とくべつ企画:寿司と乗り物 2017年1月1日
 

ヌタウナギ寿司

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魚釣りに行ったらヌタウナギがたくさん釣れた。
そういえばヌタウナギの寿司って聞いたことないな。作ってみよう。食べてみよう。
1985年生まれ。生物を五感で楽しむことが生きがい。好きな芸能人は城島茂。
> 個人サイト Monsters Pro Shop

キモイいぞ!でもうまいんだぞ!

港で釣れたヌタウナギ。初夏の生物だと思っていたのだが、なぜか真冬に大漁!
港で釣れたヌタウナギ。初夏の生物だと思っていたのだが、なぜか真冬に大漁!
あるネット媒体の「東京湾の変な魚を釣る」という企画を手伝っている最中だった。
エイやらウミヘビやらが釣れまくった末、厳密には魚類でない生物まで釣れてしまった。それが今回料理するヌタウナギである。
ウナギと名はつくが、ウナギとは縁の遠い生物。
ウナギと名はつくが、ウナギとは縁の遠い生物。
ヌタウナギというのはよく「ザ!鉄腕!DASH!!」に登場しては城島リーダーと格闘している、ヌルヌルした粘液を大量に出すアイツのこと。
本サイトでも何度か紹介されている、ある面ではメジャーな珍生物だ。
深海鮫とヌタウナギ料理
驚異の粘液深海生物?「ヌタウナギ」を漁港で釣って食べる
海水を汲んだバケツに入れると、吸水ポリマーを放出して大量の粘液を生み出す。
海水を汲んだバケツに入れると、吸水ポリマーを放出して大量の粘液を生み出す。
ヒレやウロコは持たない。眼は退化して皮下に埋没してしまっている。
ヒレやウロコは持たない。眼は退化して皮下に埋没してしまっている。
ヌタウナギの口はお腹側に開く。ちょっとおしりの穴っぽい。
ヌタウナギの口はお腹側に開く。ちょっとおしりの穴っぽい。
口の中からはえげつない歯が飛び出してくる。
口の中からはえげつない歯が飛び出してくる。
噛みつかれて手がキスマークまみれに…。けっこう痛い。
噛みつかれて手がキスマークまみれに…。けっこう痛い。
この日は都合6匹ゲット。群れで行動しているのか、タイミングが合うとポンポン釣れて楽しい。
この日は都合6匹ゲット。群れで行動しているのか、タイミングが合うとポンポン釣れて楽しい。
撮影終了後、記者さんたちに「僕ヌタウナギ食べたいんですけど…、もらって帰ってもいいですか?」とおそるおそるおうかがいを立てたところ、「どうぞどうぞ、ご自由に…。僕らはいらないので…。」と若干引き気味に快諾をいただいた。
やった。独り占めだ。ヌタウナギおいしいのに。
さあさばくぞー。
さあさばくぞー。

にぎりより軍艦!醤油よりネギ塩!

寿司と言ってもいろいろあるが、まずはやはりシンプルなにぎりでいただきたい。
下ごしらえを終えたら適当な大きさに切り分け、わさびを乗せたシャリと合わせる。
ヌタウナギには骨が無い(歯以外の骨格は軟骨でできている)ので楽ちんだ。
皮を剥ぎ、頭と内臓を外す。うーん、やはり普通の魚とは似て非なる生物なんだなと実感する。
皮を剥ぎ、頭と内臓を外す。うーん、やはり普通の魚とは似て非なる生物なんだなと実感する。
完成!ヌタウナギのにぎりずし。
完成!ヌタウナギのにぎりずし。
思いのほかまともな、というかおいしそうな仕上がりだ。
肝心の味はどうだろうか。醤油をつけてほおばる。
いただきます!
いただきます!
んん…?口の中でシャリとケンカしてるなー。
んん…?口の中でシャリとケンカしてるなー。
…。残念ながら、あまりおいしいとは言えない。
その原因は二つ。
まずネタの触感がグニグニ、コリコリと強烈すぎてシャリになじまない。噛んでも噛んでも、いつまでたってもヌタウナギだけが口に残る。
…シャリと合わせる意味ないな。別々に食べた方がいい。
そして、わさびと醤油という味付けもベストではない気がする。ヌタウナギは魚というよりタコとホルモンを混ぜたような味わいなのだが、にぎりにするとホルモン感が増してしまうような…。
よし、ならばこうしてやろう!
ネギ塩ヌタウナギ軍艦!
ネギ塩ヌタウナギ軍艦!
食感がシャリとなじむように細かく刻んだヌタウナギをネギ塩ダレで和え、軍艦巻きにする。これならきっとおいしいはず。
くら寿司の海鮮ネギ塩軍艦に着想を得たメニューだ。
さあ、今度こそ!
さあ、今度こそ!
おー!これは美味いわ!!
おー!これは美味いわ!!
…試行錯誤の結果は大成功!細切れにしたことで違和感なくシャリとともに噛み、飲み込める。味付けもワサビと醤油よりはるかに合っている。
ヌタウナギを生で食べるなら、このメニューがベストかもしれない。いやー、めでたしめでたし。

粘液から海苔も作れるんじゃないか

…と、ここで終わっても良かったのだが、妙なことを思いついてしまった。
ヌタウナギの粘液で海苔の代用品を作れないだろうか。
ヌタウナギの粘液は乾くとシート状になるのだ。この性質を応用したい。
ヌタウナギの粘液は乾くとシート状になるのだ。この性質を応用したい。
ヌタウナギの皮の裏側にあるポチポチは粘液を出す腺。皮を剥がして流しへ置いておくと…。
ヌタウナギの皮の裏側にあるポチポチは粘液を出す腺。皮を剥がして流しへ置いておくと…。
水道水が大量の粘液に変化して排水口が詰まる詰まる…。
水道水が大量の粘液に変化して排水口が詰まる詰まる…。
粘液腺を刻んで…
粘液腺を刻んで…
イカスミと…
イカスミと…
混ぜる!こうしてできた真っ黒な粘液をシート状に乾かせば、見た目的には海苔っぽいサムシングができるはずだ。
混ぜる!こうしてできた真っ黒な粘液をシート状に乾かせば、見た目的には海苔っぽいサムシングができるはずだ。
ほーら、ネバネバに…。あれ?ならない…!
ほーら、ネバネバに…。あれ?ならない…!
粘液の素を出す腺を刻んでイカスミに混ぜ込み、ゼリー状のイカスミを作る。そしてそれを乾燥させれば海苔っぽい何かができるはず!
…周到な計画だったはずだが、残念ながら上手くはいかなかった。
どうやら粘液の生成には鮮度が大きく影響するらしい。今回は調理までに10日以上冷凍保存してしまったので、ヌタウナギの体内にある粘液の素が消えたか壊れてしまったようだ。

皮を海苔がわりにしてみる

うーん、野望叶わず。残念だ。
…軍艦はおいしかったしここで終わっても良いのだが、せっかくなので悪あがきを。
ヌタウナギの皮は分厚く、革細工の材料になったりもする。この皮をパリッと焼いて海苔がわりにしてみよう。
粘液海苔に失敗したので、せめて一矢報いたいという魂胆だ。
皮製品の材料にもなるヌタウナギの皮。厚くて頑丈。
皮製品の材料にもなるヌタウナギの皮。厚くて頑丈。
オーブンでパリッと焼き上げる。
オーブンでパリッと焼き上げる。
焼きあがった皮は飴のように透き通った。海苔というより昆布に近い印象。
焼きあがった皮は飴のように透き通った。海苔というより昆布に近い印象。
ヌタウナギの、ヌタウナギによる軍艦巻き。
ヌタウナギの、ヌタウナギによる軍艦巻き。
まあ…、悪くはないけど普通に海苔で巻いた方がおいしいかな。
まあ…、悪くはないけど普通に海苔で巻いた方がおいしいかな。
パリパリに焼き上げた皮を海苔の代わりにして軍艦巻きをこさえ、ほおばる。
…。クリスピーな皮は香ばしく、なかなか乙な味がする。
が、クリスピーすぎてやはりシャリやネタと口内喧嘩が勃発してしまった。
あ、これやっぱり別々に食べた方がいいな…。
いやー、すみません。後半は完全に蛇足になってしまいました。

ヌタウナギの粘液は無限の可能性を秘めている!…と思う。

ヌタウナギ自体は寿司のネタとして通用することがわかった。
しかし、彼らが持つ最大の個性である粘液を寿司に活かせなかったのは悔いが残る。
海苔以外にもジュレ状のタレを作ったりといろいろな活用法があると思うのだが…。
近いうちにまた新鮮なヌタウナギでリトライしたい。
次こそヌタで海苔を作ってみせるぞ!
次こそヌタで海苔を作ってみせるぞ!
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