特集 2016年8月29日

ミシュランも評価する佐渡島のすごい海水浴場

憧れていた景色の中で泳いできました。こう見えても日本海です。
憧れていた景色の中で泳いできました。こう見えても日本海です。
佐渡島イエーイ。日本海に浮かぶ佐渡島に、二ツ亀という小さな島がある。島というかでかい岩。上の写真でわかると思うが、島といってもほぼ陸続きになっており、繋がっているへその緒みたいなスペースは海水浴場なのだ。

この二ツ亀、遠くから全体を写した写真ならよく見かけるが、気になるのはあの中の様子だ。眺めるだけだった富士山にいつか登った時のように、あの写真の場所で泳いでこようではないか。

ということで、せっかくだから写真だけでも見ていってください。
趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。(動画インタビュー)

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ミシュランガイドで二つ星の観光地

二ツ亀は佐渡の人ならほとんど知っている有名な場所であり、その独特な景色は佐渡有数の観光スポットとなっている。

ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンという外国人向けの有名ガイドブック(グルメ本じゃない方)でも、近くにあるもう一匹の亀の大野亀とあわせて二つ星の評価をされている。二ツ亀が二つ星とは語呂がいいね。
佐渡島の北端にあります。東京からだと新幹線と船と車で最短6時間くらいかな。

ちなみに二つ星は浅草寺とか富士登山クラスであり、島でいったら城ケ島、桜島あたりも二つ星。

ミシュランに載ればえらいという訳でもないだろうが、ミシュランの人が佐渡まで来て(国内在住の人かもしれないけど)、その北端にある二ツ亀を観光したのかという驚き。きっとたらい舟も漕いだのだろう。
近くにある大野亀(海に突き出した巨大な一枚岩)から見た二ツ亀。ひょっこりひょうたん島みたいだ。
近くにある大野亀(海に突き出した巨大な一枚岩)から見た二ツ亀。ひょっこりひょうたん島みたいだ。
本筋と関係ないけど、大野亀から見えたカエルっぽかった岩。
本筋と関係ないけど、大野亀から見えたカエルっぽかった岩。
二ツ亀は海水浴場への階段が大変という噂を聞いて避けていたのだが、佐渡島に来るのも早10回目くらい。

だいたいの観光スポットは廻ったので、そろそろ写真で眺めるだけだったあの海水浴場へ行ってみようではないか。

二ツ亀の入り口に到着

絶好の二ツ亀日和となった八月上旬の平日、佐渡島の海岸線を走る県道45号線を東側から車で北上し、二ツ亀の入口へと到着。

この駐車場に車を止めて、写真でも遠くからしか見たことのない目的地を目指す。

ここでワンポイントアドバイス。自然豊かな場所では車のエンジンをすぐに切らないと、アブやハチが寄ってくることもあるので気を付けよう。
二ツ亀の入り口にある、三角形が何個あるかというテストができそうなホテル。
二ツ亀の入り口にある、三角形が何個あるかというテストができそうなホテル。
設置されていた看板によると、二ツ亀はミシュランだけでなく、1998年に環境省が選んだ「日本の水浴場55選」にも選ばれているようだ。

この地図だと海水浴場までの距離感はわからないが、きっと歩いていく価値のある場所なのだろう。
海水浴場の隣に賽の河原があるのが佐渡っぽい。どんな場所なのかは記事の最後で……
海水浴場の隣に賽の河原があるのが佐渡っぽい。どんな場所なのかは記事の最後で……
2001年の「日本の水浴場88選」にも選出されている。調べたら2006年の「快水浴場百選」でもあった。環境省の選出数がどんどん増えているな。
2001年の「日本の水浴場88選」にも選出されている。調べたら2006年の「快水浴場百選」でもあった。環境省の選出数がどんどん増えているな。
この道が二ツ亀につながっているらしい。
この道が二ツ亀につながっているらしい。
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これが噂の二ツ亀への階段なのか

荷物を持ってけっこう長いと評判の道のりを歩き出すと、すぐに広い海にぽっかりと浮かぶように二ツ亀が見えてきた。ヒャッホウ、ホーウ。

佐渡の海はもうさんざん見ているのだが、こういう景色はやっぱり珍しい。ただこの角度からだと、肝心の海水浴場部分が見えない。
美しい景色だなと思うと同時に、子連れであそこまで降りていくのかという軽い絶望感。
美しい景色だなと思うと同時に、子連れであそこまで降りていくのかという軽い絶望感。
なるほど、噂通りに駐車場から二ツ亀は結構遠いようだ。

やはり二ツ亀は泳ぐ場所ではなく、高い場所から眺める場所なのかという気もするが、ここまできたからせっかくなので下ってみよう。
延々と階段だけど歩きにくいというほどではないかな。
延々と階段だけど歩きにくいというほどではないかな。
盛大な蝉時雨を浴びながら下へと降りていくと、ようやく海水浴場となっている部分が見えてきた。だが二ツ亀の全体は見えてこない。

そうか、あのよく写真で見る景色はまだ先なのか。駐車場からだいぶ歩いた先の景色だったのか。
ようやく見えた海水浴場部分。海がきれいだなー。でも遠いなー。
ようやく見えた海水浴場部分。海がきれいだなー。でも遠いなー。
肉眼でみるあの景色に感動すると同時に、ここから見える人の小ささに驚く。目的地というよりは景色という距離感。函館の夜景か。足元は登山靴ではなくサンダルだよ。

いやでもね、これこれこれ、この夏休みの冒険っぽさがいいんだよと、連れてきた子供達がぐずらないことを祈りながら進んでいくと、今度は急に広い場所へとでた訳ですよ。
佐渡は広いな~大きいな~。
佐渡は広いな~大きいな~。
ものすごい開放感に圧倒されつつ、ここでキャンプができたら最高だろうなと思ったら、まさにここがキャンプ場だった。すごい景色のキャンプ場だな。
いつかここでキャンプがしたいなー。でもさっきのホテルのほうがいいなー。
いつかここでキャンプがしたいなー。でもさっきのホテルのほうがいいなー。

かっこいいぞ、二ツ亀

このキャンプ場にあるベンチから、ようやく二ツ亀の全体が見渡せた。

亀が二匹というよりも、ここからだと島が重なって見えるため、少年アシベのゴマちゃんみたいだ。
ようやく二ツ亀の全体をハッキリと確認。キュ~ッ。
ようやく二ツ亀の全体をハッキリと確認。キュ~ッ。
それにしてもなんだこの宝の眠る島っぽさは。俺が海賊か源氏の生き残りだったら、きっとこの島に宝を隠す。あの島の裏側には秘密の洞窟があったり、白いイタチが住んでいるんじゃないかな。

大潮(満月)の干潮時にだけ陸続きになって渡れるとか、そういう伝説があって欲しい。なんて思ったら、実際にそういう場所なので歩いて渡れるときもあるのだとか。
東京からたった311キロでこんな素敵な場所に来られるなんて!
東京からたった311キロでこんな素敵な場所に来られるなんて!
小型定置網の観察もできるぞ。南国のようなブルーの海だが、緯度は仙台くらい。
小型定置網の観察もできるぞ。南国のようなブルーの海だが、緯度は仙台くらい。
最後は石段を下りてようやく到着。これぞ天国への階段だななんて思っていたら景色に見とれて転びそうになり、別の意味で天国行きになりそうになった。
最後は石段を下りてようやく到着。これぞ天国への階段だななんて思っていたら景色に見とれて転びそうになり、別の意味で天国行きになりそうになった。
ここまで長々と書いてしまったが、駐車場から海水浴場まで徒歩10分程度。まあ遠いといえば遠いのだが、なかなか楽しめる冒険の道だと思う。

きっとミシュランの星の一部は、この海までの道程に与えられたのだろう。
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これが二ツ亀の海水浴場だ!

ようやくたどり着いた二ツ亀の海水浴場の素晴らしさは、なんといっても人が少ないことだろう。平日とはいえ晴天の海水浴シーズンなのにだ。

これだけ景色が良くて、日本の水浴場に選ばれて、ミシュランガイドで星二つをとって、この人口密度である。さすが佐渡島の北の果て。
二ツ亀を知らない人に見せたら、まさかここが日本とは思わないのではなかろうかという景色。
二ツ亀を知らない人に見せたら、まさかここが日本とは思わないのではなかろうかという景色。
ガイドブックなどの写真だともう少し人がいるイメージだが、あれは一番混雑しているタイミングなのだろう。二ツ亀のやつ、見栄を張りやがって。なんちゃって。なんちゃってって久しぶりに使うな。

こんな場所なので、設備はトイレがあるくらいかなと思ったら、ちゃんと売店も更衣室もシャワーもあった。
海の家はないけれど小さな売店があった。これくらいがちょうどいい。
海の家はないけれど小さな売店があった。これくらいがちょうどいい。
世界的観光地なのに儲ける気のない値段設定。このアイスがすごく美味しく感じられた。
世界的観光地なのに儲ける気のない値段設定。このアイスがすごく美味しく感じられた。
ちょっと離れた場所に設置された水洗トイレ。
ちょっと離れた場所に設置された水洗トイレ。
しっかりと更衣室も完備。シャワーは200円かかるけど温水がでるよ。
しっかりと更衣室も完備。シャワーは200円かかるけど温水がでるよ。
真横から見た二ツ亀の貴重な写真をどうぞ。
真横から見た二ツ亀の貴重な写真をどうぞ。
こりゃ素晴らしい場所だなーと思いつつ来た道を振り返ると、駐車場のあるホテルがはるか遠くに見えた。

帰りはあそこまで登らないといけないのか。いやでも、だからこその場所なんだろうな。
そして海沿いに建物があっておどろいた。調べたら宿が2軒あるらしい。
そして海沿いに建物があっておどろいた。調べたら宿が2軒あるらしい。

海の透明度がすごい

さてここまでくれば、あとは泳いで遊ぶだけ。海岸のどっち側で泳ぐべきか迷うという、普通の海水浴場では絶対に味わえない二択にドキドキする。

とりあえず人が多い右にしておこうか。
右で泳ぐか、左で泳ぐか、迷うよね~。
右で泳ぐか、左で泳ぐか、迷うよね~。
砂ではなく小粒の砂利なので、水が濁りにくいのだろう。
砂ではなく小粒の砂利なので、水が濁りにくいのだろう。
デコボコが頼もしい岩場もあるよ。
デコボコが頼もしい岩場もあるよ。
二ツ亀の海水浴場は、佐渡の中でも透明度が随一と言われているところ。

陸の上からでもわかるその透明度だが、シュノーケルを装備して海に入ると、まるで巨大アクアリウムの中を泳いでいるような感覚だった。
海水浴というかシュノーケリングですね。
海水浴というかシュノーケリングですね。
普通の海水浴場に比べて、岩やら海藻やらが多くて楽しい。
普通の海水浴場に比べて、岩やら海藻やらが多くて楽しい。
南国のカラフルなサンゴ礁とは違うけれど、これはこれで味わい深い岩肌と海藻群。グルタミン酸が溶けだしていそうな海だ。
南国のカラフルなサンゴ礁とは違うけれど、これはこれで味わい深い岩肌と海藻群。グルタミン酸が溶けだしていそうな海だ。
まさに天然の和風アクアリウム。
まさに天然の和風アクアリウム。
透明度が高い上に、水深の浅いところでも十分見ごたえのある景色が広がっているので、ライフジャケットを着用してのシュノーケリングでも楽しめそうだ。

隣の家族連れはタコが捕れたと喜んでいた。
余裕で足が着くくらいの浅い場所でも楽しいんですよ。
余裕で足が着くくらいの浅い場所でも楽しいんですよ。
少し深い場所でも海底まで光が届くこの透明度。
少し深い場所でも海底まで光が届くこの透明度。
二ツ亀に近づいてみた。巨大な亀の甲羅に苔が生えているという感じ。
二ツ亀に近づいてみた。巨大な亀の甲羅に苔が生えているという感じ。
おっと、二ツ亀だけにカメノテが!
おっと、二ツ亀だけにカメノテが!
ミズクラゲがプカプカ。これは刺さないので大丈夫。
ミズクラゲがプカプカ。これは刺さないので大丈夫。
魚はそれほど多くないけれど、よくみればそこかしこに隠れている。
魚はそれほど多くないけれど、よくみればそこかしこに隠れている。
このあたりはジュゴンとかマナティが泳いでいそう。
このあたりはジュゴンとかマナティが泳いでいそう。
すごいな、この海。ずっとプカプカ浮かんでいたい。
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ついでに左側も泳いでみようか

二ツ亀の右側を堪能したところで、せっかくだからと左側にも浮いてみた。

ザパーン。
こちらが二ツ亀に向かって左側の海。
こちらが二ツ亀に向かって左側の海。
遠くに見えるあれが大野亀。この角度だと上陸するゴジラの背中だ。
遠くに見えるあれが大野亀。この角度だと上陸するゴジラの背中だ。
陸を挟んでいるといっても繋がった海なので、大した違いはないかなとも思ったが、こっちの方がなんというかワイルドだった。

膝下くらいの水深の場所で、海底に手を付きながらゆっくりと進んでいくのが楽しい。

私が泳いだ範囲だと、水着で安全に泳ぐなら右側、ラッシュガードを着てシュノーケルをするなら左側というところかな。
なんだこの海、四万十川の清流か。
なんだこの海、四万十川の清流か。
魚は左側のほうが多いかも。これだけ浅いので水温も高い。
魚は左側のほうが多いかも。これだけ浅いので水温も高い。
ちょっと場所を変えるだけで、岩の質や海藻の生え方が違うんですよ。
ちょっと場所を変えるだけで、岩の質や海藻の生え方が違うんですよ。
透明度が高すぎて写真が水中っぽくない。
透明度が高すぎて写真が水中っぽくない。
なにやらモワっとしているのは、写真のブレではなくモワっとした海藻。
なにやらモワっとしているのは、写真のブレではなくモワっとした海藻。
水深1メートルなのに、この神秘っぽさですよ。
水深1メートルなのに、この神秘っぽさですよ。
針葉樹っぽい海藻が茂っている。足が着かない場所は怖いけどシュノーケリングはしてみたいという人にいいかも。
針葉樹っぽい海藻が茂っている。足が着かない場所は怖いけどシュノーケリングはしてみたいという人にいいかも。
岩肌がワイルドな二ツ亀の左側。
岩肌がワイルドな二ツ亀の左側。
この先は急激に深くなっているのでUターン。
この先は急激に深くなっているのでUターン。
一年振りに引っ張り出したゴーグルに、曇り止めを塗り忘れたのが悔やまれる。
一年振りに引っ張り出したゴーグルに、曇り止めを塗り忘れたのが悔やまれる。
いやー、二ツ亀の海水浴場、楽しいですわ。海パン一丁でもいいけれど、シュノーケル、ラッシュガード、手袋、足ヒレを装備すれば、きっと楽しさは3倍増。私的には二つ星と言わずに三ツ星を差し上げたい。

ただ長い階段を上って駐車場に辿りつくまでが二ツ亀の海水浴なんだよね。もし子連れで行く場合は、そこを考慮した方がいいかな。

うちは子供がサンダルをなくして焦ったけど、売店に300円で売っていて助かった。
これを登って帰るのかー。ものすごくゲームの世界っぽい道だなー。
これを登って帰るのかー。ものすごくゲームの世界っぽい道だなー。
落とし穴がどっかにあるのだろうか。
落とし穴がどっかにあるのだろうか。
トイレ前にある賽の河原へ続く歩道。崖好きは是非どうぞ。ただし、いろいろと怖い。
トイレ前にある賽の河原へ続く歩道。崖好きは是非どうぞ。ただし、いろいろと怖い。
佐渡には二ツ亀以外にも、水のきれいな海水浴場はたくさんあるよ。
佐渡には二ツ亀以外にも、水のきれいな海水浴場はたくさんあるよ。

観光ガイドにでっかく載っているような場所は、楽しいんだろうけれど万人向けで想定内かなと避けることが多い。でもみんなが良いという場所は、それなりの理由があるんだなと再確認した旅となった。

佐渡島はあと10個くらい紹介したいがあるのだけれど、それはまたの機会ということで。
賽の河原、観光地ではなくてガチの霊場でした。
賽の河原、観光地ではなくてガチの霊場でした。
■告知:佐渡で製麺ワークショップやります

そんな素敵な佐渡島ですが、9/18(日)、19(祝)に開催されるハローブックスというイベントで、今年も製麺のワークショップをやります(去年のレポート)。宮城マリオさんの出演するライブもあるよ。シルバーウィークは金山も銀山もあった佐渡へいこう!
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