みじかい記事 2017年5月30日
 

【実録】血で血を洗う

絵の具を溶いた色水です。
絵の具を溶いた色水です。
「血で血を洗う」ということわざがある。
悪事に対して悪事で報復したり、肉親同士の争いを例えた言葉らしい。
とにかく血が飛び交っているのだろう。
すごく迫力のある言葉である。

ところで、血で血は洗えるのだろうか。
1987年東京出身。会社員。ハンバーグやカレーやチキンライスなどが好物なので、舌が子供すぎやしないかと心配になるときがある。だがコーヒーはブラックでも飲める。

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液体で?液体を?

考えると分からなくなってくる。
「血」という単語のインパクトに隠れているが、液体で液体を洗うってどういうことなのか。
分からないのだ。「血」という単語が分からなさをぼやかしているような気がしたので、他の液体も当てはめてみた。やっぱり分からない。
分からないのだ。「血」という単語が分からなさをぼやかしているような気がしたので、他の液体も当てはめてみた。やっぱり分からない。

やってみよう

やってみることにした。
血を用意するのは嫌だったので、絵の具を水に溶いて血と見立てることにする。
公園で絵の具を溶く。天気がいい。
公園で絵の具を溶く。天気がいい。
右のきれいな色の血が洗うやつで、左の濁った色の血が洗われるやつ。
右のきれいな色の血が洗うやつで、左の濁った色の血が洗われるやつ。
………………………
………………………
………………………
………………………
「さあ、これでこれを洗おう」と思ったがピクリとも動けない。
何をしたらいいか分からないのだ。
前日にお皿や絵の具の用意をしながら「分からないなりに何かするだろう」と思っていたが
思っていた以上にすることがない。
「屏風のトラを退治しろ」と言われた一休さんもこんな感じだったのだろうか。

しばらく血をみながらじっとしていた。
写真の撮影を頼んだ妻も向かいで僕を見てじっとしている。

「どうしたらいい?」
と聞いたら、
(そもそも何をしたいのか分からないしここは暑いので何でもいいから早く終わらせて欲しい)
というすごく雄弁な表情をされたので、何となくへらへらした表情で答えた。
これがノンバーバル・コミュニケーションである。
とりあえず何かやろう。崖から飛び降りる気持ちで、濁った血をつかんで、きれいな血の中でもみ洗いをする。
とりあえず何かやろう。崖から飛び降りる気持ちで、濁った血をつかんで、きれいな血の中でもみ洗いをする。
壊れるつり橋だと分かってはいたが、渡るしかなかった。
虚無感につぶされそうになりながらきれいな色水の中で手をもみもみする。
気を確かに持たないと「何かを洗っている」という自覚もなくなってくる。
気を確かに持たないと「何かを洗っている」という自覚もなくなってくる。
もみもみしていたらハトが近づいてきた。今、血で血を洗っているのだ。邪魔をしないで欲しい。
もみもみしていたらハトが近づいてきた。今、血で血を洗っているのだ。邪魔をしないで欲しい。
しばらくもみもみしていたが、そのうち動けなくなってきてしまった。
エネルギーの消耗がすごい。
「虚無」に吸われているのだからそりゃあすごい。無限に吸うだろう。
何でか分からないのだが、最後はジャーっと混ぜた。混ぜた混ぜた。
何でか分からないのだが、最後はジャーっと混ぜた。混ぜた混ぜた。
どうしよう、これ何だろう、と思っていたが、思い切って認めてしまうことにした。
!
認めよう。液体で液体は洗えない。
少なくとも僕の力では洗えない。
そしてこれ、つまりこういうことである。
PEACE!
PEACE!
血で血は洗えない。
報復は解決にならないし、肉親同士憎しみあうことは結局できないのだ。
ハトも来るし。

ぼんやりした疑問がすごく気持ちのいい結論に着地したので、このあとスキップしながら散歩をして、つけ麺を食べた。
最高においしかった。
最高においしかった。

書きながら分かった

血ってあれだ。流れ出て固まった血のことだ。
固体の血を液体の血で洗い流すのだ。
そんなことしても何の意味もないが、そういうことわざなのだ。
納得はいった。
水の中で手をもみもみすることではなかったのだ。
次からサスペンスのあおり文はこんな感じにしよう。分かりやすいから
次からサスペンスのあおり文はこんな感じにしよう。分かりやすいから
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