙に違うポストたち
郵便ポストのなかには、「私設ポスト」と呼ばれる種別のものがある。「私設」という名のとおり、個人や法人が自費で設置したポストだ。

私設ポストには色や形の規定がないため、いつも見慣れた赤いポストとは微妙に違う「亜種」が多くみられる。そんな私設ポストを、探して、見つけて、観察してみた。
1983年徳島県生まれ。大阪在住。エアコン配管観察家、特殊コレクタ。日常的すぎて誰も気にしないようなコトについて考えたり、誰も目を向けないようなモノを集めたりします。
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私設ポストとの出会い

私と私設ポストとの出会いは突然だった。いつものように街を歩いていると、ふいに目に飛びこんでくるものがあった。
最初は「この消火栓、なんか変わってるなー」と思い、とりあえず写真に撮っていた。しかしよく見てみると……
最初は「この消火栓、なんか変わってるなー」と思い、とりあえず写真に撮っていた。しかしよく見てみると……
「私設ポスト」って書いてあったのだ
「私設ポスト」って書いてあったのだ
ちゃんとポスト番号も記載されていて、投函も可能。「え、何なの、私設ポストって!?」というのが、いまから数年前の出来事
ちゃんとポスト番号も記載されていて、投函も可能。「え、何なの、私設ポストって!?」というのが、いまから数年前の出来事
いきなりこんなものを見つけてしまったら、もう気になって仕方がない。それ以来、ふらふらと街を歩きながらも、視線はいつも私設ポストを探していた。山崎まさよし「One more time, One more chance」の歌詞ではないが、思い人を無意識に追ってしまうような、そんな感じだったのである。
探していると、意外と見つかるもので。これなんかは、どう見ても普通の郵便ポスト(郵便差出箱12号)だが、
探していると、意外と見つかるもので。これなんかは、どう見ても普通の郵便ポスト(郵便差出箱12号)だが、
よくみると「私設」の銘板が。こんな調子なので、みんな知らないうちに目にしている可能性がある
よくみると「私設」の銘板が。こんな調子なので、みんな知らないうちに目にしている可能性がある

私設ポストって何?

私設ポストとは、平たくいえば個人や法人が自費で設置しているポストである。有償で契約すれば、普通のポストと同様、定期的に回収してもらうことができる。
テナント数の多いビルで、玄関前やエレベータホールに設置されてるのがよくあるパターン。これなんかは、ただの郵便受けみたいに見えるけど
テナント数の多いビルで、玄関前やエレベータホールに設置されてるのがよくあるパターン。これなんかは、ただの郵便受けみたいに見えるけど
取集時刻も掲載されてるので、投函可能なポストだと分かる
取集時刻も掲載されてるので、投函可能なポストだと分かる
回収料を払えば誰でも設置できるものの、契約には一定の条件がある。詳細は、日本郵便「内国郵便約款」の、第7章・第5節「郵便差出箱の私設の承認請求等
を参照してほしい。簡単に書くと、

・取り集めに支障のない場所に設置されていること(例えば人家のない山奥などは不可)
・一日の平均差出し見込み数が、10通以上であること

という、これくらいの条件である。

費用は同じく内国郵便約款の「料金表」に記載がある。例えば一番安い条件である、
・道路に近接する場所に設置し
・一日3回以下の取集を依頼する
という場合は、年額82,290円とのこと(2016年7月確認)。

意外と安いな、と思った。大手キャリアのスマホ料金くらいだと考えると、まあ個人で出せない額ではない。しかし趣味で設置するとなると、費用よりも「1日10通以上」の条件がネックになりそうだ。

私設とはいえ、立ち入り禁止の場所でなければ、基本的には誰でも投函できる。ただし、関係者以外の投函を禁止しているポストもあるので注意したい。
関係者以外の投函を禁止している私設ポストもある。設置者の意向により、ポストごとに事情が違うようだ
関係者以外の投函を禁止している私設ポストもある。設置者の意向により、ポストごとに事情が違うようだ

私設ポストの色や形は自由

さて、ここからが私設ポストの面白いところ。ポストは自費で設置することになっており、色や形に関する規定は特にないのだ。
ポストは赤いものだという固定概念も、私設ポストの前では無意味。例えば、こんな灰色のポストもある(郵便差出箱7号を塗装したものと思われる)
ポストは赤いものだという固定概念も、私設ポストの前では無意味。例えば、こんな灰色のポストもある(郵便差出箱7号を塗装したものと思われる)
このゆるい条件が、色違いのポストや、最初に見つけた特殊な形のポスト(消火栓型など)を生んでいるのである。

いろんな私設ポストを知りたい

私設ポストを知るにつれ、「いったい街には、どんな私設ポストが設置されているのだろうか?」と気になってこないだろうか。私は気になって仕方なかったので、調べてみることにした。
ここからは、独自研究による私設ポストの分類を紹介したい。

と、その前に、分類するからにはある程度のサンプル数を集める必要がある。手持ちの写真だけでは心許なかったので、1日かけて大阪市内にある私設ポストを40個ほど追加で訪問してきた。

私設ポストを探す手がかりとしては、「ポストマップ」という、郵便ポストの設置場所をみんなでマッピングするサイトの情報を利用させてもらった。
「ポストマップ」の情報を地図に書き出して、それを見ながら地道にひとつずつ訪問
「ポストマップ」の情報を地図に書き出して、それを見ながら地道にひとつずつ訪問
ちなみに大阪では、梅田〜本町にかけてのオフィス街が、私設ポストの密集地帯となっている。丸印が全部そうで、狭い範囲にこんなにあるとは想像だにしてなかった
ちなみに大阪では、梅田〜本町にかけてのオフィス街が、私設ポストの密集地帯となっている。丸印が全部そうで、狭い範囲にこんなにあるとは想像だにしてなかった
それでは順番に見ていこう。

普通の郵便ポスト型

いきなり拍子抜けするかもしれないけれど、結構あるのが「普通の郵便ポスト」と見分けが付かない私設ポスト。
特に屋外に設置されていると、私設ポストだと気付かずに利用している人も多そうだ。でもよく見ると……
特に屋外に設置されていると、私設ポストだと気付かずに利用している人も多そうだ。でもよく見ると……
私設ポストって書いてある
私設ポストって書いてある
これも見分けにくいけど私設ポスト
これも見分けにくいけど私設ポスト
運良く郵政カブとのツーショットが撮影できたこのポストも、やはり私設ポストなのだ
運良く郵政カブとのツーショットが撮影できたこのポストも、やはり私設ポストなのだ
大阪駅前第3ビルの一階には、このような普通のポスト風(でも郵便ポストとは何か違う)の私設ポストが、
大阪駅前第3ビルの一階には、このような普通のポスト風(でも郵便ポストとは何か違う)の私設ポストが、
なんと二つ並べて設置されている。これは珍しいので、大阪に来たら一度は見ておきたい
なんと二つ並べて設置されている。これは珍しいので、大阪に来たら一度は見ておきたい

壁埋め込み型

一般のビルでよく見られるのが、壁埋め込み型である。
壁に埋め込まれる形で設置されている。小型の扉と一体になっており、簡単に郵便物の取り出しができそうだった
壁に埋め込まれる形で設置されている。小型の扉と一体になっており、簡単に郵便物の取り出しができそうだった
「私設郵便差出箱」という立体文字が書かれた、似たようなタイプのポストが非常に多い
「私設郵便差出箱」という立体文字が書かれた、似たようなタイプのポストが非常に多い
他にもこんなに。ビル用の標準的な商品として販売されているのかもしれない
他にもこんなに。ビル用の標準的な商品として販売されているのかもしれない

差出口型

ホテルのフロントなどによくあるのが、壁と一体になっていて、差出口だけがぽっかりと開いているタイプ。
エレベータ脇に、ぽっかりと空いた差出口、
エレベータ脇に、ぽっかりと空いた差出口、
これも私設ポストである。見逃さないようにしたい
これも私設ポストである。見逃さないようにしたい
このタイプは取集口が表にないので、裏側にまわらないと郵便物が取り出せない。機能性よりも見た目を重視しているのかもしれない
このタイプは取集口が表にないので、裏側にまわらないと郵便物が取り出せない。機能性よりも見た目を重視しているのかもしれない
また、シューター方式になっている場合も多かった。
シューターとは、投函した郵便物が、ビルの一番下の階にあるポストまで落ちていく方式である。収集するものは違うが、ダストシュートと同じような思想だ。
例えば、大阪駅前第1〜第4ビルには、もれなくシューターが備えられていた。各階にこのような差出口があって、それがすべて地下3階にあるメール室へとつながっている
例えば、大阪駅前第1〜第4ビルには、もれなくシューターが備えられていた。各階にこのような差出口があって、それがすべて地下3階にあるメール室へとつながっている
ただ途中で詰まることが多いらしく、どの差出口にもサイズ厳守の注意書きがついていた。中の構造がちょっと気になる
ただ途中で詰まることが多いらしく、どの差出口にもサイズ厳守の注意書きがついていた。中の構造がちょっと気になる
この2つは別の場所だが、やはりシューター
この2つは別の場所だが、やはりシューター
シューター方式は、仕組み的になかなかグッと来るものがある。ぜひ今度投函してみたい。

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