はっけんの水曜日 2017年2月15日
 

厳冬期の国道299号線は、普通に雪山

これが冬の国道299号線。そこには厚く雪が積もっていた。
これが冬の国道299号線。そこには厚く雪が積もっていた。
数年前の冬、八ヶ岳(※)トレッキングで国道299号線の一部を歩いた。

雪に覆われた道はどこからどう見てもただの雪原で、とても国道には見えなかった。でも標識があり、『299』と書かれていた。これが国道ねぇ、なんて驚いた。

その光景にひかれ、また今度、もっと長い距離を歩いてみたいと思っていた。

※…八ヶ岳は長野県の南にある連峰で、アクセスがよく山小屋がたくさんあるため、登山初心者から上級者まで年間を通して人気がある。
あばよ涙、よろしく勇気、こんにちは松本です。 1976年千葉県鴨川市(内浦)生まれ。システムエンジニアなどやってましたが、2010年にライター兼アプリ作家として自由業化。iPhoneアプリはDIY GPS、速攻乗換案内、立体録音部、Here.info、雨かしら?などを開発しました。著書は「チェーン店B級グルメ メニュー別ガチンコ食べ比べ」「30日間マクドナルド生活」の2冊。買ってくだされ。
> 個人サイト keiziweb DIY GPS 速攻乗換案内

冬は通行止めになる国道

国道299号線、通称メルヘン街道は11月のはじめから4月下旬まで通行止めとなる。除雪されないので一般車両は入れない。

北八ヶ岳の真ん中あたり、麦草峠を通るため一部を歩く人は多いが、閉鎖区間を全部歩いた記録は見つけられなかった。
上の地図の青い線が今回歩いたコースである。左(西)がスタートで、右に向かって歩いた。およそ24km、最高地点は麦草峠の2127mだった。

そのくらいの標高になると、天気次第では極低温と強風吹き荒れる『ガチの冬山』になる。気温は-20℃以下、風速10mの風が吹けば体感温度は-30℃である。厳冬期装備で挑んでも、ウッカリすれば死ぬ。

天気予報を見て、良さそうな日を選んで出発することにした。

アクセス

まずは最寄りの茅野駅まで。筆者が住んでいる東京都江戸川区からはやたら遠く、始発の地下鉄東西線に乗り、中央本線を乗り継いで着いたのは10時すぎだった。

アルピコバスに乗換え、国道299号線に近いバス停まで40分。なんだかんだでスタート地点に立った時には11時を廻っていた。
途中の甲府駅で食べたかき揚げそば。
途中の甲府駅で食べたかき揚げそば。
5時間の道中、2回寝た。1回寝て起きて、しばらくSNSとか見て、もう1回寝た。
八ヶ岳を南側から見たとこ。雲が掛かっていて、嫌な感じである。
八ヶ岳を南側から見たとこ。雲が掛かっていて、嫌な感じである。
バスに乗換え。笹丸平というバス停まで行く。40分、1000円。
バスに乗換え。笹丸平というバス停まで行く。40分、1000円。
バスの中からも雲が掛かった八ヶ岳が見えた。嫌な予感しかしない。
バスの中からも雲が掛かった八ヶ岳が見えた。嫌な予感しかしない。

到着、準備、出発

やっと着いた。11時といえば、山登りのスタート時間としては遅い。明らかに遅い。

ちょっとうるさい山オジサンに見つかれば「こんな時間から登るなんて遅すぎる!出直してこい!」と怒られる時間である。

でも始発で来てこうなんだから仕方ない。
ここまで5時間半。
ここまで5時間半。
靴紐を結んだりウェアを調整したりして、出発。防寒着を着すぎていると汗をかくので、フリースやダウンジャケットを脱いだ。

冬山で汗は命取りになる(体温を奪われる)。
40リットルのザックに冬山テント泊装備を詰め込んだのでパンパン。カメラなど込みで18kg。テント泊の場合、スコップは必須。
40リットルのザックに冬山テント泊装備を詰め込んだのでパンパン。カメラなど込みで18kg。テント泊の場合、スコップは必須。
冬の登山、特にテント泊は必要な装備が多い。テント一式、寝袋、防寒具、手袋、ゴーグル、わかん(かんじき)、アイゼン、ピッケルなどなど。

だから60〜70リットルなど大容量のザックを使うのだが、都合により40リットルのザックを使う事になった。

なので、ピッケルやわかんなど、必要なさそうな装備は省いた。が、それが後に問題となる。
しばらくは除雪されていた。
しばらくは除雪されていた。
スタート地点の標高は1300mほど。今年は暖かい日が多く、雪が少ないようだ。
この道はカチカチに凍っていた。滑る。
この道はカチカチに凍っていた。滑る。
テラッテラ。
テラッテラ。
笹丸平から歩いて1kmくらい。国道299号線に出た。しかしここはまだ普通に車が走っている。
左に曲がります。
左に曲がります。

バス停はあるが運休している

299号線と合流してすぐにバス停があった。が、バスは運休している。バスが動いている季節なら『麦草峠線』で上まで行けるのだが、冬はバスに頼れない。と言ってタクシーを呼ぶ予算はない(自腹)。
この路線が運休しているので笹丸平から歩いてきた。
この路線が運休しているので笹丸平から歩いてきた。

まだ雪は少ない

メルヘン街道の上の方には別荘地があり、そこに行く車や除雪車などがたまに走っていく。それなりに除雪されているので歩きやすいが、ところどころ凍っていて怖い。
天気がよく、日が出ていれば暖かい。まだ手袋無しでも大丈夫。
天気がよく、日が出ていれば暖かい。まだ手袋無しでも大丈夫。

雪と動物の足跡

標高が上がっていくと雪が増え、動物の足跡なども見られる様になってきた。
鹿の足跡。
鹿の足跡。
片側1車線の細い道路だが、ちゃんと国道である。
片側1車線の細い道路だが、ちゃんと国道である。
標高は1400m。
標高は1400m。
全面通行止めの看板はあるが、普通に車が走っていた。まだ通行止め区間ではないようだ。
全面通行止めの看板はあるが、普通に車が走っていた。まだ通行止め区間ではないようだ。
淡々と登っていきます。
淡々と登っていきます。
出発前は雲が掛かっていて不安だったが、天気はよく、風は弱く、雰囲気としては春山に近かった。
蓼科山。プリンの様な形で、遠くからでも判りやすい。
蓼科山。プリンの様な形で、遠くからでも判りやすい。
前にブレードがついた除雪車。見慣れないので面白い。
前にブレードがついた除雪車。見慣れないので面白い。
重い荷物を背負って歩くと、むしろ暑くなってくる(気温は-5℃くらい)。
重い荷物を背負って歩くと、むしろ暑くなってくる(気温は-5℃くらい)。
まっすぐ続く白い国道。
まっすぐ続く白い国道。
別荘地の真ん中にあるバス亭。すっごい錆びてる。
別荘地の真ん中にあるバス亭。すっごい錆びてる。
三頭ほどの鹿の足跡が別荘の方に続いていた。
三頭ほどの鹿の足跡が別荘の方に続いていた。
肉球があるので、犬、たぬき、キツネ、テンなど、そういう動物の足跡。
肉球があるので、犬、たぬき、キツネ、テンなど、そういう動物の足跡。
『キョン!』というかん高い声が聞えたと思ったら、鹿が逃げていった。一度こちらを振り返ったが、カメラを構えたらまた逃げた。銃で狙われたと思ったのかも知れない。
鹿の尻が見えるだろうか(真ん中へん)。
鹿の尻が見えるだろうか(真ん中へん)。
雪がだんだん深くなっていく。別荘地でも、上の方ともなると今の時期に訪れる人は少ない様だ。
雪がだんだん深くなっていく。別荘地でも、上の方ともなると今の時期に訪れる人は少ない様だ。
歩いているのは自分一人。車も減って、周りに人の気配はない。
歩いているのは自分一人。車も減って、周りに人の気配はない。
だいぶ歩いたと思ったが、まだ通行止め地点まで2kmあった。
だいぶ歩いたと思ったが、まだ通行止め地点まで2kmあった。
下の方からエンジン音が近づいてくると思ったら、大きな除雪車が走り抜けていった。
ヒッチハイクしそうになった。
ヒッチハイクしそうになった。
まだかなぁ、なんて思いながら歩く。
まだかなぁ、なんて思いながら歩く。
代わり映えしない自撮りが続く。
代わり映えしない自撮りが続く。
茅野市千駄刈自然学校というゲートがあった。
茅野市千駄刈自然学校というゲートがあった。
どうやらここから通行止めのようだ。時刻は14時半。歩き始めて3時間半、9kmしか進んでいない。

次のページにつづく。

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