特集 2017年5月17日
 

北限のハブに会いに行く

ハブ捕り名人、あらわる!

昼間に何度も歩きまわった道路脇や茂みを丹念に探索するも、ハブは見つからない。

明日の昼、小中学校の生徒たちによる島内一周一輪車大会が開催されるらしい。中央の山以外はほぼ平坦なので一輪車で島を一周することも可能なのだ。
島で唯一の学校。背後にそびえる岩山が「うね神」
島で唯一の学校。背後にそびえる岩山が「うね神」
私は一輪車には乗れない。しかし学校や会社など、人生の各ステージで所属する組織から振り落とされないように必死に、危なっかしくバランスを取りながらなんとか生きてきた。そういう意味では、ずっと一輪車に乗っていたようなものだし、これからもそれは続くのだろう。ハブぜんぜん見つからないな。
カタツムリだと思って拾ったらヤドカリ出てきた。
カタツムリだと思って拾ったらヤドカリ出てきた。
突然「何を探してるんですか?」と声をかけられた。自転車にまたがり、ヘッドランプを装着、肩に青龍刀のような堂々たる木の棒をかついでいる。
「ハブですか、私もこれから捕りにいくんですよ、よかったら一緒に行きますか」島一番のハブ捕り名人であるという、岩下さんだった。やったあ、天啓なり!
ハブがつないだ縁!これから夜の島を楽しくあやしく徘徊します。
ハブがつないだ縁!これから夜の島を楽しくあやしく徘徊します。
この島で生まれ育ち、漁師を本業としている岩下さんはもうなんというか小宝島の精ですかと言いたくなるほど島の環境を熟知しており、さる筋から蝶類の生態調査を依頼された事もあるという。

生活圏に侵入するハブ駆除ついでの「こづかい程度の副収入」(奄美大島と同様に買い上げがあるが、トカラハブは価格がかなり安い)としてハブ捕りをしている。

強力というかジョーカーに近い助っ人である。
「今日は湿度と気温がそんなに高くないから多くは出ないかな?でも全くいないという事はないでしょう」
「今日は湿度と気温がそんなに高くないから多くは出ないかな?でも全くいないという事はないでしょう」
「この島ではハブがよく食べるカエルとか、両生類がいない。ネズミも今ではいなくなりました、ハブのエサが他の地域にくらべて圧倒的に少ないんですよ」

--あ、カエルは確かにいないなーと思いました。ネズミもいないとなるとヘビには結構厳しいですよね。という事は彼らのごちそうは……。

「鳥です、鳥をねらって木に登っている事が多い」
こんなふうに枝で休んでいるのが標的になる。
こんなふうに枝で休んでいるのが標的になる。
活動のピークは春先と秋、渡りの途中でこの島にやってくる小鳥を狙って、ハブ達は木にのぼる。
「お、いましたよ」
--え?
「ほら、あそこ」
あー、いたいた!枝かおまえは
あー、いたいた!枝かおまえは
「これだと普通の人は簡単にはわからないでしょう」
--わからない!たぶんかなり見逃してますね自分。

岩下さんが自作のハブ捕り機でハブをキャッチ。木の上にいる事が多い小宝島のハブに最適化された高枝切りばさみ型である。
逆に地上を這っているハブは捕まえにくいらしい。
逆に地上を這っているハブは捕まえにくいらしい。
ベーグルみたいに丸まったところを激写!
ベーグルみたいに丸まったところを激写!
バーバリーのトレンチコートのような上質感のあるカーキにシンプルな斑紋がよく似合う。表情も穏やかで紳士的、ホンハブと違って話せばわかってもらえそうな感じだ。

「お、あそこにいますよ」さらに岩下さんが林の奥を指差す。
いやー、これはわからない。枝かおまえは。
いやー、これはわからない。枝かおまえは。
さっきの個体より白味が強い。やはり理性と知性を感じる佇まいだ。
さっきの個体より白味が強い。やはり理性と知性を感じる佇まいだ。

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