特集 2017年6月5日

ウラジオストクの「レインボーバーガー」が地味だった

「レインボーバーガー」がレインボーじゃなさすぎた話です
「レインボーバーガー」がレインボーじゃなさすぎた話です
旅行先のウラジオストクで、カラフルなハンバーガーが載ったメニュー看板を見つけた。英語表記で「レインボーバーガー」となっている。
どうやら「ウラジオストクの人たちはこういう珍しいハンバーガーが出ると飛びつく」らしい。
え! 具の目新しさじゃなく色が新しいと売れる文化!?

……と、ハンバーガーの話に入るその前に、軽くウラジオストクの話をしよう。
島根県生まれ。毛糸を自在に操れる人になりたい。地元に戻ったり上京したりを繰り返してるため、一体どこにいるのか分からないと言われることが多い。プログラマーっぽい仕事が本業。(動画インタビュー

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2時間半で行ける極東ロシア

ウラジオストクは、東京から直線距離で1000キロの場所にある極東ロシアの港町だ。1000キロっていったら東京・福岡間ぐらいで、飛行機だと成田から約2時間半。
2012年のAPECのタイミングでだいぶ発展したそうで、治安もよく安心して観光もできるというのでうれしい。

滞在中に中国からの観光バスも多く見たし、日本から来る人は少ないけれども観光地としても賑わってた。
発展したタイミングでできた黄金橋
発展したタイミングでできた黄金橋
軍艦が停泊してるのが見える。港町。
軍艦が停泊してるのが見える。港町。
初めてのロシア旅で、勝手がわからなすぎたので、日本勤務経験がある現地ガイドさんに半日案内をお願いしてみた。公共交通機関の使い方などを教わったり、見かけたものについて質問しつつ、坂の多い街を歩きまわった。
車道は車が多いけど、歩道は整備されてて歩きやすい街 という印象
車道は車が多いけど、歩道は整備されてて歩きやすい街 という印象
坂が多い港町ってことで「なんか長崎っぽさありますね」と言ったら「よく言われる」と返ってきた
坂が多い港町ってことで「なんか長崎っぽさありますね」と言ったら「よく言われる」と返ってきた
ウラジオストクには2010年ごろにも一度行こうとしてたことがあった。「ヨーロッパとアジアの混ざり加減が面白そう」という印象を勝手に持ち、「行きたい!」という思いが友人と合致したんだった。
そのときは都合により話が流れたが、ずっと言い続けて今年の春ようやく念願の!!
ウラジオストクの駅
ウラジオストクの駅
シベリア鉄道の終着地。今回は乗れなかったけど、つぎの機会には乗ろう
シベリア鉄道の終着地。今回は乗れなかったけど、つぎの機会には乗ろう
数年前に急激に発展したので、前に行く予定にしてたのが流れなかったらこんなに整備された街ではなかったのか。
なので、7年前に調べてた情報は今回まるで使えない。

そんなに急激に変化したら、お年寄りなんかは戸惑うのでは!? と尋ねたら、「元々色んな文化が入ってくる街だから、そんな急激な変化にも慣れてる」そうだ。
これは「ヒッチハイクをして都会に出ようとする若者」像。こういう「特に誰という訳ではない一般人」の像がたまにあった。手に持ってるレコードを見つつ尋ねる友人と、説明するガイドさん。
これは「ヒッチハイクをして都会に出ようとする若者」像。こういう「特に誰という訳ではない一般人」の像がたまにあった。手に持ってるレコードを見つつ尋ねる友人と、説明するガイドさん。
こんなに近いのに、行くまではほかの近隣の国に行くよりも気軽に行ける印象じゃなかった。ビザも必要だし、言葉も文字もわからない。

けど行ってみたら気軽さうなぎ登りでまた行きたくなってる。
一度行くと気軽さを感じるようになるのは、行先がどこでもおなじかもしれないが、今ではこれほどまでに気軽に感じてる
一度行くと気軽さを感じるようになるのは、行先がどこでもおなじかもしれないが、今ではこれほどまでに気軽に感じてる

レインボーバーガーとの遭遇

案内してもらいつつ歩いてると、ファーストフード店のメニュー看板が目にとまった。見たことがないタイプのハンバーガーがあったからだ。
左の建物がファーストフード店。右に見えるのがウラジオストク駅なので、すぐそば。
左の建物がファーストフード店。右に見えるのがウラジオストク駅なので、すぐそば。
メニューを見てると…… え、シマ模様?? なんだこれ。
メニューを見てると…… え、シマ模様?? なんだこれ。
ガイドさんによると、ウラジオストクでは「こういう珍しい色のメニューが出るとみんな喜んで注文する」らしい。
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英語表記で「レインボーバーガー」。どういうことだ。

このときは食べようかちょっと悩み、翌日やっぱり見ておきたい! と再びこの店に行った。

なので、通訳してくれる人がいない状態での注文となる。
指をさして「これ!」 と注文。すると「色をひとつ選べ」と言われる。言葉はまったく通じないので、身振り手振りと翻訳アプリで伝えようと試みる。
指をさして「これ!」 と注文。すると「色をひとつ選べ」と言われる。言葉はまったく通じないので、身振り手振りと翻訳アプリで伝えようと試みる。
色を選ぶ……? 4色の中から、ひとつ選べってこと? カラフルなバーガーが出てくる訳じゃなく、この中からひとつが出てくるってシステムだったのか。

なんだ、「レインボー」じゃないじゃないか!!
えーーーと、せっかくだからすごそうな色を…… じゃあ緑で!
えーーーと、せっかくだからすごそうな色を…… じゃあ緑で!
とっさの判断で緑にしてしまったが、写真よりもだいぶ落ち着いた色のパンが出てきた。よもぎみたいな草が入ったパンよりは鮮やかだけど、思ってたより地味だ。全然「レインボー」じゃない。
写真とまったく違う。食べるのにそんなに抵抗なさそうな色。
写真とまったく違う。食べるのにそんなに抵抗なさそうな色。
緑以外はどういう色なんだろう。 「ほかの色も見たい」と翻訳アプリに入力し、出てきたロシア語を見せる。すると首を横に振られた。

おお……ダメか! 頼んだものだけを見ることができる仕様か……!!
紫だとどんなだったんだろう
紫だとどんなだったんだろう
取材に行ったなら全色頼めよ! レインボー、コンプリートしろよ! と言われるかもしれないが、ウラジオストクはとても食べ物がおいしい街で、滞在中は出来る限りの美味しいものを食べたい。

なので、他の注文は放棄させてもらおう。
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世界のコインを集めてる人、登場

しばらくやり取りしてると、奥の方から陽気な店員さんが現れた。片言の英語で話しかけてくれたので、ここでようやくちょっとだけ会話が円滑になる。
カメラに写りたがってくれた
カメラに写りたがってくれた
この店だけじゃなく、旅の最中に試みたコミュニケーションを振り返ってみると、「英語がちょっと分かる人」と「まったくわからない人」の割合は、半々ぐらいか?

自分も片言で、おそらく相手も片言の場合が多く、ちょうど良い感じだったような気がしてる。そんなつたないコミュニケーションでも、「話が通じた!!!」という安心感がすさまじい。
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で、この店員さんに何を言われたかというと、どうやら「世界のコインを集めてるので、あなたの国のコインをください」ってことらしい。

日本の硬貨を初めてみる外国人に紹介する場合、どれがいいだろう。やっぱ穴が空いたのが珍しいかな。
5円玉の手持ちがなかったので50円玉と、ついでに10円玉を渡した
5円玉の手持ちがなかったので50円玉と、ついでに10円玉を渡した
穴を指さしてなにやら嬉しそうに言ってたので、喜んでもらえたようだ。

ついでにこれはルーブルに該当するといくらだ(1ルーブル=2円ぐらい)みたいな説明したつもりが、「払う必要があるのか!?」 と問われる。

ノー! ノー! プレゼントフォーユー!!

ついでに、あなたの写真をウェブサイトアップロードOK?
オーケーオーケー!!
オーケーオーケー!!
カラフルバーガーを買おうとしたけど、カラフルなのは買えず、その代わりに意外な交流ができた。

このあと、店の脇道でハンバーガーをかじった。ふつうの安いハンバーガーの味だった。
手渡されたハンバーガーはレインボーじゃなさすぎたが……
手渡されたハンバーガーはレインボーじゃなさすぎたが……
交流が面白かったのでそこそこ満足してかぶりつく
交流が面白かったのでそこそこ満足してかぶりつく

ハンバーガー屋の店員さんは愛想がとてもよかったが、ロシアの接客業の人たちはびっくりするほど無表情な人が多かった。……というのもどうやらロシアには「意味のない笑顔はバカの印」ということわざがあるとか。

今回の旅行に一緒に行った友人は営業職で、「仕事柄無理に笑うこともあるけど、そこまで無理に笑う必要はないのだとロシア人を見てると思える」と感銘を受けたようで、「みなさん疲れたらロシアへ癒されに行ってください」と職場の朝礼で言ったらしい(……が、「そんなので癒されるのはあなただけだ」と言われて終わったらしい)。

みなさん、疲れたらロシアへ……
ウラジオネタはもうちょっと書く予定
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