はっけんの水曜日 2016年8月3日
 

ラーメンの「かんすい」を使い分ける実験

ラーメンの中華麺には欠かせない「かんすい」だけを変えて、麺の仕上がりを比べてみました。
ラーメンの中華麺には欠かせない「かんすい」だけを変えて、麺の仕上がりを比べてみました。
うどんとラーメンの麺の違いは、生地にかんすいが入っているかいないか。では一体、かんすいってなんだろうと調べたのが、『ラーメンの麺に入っている「かんすい」ってなに?』という記事。

今回はそこから一歩踏み込んで、かんすいだけを変えることで、中華麺はどこまで変化するのかを試してみようと思う。
趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。

前の記事:「麺作りから始まった工作機械の歴史」
> 個人サイト 私的標本 趣味の製麺

「かんすい」とはなにか

これが入らないと中華麺を名乗れないという、今や国民食となったラーメンの隠れたキーマンであるかんすい。

かんすいというのは単一の物質を差す言葉ではなく、アルカリ性の食品添加物を混ぜ合わせたもの。ではその混合の割合で、麺の歯ごたえや味はどれくらい変わるのだろうかというのが今回の実験である。

講師は『知ろう!小麦粉』という記事でお世話になった、小麦粉問屋の小宮商店に勤める丸山さん。小麦粉だけでなく、かんすいも各種扱っている中華麺の材料のエキスパートだ。
かんすいの特別授業を受けるのは、かんすいの製造メーカー、製麺好きのサラリーマンなど。
かんすいの特別授業を受けるのは、かんすいの製造メーカー、製麺好きのサラリーマンなど。
まずおさらいだが、かんすいの役割というのは、以下の3つとなる。
丸山さんに言わせると、「小麦粉との偶然の出会いが生んだ奇跡の素材!」こそが、かんすいなのだという。
丸山さんに言わせると、「小麦粉との偶然の出会いが生んだ奇跡の素材!」こそが、かんすいなのだという。
中華麺の香りについては好き嫌いがあるけれど、かんすいを使い分けることで香りの強弱を変えられるかもしれない。

博多ラーメンと札幌ラーメンを比べると、麺の食感や色も全く違う。もしかしたら、これもかんすいの違いかもしれない。

ほら、自家製麺の夢と可能性が広がっていくじゃないですか。

かんすいの成分について

かんすいの違いってどういうことだろうといえば、原材料の品質という部分もあるだろうが、今回は成分の違いに絞って考えようと思う。

かんすいに使われる有効成分はこちら。
■炭酸塩
  ・炭酸カリウム ←多い
  ・炭酸ナトリウム ←多い
  ・炭酸水素ナトリウム ←重曹
■リン酸塩
  ・ピロリン酸四カリウム
  ・ピロリン酸二水素二ナトリウム
  ・ピロリン酸四ナトリウム
  ・ポリリン酸カリウム
  ・ポリリン酸ナトリウム
  ・メタリン酸カリウム
  ・メタリン酸ナトリウム
  ・リン酸三カリウム
  ・リン酸水素二カリウム
  ・リン酸二水素カリウム
  ・リン酸水素二ナトリウム
  ・リン酸二水素ナトリウム
  ・リン酸三ナトリウム
現在は化学的に生成された物質が原材料だが、元々は中国やモンゴルの塩湖から採れるナトリウム成分、そして草木を燃やした灰に含まれるカリウム成分こそが、かんすいの原点といわれている。
沖縄ではかんすいが手に入らなかった時代に、変わりとして木灰を使っており、今でもあえてその当時の作り方を続けている店がある。
沖縄ではかんすいが手に入らなかった時代に、変わりとして木灰を使っており、今でもあえてその当時の作り方を続けている店がある。
リン酸塩類がなんだかいろいろあってややこしいが、市販のかんすいに使われるのは炭酸ナトリウムと炭酸カリウムが主ということで、今回はナトリウム系とカリウム系とざっくり分けて、両者の違いを知れればと思う。

ピロリンとかポリリンとかメタリンのリン酸塩類は、保水性や粘弾性の補助として使われるようだ。ミポリンなら兄がCDを持っていたが。
ほとんどのかんすいは、炭酸ナトリウムと炭酸カリウムが主な成分。
ほとんどのかんすいは、炭酸ナトリウムと炭酸カリウムが主な成分。

炭酸ナトリウムと炭酸カリウムの特徴

では炭酸ナトリウムと炭酸カリウムは、どのような違いがあるのだろうか。いきなり麺を作って食べてもよくわからないだろうから、まずは丸山さんから知識として教えていただくことにした。

■炭酸ナトリウムの特徴
ソフトな食感に仕上がる。硬こね(低水分)でも繋がる。やや乾燥しにくく、値段は安い。

■炭酸ナトリウムが多く使われる麺
・博多ラーメン
→水分が極端に少ない細麺

・長崎ちゃんぽん、沖縄そば
→独特のソフトな食感の中太麺

・焼きそば
→かんすいを多めに使った黄色い蒸し麺
博多ラーメンはナトリウム主体のかんすいが使われるそうです。
博多ラーメンはナトリウム主体のかんすいが使われるそうです。
■炭酸カリウムの特徴
生地が締まり粘弾性が高まる。多吸性で水を多く含める。やや乾燥しやすく、値段は高い。

■炭酸カリウムが多く使われる麺
・喜多方ラーメン、佐野ラーメン
→水分の多い手打ち(風)麺

・札幌ラーメン、旭川ラーメン
→透明感の高いしっかりとした食感の麺

・昔ながらの中華そば、チェーン店
→水を多く入れられるため同じ量の小麦粉で麺がたくさん作れる
透明感のある麺を出すあのチェーン店は、カリウムが主体なのだろうか。
透明感のある麺を出すあのチェーン店は、カリウムが主体なのだろうか。
これはあくまで丸山さんの経験による傾向分析なので、もちろん例外はあるのだが、だいたいこのような使い分けらしい。

ではこのかんすいの違いが、実際にどのような形になって現れるのかを、麺を作って試してみたいと思う。

 ▽デイリーポータルZトップへ つぎへ>
デイリーポータルZをサポートする じゃあせめてこれだけでも メルマガ SNS!

 

 
Ad by DailyPortalZ
 

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ
↓↓↓ここからまたトップページです↓↓↓