土曜ワイド工場 2016年11月5日
 

高い水で作る赤いきつねは美味いのか

美味い水で美味いものを作ります。
美味い水で美味いものを作ります。
スーパーやコンビニでたまに高い水が売られているだろう。あれどういうつもりだ。

いい加減にしろよ、という気持ち半分、ちょっとその美味しさ、体感してみたくもある。すでに美味いものを美味い水で作るとどれだけ美味いのか。夢見る味覚のレポートです。


※この記事はとくべつ企画「できたて原稿大会」の1本です。
1975年愛知県生まれ。行く先々で「うちの会社にはいないタイプだよね」と言われるが、本人はそんなこともないと思っている。
> 個人サイト むかない安藤 ツイッター

高い水はなんなんだ

高級志向のスーパーやナチュラルローソンなんかで売られている高い水。あれはなんだろう、誰が買うんだろう、いつもそう思っていた。
500mlで200円くらいする。高い。
500mlで200円くらいする。高い。
それとは別にこの前、なんの気なしに高いトマトを買ったのだ。そうしたらものすごく美味しかった。なんだこの野菜は。愕然とすると同時に、この資本主義国家において、美味いものを食べるにはやはりそれなりのコストがかかるのだという現実も目の当たりにした。

この教訓から得られた答えは

「物の味はある程度値段に比例するんじゃないのか」

ということだ。

この法則に則って考えると、高い水は美味いはずなのである。というか高くて不味かったら意味がわからないだろう。消去法でいくと美味いに決まっているのだ。
というわけで安心して高い水を購入。
というわけで安心して高い水を購入。
ただ、僕は硬水と軟水との違いもよく分からない程度の舌の持ち主である。普通に飲み比べてもこれはもったいないだけで終わる。ならばいつも食べ慣れているものに加えてみたら、味の違いが感じられるかもしれない。

というわけで赤いきつねをチョイスした。大量に生産されている製品なので味が安定しているという点、それから僕が普段食べ慣れているという点が選定理由である。週に2度ほど食べる。

高い水ご紹介

今回買ってきた高い水を紹介しよう。まずはこちら
■水素水
少し前に話題になった水素水である。小学校の頃は水に溶けないという理由で水上置換で集めていた水素がなぜ水に!と思った方も多いのではないか。謎は謎のままだが、はじめて飲むのでちょっと楽しみでもある。近所の薬局で500ml入りのボトルが189円だった。高い。
カップ麺と水では地味だと思い宇宙柄の布を敷きました。
カップ麺と水では地味だと思い宇宙柄の布を敷きました。
■FIJIウォーター
パッケージいわく「フィジーに降る雨は火山岩を通してゆっくりとろ過され、太古の地下水槽へ貯まります」とのこと。おれ、その太古の地下水槽で泳ぎたい。500mlで200円。高い。
ハイビスカスが赤いきつねと韻を踏んでいる。
ハイビスカスが赤いきつねと韻を踏んでいる。
■温泉水99
説明によるとこの水、食材によく浸透して旨味成分を引き出してくれるらしい。水なのに油ともよく混ざる、とも書いてあった。どういうことかはわからないが、期待できそうではある。500mlで159円。高い。
赤いきつねとフォントの親和性も高い。
赤いきつねとフォントの親和性も高い。
■Oxygenizer
まずもって名前が読めない。オキシゲナイザーだろうか、酸素的な名前ではある。その名の通り1リットル中に150mgの酸素が溶けているらしいが、それが多いのか少ないのかさっぱりわからない。ただ、このボトル、文句なしに見た目がかっこいい。500mlで198円。高い。
ボトル的にはこれが一番かっこよかった。
ボトル的にはこれが一番かっこよかった。

まずはそのまま飲んで見る

経験上、違いなどわからないとは思いつつも、せっかくの高い水である。いったんそのまま飲み比べてみたい。基準となるのは右端に用意した我が家の水道水である。ちなみに僕は普段水道水をがぶがぶ飲む派である。
途中でグラスが変わっているのは家に同じのがなかったから。
途中でグラスが変わっているのは家に同じのがなかったから。
注いでみて違いがわかったのは「水素水」と「Oxygenizer」。この2つはグラスの底に気泡がついた。さすが「高濃度」で水素と酸素が溶けているだけのことはある。いま「気体」と「期待」をかけたうまいこと言うと思っただろう、残念、ライターも10年くらいやっているとあえて読者の気体に応えなくなるのだ。
グラスの底に気泡が。
グラスの底に気泡が。
左端から飲んでいった水は、どれも無味無臭でおいしかった。ちょうどお腹が空いていたことも影響したのだろうか、水は僕の体に求められているかのように、一瞬の躊躇も少しの抵抗もなく、のどを通りすぎ胃を経て、体と心に取り込まれていった。

かんたんに言うとどれも水の味であった。においもないよ。

高い水で赤いきつねを作る

いよいよこれら高い水で赤いきつねを作るが、すでに不安しかない。これたぶんみんな同じ味になるだろう。でももう高い水買っちゃったのでやらないと僕が損するだけである。それは耐えられないのでやる。

やかんに移して熱するのはなんとなく「良いもの」が飛んでしまうような気がしたので、フタを少し開けた状態でとろ火の湯煎でじっくり加熱した。


※FIJIウォーターのパッケージがこの時点で若干変形しました。温める時は別の容器に移した方がよさそうです。

おまえらわかってるか、日本酒並の高待遇だからな。たのむぞ。
おまえらわかってるか、日本酒並の高待遇だからな。たのむぞ。
温まったら赤いきつねに注いでいく。自分よりも高い水を注がれる赤いきつねはいま、どんな気持ちだろうか。
なにこの水、おいしい……。
なにこの水、おいしい……。
公正を期すため、時間もしっかり測る。
公正を期すため、時間もしっかり測る。
きっちり3分経ったらいざ実食である。高い水で作った赤いきつねはどれだけ美味いだろう。いつもよりも美味しいに違いないのである(自己暗示)。
どれ。
どれ。
赤いきつねは小学生の頃から食べているのだけれど、まったく飽きさせないのがすごい。これほどうどん屋さんやラーメン屋さんのレベルが上がっている現代において、十分に戦えるだけの美味しさを保ち続けているのだ。おそらく味の流行に合わせて少しずつ進化しているのだろう。
ひとことで言うと、美味い。
ひとことで言うと、美味い。
それから、赤いきつねといえば「あげ」だと思うのだ。
これね。
これね。
ほとんどこの「あげ」を食べたくて赤いきつねを食べているといってもいい。あのじゅわっとあふれるダシと旨味の合わさった汁は、想像するだけで胃が動き出す。

……。

このままで終われないのはわかっている。高い水によって赤いきつねは変わったか、だろう。予想通り、違いがわからなかったです。すみません。

しいていうなら、ものすごくしいていうのなら、温泉水で作った赤いきつねの「あげ」が他に比べてなんとなく甘く感じたような気がしなくもない。でももしかしたら僕の舌の当たりどころの問題とか、スープの吸い方の問題とか、そういう水とは関係ないところの違いなのかもしれません。

つまりはそのくらいの違いしかなかった、ということです。何度でも謝ります、すみません。

高い水は「うまい」

そもそも高い水はちょっと特別な時に飲むんじゃないかと思うのだ。ジムでいつもよりたくさん走った後に、徹夜してサウナで泊まって明日も頑張ろうと朝日に誓った時に、彼女がはじめて作ってくれたカレーのつけあわせに。

そういう時にはやはりいつもよりちょっといい水が飲みたくなるのだろう。そんな時には高い水である。そりゃあ美味いに違いないのだ。

結論として、高い水は美味い、ということである。責任を逃れて終わる。

うちの猫はまっさきに水道水に飛びつきました。さすがうちの猫。
うちの猫はまっさきに水道水に飛びつきました。さすがうちの猫。
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