とくべつ企画「スーツで行く絶景」 2016年9月19日
 

パックリと割れた東洋のナイアガラで決めショット

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群馬県に東洋のナイアガラと呼ばれる滝があるという。国から天然記念物及び名勝に指定された、高さ7メートル、幅30メートルにおよぶ吹割の滝だ。NHK大河ドラマのオープニングでも使われたというその滝を訪れることにした。スーツ姿で。

※この記事はとくべつ企画「スーツで行く絶景」の1本です。
1970年神奈川県生まれ。デザイン、執筆、映像制作など各種コンテンツ制作に携わる。「どうしたら毎日をご機嫌に過ごせるか」を日々検討中。

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東京から群馬へ

東京から吹割の滝までは、新幹線と上越線、路線バスを乗り継いで行く。今回、撮影係として編集部の藤原くんが同行してくれた。東京駅で待ち合わせて、新幹線で高崎を目指す。
東京駅から高崎へ
東京駅から高崎へ
旅のパートナーは藤原くん
旅のパートナーは藤原くん
カメラのモードを間違えて藤原くんが変な顔色になってしまったが、実際はこんな赤ら顔ではなかった。いつも通り平熱で無表情の藤原くんと、新潟行きの「とき311号」に乗り込んだ。
新幹線の車内でネクタイを締め
新幹線の車内でネクタイを締め
藤原くんと特に会話もないまま高崎に到着
藤原くんと特に会話もないまま高崎に到着
高崎からは水上行きの上越線に乗り沼田駅へ。所要時間は約50分だ。
上越線の扉は手動
上越線の扉は手動
隣に座る藤原くん(カメラはドラマティックモード)
隣に座る藤原くん(カメラはドラマティックモード)
車窓からはのどかな風景が
車窓からはのどかな風景が
車窓越しに見えるのどかな風景をボーっと眺めていると、隣に座る藤原くんが僕にスマホの画面を見せてきた。
藤原くんのスマホ画面
藤原くんのスマホ画面
インスタグラムで「吹割の滝」で検索した結果らしい。滝の前に綺麗な女性2人が座り、こちらに笑顔を向けている。

吹割の滝に行くと会えるのか?

僕が身を乗り出して聞いているのに藤原くんは何も言わない。

おいっ! 会えるのか?

「多分」

語気を強めた僕に押されて藤原くんが適当な返事を返してきた。それが今の写真じゃないことくらい僕だって分かっている。会える訳ないじゃないか。

上越線は沼田駅に到着した。
沼田駅の天狗
沼田駅の天狗
立派な鼻に触っておく
立派な鼻に触っておく
東京から沼田まで順調に乗り継いで来たが、吹割の滝まではここから路線バスに乗らないといけない。時刻表を見ると本数がとても少ない。次のバスまで40分ほど時間がある。
次のバスまで40分
次のバスまで40分
駅前をぶらりと探索してみた。
駅前のロータリーにも立派な天狗が
駅前のロータリーにも立派な天狗が
白ポスト発見
白ポスト発見
中をチェック
中をチェック
白ポストの中には何も入っていなかった。今まで、白ポストの中に本が入っているところを見たことがない。

駅前の探索はあっという間に終わってしまったので、喫茶店に入った。駅で無料配布していた「ブラヤモリ」というチラシに目を通す。
喫茶店にて
喫茶店にて
ブラヤモリというチラシを読む
ブラヤモリというチラシを読む
チラシによると、タモリさんが「一番行ってみたい町」と公言したのが群馬県沼田市なのだとか。河岸段丘で有名なので、坂道好きにはたまらないという。河岸段丘にも興味を惹かれるが、今回の目的は吹割の滝である。喫茶店のマスターが撮ったと思われる写真で吹割の滝を確認する。
吹割の滝
吹割の滝
パックリと割れた東洋のナイアガラである。

僕と藤原くんは、今からここへ行く。

路線バスで吹割の滝へ

バスは定刻通りにやって来た。乗り込む乗客は僕たちの他に数人だ。僕は一番後ろの席に座った。
路線バスで吹割の滝へGO!
路線バスで吹割の滝へGO!
ここから約40分で東洋のナイアガラに着く。バスの揺れが心地よく朝が早かったこともあり軽い睡魔に襲われたが、僕には1つ気になることがあった。
前方に座る藤原くん
前方に座る藤原くん
僕を撮影するため前方の席に座っていた藤原くんが、写真を撮った後もずっと前方に座っているのだ。

彼はこのまま離れて座った状態で吹割の滝まで行くつもりだろうか?

ねぇ!

藤原くんに声をかける。

ずっとそこに座ってるつもりか?
隣に座った藤原くん
隣に座った藤原くん
藤原くんが僕の隣に座った。そして、カメラのモードがドラマティックモードだったことに気付き、ここから藤原くんの写真は通常モードだ。
離れたままだと不自然だろ? と藤原くんに説明
離れたままだと不自然だろ? と藤原くんに説明
バスは日本ロマンチック街道という道を行く。
日本ロマンチック街道
日本ロマンチック街道
日本ロマンチック街道を通って東洋のナイアガラに行く。ドイツを通ってカナダとアメリカの国境を目指すようで、これはちょっとしたイッツ・ア・スモールワールドである。

僕は去年、本場のナイアガラの滝に行った。夜だったので良く分からなかったが、ライトアップされたナイアガラはとても幻想的だった。
本物のナイアガラの滝
本物のナイアガラの滝
東洋のナイアガラはどんな表情を見せてくれるのだろう。

吹割の滝到着、カオスな売店がお出迎え

バスに揺られること40分、「吹割の滝」というバス停で下車した。僕たち以外、降りる乗客はいなかった。
吹割の滝に到着
吹割の滝に到着
バス停の近くに「滝入口」という看板が立っている。ここから徒歩で2分ほどらしい。
滝まで徒歩で2分と知らせる看板
滝まで徒歩で2分と知らせる看板
肩を組んで家に帰る2人
肩を組んで家に帰る2人
看板に従って、民家と民家の間の道を下って吹割の滝へ向かう。
民家の間を抜けていく
民家の間を抜けていく
道を少し下ると、なんだかごちゃごちゃとしたお店のようなものがごちゃごちゃと何軒か見えた。
売店のようなものが
売店のようなものが
流木にメニューが書かれているから食事を出すところのようで、それでいてごちゃごちゃと色々な物の販売もしている。
流木に書かれたメニュー
流木に書かれたメニュー
忍者5点セットが800円
忍者5点セットが800円
転ばぬ先の杖、と名付けられた棒切れが
転ばぬ先の杖、と名付けられた棒切れが
1800円
1800円
裕次郎
裕次郎
ソフトクリームのバリエーションが豊富
ソフトクリームのバリエーションが豊富
食材いろいろ
食材いろいろ
何軒かが軒を連ねていた
何軒かが軒を連ねていた
カオスな売店を抜けると、一気に森の中に入る。気温が2度くらい低い感じだ。
一気に森の中へ
一気に森の中へ
沼田市からの注意喚起
沼田市からの注意喚起
革靴なので滑りやすい。転んだら大変だ。

はっ!

さっきの転ばぬ先の杖を買うべきだったのでは? 1800円でケガを防げるのなら安いものだ。

杖を買わなかったことを後悔しながら注意深く下っていくと、目の前に大自然が開けてきた。
いきなり大自然が
いきなり大自然が
滝!
滝!
しかし、これは吹割の滝ではない。鱒飛の滝である。

吹割の滝はこれより少し先にある。
この滝も凄いが、これよりすごいのがこの先に
この滝も凄いが、これよりすごいのがこの先に

手すりのない遊歩道をいく

鱒飛の滝から吹割の滝までの遊歩道が怖かった。急流の川を左手に、手すりのない道を行かなくてはならない。
手すりのない遊歩道を
手すりのない遊歩道を
どんどん行っちゃう藤原くん
どんどん行っちゃう藤原くん
落ちたら大変なことだぞ
落ちたら大変なことだぞ
どんどん行っちゃう藤原くんの後ろを慎重に進むこと5、6分。

ついに、我々の目の前に東洋のナイアガラ、吹割の滝が現れた。
吹割の滝の前にカップル
吹割の滝の前にカップル
カップルがいなくなるのを待って、吹割の滝に近づいて行った。
東洋のナイアガラ!
東洋のナイアガラ!
おおっ! パックリと割れた大きな滝が目の前で水しぶきをあげている。

この雄大な滝を背景に、決め写真の撮影に入った。

スーツで行絶景 〜吹割の滝編〜

ようこそ俺の滝へ
ようこそ俺の滝へ
割れてるだろ〜
割れてるだろ〜
水しぶきが気持ちいいぜ〜
水しぶきが気持ちいいぜ〜
リクルートスーツで来たぜ〜
リクルートスーツで来たぜ〜
マイナスイオン出まくりだろ〜
マイナスイオン出まくりだろ〜
色々と決めショットを撮影してみたがどうもしっくりこない。それは藤原くんも同じ意見で、カメラのプレビュー画面を見て首を傾げている。

ポーズに問題があるのかもしれない。
ようこそ、吹割の滝へ
ようこそ、吹割の滝へ
からのコマネチ
からのコマネチ
やっぱり何かが違う。

滝のダイナミックな感じを僕が消している。

そこで藤原くんから提案があった。

「滝の動きを伝えるために動画にしましょう。住さんは止まっててください」

なるほど。動画の方が滝のダイナミックな雰囲気は伝わりやすい。しかし、僕は止まってるってどういうことだろう?

疑問は残るが、藤原くんの言う通りにした。

後日、藤原くんから上がってきたのはアニメーションGIFだった。
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上がってきたアニメーションGIFを見て、「あ! バカにされてる!」と思ったことは言うまでもない。

吹割の滝での決めショット撮影を終え、バス停近くのレストランで遅めのお昼ご飯を食べた。沼田駅から滝までの間、「とんかつ街道」と呼ばれている地帯があり、この辺りではとんかつが名物らしいことを知った。
名物のとんかつ
名物のとんかつ
二人で同じとんかつ定食を食べた。その間、ほとんど会話がなかったことを最後にお伝えしておく。

吹割の滝にスーツ姿の人は一人もいなかった。他の観光客から、僕たちはどう見られていたのだろう。商談に失敗した上司と部下がやけになって滝にやって来た。そう見られていたとしたら、「そんなんだから商談に失敗するんだ!」と心の中で叱咤されていただろう。
沼田駅の待合室に貼ってあった「やっぱり首都圏が楽しい!」というポスター。せっかく来たんだからそんなこと言わないで〜
沼田駅の待合室に貼ってあった「やっぱり首都圏が楽しい!」というポスター。せっかく来たんだからそんなこと言わないで〜
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