とくべつ企画:「上京して驚いたこと」を確かめる 2016年7月22日

ケチャップは邪道!釧路ではアメリカンドッグに砂糖をかける

砂糖まみれのドッグたち
砂糖まみれのドッグたち
コンビニの揚げ物コーナーでおなじみのアメリカンドッグ。

ソーセージに小麦粉などでつくった衣をつけ揚げたもので、たいがいはケチャップとマスタードをかけて食べる。

しかし、どうやら北海道の釧路では事情が違うらしい。なんと甘いのだ。砂糖を大量にまぶしちゃうからだ。いったい何でそんなことになっちゃったんだろう。

実際に食べに行ってみよう。

※この記事はとくべつ企画、「『上京して驚いたこと』を確かめる」のなかの1本です。

読者の方からいただいた、上京して驚いたことの投稿をライターが現地へ行ってたしかめます。
東京葛飾生まれ。江戸っ子ぽいとよく言われますが、新潟と茨城のハーフです。
好きなものは犬と酸っぱいもの全般。そこらへんの人にすぐに話しかけてしまう癖がある。上野・浅草が庭。(動画インタビュー)

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フレンチドッグと言うらしい

コンビニやサービスエリアでおなじみの「アメリカンドッグ」。ソーセージの周りに、ふわふわした衣が付いている食べ物である。

普通はケチャップやマスタードをつけて食べる。
これぞアメリカンドッグだろう。ケチャップやマスタードとの相性は抜群。
これぞアメリカンドッグだろう。ケチャップやマスタードとの相性は抜群。
アメリカンドッグは世界中、どこもこのように食べるものだと思っていた。

しかし釧路ではアメリカンドッグは「フレンチドッグ」と呼ばれ、ケチャップではなく、砂糖をまぶして食べるという投稿があったのだ。
地方から都会へのギャップの逆パターンです。
・出身地:神奈川県横浜市
・行った場所:北海道釧路市
・おどろいたこと:アメリカンドッグにはケチャップとマスダードではなく、砂糖をまぶす。赤飯の小豆に甘納豆を使った甘い赤飯

しのわ
そこで釧路にやってきました。写真右にある店の名前もよく見たら946(くしろ)。
そこで釧路にやってきました。写真右にある店の名前もよく見たら946(くしろ)。
アメリカンドッグがフレンチドッグ。つまりアメリカがケチャップで、フランスは砂糖を意味していることになる。

確かにアメリカはなんにでもケチャップをかけてるイメージだし、フランスはスイーツ大国だ。アメリカンドッグに砂糖をかけるのはまだ納得できないが、ネーミングセンスには納得である。

まずはコンビニへ

コンビニに行けばフレンチドッグが味わえるとの事なのでさっそくいってみよう。
北海道のコンビニといえばセイコーマート。だが…!
北海道のコンビニといえばセイコーマート。だが…!

セイコーマートでは食べられない

釧路にあるコンビニはほぼ、セイコーマート、ローソン、セブンイレブンの3つである。

その中でも、セイコーマートは北海道を代表するコンビニだ。きっとフレンチドッグがあるだろうと予想してたのだけど、、残念ながら扱っていないとのことだった。

アメリカンドッグさえ置いてない。アレレ…
お次はローソン。店舗によってはアメリカンドッグが置いてある。だが…!
お次はローソン。店舗によってはアメリカンドッグが置いてある。だが…!

ローソンはケチャップ対応

私が入ったローソンには無かったのだが、アメリカンドッグが置かれている店舗ならいくつかあるようだ。

しかしローソンのマニュアルでは他の地域と同じくケチャップとマスタードをつける事になっているらしく「フレンチドッグ」はやっていないという。

ただ、ごくたまに砂糖が欲しい、と言ってくるお客さんがいるのでスティックシュガーをあげる事はあるそう。うーん、もしかしてフレンチドッグって少数派なのか?

最後の頼みの綱はセブンイレブンである。
セブンイレブンはどうだ
セブンイレブンはどうだ
あった!? いや、いつものアメリカンドッグだね
あった!? いや、いつものアメリカンドッグだね

砂糖がまぶされたフレンチドッグは見当たらず、普通のアメリカンドッグが並んでいた。ここでもローソンと同じく砂糖を渡されるのだろうか。

最後の一本を取られまいと急ぎレジに並び、「フレンチドッグが食べたいんですが…」と店員さんに言ってみる。

すると「少々お待ちください」とアメリカンドッグを持って店の奥へ向かった。
そして渡された「フレンチドッグ」108円。
そして渡された「フレンチドッグ」108円。
おおっ砂糖が大量についてる!
おおっ砂糖が大量についてる!

砂糖派8割、ケチャップ派2割

砂糖を渡されて自分でかけるのかと思いきや、奥で砂糖をつけてきてくれる仕組みだった。

セブンでは、アメリカンドッグを買う時に砂糖にするかケチャップにするか聞くことになっているようで、だいたい8割くらいのお客さんがこのフレンチタイプを頼むという。

やっぱり砂糖をかけるのはメジャーなのだ。はてさていったいどんな味だろう。
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砂糖のジャリジャリが心地よい

フレンチドッグを口にしてみるとまず、砂糖のジャリジャリとした触感が頭蓋骨に響いた。子供の時よく食べた鈴カステラや、カステラの底の方を思い出す。

中には塩気のあるソーセージが入っているのだけれど、主張があまりないのか全体的にほんのり甘く感じる。肉が入っているけれど、これは完全にスイーツだ!
意外と違和感がない。でもアメリカンドッグとは完全に別物!
意外と違和感がない。でもアメリカンドッグとは完全に別物!
あんドーナツのように激甘では無いのがポイント高い。これなら男性も好きな人多そうだ。
全体的にフワフワと柔らかい。そこへ砂糖のジャリジャリが活きる。
全体的にフワフワと柔らかい。そこへ砂糖のジャリジャリが活きる。

そもそもなぜ砂糖をかけるようになったの?

コンビニの店員さんたちの話によると、「釧路は炭鉱で栄えたまちで、肉体労働者たちのエネルギー源として甘いものがウケたから」とのことだった。

北海道では他にも、赤飯に甘納豆を使うという独自文化があるし、もしかしたら甘いもの好きが多いのかもしれない。
北海道の赤飯には甘納豆が一般的。
北海道の赤飯には甘納豆が一般的。
また、フレンチドッグはコンビニだけでなく、スーパーやお祭りの屋台なんかでよく見られるという。

せっかくなので食べ比べてみよう。
地元のスーパー、ビッグハウスにやってきた。
地元のスーパー、ビッグハウスにやってきた。
お惣菜コーナーにドーン! すごい量だ。コンビニと違い、すでに砂糖がついてる。
お惣菜コーナーにドーン! すごい量だ。コンビニと違い、すでに砂糖がついてる。
店内にフレンチドッグが見当たらないので店員さんに声をかけたところ、「今ちょうど切れちゃってるから揚げてくるよ!」と言って厨房に入っていった。

申し訳ないので1本で大丈夫ですと言ったのだけど、出されたのがこの数だ。きっと大人気なのだろう。
「こんなのが珍しいんだねえ」と言いながらあげてくれた。
「こんなのが珍しいんだねえ」と言いながらあげてくれた。
冷凍コーナーでは小さいアメリカンドッグを発見。家庭ではこれに砂糖をつけるらしい。
冷凍コーナーでは小さいアメリカンドッグを発見。家庭ではこれに砂糖をつけるらしい。

「ケチャップは邪道! 砂糖以外考えられない」

一緒に探してくれた別の女性店員さんによると、フレンチドッグは家でお母さんがおやつとしてよく作ってくれたそうだ。

私が手にとった冷凍のミニアメリカンドッグはバニラ風味で既に甘そうだが、そんなのお構いなしにさらに砂糖をつけますよ、と言っていた。アメリカンドッグは完全にスイーツの認識なのである。
揚げたてだ、楽しみ!(95円)
揚げたてだ、楽しみ!(95円)

給食でもフレンチドッグ

また、最近の給食にまでフレンチドッグが出るらしいとも教えてくれた。聞けば聞くほど釧路市民のフレンチドッグへの愛が露わになってきて面白い。
うん、うまい!
うん、うまい!
外側がサクッ&ジャリジャリ。
外側がサクッ&ジャリジャリ。

揚げたてのため熱がほんのりと残るフレンチドッグ。

外側が歯に軽く抵抗をして、サクっという音をたてた。中は少し重みがあり、セブンのよりしっとりしている。こちらも若干塩気を感じるソーセージだが砂糖の甘みに包み込まれ、美味しいスイーツとなっていた。

これも十分おいしい。でもこの日の夜、さらにおいしいフレンチドッグを見つけてしまった。
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フレンチドッグはお祭りでも大人気!

タイミングよく、この日お祭りがやっているというので行くことに。

昼間のリサーチによると、お祭りには90%の確率でフレンチドッグの屋台が出ているという。
ちょうど厳島神社例大祭というお祭りがやっていた。すごい賑わいだ。
ちょうど厳島神社例大祭というお祭りがやっていた。すごい賑わいだ。
お、さっそくフレンチドッグ屋さん発見!
お、さっそくフレンチドッグ屋さん発見!
というか入り口のところに2つ並んじゃってる!
というか入り口のところに2つ並んじゃってる!
お祭りに並ぶ屋台はおよそ100店ほど。

そのうち4店がフレンチドッグのお店だった。ここで嬉しいのが、屋台にきっちり「フレンチドッグ」と明記されていることである。

ただ、やはり好みに対応できるようにどこのお店にもケチャップが置かれていた。
一番の人気店で買ってみよう
一番の人気店で買ってみよう
どこもひっきりなしにお客が来るほど繁盛していた。老若男女問わず、当たり前のようにフレンチドッグを頬張っている姿を見るとやっぱりちょっと不思議だった。

4店あるうち私が選んだお店ではお母さんがその場で生地づくりをしていた。手際よくどんどんとあげていく。
その場で生地をこねる。隣には魚肉ソーセージの箱。
その場で生地をこねる。隣には魚肉ソーセージの箱。
火が通っているか、棒を刺して確認したあと、
火が通っているか、棒を刺して確認したあと、
砂糖をこれでもかというほどつけてできあがり。
砂糖をこれでもかというほどつけてできあがり。
砂糖ではなくケチャップも選べるが、屋台でも砂糖派が8割くらいだそう。

やはり目の前で全ての工程を見るととても美味しそうに見える。

コンビニやスーパーのも美味しかったけど、あちらはいったん冷凍されたものを使っている。これはきっと一味違うだろう。
火が通ってるか確認した穴に砂糖がたっぷり詰まってすごくおいしそう。300円
火が通ってるか確認した穴に砂糖がたっぷり詰まってすごくおいしそう。300円
うわ、格別にうまい!
うわ、格別にうまい!
目の前であがったものをすぐに食べる幸せ。今日食べた中で一番アツアツで、外はサクサクと香ばしかった。

これまではソーセージの存在は小さかったけど今回の魚肉ソーセージはきちんと存在感があり、家でおやつを頬張っているような感覚。まさしくお母さんがつくるような、家庭的なおやつに仕上がっていた。
そういえば最近、調味料として以外に砂糖をそのまま食べていなかった。魚肉ソーセージと相まって、実家感がするのがまたいいのかも。
そういえば最近、調味料として以外に砂糖をそのまま食べていなかった。魚肉ソーセージと相まって、実家感がするのがまたいいのかも。

フレンチドッグは屋台がうまい!

という訳で、3つのフレンチドッグを食べた結果、一番のおすすめはお祭りの屋台で食べるフレンチドッグであった。釧路に行った際はぜひ食べてみてほしい。

ひとつ注意したいのは、釧路は気温が低めのため、7月、8月の間に祭りが集中していること。つまり一番うまいフレンチドッグを食べるならまさに今、すぐに釧路に行くべきである!

と熱く書いたけど、家でも簡単にできるのでお試しください。

北海道のセブンイレブンのアメリカンドッグは丸い

本題と話がずれるけど、釧路で買ったセブンイレブンのアメリカンドッグはフォルムが丸いことに気がついた。一瞬、気のせいかな、と思ったが帰ってネットで調べたら同じアメリカンドッグでも地域で原料や形がちがっていた。こちら参照

そういえば大手のコンビニはどこも、その土地の嗜好に合わせて商品を開発していると聞く。

きっとそのおかげで、釧路のセブンイレブンではフレンチドッグが提供されているのだろう。その細やかさにちょっと感動してしまった。
この丸いフォルムは北海道もしくは近畿以西限定。
この丸いフォルムは北海道もしくは近畿以西限定。
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