とくべつ企画「骨付き肉」 2017年5月29日

「私はケンタッキーの横っ面を張り倒したい」ビールが飲めるケンタッキーにて

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今回のデイリーポータルZは「骨付き肉」特集である。ぼくの骨付き肉の原体験といえば、なんといってもあの光り輝く黄金色、ケンタッキーフライドチキンだ。以前から行ってみたかった、お酒を出す限定店舗のケンタッキーフライドチキン高田馬場店に行ってみた。

※この記事はとくべつ企画「骨付き肉」の1本です。
本業は指圧師です。自分で企画した「ふしぎ指圧」で施術しています。webで記事を書くことをどうしてもやめられない。(動画インタビュー)


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いつもと違うケンタッキー

圧倒的に白い
圧倒的に白い
高田馬場駅から徒歩1分。これが酒が飲めるケンタッキーだ。いつもとちょっと違う、白を基調とした外観で我々を出迎えてくれる。いつも普段着で会っている人に、結婚式の二次会で会ったみたいなドレスアップ。

そうそう、お前世間じゃジャンクフードみたいに言われているけどさ、本当はそういう格好よく似合うんだぜ……?

と、参加者全員の脳内にそんな小粋な口説き文句が浮かぶ。しかし、口にすることで冗談めかしたくない。今はまだ沈黙を保つときだ。
かわいい看板
かわいい看板
17時から23時までのバータイムの表示。これを見たときにみんなから「おいおい」「マジでか?」「すごい」「こんなのありか」「今すぐやめろ」との思い思いの歓喜の声が上がる。

この業態での営業は去年から行われており、当初からネットメディアなどで話題になっていた。本当は、今さら感のある話題であること否めない。知らない人たち連れてきて、本当によかった。情報格差に薔薇を捧げよう。

選び放題、生ビール

どのサーバーも素敵だ
どのサーバーも素敵だ
店内には通常のカウンターと、バー用のカウンターがある。ぼくたちの目はバーカウンターそばのサーバーに釘付けだ。一番左のカーネルサンダースの顔が付いたサーバーはケンタッキーフライドチキン特製のハイボール「カーネルハイ」。生ビールは「プレミアムモルツ香るエール」「プレミアムモルツ」「エーデルピルス」「ハートランド」。

小さな立て看板が「飲み放題あります」と控えめだが力強く囁いている。おいおい、がっつきすぎだよ。それはまた今度。しかし、90分1,600円に心が動いたことも否定できない。

ともあれ、この中から最初の一杯を選ばなくては。なかなか辛い決断になる。参加者全員がジャケットの襟を一度正した。
左からエーデルピルス、カーネルハイ、ハートランド
左からエーデルピルス、カーネルハイ、ハートランド
それぞれの飲み物を選ぶ。店員さんが、生ビールをまるで首の据わっていない赤ちゃんを扱うがごとく、慎重に注いでいる。うん。これでうまくないはずがない。

カーネルハイは単なるウィスキーと炭酸水のハイボールではなく、ピリッと渋いスパイスが効いていたのが印象的だった。スパイスの正体が最後までわからなかった。種明かしが必要だろうか? ううん、アルコールとほんの少しのミステリーはベストマッチと昔から決まっている。
「プレミアムモルツ香るエール」とおまけの「プレミアムモルツ」
「プレミアムモルツ香るエール」とおまけの「プレミアムモルツ」
ビールを頼んだら小さなビールがついてきて面くらう。「プレミアムモルツ香るエール」か「プレミアムモルツ」を頼むと、頼まなかった方のビールがおまけでついてくるそうだ。
プレミアムフライデーの特別企画
プレミアムフライデーの特別企画
そうえいえば、今日はプレミアムフライデー。月に1度の特別な夜だったね。ケンタッキーフライドチキン高田馬場店がぼくたちにしてくれたとびきりのサービスだ。でも、あれだけビールの選択で悩ませておいて、こんなことになるなんて。ちょっと意地悪じゃないか?

本当にいろいろあるおつまみ

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ともあれ、ケンタッキーに乾杯!
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ケンタッキーフライドチキン高田馬場店には通常の店舗には置いていないフードがたくさんある。 生ハムとデンマーク産チーズの盛り合わせ。真っ白なチーズがとてもおいしかった。柔らかくて、しょっぱくない。ただ舌の上にコクの余韻だけを静かに残してゆく。
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熟成ベーコンとほうれん草のキッシュ。ケンタッキーでキッシュを食べられるなんて! 鮮やかなお皿がまぶしい。
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鶏もも肉の燻製。鶏肉はプリプリとした歯ごたえ。見せつけるような粒こしょうがきっちりきいている。

でも一番なのは……

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ここまでうまいうまいと言ってきたが、実はみんなが最初に手を付けたのはやっぱりフライドチキンだ。やっぱり骨付き肉がみんな大好き。
遠くを見つめる古賀さん
遠くを見つめる古賀さん
参加者のひとり、編集部の古賀さんがこんなことを言った。
「おいしいおつまみがいろいろあるのはわかるけどね。結局はフライドチキンが一番うまくないですか? 相対的にフライドチキンの価値を高めようっていうケンタッキーの戦略じゃないんですかね?」
無心でかぶりつくさくらいさん
無心でかぶりつくさくらいさん
それを受けてライターのさくらいさんがこんなことを言い出す。
「きっとそれはそうです。私はケンタッキーが本当に大好きなんですよ……。ファーストフードの中で一番好きなんですが、ケンタッキーって好きって言いにくいじゃないですか。スペック高すぎて他のファーストフードと同じ土俵に立つなよ、というか…… 」

古賀さんの鼻息が一層荒くなる。
「それは本当にそうだ! もう私はね、ケンタッキーの横っ面をひっぱたいてやりたい。こんな店をつくらなくても、ケンタッキーはそのままでうまいんだよって、言ってやりたい!」
何も言えないおろかなおれ
何も言えないおろかなおれ
みんなフライドチキンとビールで、ケンタッキーへの情熱が隠せなくなってきているようだ。語気が荒い。ぼくはといえば、なんだかみんなの熱に居心地が悪くなってしまった。でももちろんぼくだってフライドチキンは好きだ。ただ、みんなみたいにエピソードが出てこない……。

そんなときに店員さんが席にオーダーをとりに来てくれた。
「オリジナルピース、追加で……」
なんとこのケンタッキーはバー利用で2回目以降のオーダーは店員さんの方からとりに来てくれる。
ぼくはただ食べているのが、ちょうどいい。

ビールはまだまだある

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海外の瓶ビールも取りそろえている。
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ハワイのビール、CASTAWAY。
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こちらもハワイのビール、BIGWAVE。
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ギネスもある。
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追加で頼んだアヒージョ。「ケンタッキーで海鮮を食べるなんて、フライドチキンに対する冒涜では?」と参加者のライター井上さんが言ったけど、まっさきにタコにフォークを突き立てたのは井上さんである。なんでもいいのだろうか。

結局、長々と2時間半滞在してしまった。とても気持ちがよかった。店を出ると、湿気混じりの初夏の風がぼくたちを吹き付ける。もしも古賀さんが本当にケンタッキーの横っ面を張り倒そうとしたら、ぼくは一体どうすればいいだろう。ケンタッキーを守れるだろうか。

二日酔い

この後、なぜかもう1軒行ってそこでも飲んでしまった。泥酔である。ぼくは次の日に原稿を上げなくてはいけなくて、今二日酔いの中書いている。そのせいでなんだか文体も気持ち悪くなってしまった。ごめんなさい。でも本当に楽しかったし良い店だったよ、というのは伝えておきたい。
次の居酒屋に行くみんなの軽快な足どり、このあと泥酔する
次の居酒屋に行くみんなの軽快な足どり、このあと泥酔する
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