ちしきの金曜日 2016年12月2日
 

原発事故で廃虚になった街に行った

ふり返って「つまりここがグラウンドだったわけか……」としみじみ見てみるが、まったく面影を見出すことができない。
ふり返って「つまりここがグラウンドだったわけか……」としみじみ見てみるが、まったく面影を見出すことができない。
ただ、航空写真で見るとうっすらグラウンドの形が見える(航空写真になっていない場合は左上のタブで切り替えてくださいませ)。
さらに分け入って行きます。いよいよ建物の中へ!
さらに分け入って行きます。いよいよ建物の中へ!
そこにはなんと室内プールが!
そこにはなんと室内プールが!
これにはみんな大興奮。ぼくも大興奮。
これにはみんな大興奮。ぼくも大興奮。
一日眺めていたい。テント張って滞在したい。すごい。全天球画像はこちら
一日眺めていたい。テント張って滞在したい。すごい。全天球画像はこちら

「ユートピア跡地」だ

だーっと写真を並べ立ててしまった。ここらへんでプリピャチの説明をしよう。

冒頭でも書いたが、チェルノブイリ原発のすぐ近く。チェルノブイリの街よりも原発に近い。

北に10kmも行けば隣国ベラルーシとの国境、というウクライナの北の端の街である。
北西の赤いピンがプリピャチ、南東の青いのがチェルノブイリ原発。近い。
1970年に原発に勤める人々のためにつくられた街で数万人が住み、そのほとんどが2、30代で子どもがとても多かったという。

退去にあたっては「この避難は一時的なものである」と説明された。しかし、結局その後住民がここに戻ってふたたび生活することはなかった。
プリピャチ市の入口にあるモニュメント。誇らしげに1970の文字。それにしてもいいフォルム。これのネクタイピンとかあったらほしい。
プリピャチ市の入口にあるモニュメント。誇らしげに1970の文字。それにしてもいいフォルム。これのネクタイピンとかあったらほしい。
そういう話を聞きつつ、ぼくが実際訪れて感じたのは、この街の圧倒的な「ユートピア感」だ。前ページの写真のように、ホテルあり劇場あり遊園地あり、と無人になって30年経った廃虚であるにもかかわらず、そこには高揚した文化的香りが残っていた。

70年代でこの雰囲気とは。当時世界中で最もすてきな街だったのではないかと思う。廃虚である現状を差し引いて、健在な街の状態を想像すると、そこには充分「住みたい」と思わせる魅力がある。

ぼくが最も惹かれたのは、廃虚の魅力ではなく、この「ユートピア感」だ。
在りし日のプリピャチ。前ページの「文化宮殿」だ。このユートピア感! (
在りし日のプリピャチ。前ページの「文化宮殿」だ。このユートピア感! ("pripyat.com" より。"From the archives of the public organization of Chernobyl liquidators "Zemlyaki"" とのこと)
上の写真は事故以前のプリピャチの様子。"pripyat.com" というサイトの"Pripyat before the disaster" という写真ギャラリーにはこういうユートピア感あふれる在りし日のこの街の画像がたくさんある。おすすめ。

この時代にこの街を訪れてみたかった、と強く思った。ぼくはユートピアにあこがれる。正確にいうとユートピアに憧れることができることに憧れる、という感じ。

ユートピアのうさんくささ。それがうまくいかなくなる運命なのは知っているし、ユートピアという考え方自体がディストピアと紙一重というか表裏一体なのも分かっているから。
生い茂りまくる樹々のむこうにかっこいい団地!
生い茂りまくる樹々のむこうにかっこいい団地!
この写真の右の棟ではないか! ああ、この現役の姿をこの目で見てみたかった……(これも
この写真の右の棟ではないか! ああ、この現役の姿をこの目で見てみたかった……(これも"pripyat.com" より。同様に"From the archives of the public organization of Chernobyl liquidators "Zemlyaki"" とのこと))
人がいなくなって植物が生い茂る「ユートピア跡地」、といえば天空の城ラピュタだ。そう思いついてあらためて辺りを見回すと、どんどんそういう風に見えてくる。

航空写真を見ると分かるが、このあたりはまわりに何もない。その孤立具合も空に浮かぶ島に似ている。さながら島を浮かべていた巨大エネルギー源の飛行石は、原発ってところだ。

つくば学園都市に似ている……!

観覧車を筆頭に、様々なフォトジェニック廃虚が点在するプリピャチだが、やはり団地マニアのぼくが最も興奮するのは、団地だ。

上の写真もそうだが、実にすてきな団地がたくさんある。「うおー!」「すてきー!」ってずっと言ってた。
いよいよプリピャチ到着! ってとき、バスの車窓に団地が見えて大興奮するところからぼくのプリピャチ・ラブは始まった。ここここ、ここで! ととと、停めてくださってけっこうですよ!
いよいよプリピャチ到着! ってとき、バスの車窓に団地が見えて大興奮するところからぼくのプリピャチ・ラブは始まった。ここここ、ここで! ととと、停めてくださってけっこうですよ!

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