チャレンジの日曜日 2017年2月12日
 

「しんたま」は芯玉?新玉? 〜『たほいや』その2〜

知らない言葉の語釈を考えるゲーム
知らない言葉の語釈を考えるゲーム
知らない言葉の語釈を考えて相手をだまくらかす……そんなスリリングなゲーム「たほいや」。

先週出題したお題の正解発表と次回のお題発表です。

なお「たほいや」ってなんなの? という方はこちら(「知らない言葉のニセ語釈を考えるゲーム『たほいや』」を御覧ください。
鳥取県出身。東京都中央区在住。フリーライター(自称)。境界や境目がとてもきになる。尊敬する人はバッハ。
> 個人サイト 新ニホンケミカル TwitterID:tokyo26

個性の強い語釈がいっぱいきました

ではさっそく、前回のお題をみてみましょう。
!
「べれん」、「のつご」、「しんたま」いずれも、あまり聞きなれない単語ですが、実際に『広辞苑』(第六版)に掲載されている言葉です。

募集されたニセ語釈の中に本当の語釈を混ぜた選択肢から、ふたりの国語辞典マニアとデイリーポータルZ編集古賀さんの3人があてに行きます。
左から、国語辞典マニア見坊さん、稲川さん、DPZ古賀さん
左から、国語辞典マニア見坊さん、稲川さん、DPZ古賀さん
まずは、最初のお題「べれん」から。
五つの選択肢のうち、ひとつが本当の広辞苑の語釈。残り四つが投稿された嘘語釈
五つの選択肢のうち、ひとつが本当の広辞苑の語釈。残り四つが投稿された嘘語釈
それでは、この五つの語釈のなかから、本当に『広辞苑』に載っていると思われる語釈はどれか。それぞれ番号でお願いします。
国語辞典マニアの見坊さんは2
国語辞典マニアの見坊さんは2
国語辞典マニアの稲川さんも2
国語辞典マニアの稲川さんも2
そしてふつうのひと代表、古賀さんも2
そしてふつうのひと代表、古賀さんも2
お! 全員2番だ。見坊さん、2番にしたのは?
消去法なんですが……まず、ベレー帽をかぶってる人を「べれん」なんて呼ばねえだろ? というのが1番を消した理由ですね。
3番と4番ですが、ちょっと饒舌だなという気がしました。ブラジルの都市も、フィンランドの小説家も日本社会にたいして重要な言葉じゃないので、そこまで詳しく説明する必要がないんじゃないかなと思って、違うなと判断しました。
5番は、ベイレン、米(こめ)練(ねり)が縮まってべれんってのはすごく魅力的なんですけど……なんかこう“考えて出てきそうだな”って思ったんです。
なるほど、米練はニセ語釈を考える過程がちょっと透けて見えた。
それに比べて、2番の「遊里で梅毒を言う語」は、「べれん」を聞いて、その意味を思いつく人がはたしているのだろうか? 語釈の突拍子のなさが、逆に正解なんじゃないかなと、それはもしかして考えた人がとっても巧くて、まんまと騙されてるのかもしれないんですが。
なるほど、稲川さんはどうですか?
まず、まっさきに4番を消したのは、広辞苑はたぶん出生年は、名前の後に書くはずだったと思うんです。あんまり記憶がはっきりしてないんですが……。
“代表作に”みたいな表現も広辞苑っぽくないなあと、広辞苑なら、“代表作「愛のある朝」「山荘からの手紙」”かな? 「に」が入らないんじゃないかなぁ。
3番はけっこう広辞苑っぽい文体な気がするんですけど……やっぱり饒舌すぎる感じですね。書きすぎなので、消しました。
5番は、見坊さんと同じ理由なんですが……、まあ、餅を練るなら「練餅」だろ? と思ったんです。まぁそれはイレギュラーがいっぱいあるんでいいんですが。
で、けっこう1番が好きで、いくら思いついたとしても、これはアホくさすぎるだろと。
あと、広辞苑って「何々のこと」っていう書き方が少ないんです、たしか。飯間先生(『三省堂国語辞典』の編纂者)もツィッターでツィートされてましたが……。 まあ、これは大正期の俗語なんでしょうけど、ベレーはべれんにはならねえだろう、ということで、1番は魅力的なんですけど、2番で。
なかなか国語辞典マニアらしい推理……。古賀さんはどうですか?
お二人とも消去法ですね……私も、3と4はちょっと長すぎるかなと思って……これ、ニセ語釈書いてるひとがニヤニヤしながら書いてる感じがするんですよ、やってる感はんぱない。でも、こういうの好きなんですけどね。正解ではないなと。
5は、もしこの言葉があったら知っていたかった。知ってたいじゃないですか! 練った餅とか。あと、ほんとにあるなら売ってそうなんですよね……道の駅とかで。
「べれん 120円」とか。ありそうですね。
知らないわけないんじゃないかな……でも、知らない言葉もいっぱいあるからなー、郷土料理とか……。
2番は、この言葉を不正解の選択肢として西村さんが選ぶかなーと。ちょっと難しすぎるなあと。
なるほど、ようするに語釈の内容が難しいから、広辞苑の語釈だと。なるほど……。
では、正解を発表します。正解は……。
3番です!
3番です!
3番です! 全員不正解!
えー!
えー!
正解B【広辞苑】
ブラジル北東部、パラ川河口付近の港湾都市。1616年植民基地として建設され、アマゾン地域の商業・貿易の中心として繁栄。(ゴム・ジュート・胡椒・木材の積出し港。人口138万7千(2003)。旧称パラ。)
ニセ語釈@【投稿者:宇呂田タロー】
(ベレー帽を被っていたことから)画学生のこと。

ニセ語釈A【投稿者:言いまろむ】
遊里で、梅毒をいう語。

ニセ語釈C【投稿者:みやけ】
(1837〜1918) フィンランドの小説家。ロマン主義的手法を用いて、人々の生活を描いた作品を多く発表した。代表作に「愛のある朝」「山荘からの手紙」など。

ニセ語釈D【投稿者:oakfde】
杵と臼を用いず練って作った餅。餅練(べいれん)に同じ。
これ、正解はブラジルの都市なんですが、ひらがなで書くと和語っぽいなーとおもって、選んだんです。あと、ベレンの語釈ほんとはもうちょっと続くんですよ。長すぎるんで途中から後ろは端折りましたが。
そんなに長いんですか!?
長いんです。ぼく個人的には、4番の語釈が好きなんです、フィンランドの小説家の語釈、全部捏造なんですよね。すごい。
「山荘からの手紙」ってなんだよこれ! って思いますね……。ありそうさはんぱない。「愛のある朝」とか、読んでみたいわ!
ちなみに、小説家の出生年なんですが、投稿者の方のは語釈の冒頭にあったんです。でも、調べたら広辞苑は語釈の最後に書く場合が多くて、ここだけ僕が勝手に移動させてしまいました。すみません!
あぁ、出生年を語釈の冒頭に書くのは、他の辞書だったかもしれないですね。
で、みなさんが引っかかった2番の語釈ですが……。これ、飯間先生の考えた語釈です。
えぇえー!
えぇえー!
ひどい!
やられたー!
うわー、まんまとひっかかった……。
飯間浩明先生、『三省堂国語辞典』編纂者で、先日行われた「国語辞典ナイト3」にも出演。デイリーポータルZ(ほぼ)準レギュラー
飯間浩明先生、『三省堂国語辞典』編纂者で、先日行われた「国語辞典ナイト3」にも出演。デイリーポータルZ(ほぼ)準レギュラー
しかし、見事全員ひっかけるとは、飯間先生は国語辞典を作っているだけあって、すごいですね……。
われわれはね、三国(三省堂国語辞典)ばっかり読んでるんですよ……だからひっかかった……。2番はたしかに三国文体っぽいですね。広辞苑なら「遊里で梅毒」って書いてもおかしくない。
本来の「たほいや」ルールだと、これは飯間先生にチップが大量に入る。という状況ですね。

「のつご」とは?

では、次の問題。「のつご」です。
次のページへ続きます(次回のお題は最終ページで発表です!)。

 ▽デイリーポータルZトップへ つぎへ>

デイリーポータルZ新人賞

 

 
Ad by DailyPortalZ
 

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ