はっけんの水曜日 2016年12月7日
 

100周年記念で造る日本酒の名前を蔵に行って提案してきた

滋賀県甲賀市の美冨久酒造。もうすぐ創業100年。100周年記念の日本酒の名前を募集中です(2016年12月31日まで)。
滋賀県甲賀市の美冨久酒造。もうすぐ創業100年。100周年記念の日本酒の名前を募集中です(2016年12月31日まで)。
今、滋賀県のある酒蔵で、創業100年を記念して作る特別な日本酒の名前を募集しているそうです。

出来たばかりの建物や新商品、誕生した動物園の生き物など。新しい名称や名前を募集していることはよくあります。自分の考えた名前が選ばれ、その名で呼び続けられるのは大変名誉なこと。とはいえ、そう簡単に選ばれるものでもありません。

公共の大規模施設のネーミングは無理でも、酒造での募集なら選ばれる確率も多少は高いかもしれない。ということで、デイリーポータルZライター陣の考えたネーミング案を持って、蔵まで行ってきました。
1972年生まれ。体力系、料理系の記事を多く書いています。ライター以外に日本酒と発酵食品をメインにした飲み屋も経営しています。利き酒師で、元機械設計屋で元プロボクサー。ウルトラマラソン走ります。米の飯と日本酒が有れば大体なんとかなります。

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東海道沿いに100年続く伝統の蔵

やってきたのは滋賀県甲賀市にある美冨久酒造。
道を挟んでいかにも酒造という趣の建物が建っています。最寄り駅からは歩いて15分ぐらい。
道を挟んでいかにも酒造という趣の建物が建っています。最寄り駅からは歩いて15分ぐらい。
こちらが蔵の4代目、代表取締役社長の藤居さん。販売開発本部長で商品企画、デザインを担当する村田さん。今回持ってきたネーミング案は、企画を担当する村田さんに見ていただきます。
左が藤居さん。右が村田さん。今日はよろしくお願いします。 
左が藤居さん。右が村田さん。今日はよろしくお願いします。 

百年続く伝統ある蔵です

ネーミング案を見ていただく前に、まずは蔵の基本情報を少し。
来年で創業100年。
来年で創業100年。
美冨久酒造は琵琶湖の南側、東海道沿いの滋賀県甲賀市水口町にあります。この付近は滋賀県内でも酒造りが盛んな地区で、滋賀県内の酒蔵の3分の1ぐらいがこのエリアで酒造りを行っています。
仕込みの最中なので手前の階段から撮影。1シーズンにこのタンクで4、50本ほど仕込みます。
仕込みの最中なので手前の階段から撮影。1シーズンにこのタンクで4、50本ほど仕込みます。
創業は1917年(大正6年)。来年で100年を迎える歴史ある蔵です。年間およそ1300石(1石=180リットル。1升瓶100本)仕込んでいます。
美冨久山廃純米純酔紫霞と美冨久山廃純米酵房三年熟成酒。どちらも米の旨味と力強い酸味が特徴的ないい酒です。
美冨久山廃純米純酔紫霞と美冨久山廃純米酵房三年熟成酒。どちらも米の旨味と力強い酸味が特徴的ないい酒です。
代表銘柄は蔵の名前でもある「美冨久」。美冨久酒造はそのほとんどの酒を山廃仕込みで造っています。

山廃仕込みは「山おろし廃止もと仕込み」の略で、自然の菌を呼び込んで作る、高い技術が必要な昔ながらの製法。仕込みに時間がかかり、旨味が十分に感じられる力強い味わいとなります。

そして、もう1つの銘柄が「三連星」。4代目が立ち上げた新しいブランドです。
三連星で黒地に紫といったら、もうジェットストリームなアレしか思い浮かばない。 
三連星で黒地に紫といったら、もうジェットストリームなアレしか思い浮かばない。 
蔵人3人を中心に醸す三。種類を純米大吟醸、純米吟醸、純米酒の3種類を中心に出していく三。各種類の中に無濾過生原酒、特別限定、季節のお酒の3タイプを出していく三。100周年を目前に過去三代の蔵元に敬意を表しての三。三がずっと連なり星のごとく輝ける酒を目指してつけられた名前がこの「三連星」。

そのように蔵のホームページには書いてあります。美冨久の力強さと共に、果実を思わせる爽やかさなどもあり、幅広い層に人気のあるいい酒です。

そして、こちらの日本酒はある特定の層にも人気があります。それがこちら。
4代目自ら試飲会会場でアピール。
4代目自ら試飲会会場でアピール。
村田さんや社員の方も。
村田さんや社員の方も。
蔵のイベントでも社員総出で。 
蔵のイベントでも社員総出で。 
飲食店での出張イベントでも。
飲食店での出張イベントでも。
ガンダムファンです。ファーストガンダム世代の40代男子ならば説明するまでもなく、ジェットストリームアタック。ガイア、オルテガ、マッシュの黒い三連星。そこからガンダムファンにも知られる銘柄となっています。
前掛けもこんなデザイン。出来上がる酒も輝く旨さです。 
前掛けもこんなデザイン。出来上がる酒も輝く旨さです。 
蔵の人がノリ過ぎで、どこからか怒られやしないかやや心配ですが、そんな伝統の技に培われた確かな味と、若手の勢いが面白い注目の酒造です。

蔵見学もできます

また、美冨久酒造では蔵見学にも対応しています。
売店内部や蔵見学のスペースは蔵人総出で手作りしたそうです。これは使わなくなった酒を絞る古い道具をテーブル代わりにしたもの。
売店内部や蔵見学のスペースは蔵人総出で手作りしたそうです。これは使わなくなった酒を絞る古い道具をテーブル代わりにしたもの。
蔵人に案内されて売店横の階段をあがると蔵で使われていた古い道具などが飾られた小部屋に出ます。
桶や甕、打栓器など色々置いてあります。
桶や甕、打栓器など色々置いてあります。

部屋を抜けて奥へ進むと、仕込みを行っている蔵の二階部分に出ます。
造りの時期なので、ここから先は手の消毒とヘアキャップ着用が必要です。
造りの時期なので、ここから先は手の消毒とヘアキャップ着用が必要です。
ここから発酵中のタンクを上から覗く事もできます。
タンクを見るときは物を落としたりしないよう細心の注意が必要です。
タンクを見るときは物を落としたりしないよう細心の注意が必要です。
奥には広いスペースもあり、そこで日本酒作りの説明などもしてもらえます。ただし、蔵人の手が空いている時に限ります。訪問の際には必ず一度電話などで確認してください。

どこの蔵でも言えることですが、最近は突然訪れて蔵を見せて欲しいという人がいるそうです。手が空いていれば対応してくれる場合もありますが、家族でやっているような小さな蔵ではそれも難しい。
ここからもタンクを覗く事はできます。
ここからもタンクを覗く事はできます。
酒蔵は観光施設ではありません。仕事場です。もしあなたのオフィスに突然、仕事に興味があるから中を見せてくれと言ってきた人がいたとしたら、まず断るはずです。それでも蔵の方は快く迎えてくれます。そういう事を踏まえて蔵見学について問い合わせましょう。

また、蔵見学の際には色々なマナーもあります。蔵によって差はありますが、納豆のような強い菌を持った食べ物を食べてきてはいけないとか、香りの強い香水などはつけていてはいけない、風邪など体調の悪い人は不可等色々有ります。事前にそういうことをよく確認してから訪問してください。

100周年記念の特別仕込みの日本酒

それでは、今回ネーミング募集されている日本酒についてです。

美冨久酒造創業100年を記念して作る特別な日本酒で、美冨久にちなんて、32.9%まで精米します(67.1%は磨き落とす。多く磨くとより清んだ味わいになる)。滋賀県産山田錦を全量使用し、伝承山廃仕込みで仕込む純米大吟醸酒です。

予定販売価格1升(1800ml)で15,000円。4合(720ml)7,500円とかなりハイスペックな日本酒となります。
美冨久百年の歴史に名前が刻めるかもしれない。
美冨久百年の歴史に名前が刻めるかもしれない。
ネーミング企画の詳細については美冨久酒造のこちらのページに詳しく出ています。こちらのページから応募も可能です。
今のところ、採用された方には商品現物と、内容は未定ですが副賞も出る予定とのこと。また、採用から落ちても蔵人特別賞的なものも考えているそうで、自由な発想の力作、自信作、ひねくれ作を広く募集しているということでした。

それは良かった。持ってきたネーミング案は、全体的にアレでアレな感じなので……
持ってきたネーミング案の一部。あのノリの蔵人なら怒らず聞いてくれるだろう。
持ってきたネーミング案の一部。あのノリの蔵人なら怒らず聞いてくれるだろう。

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