とくべつ企画「洋食」 2016年11月29日
 

オムライスに恋をして

これはオムライスに恋をした男の物語。

これはオムライスに恋をした男の物語です。

 

 

 

 

 

 

 

※この記事はとくべつ企画「洋食」の1本です。

1988年神奈川県生まれ。普通の会社員です。運だけで何とか生きてきました。好きな言葉は「半熟卵はトッピングしますか?」です。もちろんトッピングします。

プロローグ とても楽しみにしていたオムライス

その日、オムライスを食べると決まってからは、なんだかそわそわしていた。久しぶりに食べるオムライスを楽しみにしていたのだ。

夜にオムライスを食べるため、お昼ごはんは軽くにしようと決めていたが、とてもお腹が空いている。コンビニに並べられた魅力的なごはんたちを見ると、お腹と背中がくっついてしまうほどの腹減り具合になってしまい困惑した。

(この空腹に身を任せて、焼肉弁当でも食べようか)、(軽く食べると決めたじゃないか!サラダとおにぎりにしよう。)(カップラーメンもおいしそうだ。)と気持ちのせめぎあいの中、勤め先の人が3人、すでに会計をすませていた。入店してから30分も経っている。さすがに悩みすぎだ。決めよう。
そうして買ったのがこれだ。肉とサラダという組み合わせに気持ちの迷いを感じる。
そうして買ったのがこれだ。肉とサラダという組み合わせに気持ちの迷いを感じる。
事務所に戻ると「遅かったね」と言われた。しかし、遅くなっても仕方ない。こちらは夜にオムライスを食べる。生半可な気持ちでお昼ご飯を決めてられないのだ。

仕事中もオムライスのことばかり考えていた。早く時間になれ。もう、早退して行ってしまおうか。そんな気持ちをかかえながら、とうとうオムライスを食べる時間になった。通称、オムライスタイムである。こんなに待ち遠しい、夕食は久しぶりだった。

第1話 きっとこの気持ちは恋だから

新宿駅で編集部の安藤さんと待ち合わせをして、オムライスを食べることになった。

何気ない話をしながらお店へ向かう。到着したお店では並んでいる。夜の7時に女の子たちはオムライスに並んで食べるのかと我々は驚くともに、女子しかいないことに震えていた。
新宿駅前のビルに入っているお店。ほかのフロアも女子率が高い店しかなかった。圧倒的アウェイ感。
新宿駅前のビルに入っているお店。ほかのフロアも女子率が高い店しかなかった。圧倒的アウェイ感。
しかし、お店の前に並べられたサンプルのオムライスを見て、最高潮だったテンションが限界を超えた。笑顔しか出ない。
食べる前からすでに笑顔。なぜなら、お腹が空いているから。
食べる前からすでに笑顔。なぜなら、お腹が空いているから。
オムライスのことを考えて1日中過ごした。その思いが今、開放されるのだ。皿まで食べてしまうのではないかと、自分の食欲を恐れている。
メニューを開く前から、どのオムライスを食べるのかを悩んでいるところ。
メニューを開く前から、どのオムライスを食べるのかを悩んでいるところ。
一般的なケチャップのオムライスとデミグラスソースのオムライスをそれぞれ頼むことに。
注文して、次の企画の話を終えて、あまり外食でオムライスって食べないという話をした。確かにオムライスは家で作るイメージ、特にちょっといいことや特別な日に食べるイメージがある。

ファミレスにもオムライスは置いてあるが、安藤さんも私も見かけても肉を食べてしまう。
そんな2人だ。
今日はオムライスを堪能したいと思います。
今日はオムライスを堪能したいと思います。
私が頼んだデミグラスソースのオムライス。
私が頼んだデミグラスソースのオムライス。
中にはなんと、チーズが入っている。おめでとうございますという気持ちになった。
中にはなんと、チーズが入っている。おめでとうございますという気持ちになった。
到着し、食べ始める。間違いのないおいしさである。デミグラスソース、とろけたチーズ、ふんわりした卵が素敵なハーモニーをかなでている。吹奏楽部だったら県大会優勝レベル。
オムライスにチーズを入れようと考えた人にノーベルチーズ入ちゃいました賞をあげたい。
オムライスにチーズを入れようと考えた人にノーベルチーズ入ちゃいました賞をあげたい。
ただ、食べるごとにおいしいという感情の他に別の感情をもち始めていた。
「なんか、はずかしいね。この罰ゲームを受けている感じ。」
「なんか、はずかしいね。この罰ゲームを受けている感じ。」
おいしいのである。そこはゆるぎない事実だ。だが、この恥ずかしさはなんだろう。この時は女子しかない場所に男2人で来てしまったからなのかと思っていた。

オムライスを男2人で食べたっていいじゃないか。そう思いながら食べてはいるが、オムライスのおいしさを恥ずかしさが邪魔をする。周りを見ると、他のお客さんたちは笑いながら食べている。我々も笑っているがこの笑いは明らかに種類が違うものだ。

店の奥を見ると、別の男2人が黙って食べていた。その周囲もわいわい食べているのに目をうつむきがちにオムライスを食べている。その気持ち、とてもわかる。
ドキドキと食欲が止まらない。オムライスがなくなっていくせつなさも止まらない。
ドキドキと食欲が止まらない。オムライスがなくなっていくせつなさも止まらない。
恥ずかしさの中においしさがあるなと思いながら食を進める。そのとき、昔の思い出が思い浮かんだ。女の子と始めた話したときのことである。恥ずかしくてうまく話すことができない自分に、笑顔で聞いてくれたあの子。照れながらしゃべるがなんだか楽しい、それと重なったのだ。

別の理由でドキドキしていたのに、恋のドキドキになった。吊り橋効果である。よくできた効果だ。

帰るときに、今日のオムライスのことを忘れることができなかった。あの子(オムライス)のことを頭に思い浮かべながら、家へと帰り、寝るときにもオムライスのことが離れない。この日、オムライスに恋をしたことを確信したのだった。
今年のクリスマスはとても楽しみだ。
今年のクリスマスはとても楽しみだ。
第2話につづく。

 ▽デイリーポータルZトップへ つぎへ>

 

 
Ad by DailyPortalZ
 

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ
↓↓↓ここからまたトップページです↓↓↓