特集 2017年5月7日

国から表彰された路線図が横浜にある

この路線図のどこに表彰されるポイントがあるのか?
この路線図のどこに表彰されるポイントがあるのか?
路線図が好きだ。カラフルに色分けられた路線、限られたスペースに詰め込めれた情報、うっかり現実世界とかけ離れる歪み。時間を忘れてうっとり眺めてしまう路線図は個人的に表彰したくなる。生まれてきてくれてありがとう。
いやいや、母性を暴走させている場合じゃない。僕が表彰しなくても、国から表彰されている路線図が既にあるのだ。横浜市営地下鉄である。
1975年宮城県生まれ。元SEでフリーライターというインドア経歴だが、人前でしゃべる場面で緊張しない生態を持つ。主な賞罰はケータイ大喜利レジェンド。路線図が好き。(動画インタビュー)

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横浜駅から伸びる黒い触手

思いつく限り一番デカいパネルがある場所に来ました。
思いつく限り一番デカいパネルがある場所に来ました。
というわけで、横浜市営地下鉄のセンター南駅に来た。この路線図はネット上に公開されていないので、こうして駅に見に来るしかないのだ。元気でやってるかね。
横浜市営地下鉄はブルーラインとグリーンラインの2路線。センター北とセンター南の真ん中に真のセンターがあると思う。
横浜市営地下鉄はブルーラインとグリーンラインの2路線。センター北とセンター南の真ん中に真のセンターがあると思う。
横浜港も縦・横・斜め45度で描かれていて惚れ惚れする
横浜港も縦・横・斜め45度で描かれていて惚れ惚れする
このパッと見はなんの変哲もない路線図が、平成20年に内閣府が主催する「バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰」において「内閣府特命担当大臣表彰優良賞」を受賞しているのだ(正確には横浜市交通局が受賞)。まさに自慢の息子である。
なんだかカタカナと漢字のバランスが偏っており、何の賞なのかとパニックになるので説明すると、例えば横浜駅周辺のこれ。
横浜駅から黒い触手が伸びてる
横浜駅から黒い触手が伸びてる
横浜駅を表す「B20」から黒い触手みたいなのが伸びてるし、JR(緑)や京急(ピンク)はうっすらとストライプに描かれている。なんだか普通のと違うな、というのがお分かりいただけるだろうか。
実はこれ、色覚の個人差を問わず、誰でも見やすいように工夫された「カラーユニバーサルデザイン」なんですよ。
左:一般型色覚、右:2型2色覚(iPhoneアプリ「色のシミュレータ」より)
左:一般型色覚、右:2型2色覚(iPhoneアプリ「色のシミュレータ」より)
例えば、緑と赤の区別がつきにくい人でも、ストライプの形状が異なれば路線を識別できるし、黒い触手をたどれば乗り換え駅を把握できるというわけ。
このカラーユニバーサルデザインは横浜市営地下鉄グリーンラインの駅構内サイン全体に施され、その取り組みが評価されての受賞となった。あのカラフルな路線図には、もう一つ別の顔があるのだ。
ちなみに、乗り換えがめちゃめちゃ遠い武蔵小杉駅は触手の長さも群を抜いて長い。
ちなみに、乗り換えがめちゃめちゃ遠い武蔵小杉駅は触手の長さも群を抜いて長い。

1枚で2度おいしい路線図

他の鉄道会社だと、色覚が異なる人向けに別の路線図を用意していたりする。でも1枚の路線図で両方カバーするほうが、アイデアとデザインでがんばった!という知恵の結晶感がすごい。こういうのもっと広まったらよいなぁと思う。
ずっと見ちゃうなー
ずっと見ちゃうなー
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