フェティッシュの火曜日 2016年12月20日
 

ウミヘビの卵はほのかにチーズの味がした

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沖縄ではウミヘビを食べる食文化があるのだが、なんとその卵を食べられるイベントがあるらしい。

みなさんは沖縄で「イラブー」と呼ばれている食材をご存じだろうか。
新潟出身。沖縄に来てそろそろ15年くらい経つのに泳げないため全然沖縄を満喫できていない気がする。最近の悩みは高血圧。

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左は市場などで売られている燻製、右は生のやつ
左は市場などで売られている燻製、右は生のやつ
イラブーとは和名で「エラブウミヘビ」というウミヘビで、沖縄ではおもに燻製になっているものが販売されている(たまに鮮魚店で生が売られていたりもする)。
食べ方としては、燻製になったイラブーを丁寧に煮戻して「イラブー汁」という汁物にして食べるのが一般的である。
こんな感じのやつです
こんな感じのやつです
イラブーがどんな味なのかと問われたら「身欠きニシン」のような味でそこまでおいしいものでは無いと私は思っているのだが、琉球王朝時代からイラブーは滋養強壮の食べ物として珍重されており、どちらかといえばイラブーのエキスがしみ出した汁自体に価値があるらしい。
とはいえ、イラブー汁を提供する食堂というのもそんなに無いので、沖縄県民でもイラブー汁を食べたことがないという人も多い。

そんな不思議食材のイラブーだが、とあるイベントでイラブーの卵が食べられるという情報を聞きつけた。ウミヘビの卵...そもそもヘビの卵を食べたこともないので全然想像がつかないのだが、味を確かめるべく足を運んでみた。

久高島のイラブ―(海蛇)展

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というわけでやってきたのは、沖縄本島の南部の南城(なんじょう)市にある道の駅的な施設「がんじゅう駅・南城」。世界遺産にも登録された「斎場御嶽(せーふぁうたき)」のすぐ近くにある。
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こちらで期間限定で行われた「久高島のイラブー(海蛇)展 〜海を旅するいのちの力〜」という展示の一環で、イラブーの卵が食べられるそうなのだ(現在は終了しています)。
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せっかくなので、まずは久高島のイラブー(海蛇)展の内容を少しご紹介したいと思う。
展示は撮影禁止だったんですが、取材ということで特別に写真を撮らせて頂きました。
展示は撮影禁止だったんですが、取材ということで特別に写真を撮らせて頂きました。
まずは南城市にある久高島(くだかじま)について。久高島は琉球を創世したアマミキヨという神様が国づくりをはじめた場所であり、五穀の発祥の地という伝説もあるという「神の島」とされている。パワースポットと名高い斎場御嶽も久高島を遙拝するために作られているといわれていて、もうパワースポット中のパワースポットなのだ。そしてこの島の特産がイラブーで、島の祭祀をつかさどる「ノロ」と呼ばれる巫女の最高位の人にしか捕る権利がないのだそうだ。
イラブー漁のパネル
イラブー漁のパネル
燻製のパネル
燻製のパネル
展示によればイラブーの漁獲高が一番多いのは「イラブーガマ」という洞くつなのだそうだが、現在はその場所を与えられたノロが不在なため代役がイラブーを捕まえているらしい。

そしてイラブーを捕まえる方法がまたすごい。夜中洞くつに産卵のためにやってきたイラブーを懐中電灯の明かりだけで探して手づかみで袋に入れるというものすごい原始的な方法で捕獲が行われていて、これは琉球王朝時代から変わらぬ漁法だということである。そりゃ燻製のイラブーはいい値段になるよな。

捕まえたイラブーは集落にある「バイカンヤー」という燻製小屋で燻製にされるのだが、燻製の方法はすべて口伝え。燻製を作るためにはイラブーの大きさや種類、雌雄によって茹でる時間が異なったりするらしく熟練の知識が必要なのだそう。燻製の様子は現在も非公開なのだが、展示ではその様子を垣間見ることができてかなり面白かった。
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他にも生きたイラブーの展示だったり
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ちょっとしたイラブークイズがあったりとかなり濃い内容。入場料300円が必要だったが、全然元が取れる内容だった。もうこれどこかに常設で展示したらいいのに。

イラブー汁と卵は限定30食

展示の内容が濃すぎてうっかり本題を忘れてしまうところだったが、本題はイラブーの卵。
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展示期間の三日間のみ特別企画としてイラブー汁とイラブーの卵が提供されるそうで、イラブーの卵のみが800円。イラブー汁とのセットが2,000円。結構いいお値段なのだが、一生のうちにイラブーの卵を食べる機会はもうないんじゃないかと思い奮発してみた。
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こちらが食券。
展示会場に隣接された久高島食堂へ
展示会場に隣接された久高島食堂へ
調理室みたいなところでチケットを渡す
調理室みたいなところでチケットを渡す
食券を展示の隣の調理室みたいなところで渡して料理を受け取るのだが、この日のためにわざわざ久高島からイラブーを調理しに人が来ているらしい。少し話をしてみたのだが、なんでも料理をしているおばあちゃん達がイラブーを捕ってる人らしい。すごいぞ、おばあちゃん。

さて、食券を渡して待つことしばし。いよいよイラブーの卵との対面だ。
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来た。こちらがイラブーの卵とイラブー汁である。
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輪切りになっているが、片手に収まるくらいの楕円形の物体がイラブーの卵。1日燻製にしたものだそうで、かつて久高島では病気や産後にしか食せない貴重なタンパク源だったのだそう。ちょっと浮いている皮みたいなものは卵の殻で、これを剥いて食べるとのこと。
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イラブーの卵は燻製のほかにそのまま茹でて食べる事もあったそう。
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もう皆さんはタイトルからお分かりだと思うが、口に入れると燻製の香りが押し寄せてきて後味が若干クリーミー。表現が難しいが、燻製のチーズに近い味がする。ゲテモノっぽい見た目だが味は上品だ。多分ウミヘビの卵だといわれなかったらチーズの一種だと勘違いするんじゃないだろうか。
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セットで出てきたイラブー汁もうまい。今まで何度かイラブー汁を食べたことがあるのだが、燻製から戻したイラブーは身が結構パサパサしていてこんなものなのか、と思っていたのだが、ここで食べたイラブーは皮がプルプルになっていて骨も食べられるくらい柔らかかった。

料理が乗ってた紙にイラブー汁の作り方が。手間がすごそう。
料理が乗ってた紙にイラブー汁の作り方が。手間がすごそう。
イラブー料理は滋養強壮を目的としたものであると冒頭で書いたが、まさに料理を食べている後ろの方の席で「ウチの兄弟は年に2回くらいイラブー汁を飲んでいて全員戦争から無事帰って来た」とか「イラブー汁を飲んでいたら絶対風邪引かない」いう会話がなされていた。滋養強壮のスケールがなんだかでかい。

というわけでイラブーの卵を食べてみたという話なのだが、いかがだっただろうか。興味がある人は是非ともチャレンジしてほしいところなのだが、日常的に販売しているような場所がないので口にするのはかなり難易度が高そうだ。自分でイラブーを捕まえるにしても、イラブーは毒蛇でwikipediaによればハブの70-80倍の強さの毒を持っているのだそうで下手すると命を落としかねない。

ひょっとしたら南城市でまたこういったイベントがあるかもしれないので、ここは素直に定期的に情報をチェックすることをおすすめしたい。
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