特集 2017年4月1日

木の気持ちになってお気に入りの水を決める

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「エイプリルフールネタとして木になってみる企画があるんだけど書いてみませんか?」

この記事の撮影前日に編集長の林さんから急に連絡があった。企画内容を聞いたときは頭に「?」しか浮かばなかった。むしろこの発言自体がエイプリルフールなのかと思った。
よくわからないが、木と言えば水かな…?と安直な思いで、

「木なので水の飲み比べとかどうですか?」

と恐る恐る連絡したら「最高!」と返答があった。何が最高なのかは未だにさっぱりわからないが、編集長が最高と言っているから最高なのだろう。

とりあえず木の気持ちになって色んな水を飲んでみることにした。
大学中退→ニート→ママチャリ日本一周→webプログラマという経歴で、趣味でブログをやっていたら「おもしろ記事大賞」で賞をいただき、デイリーポータルZで記事を書かせてもらえるようになりました。嫌いな食べ物はプラスチック。(動画インタビュー

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木になって色んな水を飲み比べる

飲み比べるために10種類の水を用意した。
飲み比べるために10種類の水を用意した。
※()内は、買ったお店:金額

①niftyの水(林さんにもらった:無料)
②evian (ナチュラルローソン: 98円)
③天然軟水 津南(ファミリーマート: 100円)
④コントレックス(マツモトキヨシ: 206円)
⑤pink cross beauty water(ナチュラルローソン: 150円)
⑥Natural Water(ナチュラルローソン: 114円)
⑦aloha water (ナチュラルローソン: 150円)
⑧アルプスの天然水(セブンイレブン: 108円)
⑨Dr. Water (ナチュラルローソン: 150円)
⑩いろはす(ファミリーマート:93円)
水と言っても色んな種類がある。コンビニだと、「いろはす」や「アルプスの天然水」などが多いと思うが、今回はそれら有名なものを含めて、10種類の水を集めてみた。

ナチュラルローソンには珍しい水がたくさん売っていた。pink cross beauty waterとか、aloha waterなどはナチュラルローソンで購入した。良いホテルとか行ったら置いてありそうな名前の水だ。(良いホテル行ったことないからわからない)

この企画の初めの方は、水の味の違いが全然わかんなかったけど、飲み続けていると「あれ?こっちの方が美味い…?」と違いがわかってくるからおもしろかった。
いきなりで混乱するかもしれないが、今日の企画は「木」がテーマだから木の格好になった。情緒が不安定なわけではない。
いきなりで混乱するかもしれないが、今日の企画は「木」がテーマだから木の格好になった。情緒が不安定なわけではない。
とりあえず飲んでみないことには始まらない。まずはいつも飲みなれている「いろはす」を飲んでみる。

この企画ものすごく不安なのは僕が味オンチであるということだ。人間の感じる旨味が1~10レベルまであったとした場合に、僕の場合は高級なハンバーグを食べてもガストのハンバーグを食べてもレベル10になってしまう。ハンバーグでこうなのだから、水のように繊細な違いは僕にわからないだろう。

しかし、今回の企画は「木の気持ちになる」ということが重要なのである。ということは味オンチだろうが、何だろうが「木として僕が感じたこと」が大切なのである。

ということで、人間の意見ではなく木として「いろはす」がどうか言わせてもらおう。

水道水だ!それ以上でも以下でもない。水は水だ!!
次は「Dr. Water」という水を飲んでみる。
次は「Dr. Water」という水を飲んでみる。
このまま進行していくと「水はどれを飲んでも水だった」でこの企画が終わってしまう。それはマズイということで、見たことない水を飲んでみることにした。
Dr. Waterという水だ。150円だったので、一般的に売っている水より少し高い。

さらに成分として、シリカ、サルフェート、バナジウム、カルシウム、炭酸水素イオンなどが入っている。正直知らない成分がいっぱい入っているけど、身体に良いのだろう。名前もドクターだからそうに違いない。
Dr. Waterを期待して試飲してみる。
Dr. Waterを期待して試飲してみる。
水だなぁ…
水だなぁ…
やはり水は水なのである。何回でも言おう、木の意見から言っても、人間の意見からと言っても水は水なのである。
よくよく考えたら、水を変えたら植物は育ちが変わるのだろうか。もし変わらないとしたら、木の気持ちになったところで何も変わらない気がしてきた…
やっぱり水だ。
やっぱり水だ。
う~ん、水だなぁ~!
う~ん、水だなぁ~!
あ…これは!!!
あ…これは!!!
水だ…
水だ…
おそろしく違いがわからない。何回でも言うけど本当に水は水だ。それ以上も以下もないように思える。そして、もう一個重大な欠点に気がついた。写真が延々と同じだ。代わり映えがまったくない。

このままじゃ記事として成立しない!ということで明らかに違いのわかる水を飲んでみることにした。
水の味を忘れないようにメモに感想を書いていく木。紙は木で出来ているので、カニバリズム的な要素を感じる。
水の味を忘れないようにメモに感想を書いていく木。紙は木で出来ているので、カニバリズム的な要素を感じる。

ようやく水の違いを見つける

撮影をしていたときにライターや編集部の面々が「この企画大丈夫か…?」と心配そうに見ていた。緊張で飲んだ水がすべて冷や汗で出ていきそう。
撮影をしていたときにライターや編集部の面々が「この企画大丈夫か…?」と心配そうに見ていた。緊張で飲んだ水がすべて冷や汗で出ていきそう。
このままでは企画として成り立たないと思ったが、編集部の橋田さんに「コントレックスは絶対に味の違いがわかる」と言われたので、コントレックスを飲んでみることにした。
あ、これはわかる!
あ、これはわかる!
まずい!!!!!
まずい!!!!!
ようやく味の違いがわかった。コントレックスはまずい。なんというか飲みにくい…気がする。喉に何かがつっかかる感じがするのだ。

僕は初めてコントレックスを口にしたのだが、独特だ。これは飲めない。水が飲めないというのは初めての感情だ。
ただ、良いぞ!やっと違いがわかってきた!!
硬水は味の違いがわかるのかもしれない。コントレックスと同じ硬水であるevianを飲んで見る。
硬水は味の違いがわかるのかもしれない。コントレックスと同じ硬水であるevianを飲んで見る。
evianも同様に硬水なので飲んでみたが、味が違うのがやっぱりわかる。なんとなく水の違いがわかってきた気がする。とりあえず僕は硬水が好きではないみたいだ。


後ほどネットで調べてみてわかったのだけど、植物にあげるなら硬水よりも軟水の方が良いらしい。硬水だと細胞に水分が入りにくいので、吸収率が悪いのだとか。

このネットの書き込みを信じるのであれば、僕が硬水を好きではないというのは、木の気持ちが少しわかってきている証拠なのではないだろうか。

水の違いがわかってきた。木が選ぶ美味しさランキングを作ろう

ちょっと味の違いがわかるようになってきて、生意気にも「これはスッキリして飲みやすいですね」「こっちはアルカリっぽいかな?」となんとも浅めなことを語り始める。
ちょっと味の違いがわかるようになってきて、生意気にも「これはスッキリして飲みやすいですね」「こっちはアルカリっぽいかな?」となんとも浅めなことを語り始める。
僕は少しずつだが、試飲を重ねることによって水の違いがわかるようになってきた気がする。

もしかしたら、植物に毎日違う水を与えていても、何か成長に差異が生まれるかもしれない。自然の植物は雨水しか知らないはずである。犬やネコは高級なご飯をあげると贅沢を覚えるらしいので、「木も水を変えると贅沢を覚えるのか?」というのを誰か賢い大学の人に研究してほしい。
違いが少しずつわかってくると楽しくなってきた。並び替えてランキングを作ることにした。
違いが少しずつわかってくると楽しくなってきた。並び替えてランキングを作ることにした。
「味が違う!」とは明確には言い切れないが、飲みやすさや好みが自分の中ではあるのがわかってきた。口当たりや口に含んだときのスッキリさが微妙に異なる。

どうやら僕はストレートにさっぱりした飲みくちのものが好きなようだ。
うーん、これはこっちより飲みやすいなぁ…
うーん、これはこっちより飲みやすいなぁ…
初めはこの企画をやるときに「木の気持ちになるってなんだろう…」と不安だったが、水を飲み続けているうちにだんだんと、

「これは根っこに染み渡る気がする」
「雨水みたいな感じがする。なじみ深い」
「木の気持ちを考えると、やっぱり余計な成分が入ってない方がうれしい」

と木の観点から水を飲むようになってきた。人類が木に歩み寄った瞬間かもしれない。僕は木と一つになれた。僕は木であって、木は僕である。宇宙は僕であって、僕は宇宙なのである。全ては無であって、無はすべてという可能性なのだ。

一つ確かに言えることは、あのときの木の感情は今の僕には1mmも思い出せないということだ。やはり水が水であるように、僕は宇宙ではなく僕なのである。
ランキングが決定した。
ランキングが決定した。
ということで結果として情緒が不安定になってしまったが、試行錯誤して木としての僕が気に入った水ランキングが完成した。
いや、「気に入った」ではなく、あえてここでは「木に入った」としておこう。あえての誤字だ。というより変換ミスでたまたま生まれた偶然の産物だ。
まずはTOP3の紹介。1位はナチュラルローソンのオリジナル商品の「NATURAL WATER」だ。奇しくも1位2位のパッケージが植物だ。
まずはTOP3の紹介。1位はナチュラルローソンのオリジナル商品の「NATURAL WATER」だ。奇しくも1位2位のパッケージが植物だ。
右に行くほどランクが高くなります。
右に行くほどランクが高くなります。
【木に入ったランキング】 ※()内は、買ったお店:金額

①Natural Water(ナチュラルローソン: 114円)
②aloha water (ナチュラルローソン: 150円)
③アルプスの天然水(セブンイレブン: 108円)
④天然軟水 津南(ファミリーマート: 100円)
⑤Dr. Water (ナチュラルローソン: 150円)
⑥いろはす(ファミリーマート:93円)
⑦niftyの水(林さんにもらった:無料)
⑧pink cross beauty water(ナチュラルローソン: 150円)
⑨evian (ナチュラルローソン: 98円)
⑩コントレックス(マツモトキヨシ: 206円)
やはり下位には硬水が並んでいる。そして飲みやすくてスッキリしたものがTOP3に入っている印象だ。ただ次やったらまったく違うランキングになると思う。なぜなら水だから。何度でも言おう。水は水だ。
時刻は夜の21時近かったが、夜ご飯は食べていないし、水しか飲んでいないしで気持ち悪くなってきた。
時刻は夜の21時近かったが、夜ご飯は食べていないし、水しか飲んでいないしで気持ち悪くなってきた。
木は水をあげすぎると、根腐れをおこして枯れてしまう時がある。今まさに僕はそれと同じ気持ちなのだろう。水だけを飲みすぎた。気持ち悪い。

「木の気持ちになって水を飲み比べる」というわけのわからない企画だったけど、最終的には水の違いが微妙にわかるようになっていて楽しかった。

ただ、これをやったからと言ってやはり「木の気持ちがわかる」ようにはならない。なぜなら「水を飲んでいるだけ」だから。
木の衣装がジャマすぎて、カバンから荷物を取るのをライターのトルーさんに手伝ってもらった。後で気づいたけど木の衣装を脱げば良いだけだった。
木の衣装がジャマすぎて、カバンから荷物を取るのをライターのトルーさんに手伝ってもらった。後で気づいたけど木の衣装を脱げば良いだけだった。
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