特集 2017年4月16日
 

書き出し小説大賞 第120回秀作発表

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書き出し小説とは、書き出しだけで成立したきわめてミニマムな小説スタイルである。

書き出し小説大賞では、この新しい文学を広く世に普及させるべく、諸君からの作品を随時募集し、その秀作を紹介してゆく。(ロゴデザイン・外山真理子)
雑誌、ネットを中心にいろいろやってます。 著書に「バカドリル」「ブッチュくんオール百科」(タナカカツキ氏と共著)「味写入門」「こどもの発想」など。最近は演劇関係のお仕事もやってます。

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すいましぇ〜〜ん!前回の発表は予定の一週間遅れ。そのせいで感覚がズレたらしく、今度は発表を一週間早く告知してしまいました。ええと、つまりですね、いつも募集期間は二週間あるのですが、今回は一週間しかなかったわけです。慌ててTwitterで訂正したものの全員が見てくれたわけではなく……二回連続の失態誠に申し訳御座いません!
本来なら坊主にして謝罪するべきですが、年齢的にも自然に坊主になってゆくと思いますので時間を掛けてお許し下さい。
それでは今回もめくるめく書き出しの世界へご案内します!

書き出し自由部門

マフラーで繋がれた恋は、思っていたよりも脆かった。
君と僕と雨
桜の開花を確認し、鯉はゆるりと空へ上がった。
茂具田
木蓮は百合根の食感で解れ落ちた。
井沢
お酒の締めに、醤油ラーメンと重めの恋愛相談。
紀野珍
新入部員に論破され、弁論部は解散した。
Mch
おかあさんが眠ってしまって、赤ちゃんはひとりで何か考え事をしている。
xissa
コールドスリープをしていても、メルマガだけは届き続けた。
ふじーよしたか
雨の中切実にそう、夕飯のメニューを考えるだけ。
トミ子
今日も、ローソンの看板が綺麗だ。
エイキ
そろそろ「一機やらせておじさん」が来る頃だ。
マークパン助
すべてのサプリCMに物語がある。
たこフェリー
家を出て、虹を出て、二度と電話できなくなった。
早計層
今できる最善の策としてドデカミンを飲んだ。
きつね
神様じゃないですけど、そういう人になりたいですね。
さぬきじゅごん
性差というものがほぼ無くなった未来では、ガールズロックという名称だけが一人歩きしている。
prefab
彼女は頭上のハテナをとると、そっと文末に添えた。
terayo
寸評。●君と僕と雨氏「マフラーで〜」夏で終わる恋はよく聞くけど、冬で終わる恋もある。●茂具田氏「桜の開花〜」風物詩のバトンタッチ、桜吹雪を鯉のぼりが泳ぐ。●井沢氏「木蓮は〜」たしかに木蓮の花の割れ方は百合根を思わせる。視覚を食感で捕らえた秀作。●xissa氏「おかあさんが〜」襖をそっと覗くと先に寝た母親の隣で赤ちゃんだけが星を見るような目をしてるときがある。●エイキ氏「今日も、ローソン〜」鉄柱のてっぺんのコンビニ看板は夜明け前にやたらキレイに見える。●たこフェリー氏「すべてのサプリ〜」延々と見せられた感動ドラマが結局青汁のCM。●マークパン助氏「そろそろ〜」中学生の頃デパートのゲームコーナーにこういうおじさんいました。●映画の「レディースデー」も形骸化されているのだろうか。

つづいては規定部門。今回のテーマは『隣人』であった。書き出し作家はあたなの隣に住んでいるかもしれない。

書き出し規定部門・モチーフ「隣人」

おそらくだが、隣人のリモコンでうちのテレビの電源が点く。
小坂井大輔
隣人の名前より先に、性癖を知ることとなった。
コロンブスのたま子
カレーは、うちじゃなかった。
井沢
我が家を挟んだ罵り合いが今日も始まった。
ビールおかわり
恋人を紹介する彼の隣には誰もいない。
大伴
笑いのツボが微妙に違う。
住民パワー
これつまらないものですが、そう言いながら隣人が窓から入って来た。
きんめ鯛
「つくりすぎちゃったので…」隣の奥さんが赤ちゃんを持ってきた。
くのゐち
毎日肉じゃがを作り、毎日作り過ぎ、毎日届けてくれる。
prefab
隣の男がウェーブを止めた。
たこフェリー
彼が死ぬまで、隣人が直木賞受賞者だということは知らなかった。
高田
ピノの隣にはピノ。
桃アパートおばけ
僕のつぶ貝が届く前に、また奴の胃袋に消えた。
あや幹部
壁ドンとともに隣の部屋に倒れ込んだ。
伊勢崎おかめ
いまや隣人は一欠片となり私のスプーンの上にある。
ぐるりん
「それ隣のコロニーの人です」そう告げると配達星人の顔が音を立てて青ざめた。
きうい神士
弁当箱のなかの隣人たちは仕切りを無視して汁を混ぜあう。
ミミズグチュグチュ
透視能力のせいで、隣人はほぼ同居人だ。
morin
寸評。●小坂井大輔氏「おそらくだが〜」リモコンタイプのアダルトグッズも作動するのだろうか。●ビールおかわり氏「我が家を挟んだ〜」両隣からは行司部屋と呼ばれているらしい。●大伴氏「恋人を紹介〜」怖いというより目頭が熱くなる作品。●prefab氏「毎日肉ジャガ〜」プロの隣人って感じがする。●たこフェリー氏「隣の男が〜」防波堤人間。●桃アパートおばけ氏「ピノの隣〜」激しく同意という言葉を久しぶりに思い出すくらい激しく同意。●あや幹部氏「僕のつぶ貝〜」回転寿司の上流にいる人。●ミミズグチュグチュ氏「弁当箱のなかの〜」建物から漏れて風呂敷を濡らすことすらある。●morin氏「透視能力のせいで〜」上の階のトイレは見たくない。

それでは次回のモチーフを発表する。
次回モチーフ
「飲み屋」
次回のテーマは飲み屋。赤ちょうちん、立ち飲み屋、チェーン居酒屋、スナック、ワインバー、ビアホール……あらためて考えると飲み屋にはさまざまなタイプがある。当然、店の雰囲気、客層もそれぞれ。酔っ払いの言動は面白かったり、迷惑だったり、翌日には自分の酒癖に頭を抱えることもあるだろう。経験妄想問わず、飲み屋にまつわる書き出しドラマをお待ちしております。
締め切りは4月28日正午、発表は4月30日を予定している。下記の投稿フォームから自由部門、規定部門を選んでお送りください。力作待ってます!
最終選考通過者

もずく酢/ぬけさく/八重樫/義ん母/suzukishika/ら+/eiki/けー/
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