ひらめきの月曜日 2016年9月12日
 

ダメなロボットが飛行機でやってきた!!ヘボコン・ワールドチャンピオンシップ レポート

ねこへいき「ぬぁんころり」(日本:モッサリオ・モッサモッサ)
vs
パワー・ピラミッド・パワー(日本:Tech Cemetery)
続いて日本チーム同士の試合をもう1本。
ねこへいき「ぬぁんころり」は、とつげき、しっぽアタック、など7つの必殺技を持つ。
手作り感あふれるコンソールに、上にある技カードを挿して操作する。
手作り感あふれるコンソールに、上にある技カードを挿して操作する。
技は1〜6まで順番が決まっており、6つの技を順に繰り出すと、最後に7番目の技「ファイナルアタック」が発動する……という設定に沿って、本人が順番どおりに操作する。(本当はどんな順番でも動作するのだが、美意識の問題だ。)

対するパワー・ピラミッド・パワーは、エコをテーマにソーラーパネルを搭載。しかし室内で全く動かなかったため、急きょ高価な高輝度ライトを2台も購入。ピラミッド・パワーの名に反して、札束の力で戦いに挑む。
めちゃくちゃ明るい
めちゃくちゃ明るい
この試合、この日一番のダメな試合であった。
開始と同時に「とつげき」モードを起動する、ぬぁんころり
開始と同時に「とつげき」モードを起動する、ぬぁんころり
しかし微動だにしない。次々とカードを変えてみるも、変わらず微動だにしない。
しかし微動だにしない。次々とカードを変えてみるも、変わらず微動だにしない。
一方で、金に物を言わせた甲斐なくこちらもほとんど動かないパワー・ピラミッド・パワー
一方で、金に物を言わせた甲斐なくこちらもほとんど動かないパワー・ピラミッド・パワー
どちらもほぼ動かないまま、時間切れで試合終了!
どちらもほぼ動かないまま、時間切れで試合終了!
両チーム動くことすらできないという、ロボットバトルとしてはもっとも低レベルな試合であった。ヘボコンではこういうケースも想定しており、時間切れの場合は多く動いた側が勝ちというルールになっている。この試合は、「3mmくらい動いた気がする」ということでパワー・ピラミッド・パワーに軍配が上がった。

実はパワー・ピラミッド・パワーは素材にやわらかい油粘土を使っており、たとえ敵に体当たりを受けても衝撃をすべて吸収できる……という秘策があったのだが、そのうえでお互い近づくことすらできなかったこの試合展開は皮肉としか言いようがない。

また、ぬぁんころりは7つの技のうち「目が光る」「鳴く(ブザーが鳴る)」のみ成功したようである。戦局に影響ないやつだけ。

ヘボコプター2号機(ひんけつ)
vs
Robot Controlled Controllor Robot(香港:Ricky Chan)
!
ヘボコプター2号機は、ヘリコプタータイプのロボ。これに関してはいろいろ説明するより見ていただくのが一番いいので、言及は控えよう。

そして対するRobot Controlled Controllor Robot(以下、RCCR)は、直訳すると「ロボット操作のコントローラーロボ」。つまり…
左にある、ロボットに見えるのがリモコン。右側の、リモコンっぽいのがロボット。
左にある、ロボットに見えるのがリモコン。右側の、リモコンっぽいのがロボット。
見た目を逆にして相手を混乱させる作戦である。
ヘボコンではこの「〇〇で相手を混乱させる」という説明がとてもよく登場する(前後逆に進んで相手を混乱させる、ネギをこすりつけて相手を混乱させる、など)のだが、僕の知る限り、相手が実際に混乱したことは一度もない。

開発者のRickyは、香港のヘボコンで3度も準優勝に輝いている。歴史の浅いヘボコン界ではベテラン選手といってもよい。
試合開始ブザーが鳴り響く中、おもむろにヘボコプター2号機に手をかけ、スライドさせるひんけつさん
試合開始ブザーが鳴り響く中、おもむろにヘボコプター2号機に手をかけ、スライドさせるひんけつさん
手を放すと同時にヘリポートごと走り出すヘボコプター。飛ぶのかと思ったらまさかのチョロQ駆動だ!
手を放すと同時にヘリポートごと走り出すヘボコプター。飛ぶのかと思ったらまさかのチョロQ駆動だ!
土俵中央まで来たところでゼンマイ切れ。チャンスのRCCR、ヘボコプターを押そうと近づくも、ヘリポート部分にタイヤが乗り上げてしまい、押すことができない
土俵中央まで来たところでゼンマイ切れ。チャンスのRCCR、ヘボコプターを押そうと近づくも、ヘリポート部分にタイヤが乗り上げてしまい、押すことができない
しかしここで隠し技が炸裂。なんとアンテナを模した部分がアームになっていて、上下に動くのだ!ヘボコプターのプロペラ部分をひっかけて持ち上げる
しかしここで隠し技が炸裂。なんとアンテナを模した部分がアームになっていて、上下に動くのだ!ヘボコプターのプロペラ部分をひっかけて持ち上げる
そのまま場外まで運び出して、RCCRの勝利!!
そのまま場外まで運び出して、RCCRの勝利!!
どちらも見た目に反したロボット同士、キツネとタヌキのばかしあいみたいな対決であった。そんな中、RCCRは「混乱させる」以外にもう一つ用意していた、ちゃんと実用的な技を使って勝利。このぬかりのなさ。3度の準優勝の実績は、伊達ではなかった。

キラー・ゴム(日本:伊藤健史)
vs
ビグザム・タイプR20(台湾:AE射)
!
もうひとつ、鮮やかだった試合をご紹介しよう。

キラー・ゴムは、当サイトのライター、伊藤さんの作品である。マッド・マックスをイメージしたロボットで、とびかかってきた相手をゴムの力ではじき返す。しかし、あとから見返したら映画にこんなの出てこなかったとのことで、完全に「ぼくのかんがえたマッド・マックス」を体現したロボットだ。

一方でビグザム・タイプR20は、作者によると「突き攻撃には非常に強い」ロボットだそうである。あまり多くを語るのは避け、ガンダムをモチーフにしたロボットだ、というだけの紹介にとどめよう。

どうしても奥歯にものが挟まったような説明にならざるを得ないこの試合、しかしながら、ヘボコン史上まれにみる鮮やかな試合でもあったのだ。
試合開始と同時に、高速でキラー・ゴムの目前まで躍り出るビグザム・タイプR20。この時点でキラー・ゴムのゴムは高すぎて敵に当たらないことが判明。
試合開始と同時に、高速でキラー・ゴムの目前まで躍り出るビグザム・タイプR20。この時点でキラー・ゴムのゴムは高すぎて敵に当たらないことが判明。
続いてビグザム・タイプR20、向かって左のキャタピラに素早く体当たりし、進行方向を狂わせる。
続いてビグザム・タイプR20、向かって左のキャタピラに素早く体当たりし、進行方向を狂わせる。
そして自身は土俵からはみ出ないようにうまくキラー・ゴムの下を抜け、中央に退避
そして自身は土俵からはみ出ないようにうまくキラー・ゴムの下を抜け、中央に退避
進行方向の定まらなくなったキラー・ゴム、バランスを崩して転倒。ビグザム・タイプR20の勝利!
進行方向の定まらなくなったキラー・ゴム、バランスを崩して転倒。ビグザム・タイプR20の勝利!
強かった。圧倒的に強かった。ロボットが、というよりも操作技術の勝利である。なにせ相手に触れたのはほんの1回、軽く体当たりしただけ。その一撃で、キャタピラを4基も搭載した相手を転倒まで追い詰めたのである。すげえ。

ちなみにビグザム・タイプR20はこのあと2回戦のバトルロイヤルで敗退。弊社30周年イベントを代表するロボットに輝いてしまう事態は免れた。
実は2年前のイベントでも、アダルトグッズでできたロボットが健闘、「優勝だけは勘弁してくれ…!」と主催者をヒヤヒヤさせる場面があった。公序良俗に反するロボットの強さ。主催者サイドとしては、絶対にこれ以上続いてほしくない伝統である。


さて、ここまで紹介したのはすべて第1回戦。16試合中6試合をご紹介した。

続く2回戦は4体バトルロイヤルだ。

コラム:共同作業がヘボい

ヘボコン初の世界大会、会場は極東の地、日本。参加してみたいが遠くて来日できない人のために、国際チームという制度を設けた。日本人メンバーと外国人メンバーをマッチング、一緒にロボットを作ってもらい、当日会場には日本人メンバーが登場する、というシステムである。

今回は計3組の国際チームが誕生。しかし、そこにもヘボの罠が潜んでいた。
DJ Robot(米日混成:Hebomate)
DJ Robot(米日混成:Hebomate)
チーム・ヘボメイトは日本人とアメリカ人の2人組。ネットを通じて相談のうえロボット製作を開始したものの、なんと作業開始からほどなくして、アメリカ側からの連絡が途絶えてしまう。その状況はイベント直前まで続き、あせった日本メンバーはひとりでロボットを製作。大会前日にようやく連絡が取れ、相手の「承認を得て」出場したとのことである。

ちなみに連絡が途絶えた時点で、できていたのは
この衣装だけであった。
この衣装だけであった。
「形から入るタイプ」が完全に裏目に出た瞬間である。

この音信不通、しかしながら偶然ではなかったようだ。なんともう1チーム、フランス&日本チームもが同様の事態に。3チーム中2チームがチームメイトと音信不通。ヘボコンにおいてはむしろこれがデフォルトなのかもしれない。


こちらの場合は逆パターンで、日本人メンバーの応答が途絶えてしまったとのこと。フランス人メンバーは単独でロボットを作っても会場に来られないわけで、状況としてはなお悪い。

結局、本番の数日前にギリギリ連絡が取れて無事ロボットは完成したようだったが、そのあまりの「勝てる見込みのなさ」に会場は震撼した。
monolith(仏日混成:Dennis & デジケイ)。自走機能なし、本番は足元に丸太を敷いてコロにする。おかげで敵にも押し出され放題
monolith(仏日混成:Dennis & デジケイ)。自走機能なし、本番は足元に丸太を敷いてコロにする。おかげで敵にも押し出され放題
余談だが、ヘボコンのオフィシャルTシャツのイラストを書いてくれたのがこのフランス人メンバーのDennisである。
かわいい
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