特集 2016年8月1日

1000円で楽しい! フードコート定食

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商業施設などにあるフードコート。いくつもの飲食店が集う空間は、どこか縁日の屋台を思わせるワクワク感がある。要するに私はこのフードコートが好きなのだが、最近はまた新たな楽しみ方にはまっている。複数の店のメニューを組み合わせ、オリジナル定食を作るのだ。1000円以内で。
1980年生まれ埼玉育ち。東京の「やじろべえ」という会社で編集者、ライターをしています。ニューヨーク出身という冗談みたいな経歴の持ち主ですが、英語は全く話せません。

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> 個人サイト Twitter (@noriyukienami)

1000円で超満足できるフードコート

ファミレスのメニュー選びにもたっぷりと時間をかけるなど、食に対して優柔不断な私にとって、フードコートはそもそもの店選びからして悩ましい。どの店も魅力的でなかなか決めきれず、フードコート内をウロウロ何周もしてしまう。

だが、あるとき私は気が付いた。
べつに、ひとつに絞る必要ないよね?
JR秋葉原駅構内のフードコート「Tokyo Food Bar」
JR秋葉原駅構内のフードコート「Tokyo Food Bar」
考えてみたらフードコートの席は全店共用なのだ。色んな店で好きな物をそれぞれ買って食べても咎められない場所だった。

というわけでフードコートにやってきた。JR秋葉原駅構内の「Tokyo Food Bar」だ。
となると、フードコート全体が巨大なファミレスのように思えてくる。かつ丼プラスうどん、あるいはカレー&そば。オリジナルのセットメニューが、いかようにも作り放題だ
となると、フードコート全体が巨大なファミレスのように思えてくる。かつ丼プラスうどん、あるいはカレー&そば。オリジナルのセットメニューが、いかようにも作り放題だ
しかし私ももういい歳だ。たとえば、カツカレーと肉うどんの組み合わせなどは、少々わんぱくが過ぎる。

そこで編み出したのが、各店から主菜と副菜を持ち寄り、ボリューム的にもバランス的にも「いい感じ」のオリジナル定食を作るスタイルだ。
豚汁、コロッケ、漬物、卵かけごはん、瓶ビールまでついた完璧定食。これで950円
豚汁、コロッケ、漬物、卵かけごはん、瓶ビールまでついた完璧定食。これで950円
特筆すべきはこれが1000円以下で食べられるという事実である。そのへんの定食屋で豚汁定食に生卵とコロッケをトッピングしてビールまでつけたら、1500円~1600円くらいはするのではないか。だが、フードコートでは組み合わせの妙によって、こうした奇跡が起こる。

難関は米と汁物

ちなみに、フードコート定食において一番の難関は、白米をいかに調達するか。ごはんだけ単品で売っている店はなかなかないからだ。
その点、ここ「Tokyo Food Bar」には、とても頼れる存在がある。
それがここ「とんかつ銀座 梅林」。本店は創業90年の老舗
それがここ「とんかつ銀座 梅林」。本店は創業90年の老舗
「とんかつ銀座 梅林 Tokyo Food Bar店」ではモーニング限定で、ごはん、豚汁、生卵、漬物がセットになった豚汁定食を提供しているのである。しかも500円。これを軸に、他の店で500円ぶんのおかずを調達すれば、1000円で大満足の定食が完成する。
あるいはビールをもりそばに変えても1000円以内に収まる
あるいはビールをもりそばに変えても1000円以内に収まる

日本最大SCのフードコートへ

べつのフードコートに移動しよう。埼玉県越谷市にある「イオンレイクタウン」は、日本一でかいといわれるショッピングモールである。当然、フードコートも13店舗、800席と大規模。店舗数が多ければ多いほど、組み合わせの可能性も広がるというものだ。
イオンレイクタウン
イオンレイクタウン
肉、麺、寿司、タイとバリエーション豊富な店舗ラインナップ
肉、麺、寿司、タイとバリエーション豊富な店舗ラインナップ
和洋中からタイ料理、スイーツまで各種ニーズを幅広く抑えている。フードコートのお手本のような、スキのない布陣である。
ステーキを食べたかったが1000円以下の肉がなかったので断念
ステーキを食べたかったが1000円以下の肉がなかったので断念
なお、今回は合計1000円以内(で定食を作る)という縛りを設けているのだが、メインどころのメニューは大抵700円くらいするため、残り300円で副菜や汁物を調達しなければならない。これは厳しい戦いだ。

ならば、メインという個の力に頼らず、細かいサイドディッシュのみで固めていく。そんな戦法もありなのではないか。
寿司4カン(ブリ、生のり)に生春巻き。和泰(タイ)折衷のトリッキーな組み合わせ
寿司4カン(ブリ、生のり)に生春巻き。和泰(タイ)折衷のトリッキーな組み合わせ
寿司屋Aで握り4カン(360円)、味噌汁(160円)、タイ料理の店Bで生春巻き(250円)、合計770円のセットである。
一見アンマッチに思えるが、あえて寿司にタイをぶつけたのには理由がある。
ポイントは脇のタレ
ポイントは脇のタレ

タレを集めよ

生春巻きにはスイートチリソースがついてくる。このうまいタレを手に入れたかったのだ。

いま、手元には(寿司についている)醤油と合わせ、2種類のタレがある。すなわち

寿司+醤油
生春巻き+チリソース

のオーソドックスな組み合わせに加え、それぞれのタレをスワッピングすることで、さらなる味のバリエーションが生まれるのだ。
醤油+生春巻き
醤油+生春巻き
チリソース+寿司。外国のなんちゃって寿司屋にありそうなメニューが日本で味わえる
チリソース+寿司。外国のなんちゃって寿司屋にありそうなメニューが日本で味わえる
このように、料理そのもののみならずタレにまで注目すると、組み合わせる楽しみはさらに広がる。

たとえばソース味のシンプルなたこ焼きでも、いいタレが調達できれば華やかにグレードアップするのである。
ソースたこ焼き6個+ハイボールのセット621円、じゃがバターフリッツ280円。計901円
ソースたこ焼き6個+ハイボールのセット621円、じゃがバターフリッツ280円。計901円
たこ焼き屋Aと別の店で購入した「じゃがバターフリッツ」。ポテト自体もうまそうだが、むしろ目的は添付のトマトソースなのだ。
いいタレを調達した
いいタレを調達した
イタリアンたこ焼きに進化
イタリアンたこ焼きに進化
ちなみに、「銀だこ」にはかつて「チーズ&トマトバジル」という期間限定商品があったようだ。今はなきそれに近しい味を、フードコートならいつでも味わえるわけだ。

ご当地グルメのフードコート

最後にもう1軒行っておきたい。同じく埼玉県「ららぽーと新三郷」内にある「misato kitchen」は、全国のご当地グルメを集めたフードコートだ。
混んでる
混んでる
フードコートで定食を作る際に心強いのが「うどん屋」の存在だ。たとえばここには丸亀製麺があり、かけうどんの並は290円だ。主食兼汁物代わりにもなるうどんが300円以下で手に入るのはじつにありがたい。
「ぶっかけ」「ざる」も290円
「ぶっかけ」「ざる」も290円
天かすは無料なので、必然的にたぬきうどんになる
天かすは無料なので、必然的にたぬきうどんになる
さらに、100円前後の天ぷらの種類も豊富だ。これを3~4種類も買えば、「天ぷらの盛り合わせ」という強力なカードが手に入る。
ちくわ天、なす天、半熟たまご天、かぼちゃ天、合計430円
ちくわ天、なす天、半熟たまご天、かぼちゃ天、合計430円
なお、ここでも悩ましい白米問題は、海鮮丼のお店に「ミニいくら丼セット」があったので解決。いくら丼に加え、定食には欠かせない味噌汁と香の物が手に入るのが何より有り難い。
君たちが手に入れば勝ちは約束されたようなもの
君たちが手に入れば勝ちは約束されたようなもの
餃子もいいな
餃子もいいな
というわけで、1000円以下で食べられる、フードコートご当地グルメ定食をいくつか提案してみたい。
讃岐うどん+浜松餃子定食970円
讃岐うどん+浜松餃子定食970円
いくら丼+天ぷら定食1000円
いくら丼+天ぷら定食1000円
讃岐うどん+ミニいくら丼セット970円
讃岐うどん+ミニいくら丼セット970円

超満足

いずれも、フードコートでしか食べられない組み合わせというプレミアム感もあって満足度はすさまじく高い。
おなかいっぱいです。

金に糸目をつけずやってみたい

日ごろ睨み合うライバル同士も、フードコートという聖域においては強力な仲間になる。フードコートとは、そんな劇場版ドラゴンボールみたいな場所なのかもしれない。

今回は1000円以下という縛りを設けたが、そのリミッターを外したらいったいどんなドリームチームが生まれるのか、想像もつかない。
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