特集 2017年6月5日

レバーを味噌で煮て油に漬けるとうまくなる。赤いウインナーでもね。

レバーの味噌オイル漬け。うまいです。日本酒に最高!
レバーの味噌オイル漬け。うまいです。日本酒に最高!
牡蠣のオイル漬けという料理があります。白ワインなどで牡蠣を加熱して、ニンニクなどを使って味付け。それをオリーブオイルに漬け込んで作ります。

牡蠣の旨味と油の旨味が合わさり大変美味しく、保存も可能。そのままおつまみにしてよし、パスタの具材に使うなどもよし。色々な使い方が出来ます。

このオイル漬け。レバーで作っても美味しいです。牡蠣は冬場だけになりますが、レバーなら1年を通して手に入ります。そして、白ワインやニンニクもいいですが、レバーは味噌と日本酒を使って調理してオリーブオイルに漬けると大変美味しいです。作り方を紹介します。そして、他にも色々漬けてみました。
1972年生まれ。元機械設計屋の工業製造業系ライター。普段は工業、製造業関係、テクノロジー全般の記事を多く書いています。元プロボクサーでウルトラマラソンを走ります。日本酒利き酒師の資格があり、ライター以外に日本酒と発酵食品をメインにした飲み屋も経営しているので、体力実践系、各種料理、日本酒関係の記事も多く書いています。(動画インタビュー

前の記事:骨付きの肉は豚でもワニでも黒酢で煮るとうまい

> 個人サイト 酒と醸し料理 BY 工業製造業系ライター 馬場吉成 website

レバーの味噌オイル漬け

今回紹介するレシピは店で時々出している「レバーの味噌オイル漬け」と全く同じものです。煮てオリーブオイルに漬け込むだけなので、簡単に作れます。
レバーを使う時は粉山椒がポイント。ホタテやエビなどで作る時は黒胡椒を使います。
レバーを使う時は粉山椒がポイント。ホタテやエビなどで作る時は黒胡椒を使います。
材料は以下になります。

・鶏レバー 500g
・味噌 大さじ2(すり切らず、少し多めに)
・みりん 大さじ1
・醤油 大さじ1.5
・粉山椒 小さじ1
・日本酒 100ml
・唐辛子 1本
・オリーブオイル 適量

分量は目安なので好みに合わせて調整してください。
鶏レバー。これで350gぐらい。
鶏レバー。これで350gぐらい。
作り方は、まず鶏レバーを適当な大きさに切り分けます。煮ると小さくなるので、3、4cm大ぐらいで大丈夫です。
ハツとレバーの間の白い部分は適当に切り取って構いません。
ハツとレバーの間の白い部分は適当に切り取って構いません。
切り分けたレバーはザルに入れ、流水で全体をザッと洗い水気を切っておきます。この時、黒い小さい血の塊が出てきますが、取り除けるものは取り除いておいてください。厳密に取り除かなくても大丈夫です。
粉山椒は牛肉を炒める時などにも使えます。
粉山椒は牛肉を炒める時などにも使えます。
味噌、みりん、醤油、粉山椒を合わせておきます。レバーを煮ながら別々に入れていっても構いませんが、先に合わせておいた方が楽です。
牡蠣の味噌オイル漬けを作る時は、牡蠣から水が出てくるので日本酒は少ししか使わない。レバーなので浸る程度に。
牡蠣の味噌オイル漬けを作る時は、牡蠣から水が出てくるので日本酒は少ししか使わない。レバーなので浸る程度に。
次にレバーを日本酒で煮ていきます。鍋にレバーと日本酒を入れて強火にかけます。
一気に全部入れて大丈夫。
一気に全部入れて大丈夫。
煮立ってレバーの色が変わってきたら調味料を入れて、ヘラなどで一度軽く全体を混ぜ合わせます。煮立ってアクが出て着たら簡単にとりのぞき、2、3分煮た後にフタをして弱火にします。
このぐらいまで煮汁が少なくなってドロッとしてきたらOK。
このぐらいまで煮汁が少なくなってドロッとしてきたらOK。
時々フタを開けて全体を混ぜ合わせ、5分ほど煮たらフタを取り更に煮ます。時々上下を変えるように混ぜながら、10分ほど煮て煮汁が少なくなってきたら火を止めます。

火を止めたら、隙間が開くようにフタを置いて鍋をそのまま放置し、荒熱をとります。
この煮汁はパスタソースに混ぜたり、そのままパンにつけて食たりしてもうまい。
この煮汁はパスタソースに混ぜたり、そのままパンにつけて食たりしてもうまい。
荒熱がとれたら殺菌した保存容器にレバーを入れます。レバーを入れたら半分ぐらいまで煮汁を入れます。
唐辛子は火を止める直前に入れておいても大丈夫。
唐辛子は火を止める直前に入れておいても大丈夫。
煮汁を入れたら小口切りにした唐辛子を適量入れ、オリーブオイルをレバーが隠れるまで入れます。

フタをしっかり締めたら完成です。一晩置いて味を馴染ませます。
冷蔵庫で3週間ぐらい保存可能。下の煮汁も使えます。
冷蔵庫で3週間ぐらい保存可能。下の煮汁も使えます。
レバーの味と味噌の味が合わさり、オリーブオイルがその二つを包んで濃厚な味わいにします。山椒の香りもレバーの風味とよく合い、臭みも感じません。

日本酒はもちろん、ワインやビールでもよく合います。パンやクラッカーに乗せて食べてもいいし、オイルと下の煮汁とレバーを茹でたパスタにサッとかけて炒めても美味しいです。
これが最高に日本酒に合うのです。
これが最高に日本酒に合うのです。
出来たものは冷蔵庫で3週間ぐらいは保存が出来ます。清潔な箸やスプーンなどで取り出し、レバーが空気に触れないようにオリーブオイルを足してください。また、作った日付を忘れないように、日付を書いた紙を貼っておくといいでしょう。

簡単に作れるので是非試してみてください。冷蔵庫に入れておけばつまみに困らなくなります。

色々味噌オイル漬けを作ってみます。

味噌オイル漬けは、その他の調味料や分量が少し異なりますが、牡蠣やホタテなどの魚介で作っても美味しいです。

ということで、牡蠣やホタテ以外にも美味しく出来る物があるか探ってみました。
赤いウインナー、厚揚げ、笹かまぼこ、スルメの4種類を試してみました。4つとも味噌大さじ2、みりん大さじ1、日本酒100ml。粉山椒の代わりに黒胡椒を小さじ1程度入れて作りました。

どれも味はいいです。中でも赤いウインナーが良かった。細かい結果は写真をクリックしてお好きなところから。または1つずつ順にどうぞ。
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赤ウインナーの味噌オイル漬け

最初は赤いウインナーを味噌オイル漬けにします。
塩コショウで炒めただけでいい酒の肴になる。
塩コショウで炒めただけでいい酒の肴になる。
作る手順は同じです。切り分けたソーセージを日本酒で煮て、煮立ったところに調味料を入れる。山椒ではなく、黒胡椒が入ります。弱火でしばらく煮て、荒熱をとったら瓶に詰め、唐辛子とオリーブオイルを入れたら出来上がりです。
ややお菓子的な色合い。
ややお菓子的な色合い。
加熱時間はレバーの半分ぐらい。使った赤いウインナーの量が100g程度だったので、調理時間は短めです。
見た目は焦げ目の無い赤ウインナーの味噌炒めといったところか。
見た目は焦げ目の無い赤ウインナーの味噌炒めといったところか。
ひと晩置いて味を馴染ませてからの試食です。心なしか、ウインナーの赤い色が調理前よりも明るくなった気がします。
おお!これはなかなかいいね。
おお!これはなかなかいいね。
味は油と味噌で炒めたウインナーという感じがありますが、焦げたところがなく、どことなく落ち着いた上品な味わいを感じます。旨味が滑らかに伝わってくるようで、クセのある肉の香りも抑えられています。

以前、赤いウインナーを低温の油で煮てタコのウインナーを作った時は物足りなさを感じましたが、これは味噌の味でそういった事はありません。むしろ炒めるよりも濃厚です。

ウインナーの変わった食べ方としてアリかもしれません。
オススメ度:☆☆☆☆
次にいきます。
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厚揚げの味噌オイル漬け

次は厚揚げの味噌オイル漬けです。
焼いて鰹節とネギと醤油をかけるだけでいい酒の肴になる。
焼いて鰹節とネギと醤油をかけるだけでいい酒の肴になる。
厚揚げは3cmぐらいの幅で1cm程度の厚さに切り分けます。後は日本酒、味噌、みりん、黒胡椒で煮て、唐辛子と共にオリーブオイルに漬け込みます。
思いのほか、豆腐が煮汁を吸ってしまったようで煮汁少な目。
思いのほか、豆腐が煮汁を吸ってしまったようで煮汁少な目。
チーズのオイル漬けというものがあるのですが、そんな感じの見た目になりました。煮る時間はウインナー同様にレバーの半分程度です。
チーズとか豆腐の味噌漬けというような見た目になった。
チーズとか豆腐の味噌漬けというような見た目になった。
厚揚げなので崩れることなく煮込めて油にも漬かりました。外側が茶色いので味噌漬けのようにも見えます。
なかなか美味しいが、割とアッサリだね。
なかなか美味しいが、割とアッサリだね。
食べてみると、最初に味噌とオリーブオイルのコクのある旨味、黒胡椒のスパイシーな風味がくるのですが、すぐに消えていきます。元が淡白な味わいのものなので、調味料の味が先にきてしまいます。美味しいのですが、全体のバランスから言うと、調味料を主に味わう感じなのでもうひとひねり必要です。

煮る前に炙って焦がすとか、味噌ではなく塩を馴染ませてから燻製にしてオイル漬けなんてのがいいかもしれません。
オススメ度:☆☆
次にいきます。
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笹かまぼこの味噌オイル漬け

次は笹かまぼこの味噌オイル漬けです。
このままわさび醤油をつけるだけでいい酒の肴になる。
このままわさび醤油をつけるだけでいい酒の肴になる。
笹かまぼこは2、3cm程度の幅に切り分けて使います。調理法は変わりません。日本酒、味噌、みりん、黒胡椒で煮て、唐辛子と共にオリーブオイルに漬け込みます。
元の笹かまぼこの厚みよりもかなり膨らんでいます。
元の笹かまぼこの厚みよりもかなり膨らんでいます。
このままで普通に食べられる物なので、加熱時間は更に短くしました。しかし、フタを置いて荒熱をとっている間に煮汁を吸って思いのほか膨れ上がっていたので、煮汁から出して冷ますのがいいかもしれません。
白身魚を味噌で煮込むとこんな感じだろうか。
白身魚を味噌で煮込むとこんな感じだろうか。
煮る作業で膨れましたが、オリーブオイルに漬けてからの変化はありませんでした。しっかり味噌の色がついています。
ああ、うまいね。でも味噌とオリーブオイル。そして笹かまぼこだ。
ああ、うまいね。でも味噌とオリーブオイル。そして笹かまぼこだ。
食べてみると、最初に味噌味。その後に笹かまぼこの味が主張してきます。味噌やオリーブオイルと比べ、淡白な味のイメージだった笹かまぼこですが予想外に主張してきます。これだと、味噌とオリーブオイルと胡椒をかけた笹かまぼこという感じ。どれも美味しい味なのでいいのですが、バラバラでバランスが悪い。

ひと晩しか味を落ち着かせてないので、2、3日ぐらいするとより味が馴染んで変わってくるかもしれません。
オススメ度:☆☆
次にいきます。
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スルメの味噌オイル漬け

最後はスルメの味噌オイル漬けです。
炙って齧るだけでいい酒の肴になる。
炙って齧るだけでいい酒の肴になる。
スルメは珍味売り場にあった既に裂いてあるものを使っています。これを更に3、4cmぐらいの長さに切り分けます。あとの調理方法は他の3つと同じです。
瓶に詰める段階ではまだ硬かった。
瓶に詰める段階ではまだ硬かった。
そのままのスルメは硬いので、少し時間をかけて煮て柔らかくしようかと考えました。しかし、予想以上にスルメが汁を吸い始めたので、こちらもレバーの半分程度の時間で煮るのを辞める。先に日本酒を使うなどして柔らかく戻してから調理した方がよかったかもしれません。
イカの中華風煮込みみたいな感じで食べる前の期待値は高かった。
イカの中華風煮込みみたいな感じで食べる前の期待値は高かった。
瓶に詰めてひと晩おきましたが、硬さはあまり変わっていませんでした。箸で取る時にガリガリと当たります。
まあ、美味しいけどね。ちょっと硬めか。でもそれがいいのか。
まあ、美味しいけどね。ちょっと硬めか。でもそれがいいのか。
食べてみると、スルメの魚介臭さは少なくなり、味噌とオリーブオイルの味が先にきます。結構硬さがあるので、噛みしめていくとスルメの味が出てきて味噌の風味と合わさっていく。あとを引く味といえばいい感じなのですが、もう少し最初から調和してもいいかなと思います。

組み合わせは悪くないので、調理法を工夫するとかなりいい線まで行きそうな気がします。現時点では、スルメは炙ってそのままがいいといったところです。
オススメ度:☆

割となんでも味噌オイル漬けでいける

幾つかの食材で味噌オイル漬けをやってみました。どれも味的には悪くないです。赤いウインナーはあのままでもいいでしょう。他は、もう少し工夫をすればリピートで作ってもいいかと思えるレベルになる可能性はあります。

今回はあえて加工済食材を使いましたが、通常は牡蠣、ホタテ、エビなど下処理をして味噌オイル漬けにしています。まだテストはしていないのですが、キノコ類なども味噌オイル漬けにしたらいいかもしれません。

ウズラの卵のピクルスなんてのもあるので、その方面も出来そうです。今後も色々試しておきます。
牡蠣の味噌オイル漬け。山椒や黒胡椒は使わず味噌とみりんだけ。日本酒もほんの少し。唐辛子とオリーブオイルで漬けます。店で出すのも冬限定。
牡蠣の味噌オイル漬け。山椒や黒胡椒は使わず味噌とみりんだけ。日本酒もほんの少し。唐辛子とオリーブオイルで漬けます。店で出すのも冬限定。
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