土曜ワイド工場 2016年12月3日
 

電子工作でミュージックビデオに出してもらった話(ただしダンスつき)

一人、振り付けを間違える筆者
一人、振り付けを間違える筆者
さかのぼること半年ほど前のある日、Facebookメッセンジャーに一通のメッセージが届いた。
「人気アーティストのミュージックビデオに出ていただけませんか?」。
果てしなくスパムメールっぽい内容であるがスパムではなかった。相手がアカウントハックされてるわけでもなかった。

もしかして、ついに僕も俳優業か!?
インターネットユーザー。電子工作でオリジナルの処刑器具を作ったり、辺境の国の変な音楽を集めたりしています。「技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン)」主催者。1980年岐阜県生まれ。
> 個人サイト nomoonwalk

ことの発端

依頼主は、仕込みiPhoneが代表作の映像作家、森翔太さんである。
今年の6月にやった、笑える電子工作のイベント「頭の悪いメカ発表会」の共演者でもある。
こんどミュージックビデオを手掛けることになり、あのイベントのメンバーでやったら面白いのでは?ということで再び招集された。
イベントの思い出(Fabcrossのレポートより</a>)
イベントの思い出(Fabcrossのレポートより
メッセージを受け取った時点で、てっきり俳優としての出演かと思ったのだが、話を聞いてみるとどうやら違うようだ。

「このメンバーでやることといったら工作ですよ。」
そりゃそうか。

「曲のテーマがジャガイモなので、ジャガイモの電子工作を一人一個作りましょう。」
何?

「あとちょっとだけダンスもあるんですが。」
ええ????

「ジャガイモ」「電子工作」「ダンス」。

一つ一つの単語が遠すぎて全貌がよくわからない。落語の三題噺みたいである。そう思いつつも、ビデオに出たい一心で快諾した。

シャカシャカポテトを上手に振るためのマシン

「ダンス」の説明は撮影当日にあるそうなので、ひとまず「ジャガイモの電子工作」を準備することになった。さて何を作るか。

電子工作に限らずだが、世の中のだいたいの工作は、何らかの問題に対するソリューションである。
まずはイモに関して、日ごろ抱えている問題がないか考えてみた。
そこで思いついたのがこちら。
そこで思いついたのがこちら。
上の写真、調味料をかけて振るタイプのフライドポテトだ。いろんなファーストフード店で発売されたりなくなったりしているが、現在だとロッテリアとファーストキッチンで取り扱っている。

あれ、付属の粉を均一にまぶすのは意外に難しい。やってみるとけっこう固まってダマになってしまう。ポテトを振ることの意外な難しさ、今回はその問題にフォーカスすることにした。
袋の底にも残っている。人生における優先順位はかなり低いが、一応、「問題」だ。
袋の底にも残っている。人生における優先順位はかなり低いが、一応、「問題」だ。

ポテトにありがたさをプラス

で、いきなり完成品。箱にポテトとシーズニングを入れると
で、いきなり完成品。箱にポテトとシーズニングを入れると
力強く振ってくれるついでに
力強く振ってくれるついでに
空中に残像で般若心境を書いてくれる
空中に残像で般若心境を書いてくれる
ポテトを完璧に振ってくれるだけでもありがたいのに、自動読経機能がついている。チベットのマニ車にインスパイアされたものだ。食欲を満たせるうえに徳まで積めるという、ダブルでありがたいマシンである。

動画でも見てもらっちゃおっかな。
いい感じにどうでもいいものができた。個人的には満足の完成度なのだが、問題がある。

この原稿、工作を始めた段落からここまで約600字。この最高の(かつ若干、脈絡のない)ガジェットを説明するのに600字かかるのだ。
出演するのはミュージックビデオ。つまり音声は楽曲のみで、セリフがないのだ。その状況でこれを理解してもらえるだろうか?「なにこれ?」ってなるんじゃないか。

……考えても仕方がないので、そこは監督の手腕にゆだねる(というか丸投げする)ことにした。

3日で作った

作業工程もさわりだけ紹介しておこう。
家にあったギアボックスを使って
家にあったギアボックスを使って
振る部分は、ネットに載っていた車のワイパーの図解を参考にした
振る部分は、ネットに載っていた車のワイパーの図解を参考にした
般若心境のところはLEDを10個ならべて
般若心境のところはLEDを10個ならべて
マイコンでピカピカさせて、残像で文字を書く。
マイコンでピカピカさせて、残像で文字を書く。
読経装置は棒の先に
読経装置は棒の先に
赤外線センサーを使って、振るスピードとピカピカを同期
赤外線センサーを使って、振るスピードとピカピカを同期
完成(机の汚さ)
完成(机の汚さ)
僕の工作記事では「記事で見るとサクッと作ったように見えるけど、実際は〇週間かかった」というのが常套句なのだが、今回ばかりは本当に3日で作った。なぜならスケジュールがめちゃくちゃタイトだったからである。

他にこういう自動ピーラーの刃をたまに持ち上げてジャガイモを縞模様(シマイモ)にできるマシンというのも考えたのだが、ピーラーを注文していては翌日発送でも間に合わないので、あきらめた。そういうレベルである。

完成翌日、深夜に及ぶ作業でできた目のクマを気にしつつ、撮影へと向かった。場所は都内のキッチンスタジオ。

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