はっけんの水曜日 2017年3月8日
 

電車かバスか自転車か!都内最速通勤レース

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東京都内で日中働いている人は、800万人を超えるといわれる。住み込みまでふくめてしまえば、平日の朝には800万人の通勤者が都内をうごめいているということだ。これは実にゲルマン人の大移動の三倍の数に当たる。というのは嘘だ(800万の方は本当)。

通勤の手段もいろいろある。電車の人もいればバスの人もいて、自転車の人もいれば徒歩の人もいる。利用者数ならぶっちぎりの電車だが、ルート次第ではバスや自転車の方が早かったりするんじゃないか?

決めよう、都内最速の通勤手段を!
1984年大阪出まれ、2011年からベトナム暮らし。日本から3600km離れた土地で、ダチョウに乗ったり、ドナルドのコスプレをしたり、札束風呂に入ったりしている。
> 個人サイト べとまる

俺はバス!僕は電車!私は自転車!

ある平日の朝10時、自由が丘駅正面口!
ある平日の朝10時、自由が丘駅正面口!
ここに三人のライターが集った!
ここに三人のライターが集った!
参加者は私を含むこちらの三人。当サイトを代表する乗り物ライター・西村さんがバス担当、今回競争する対象区間も西村さんが提案してくれた。そして編集・古賀さんが自転車担当、晴れの日も雨の日もお子さんを乗せてママチャリを走らせてきた大腿筋が今日爆発する。最後に私が電車担当、ひさびさの帰国で都内の交通インフラにビビり、もっとも間違えそうにない手段を選ばせてもらった。

肝心の対象区間は、今いる自由が丘駅のロータリーから三軒茶屋駅前にあるビッグエコーまで。開始時間もなるべく通勤に寄せて朝10時15分に設定。8時台に通勤する人が多いのかもしれないが、満員電車の中でシャッター音を鳴らすとどういう事態になるか想像してもらえると助かる!
バスと自転車のルートはほぼ同じ、電車だけがかなり違って大回り。
バスと自転車のルートはほぼ同じ、電車だけがかなり違って大回り。
今回のルールを整理すると、こうなります。
■競争ルールまとめ
・バス、電車、電動自転車で対決
・スタート時刻は10時15分に設定
・ふだんの通勤を想定して急がず休まず
・スタート地点は自由が丘駅前、ゴール地点は三軒茶屋駅近くのビッグエコー。
やるぞーっ!
やるぞーっ!
いくぞーっ!!
いくぞーっ!!
私は駅へ!
私は駅へ!
西村さんはバス停へ!
西村さんはバス停へ!
古賀さんは三軒茶屋へ!
古賀さんは三軒茶屋へ!
手を合わせることを提案したのは私なのだが、よく考えたらこれ競争だ。という訳で、空前絶後(だと嬉しいな)の通勤レースのはじまりはじまり。ただ、その前に、どういう経緯でこの企画に至ったのか説明させてほしいと思う。

バスの縦移動ってすごい早いんじゃないか説

この角度が小さいほど横移動のロスがある?
この角度が小さいほど横移動のロスがある?
私は、2006年から2011年まで都内で暮らした。通勤も遊びも移動は電車。定期券を持っていたということもあるが、電車以外の手段で移動する発想が最初からなかったのだ。自転車は疲れるし、バスに至っても「バス停はどこか」「いつ到着するのか」「運賃の支払いでまごつかないか」などの不安を思い、やはり選ばなかっただろう。

それが半年ほど前、友人宅を訪ねる際に「混まないからバスがいい」と勧められ、怖怖乗ってみると…なんだこの快適っぷりは!と。人混みはもちろんのこと、駅のホームまでの移動はないし、数が多い分だけにバス停は駅よりも目的地に近い。前述の不安材料は情報社会の落とし子たるスマホで場所も時間も簡単に分かり、ICカードでワンタッチ決済!人生知らないと損するってこういうことだとただただ感動したのである。

そこで、過去に高円寺の自宅から下北沢の友人宅まで自転車を走らせた記憶を思い出した。シャーッと走らせて20分ちょい、電車での移動時間と大差はなかった。そうか、自転車は縦移動で最短距離だったから、移動は速くなくても到着そのものは早いんだ。

バスすごい!縦移動早い!そんな感動が合わさって、バスの縦移動ってすごい早いんじゃないか説が浮上した。
単純だが感動したんだよ!俺は!
単純だが感動したんだよ!俺は!
これはもしや大発見!?と思い、バスの縦移動を調べたところ、案の定というか、バス会社自らPRしていた。ちょっと複雑な気もしたが、新たな世界が拓けた。
フランスのえらい人は言いました、「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる」と。
フランスのえらい人は言いました、「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる」と。
…ずいぶん前置きが長くなってしまったが、そんなバスの縦移動を試してみたいのですと編集・古賀さんに伝えたところ、「だったら競争しますか!」という展開になり、冒頭の自由が丘駅前に至るという訳です。

出発!油断する電車、まごつくバス、不惑の自転車

それでは通勤レースをお伝えしよう。
10時15分、その火蓋が切って落とされた!
駅へ!バス停へ!三軒茶屋へ!
駅へ!バス停へ!三軒茶屋へ!
■電車、のっけから油断する。
電車だと、三軒茶屋駅までは、二子玉川駅と渋谷駅を経由するふたつのルートがある。どちらでもよかったのだが、混雑を避けるべく二子玉川経由を選択。
慣れない駅、今はただそれだけで恐怖。
慣れない駅、今はただそれだけで恐怖。
19分発と…21分発か…!
19分発と…21分発か…!
間もなくホームに滑り込んできた電車は19分発、次発が21分発だった。確か、西村さんが乗るバスは20分発と言っていた。ここで、「どちらがフェアか」と余計なことを悩んだ末に21分発を選ぶ。写真の電光掲示板をよく見ると分かるのだが、この選択が後に大誤算を生むことに…。
■バス、いきなりバス停の位置が分からず焦る。
西村さん、バス停の位置が分からず…!
西村さん、バス停の位置が分からず…!
見つかって一安心、待合スペースもあった。
見つかって一安心、待合スペースもあった。
事前に交番でバス停の位置を聞いておいた西村さん。が、いざ探してみるとすぐに見つからず焦る。バスは周辺住人以外の利用が考慮されていないことが多く、毎度ウォーリーを探せみたいな状態になるらしい。
バス停の小言がうるさい。
バス停の小言がうるさい。
10時20分、ほぼ定刻通りにバスが到着。
10時20分、ほぼ定刻通りにバスが到着。
■自転車、信号以外は基本的にぶっ飛ばす。
自転車は移動中ハンドルを握っているので、
自転車は移動中ハンドルを握っているので、
古賀さんのカメラが捉えたものはほぼ横断歩道。
古賀さんのカメラが捉えたものはほぼ横断歩道。
出発時刻に縛りのない自転車、バスと電車より5分も先行して出発。完全な逃げ切り型で、移動を止める要素は信号のみ。一方でバスはバス停でも停まるので、自転車は速度そのものはもっとも遅いかもしれないがほぼ走りっぱなしというメリットもある。

レース中盤!まさかの大差で一位が確定!?

■電車、人が障害物にしか見えなくなる。
窓が大きいので日差しが暖かい、ぬくぬくと移動中。仏風。
窓が大きいので日差しが暖かい、ぬくぬくと移動中。仏風。
乗り換え、無敵状態で突進したくなる!(ゲーム脳)
乗り換え、無敵状態で突進したくなる!(ゲーム脳)
二子玉川駅で乗り換える。このときに猛烈に感じたことが「人、邪魔!」だった。一方で私も誰かの邪魔者なんだろうけど、これは信号はないものの、乗り換えのある電車ならではのデメリットかもしれない。
■バス、自転車と変わらない速度で移動する。
7,8人の乗客を乗せてバスは走るが…
7,8人の乗客を乗せてバスは走るが…
住宅街をスローペースで走ったと思いきや、
住宅街をスローペースで走ったと思いきや、
大通りに抜けてもすぐ街路に入りスローペースに!
大通りに抜けてもすぐ街路に入りスローペースに!
大通りを突っ切れないことによって、バスの強みであるスピードが活かせず。さらに信号とバス停による度重なる停止で、自転車ぐらいの速度だったとのこと。
■自転車…ここで、まさかの一着!
自転車は道路を走るように案内表示もある。
自転車は道路を走るように案内表示もある。
この写真をのちに見て、朝7〜9時は自転車専用なのかな?と思ったらバスの時間帯の方だった。そうか、今って自転車は道路走行が前提だったよね。私がベトナムに住み始めた頃(2011年)は徹底されていなかったので、時の流れを感じる。
おしゃれなパン屋を撮る余裕っぷりだ。
おしゃれなパン屋を撮る余裕っぷりだ。
ここで…
10:37、自転車担当・古賀さん到着!!
10:37、自転車担当・古賀さん到着!!
早い!
早い!
ざわつくチャット。
ざわつくチャット。

レース終盤!バスと電車が追いかける

自転車担当の古賀さんが到着。まさかの結果と脚力(?)に驚きつつも、バスと電車のタイマンレースに。

■バス…自転車からおよそ10分後に到着!
古賀さん到着時、バスは三軒茶屋からふたつ前。
古賀さん到着時、バスは三軒茶屋からふたつ前。
乗客は約20人と随分増えた、乗り降りが激しい証拠。
乗客は約20人と随分増えた、乗り降りが激しい証拠。
もうそこに三軒茶屋のバス停が見えているというときに信号に引っかかり、ここで一分間ほどタイムロス!このタイミングでは感覚的にも手痛い。そして…。
10:46、バス担当・西村さん到着!
10:46、バス担当・西村さん到着!
やーだー!
やーだー!
■電車…失意の消化試合…!
二人の到着を知ったと同時に、三軒茶屋駅に到着。
二人の到着を知ったと同時に、三軒茶屋駅に到着。
この四文字にこれほど憂いを感じたことはない。
ダッシュ!
ダッシュ!
世田谷通り口はどこ!?
世田谷通り口はどこ!?
やっと抜けたー、
やっと抜けたー、
と思ったらまだ遠いなちくしょう!!
と思ったらまだ遠いなちくしょう!!
焦りからとにかく地上に出ねばという思いが先立って、飛び出した場所はビッグエコーまでの間にふたつも信号を挟んでいた(古賀さんに事前に教えてもらっていたのにも関わらず!)。ここでまさかの3分ロス!焦っていたとは言え、この駅からの移動時間もまた電車のデメリットか…!
10:51、電車担当・水嶋(私)が到着!
10:51、電車担当・水嶋(私)が到着!
結果はこの通り!

第1位:自転車(10:37到着・所要時間22分)
第2位:バス(10:46到着・所要時間31分)
第3位:電車(10:51到着・所要時間36分)

走ってみてどうだった?感想戦

レース後、三軒茶屋のジョナサンで感想戦。
レース後、三軒茶屋のジョナサンで感想戦。
■バス、細い路地が多くスピードを活かし切れず
私「いやーまさか自転車が一位とは…!」
古賀さん「そうですよね!道中で次々と渋11(今回の路線バス)のバス停が現れるので先行してるのは分かってたけど、いずれ追いつかれると思ってました」
西村さん「もっとスピードが出ると思ってたんだけど、今回の区間は狭隘(きょうあい)路線でしたね」
私&古賀「『きょうあい路線』??」
西村さん「道幅が狭い路線。大通りに入れば速いはずだったんだけど、住宅地なんかの狭い道を通っていたから、ずっと自転車ぐらいのスピードでした」
私「それなら、バス停で停まっている分だけ自転車とのハンディになってますね」
西村さん「そうなりますね」
なお、狭隘路線についてはT・斎藤さんの書かれた「長崎・狭隘路線めぐり」をご覧に入れたし。
なお、狭隘路線についてはT・斎藤さんの書かれた「長崎・狭隘路線めぐり」をご覧に入れたし。
■電車、最初の選択で明暗が分かれた

私「実は電車、10時19分発と21分発があって、どっちに乗るか迷ったんですよ」
古賀さん「え、なんで?」
私「いや、バスが20分発と聞いたので、どっちがフェアかな、電車だと出だしは遅くても大丈夫だよなーって」
西村さん「ムダな情けはダメだよー」
私「ほんとそうでした。あとから考えると、19分が快速で21分が各停だったので、すでにその2分の違いが明暗を分けていたんだなと思います。渋谷経由もあったのでそっちだとさらにどうなっていたことか」
古賀さん「ですね、渋谷なら獣道もシッカリしてそうだし」
私&西村「獣道?」
古賀さん「ほら、通勤者ってガッツリとした獣道を持ってるので」
私「あぁ、乗り換えで通る道が決まってるっていう」
古賀さん「そうそう」
西村さん「でも、ルートを見ると電車はかなり遠回りしているのにあれだけの遅れで済むってすごいよね」
私「そう!西村さんがゴールした頃に駅には到着してるから、地上に出てからのロスが大きかったんです」
改めてルートをご覧ください。電車は大回りしすぎ。
改めてルートをご覧ください。電車は大回りしすぎ。
■自転車、短距離バリバリ最強伝説!

古賀さん「自転車は集合場所に直接乗り付けられる点が大きかったです。もし今回のゴールがみんなでカラオケに行こう〜っていう話だったら、駐輪に時間を取られて遅れていたかもしれません」
私「あぁ、そうか、自転車はそれがあるか」
古賀さん「前に学大(学芸大学)周辺で夜に駐輪しようとしたら満車で、地元の人に聞いたら『あそこはいつもそうだよ』って言われて。土地勘がないと使えないんですよね、何なら家にも置き切れないくらい」
西村さん「あるね、うちもう置けなくて捨てたよ」
私「でも、そこさえクリアできるなら、都内のワチャワチャした区域の短距離なら自転車最強ですね」
古賀さん「自転車最強伝説ですよ!自転車大好き!ただ雨や雪が降ったときの子どもの送り迎えは最悪」
西村さん「あーもう、ねー」
古賀さん「思い出すのもやだ!」
西村さん「なんでうちには車がないんだ…ってね」
私「都内の子育ては大変そうだな…」

(自由が丘〜三軒茶屋間では…)自転車最強!

このあと、各手段のメリットとデメリットを書き出してみたところ、かなり一長一短だと感じた。都内の入り組んだ場所の近距離では自転車が強いし、距離が伸びて道も広くなるほどバスが強くなり、区間に路線さえ走っていれば間違いなく電車が強い。確かな事実は、自由が丘〜三軒茶屋間では自転車が最強ということだ。
■電車のメリット&デメリット(前者が赤で後者が青)

・長距離だと早い
・移動中は手が空く
・車内の室温が快適
・人が少なければ座れ


・乗り換えが面倒
・満員状態が辛い
・夏や冬はホームが辛い
・駅やホームまでの移動が大変
・間違えたときのロスが大きい(振れ幅が大きい)
■バスのメリット&デメリット

・乗り換えがない
・移動中は手が空く
・車内の室温が快適
・人が少なければ座れる
・目的地が駅より近い場合が多い

・満員状態が辛い
・定刻通りに来ない場合がある
・初めてだとバス停の場所が分からないことが多い
■自転車のメリット&デメリット

・すぐ出発できる
・パーソナルスペースの確保
・ついででどこかに立ち寄れる
・到着時間を調整できる(急げる、ゆっくり行ける)


・両手が塞がる
・お酒が飲めない
・家にも駐輪スペースが必要
・天候に左右される(疲れる)
・電動だとバッテリー切れが死活問題
・駐輪場探しが大変(自転車が荷物になる)
レースと言いながら「状況による」という結論に尽きるのだけど、とくに都市部でふだん電車に乗っている人ほど、かつての自分のようにほかの選択肢を見落としているのではないか。たまにのバスや自転車もぜひ検討してみてほしい。

後日、電車だけ再チャレンジしてみたら…。

電車では3つのうちもっとも遅いルートを選んでしまったので、翌日同時刻に一人で試してみたら、16分発の渋谷経由に乗れてしまい自転車の到着からなんと3分も早い34分に到着した!10時15分の開始から1分後だったと考えると間に合うかどうかは僅差の差だが、電車はほんと選択次第だなと思うと同時に、それでも3分しか差のない自転車に恐れをなした(乗り物より古賀さんの方にかもしれない)。
ジョナサンでホットケーキを食べる西村さん。
ジョナサンでホットケーキを食べる西村さん。
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