特集 2016年7月24日

海外で大事な物をなくした人たちの話

「うわあああああ!」
「うわあああああ!」
海外で大事な物をなくす。見つかった人もそうじゃない人も、なくした時のあの、落胆と安堵の間をジェットコースターで行き来するような抱えきれない想いを共有しましょう!

先日記事で海外でスマホとパスポートをなくした体験をご紹介しつつみなさんのなくしものを募らせていただいたところ、想像以上にたくさんの熱いエピソードがよせられてまいりましたのでさっそく紹介したいと思います!

※投稿は、一部編集・抜粋をさせていただいたものもあります。何卒ご了承ください。
1981年群馬県生まれ。ライター兼イラストレーター。飲食物全般がだいたい好きだという、ざっくりとした見解で生きています。とくに好きなのはカレー。(動画インタビュー)

前の記事:海外で大事な物をなくすとどうなるのか

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はじめての海外。小さいけど高い、そして代償もでかい

まずは、初海外の初日に起きた悲劇の顛末から。
強度の近視の私。かれこれ28年前に生まれてはじめての海外旅行でハワイに行き、到着したその日に乗った観光ヘリでコンタクトレンズを風に飛ばしました。今みたいに使い捨てコンタクトがあろうはずもなく、学生の身には5万円の大出費の痛みも去ることながら、その後は楽しみにしていたダイビングも乗馬もサーフィンも・・・すべてがボケボケの6日間で、あまり記憶が残っていません。
ぴっこりーさん
かなしすぎる
かなしすぎる
初海外旅行、演奏旅行で済州島に行ってきたのですが、日本に帰る飛行機に乗る直前に楽器の部品が1つなくなっていることが判明しました。部品代は\15,000程度だったのですが、楽器店にその在庫がなく、やむなく3倍程度するものを購入することに・・・。旅行そのものは非常に充実してましたが、なくした部品は正直惜しかったです・・・
ひまござるさん
3倍。読んだ瞬間、思わず脳内の電卓が豪速球で動いてしまいました。楽しいはじめての海外旅行で、その洗礼はえぐい!

旅先で見た友人の意外すぎる一面

スーツケースの鍵を紛失しました。もうぶっ壊すしかないかと思っていたんですが、同行してた友達が「ちょっとやってみるわ」と言ってヘアピン片手に鍵をこちょこちょ。カチャ。ほんの1分ほどで開きました。私はもう感激してありがとうの連発!夕食もご馳走してやりましたが、なぜ友達がこんなことが出来るのかとなかなか眠れなかったのは秘密です。
たにたにこさん
器用すぎる人なのかそれとも……。

救世主登場

続きましては、神様(のような人間)との遭遇の話です。
オーストラリアで、ホテルのセーフティボックスに財布とパスポートを置き忘れました。気づいたのは次の滞在先に向かう長距離バスの中。英語が不自由すぎて、引き返すバスの手配もホテルの人に電話をかけることもできず、その場で気絶するかと思うくらい血の気が引きましたが、到着先の新しいホテルの人に必死に身振り手振りで説明したところ、なんとフロントの人の弟がパスポート忘れてきたホテルの近くにいるらしく「受け取ってこっちに持ってきてあげるよ!」とのこと。神でした。リアルに後光が差してました。ちなみにそのパスポートは、出発前日本で電車の中に置き忘れ、ひとつ先の終点駅まで取りに行って飛行機に乗り遅れそうになる、というピンチもかいくぐってました。
aoaoaoooさん
!
フロントの人が良い人すぎてもう、こんな方が同じ地球にいるという事実だけで心がじゃばじゃばと洗われていく気がします。ちなみにaoaoaoooさん、普段はあまり物をなくさない方なんだそうです。海外旅行の周辺だけなぜこんなことに。

ニューアーク空港でiPod touch を紛失しました。浮かれきってアメリカ的に馬鹿でかいピザとかを注文して写真をとろうと思いきや見当たらずに、気づくや否やとにかくダッシュ!どこへ行けばいいかもわからないまま、極悪な異国人に取られていたらどうしよう、とか、往年の名作漫画「ぼのぼの」並みの強い考えになってしまいつつ、ピザ屋に入る前に座ってたベンチの前まで来たら、上品なおばさまが私のiPodを手にとって、じっと見つめていらっしゃる。私に気がついて、「あら、あなたのなのね、よかったわ。この可愛い猫ちゃん(待ち受け画面の写真)がさみしがっていたわよ」と,にっこり笑ってくださいました。
歯磨き怪獣さん
すごい。紛失するとつい考えてしまう「悪い人の手に渡っていたら」思考とはあまりにも対極すぎる上品なおばさまの登場に、思わず読んでいるこちらまで嬉しくなってしまいます。
イメージ写真
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トルコへの新婚旅行で、夫がスマホを失くしました。博物館内のトイレに置き忘れて、戻るともうなく……。でも、ダメもとでトルコ人ガイドさんが警備室に問い合わせてくれたら、ちゃんと返ってきていたんです。かなりめずらしいことらしく、ガイドさんは「トルコの奇跡だ」と言って、お祈りしていました。(ラマザン期間中でした
クーラーさむいさん
当事者もさることながら周囲も感動する、それが奇跡。

「パスポートをなくしてしまった」

海の向こうでなくしたくないもの暫定1位(いや、ほかのも辛いが!)
海の向こうでなくしたくないもの暫定1位(いや、ほかのも辛いが!)
いらっしゃいました。
まずは、残念ながら見つからなかったお二方のお話から。
20年くらい前、大学生だった時にバンコクでパスポートを無くしました。ふと気づくと背中のリュックが開いていて、あれー閉め忘れたっけ?と思い、その場はそれで終了。しかし、宿に着いて中を見たところ、パスポートがない、、、急速に回りの音が消えていく感じを覚えています。そこからは記憶があいまいです。
領事館の方に不注意を怒られつつも、とにかく帰国する為に必要な「帰国のための渡航書」を申請しました。パスポートを現地で再発行してもらうのは時間的にも金銭的にも諦めました。で、確かその渡航書が発行されるのが申請後5日後とか。「もう他に無くすものなんか無いわ」と開き直った私は緊急用にとっておいた5万円でプーケットへ行き、一日中ビーチでごろごろしていました。「自分をどこかの国の人間だと証明するものを何も持っていない」という不思議な開放感を覚えています。
ひろへぽさん
最後、すぱーんと豪快な結論!無が産み出す強さと自由について考えてしまいました。わたしも、ぜんぶ失ったら南の島に行こうと思います……って、行ける勇気はあるだろうか。
イメージ写真
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今から15年ほど前、新婚旅行でヨーロッパに行きました。やらかしたのは、ドイツに着いた初日の夜。夜行の国際列車でチェコのプラハに行く予定でした。乗車する前にパスポートを用意しておこうと探したものの、あれ、パスポートがない!

~以下、紆余曲折~
!
しかし、最後に大きな罠が。ちょうどそのときはアメリカ同時多発テロの直後で、空港でのパスポートチェックは厳重を極めていました。正式なパスポートではない紙っきれ1枚で出国しようとする私は当然のように怪しまれ、別室へ行かされる羽目に。念のため……と1時間ほど尋問されました。そして日本に帰ってきたらきたでまた入国審査で怪しまれ別室。仕方ないですけどね、自分が悪いのですから。
べるちゃん
この事件はまさに新婚旅行の初日から起きているんですよね、それがまず恐怖なんですが、
いくら領事館発行とはいえど紙きれ1枚、パスポートと比較した時の効力の弱さにぶるぶると身震いがしました。

ちなみにこの「帰国のための渡航書」、わたしは今回の投稿ではじめて認識した次第です。パスポートをなくした人は皆、即パスポートを再発行してもらう流れなのかとばかり思っていましたが、そうじゃないのか。大使館や領事館の所在地によって発行までの日数は異なる模様です。

拾われたパスポートは大使館や、入国先の空港に届く?

見つかった人の話も聞いてみましょう。
パスポートを落としてしまい大使館に行ったところ、「あんたのパスポートってこれじゃないの?」と奥からパスポートが。届けてくれた人、本当にありがとう!
nktnmさん
ローマの空港の出国ゲートを出た先のどこかでパスポートを落としたことに、マルタ共和国の空港の入国管理のおじさんにパスポート渡そうとして気がつき蒼白、紛失の旨を訴えると「お前のパスポートはこれか?」と。無事に入国出来たのだが、落とした筈のパスポートがいかなる手段でマルタ共和国の空港に届けられたのだろう?
かっちゃんさん
なくした本人が向かっている場所に紛失物も届いていたという、なんともありがたい話なんですけどもたしかに、入国先にパスポートが届いていたのは不思議。いや、でも良かった。もしなかったらと思うと背筋が!出国から入国の間に紛失、しかも入国側が自国じゃない場合の対処は、パスポート紛失ケースの中でもかなり難儀なんじゃないかと思うのです。

珍しい乗り物に乗れたり乗れなかったり

なくしものを期に、想定外の乗り物に乗った方もいました。
ドイツのプールで財布を落としてしまいました。急いで同僚たちと地元警察署へ駆け込み、拙い英語で何とか意思疎通を図ったところ、財布を届けてくれた方がいると判明、さらに警察の方が護送車で送ってくれることに。同僚たちは警察署の外でまってくれていたのですが、署の裏から出てきた護送車に乗っていた私の姿に大爆笑。顔から火が出る思いでしたが、何よりも安堵感がそれを上回っていました。後日twitterを通じ、届けてくれたイタリア系の高校生と連絡を取り、家がイタリアンレストランということだったので、食事とお礼をしてきました。

おっさんわけおさん
見つけてくれた人とtwitterで繋がれるんだなぁということにも驚いたのですが、まさかの護送車!安堵しながら護送車に乗る、そうそうない経験すぎてむしろ羨ましい。
アメリカの五つ星ホテルにパスポートを忘れてしまい、あわや帰国できない危機に陥りました。ホテルに連絡してパスポートを届けてもらいなんとか帰国できたのですが、、、さすが五つ星ホテル。ホテルの車はリムジンしかないといわれ、リムジンでパスポートを届けてもらいました。そのお値段15,000円。パスポートの乗ったリムジンを出迎え、空になったリムジンを見送りました。ドライバーさんにお願いして少し乗せてもらえば良かったと今でも後悔しています(もう10年以上前の話です)。
なっつあんさん
10年パスポート申請費とほぼ同額とは……
人が乗らないリムジンに、この全長はかなしい
人が乗らないリムジンに、この全長はかなしい

こわい話

さて、続きましては考えれば考えるほどにこわくなる話です。
ずいぶん昔、香港のホテルのトイレで、手を洗うため腕時計を外して、シンクの横に置き、置き忘れました。トイレを出て数歩で気がついて戻ったら、時計は消えていました。タオル係もいないし、他に誰も居なかったのに、たった数秒で。見つかりませんでした。
nanahisaoさん
えっ。

オカルト的なものは信じてないほうなんですがつい、人間以外の方向性を考えてしまいました……。こわい!
ニューヨークのタクシーでカメラを落っことしてきました。そんなときに限って、「レシート、いらないよ~」って下車したのが運の尽き…。ホテルでも、「せめて車番かレシートないとどうにもならないよ…」って慰められて終了です。その後、替わりのカメラを買ったら、ゼロが1個多いカードの請求がくるという、ぼったくられたオチまでつきました。
nacksさん
これは。レシートの大切さに身につまされる投稿がきてしまいました。ゼロがひとつ多い請求って、カメラな点を踏まえるとつまり、想像すればするほどこわい!

余談ですが、酔っぱらってタクシーに乗った時もレシートを貰っておくの大事ですよね。あの小さな紙、大事な情報が凝縮されすぎてます。

危険なコンプリート

最後に、コンプリートしかけた人たちの話をお送りしたいと思います。
ひと通り大事なものを落としてきました。大学を休学し、初めての一人旅、1年間10カ国の羊牧場巡りの旅の中でのことです。パスポートは、肌身離さずベルトに付けてもっていましたが、宿でお腹を壊して寝込んでいた時に、痛みに耐え切れずお腹を締め付けるものを全て取り外してしまい、ベットの中に取り残したままチェックアウト。財布は海沿いの街を散歩中ポケットからするっと落としました。クレジットカードは、バーで支払いのあと下に落とし、酔っ払ってそのまま帰ろうとしていました。結局全て誰か優しい人が拾ってくれて、戻ってきました。世界にはずいぶん優しい人が多いんだなあと実感しました。あと、帰国後荷物を確認したら、日本での免許証、保険証、学生証、銀行カードなどいつの間にか全部無くしていて、再発行が大変でした。みなさん落し物には気をつけてください。
ひつじやまさん
あの、わたしが言えた義理じゃないんですが、さいごの一言はそのまま、ひつじやまさんにも大きな声で熱くお伝えしたい!すごい確率でなくしものがリターンしていることにも驚き、優しい人の多さが染み渡ります。再発行は……地味にしんどいですよね。
およそ海外でなくしそうなもの、パスポート以外すべてを、学生時代はじめての海外旅行1ヶ月あまりの間でなくしました。
1 財布 落としたのかすられたのかわかりませんがいつの間にか消えてました。
2 クレジットカード 「世界中のどこからでも日本語で再発行が可能」的なCMをやっていたカードだったのですが、実際オフィスに行ってみたらドイツ語しか通じず(当時)。受話器を渡され、電話で再発行を頼むように言われたのですが、その電話の中の人は全部英語。横からアドバイスくれるのですが、そっちは全部ドイツ語。脳内めちゃめちゃになりました。
3 飛行機の搭乗券 お土産屋さんが二重にしてくれた買い物袋の隙間に入り込んでいて無事発見されました。
そしてこの旅行の後、それまでおっちょこちょいの失くし屋だった私、国内でも国外でもほぼまったくものを失くしていません。
あんぢーさん
!
これは。色々なくしているということよりも、以後なくしものをしていないというところが凄いと思うんです。1回の渡航で3回なくした人が以後1回も……ってよっぽどのことなんじゃないかと。見習いたいです。

見つかることもあるし、見つからないこともある

投稿してくださった方の何人かが「英語や現地の言葉がしゃべれなかったが、でもどうにか伝えた!」という力強いコメントを寄せていることに勇気をもらいました。緊急時に突然目覚める伝達力って、あるのかもしれません。

投稿をくださった皆様、本当にありがとうございました!
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